Brain-Machine Interface (BMI, ブレイン・マシン・インターフェース)は、 脳活動を直接用いて外部機器を制御する技術の総称である。
BMIの基本的な構成は、脳活動を計測し、信号処理によって特徴量を抽出し、外部機器を駆動するものである。
近年では、脳卒中片麻痺上肢機能障害の新しい治療法としてBMIを用いた治療法が注目されている。
現在、BMIを用いたリハビリテーション療法では、脳波を生体指標として、手に装着した装具による運動介助訓練をおこなっている。(図参照)
脳波計測では、一次体性感覚運動野近傍の頭皮上に設置した装置によって特徴的な脳波であるSensorimotor rhythm (SMR)を計測する。SMRは、8-13 Hz帯のα帯および15-30Hz帯のβ帯にピークを有するアーチ状の連続した波形である。SMRは身体運動の想起中や、実際の運動実行中において、その振幅が低下することが知られており、SMRは 随意的な変調が可能である。そのため、SMRの振幅変調は外部機器制御のための特徴量として用いられている。
実際の手指BMI療法の様子
脳波を用いたBMI研究に必要とされる要素は大きく4つに分けられる。
脳波計測
品質の良い脳波を計測する
皮質で生じた神経活動を頭蓋骨と頭皮を介して計測する脳波は、非常に微弱であり、しばしばノイズに侵される。特に眼球運動や筋活動のような脳活動以外で発生する電位の影響は非常に大きい。そのため、ノイズに汚染されていない高純度な脳波を計測することが重要である。
信号処理
着目している脳波の特徴を抽出する
高純度な脳波を計測しても、計測信号の中にはノイズが混入する。例えばまばたきや電源ノイズが挙げられる。これらのノイズを分離して、特定の周波数帯域・頭皮領域に生じる脳波成分を取り出すための信号処理を実施することで、特徴量を同定することができる。
パターン認識
特徴量から外部機器駆動のための脳活動状態を弁別する
同定した特徴量を基に、適当な閾値を設けてパターン認識をおこなう。近年では、複雑な特徴量でも、機械学習の方法でパターン認識がおこなわれている。よく用いられているものとして、線形判別分析やサポートベクターマシンなどが存在する。
生理学的解釈
BMIが誘導する脳の可塑的変化を解釈する
脳神経は後天的に神経細胞の機能的活動性を再構築したり、神経細胞間の昨日的結合性を再構築したりすることが知られている。BMIに用いる特徴量の生理学的な意味や、BMIが誘導する神経活動の可塑的変化の理解・解釈をする点でも注目を集めている。
BMI研究において、信号処理と神経生理学的な知識は必要不可欠です。理工学部で学んだ知識と実際にBMI研究で経験した脳波計測と脳波解析の「コツ」をみなさまにお伝えします。BMI研究に従事している大学院修士課程以上の学生や、脳波を使った研究や検査をしている医療従事者を主なターゲットとします。各講師には 10分程度の発表と5分の質疑応答のスタイルで講義していただきます。
2017年11月24日(金)
入門編 8:30~10:00、応用編 18:00~20:00
慶應義塾大学矢上キャンパス KiPAS 牛場研究室(34-401)
澁澤柊花、小林稔季、湯浅綺宙
山本考多、原大二郎、木村祥平、森下桂人、林正彬、森亮太
土元翔平 (代表)
30名程度(先着順)
無料
定員に達したため、締め切りました。