2024年度は、4年ぶりに「BotchanLab-Tokyo」としてiGEM 2024に出場することが決定しました。(2024/04/11)
今年度の研究は炎症性腸疾患IBDをおならで検知するデバイスを開発しました。
IBD患者の病巣にはNOが優位に発生しており、PnorVシステム の下流にSbmオペロンを入れることで炎症があった際にプロピオン酸を作ることを目的に設計、実験を行ってきました。通常のおならとは匂いが異なるおならが発生することで、IBDの早期発見に貢献できると考えております。
2020年度プロジェクトは今現在検討中です。(2020/03/13)
2020年度のプロジェクトは、「放射線耐性能を持たせた変異に強い大腸菌を作成」
することで「放射性金属の回収や、宇宙空間での利用など応用例を増やす」ということです。
なぜ、現在応用することが出来ないかというと、バイオプロセスに必要なすべての遺伝子を導入する段階で操作回数が増えてしまったり、多種の選択マーカーを必要とするため問題点を多く抱えているためです。
そこで....「長鎖DNAの合成」を行えば抱えている問題を解決するのではないかと考えられます。
2018年度のプロジェクトは、「空気中の窒素からアミノ酸を合成する」ことで「食糧危機を解決する」という大きなテーマを掲げて実験を行いました。
タンパク質はアミノ酸から出来ています。そこで、アミノ酸を合成したいわけですが、窒素からアミノ酸を合成する過程に、ニトロゲナーゼとアミノ酸脱水素酵素の二つの酵素を用います。大気中の窒素を利用するために、まず窒素が持つ三重結合を分解する必要があり、ニトロゲナーゼによってその三重結合を切断して、アンモニアに変換する反応をします。そして我々が吸収できるように、アミノ酸脱水素酵素によりアンモニアからアミノ酸を合成します。その2つの工程を1細胞の大腸菌内で行わせるため、ニトロゲナーゼと脱水素酵素の二つを大腸菌内で発現させることを目標としてきました。
まず、ニトロゲナーゼの発現について、ニトロゲナーゼの発現は大腸菌にとって負担となるため[Wang L, Zhang L, Liu Z, Zhao D, Liu X, et al. (2013) A minimal nitrogen fixation gene cluster from Paenibacillus sp. WLY78 enables expression of active nitrogenase in Escherichia coli. PLoS Genet 9: e1003865.]、Paenibacillus Polymixa ATCC 15970という窒素固定細菌が持つニトロゲナーゼ遺伝子の必要最小限の配列をコピーし、導入しました。さらに、このニトロゲナーゼを発現させるために必須の遺伝子群に加えて、Rahnella aquatilis NBRC 105701という細菌のもつニトロゲナーゼの活性を高める働きを持つ遺伝子群も併せて導入しました。
次に、脱水素酵素の発現について、多くのアミノ酸はグルタミン酸を元にして合成されるため、今回は窒素固定によって得られたアンモニアからグルタミン酸を合成するために、大腸菌にグルタミン酸デヒドロゲナーゼを発現する遺伝子を導入します(菌株: Bacillus licheniformis)。こうすることで、窒素固定からグルタミン酸合成までの一連の反応を1つの菌体内で起こすことが出来ます。
私たちの理想では、その大腸菌をカプセルに入れ、サプリメントのようにして体内に取り入れることで、ヒトの腸内で空気中の窒素からアミノ酸を合成できると考えております。名付けて、Bacterial Supplementです。
進歩としましては、ニトロゲナーゼによりアンモニアが合成されたかを確かめるため、インドフェノール法を行いました。その結果は図2のようになり、ニトロゲナーゼによるアンモニア蓄積が確認されました。
大腸菌は代謝によりアンモニアをグルタミンに変えてしまうため、Methionine Sulfoximine (MSX)を添加し、代謝経路を阻害してアンモニアを蓄積させる必要がありました。その結果が下図のようになり、代謝経路を阻害していることがわかります 。
iGEMにおける当サークルの成果はWikiに掲載しております。
iGEM Botchan Lab-Tokyoでお調べください。