『フリードリヒ・キットラーの理論――筆記、感覚、数』 (以下「拙著」)は、ドイツのメディア研究者フリードリヒ・キットラー(Friedrich A. Kittler, 1943-2011)の思想についての日本初のモノグラフです。
キットラーは、書物、蓄音機、映画、タイプライター、コンピュータなど、さまざまな情報を扱うためのテクノロジーと文化や思想の関係について独自の理論的視座を提示し、現代のメディア研究や文化研究に大きな影響を与えた人物です。彼の研究を再検討することは、メディア理論やメディア研究のみならず、戦後ドイツの学術的背景や、人工知能のような新しいテクノロジーについて考えることにつながるでしょう。
このブックリストでは、キットラーの議論をより深く理解したり、批判的に検討したり、あるいはそれを踏まえて新たな研究へと進むために役立つ書籍を100冊紹介します。拙著の中であまり強調できなかった本邦の研究文脈との連関を詳細に説明するため、日本語の研究書・翻訳書を中心に取り上げます。また、残念ながら絶版となってしまい古書市場で高額でやりとりされているものや、図書館でしか入手できないものも含まれます。本来ご紹介すべき本が漏れているかもしれませんが、それはひとえに私の力不足によるものです。このブックリストを基に、拙著を起点としたさまざまな議論が展開することを願います。