演題:構造生物学的研究から何がわかるか?
―核酸認識TLRの構造生物学的研究から―
概要:構造生物学は生命現象の担い手であるタンパク質の分子実体を視覚化し、その分子機能と関連する生命現象を解明しようとする学問分野である。本講演では我々が長年取り組んできた核酸認識TLRを例にとり、構造生物学的研究を通して何を明らかにしてきたか、関連の研究分野にどのようなインパクトを与えたかについて紹介する。
Title: Charge-regulated protein interaction perspectives in immune receptor signaling
Abstract: Immune receptors function as central molecular sensors of environmental cues, playing a crucial role in host defense mechanisms. Maintaining immune homeostasis depends critically on the precise balance between the stimulatory and inhibitory functions of these receptors. Dysregulation in their signaling pathways through excessive activation or suppression can contribute to a range of pathological conditions, such as immunodeficiencies and autoimmune disorders. Here, we review our recent findings about the significance of charge-regulated protein-protein and protein-lipid interactions in immune receptor signaling
演題:バイオ医薬の細胞内導入のためのコアセルベート創製研究
概要:コアセルベートは液-液相分離を介して形成される数µmの液滴様の粒子であり、近年、細胞内送達キャリアとして注目を集めている。我々は、抗体などのバイオ高分子からなるコアセルベートを創製し、それによって高分子の細胞内送達を達成した。本発表では、コアセルベート設計やその物性解析、さらには細胞内送達された高分子による細胞機能制御まで紹介する。
研究シンポジウム 1
「次世代創薬を加速する技術プラットフォーム:生産・探索・高機能化の最前線 」
オーガナイザー
宮本和英(山口東京理科大)
竹田浩之(愛媛大プロテオサイエンスセンター)
主題:複雑な生体分子を分析する創薬研究や診断技術において、分析化学の視点や技術は不可欠である。一方で、膨大な化合物ライブラリからの創薬シーズの探索、標的タンパク質の調製、計算機科学を用いた機能改変といった創薬研究の実態は、分析化学者にとっての異分野として、未だ深い交流の余地を残している。本セッションでは、タンパク質生産、創薬シーズ探索、タンパク質高機能化という3つの基盤技術を紹介する。本セッションが分析化学と創薬技術の対話を促し、革新的な計測手法や新たな創薬技術が創出されるきっかけとなることを期待したい。
演題1:タンパク質生産技術を基盤とした創薬支援
演者:竹田 浩之先生(愛媛大)
概要:創薬研究の成否の一端は、高品質な標的タンパク質の確保にかかっている。しかし創薬標的タンパク質の多くは発現・精製が困難であり、その調達が研究のボトルネックとなることも多い。 我々は大腸菌発現・培養細胞分泌発現・無細胞合成系を駆使して多様なタンパク質を生産し、多くの研究者に提供している。本講演では、それぞれのタンパク質発現技術の概説に加え、約29,000種類を網羅する「ヒトプロテインアレイ」や独自の抗体作製技術についても紹介する。
演題2:薬の種を探す:化合物スクリーニングと創薬機構の取り組み
演者:今村 理世先生(東京大 創薬機構)
概要:一般的に薬の種を探す工程はHigh-throughput screening(HTS)と呼ばれ、実施するためには評価する数万の化合物とハイスループットな評価系が必要である。創薬機構ではアカデミア創薬のHTS支援を行っており、その実施例を紹介する。また、新たに立ち上げたAffinity Selection-MS(AS-MS)によるスクリーニングシステムとそのメリットについても解説する。
演題3:タンパク質素材開発に資する人工タンパク質連結酵素の創出と応用
演者:中野 祥吾先生(静岡県立大 食品栄養環境科学研究院)
概要:特定のタンパク質と機能性分子 (ペプチドや小分子、固定化担体など) を連結する、いわゆるタンパク質グラフティングは、目的タンパク質に新規機能を付与できることから、次世代のタンパク質素材開発に資する技術として注目されている。本発表では、本法を適用する上で必要となる、人工タンパク質連結酵素 (Sortase E) の創出と応用について紹介する。
研究シンポジウム 2
「医薬・診断を加速するマイクロ流体デバイスの新展開 」
オーガナイザー
長瀬健一(広島大)
主題:マイクロ流体デバイスは、微細構造の設計と材料統合によって「生体を分ける」「機能性粒子をつくる」を同一スケールで実現し、創薬・診断の速度と精度を同時に押し上げつつある。本シンポジウムでは、微細構造と流路が協調する高選択的な細胞分離技術、ならびにマイクロ流体で精密粒径制御された脂質ナノ粒子や細胞外小胞/ウイルス模倣粒子の創製と応用を俯瞰する。分離・製造・分析を貫く設計原理と、医薬・診断への実装に向けた課題を議論したい。
演題1:微細構造とマイクロ流路が協調する細胞分離技術
演者:山田 真澄先生 (千葉大学)
概要:リソグラフィー技術によって作製するマイクロ流路構造に対し、マイクロコーン構造やハニカムフィルムなどの微細加工材料を統合した機能性デバイスの開発を行っている。応用として、サイズ、変形能、表面マーカーなどによって特定の細胞を効率的に分離選抜するための最近の技術例を紹介する。
演題2:マイクロ流体デバイスを用いたエンジニアードナノ粒子の開発と応用
演者:真栄城 正寿先生(北海道大学)
概要:我々は、独自のマイクロ流体デバイスを用いて、精密に粒径制御された脂質ナノ粒子を製造する技術を報告してきた。本講演では、細胞外小胞やウイルスを模倣したエンジニアードナノ粒子の作製法およびバイオ分析や医薬品への応用について紹介する。
研究シンポジウム 3
「質量分析、次の一手」 ― 若手研究者が描く新たな分析戦略 ―
オーガナイザー
武藤純平(山口東京理科大)
演題1:
演題2:
演題3:
教育シンポジウム
「薬学出身者の企業キャリア考える 」
オーガナイザー
巴山 忠 (福岡大)
演題1:企業研究とイノベーションの最前線
演者:中野 浩明先生 (日本たばこ産業)
概要:学生や若手の教員向けに、演者のキャリア(何故この職業に身を投じたか、体験など)や、JT内での研究業務の解説やトピックスなどを赤裸々にご紹介します。
演題2:化粧品メーカーにおける分析分野のキャリア形成
演者:安田 純子先生 (コーセー 安全性・分析研究室 )
概要:様々な分析ツールを使ったデータ取得を求められる世の中です。化粧品も例に漏れません。社内の分析担当部署として様々な場面に出会いました。分析対象と分析目的を把握して、求められる精度を考えることは必要不可欠なことであり、さらに、このデータが一歩外に出たときにどのように使われるかを考えて結果を返すことが肝要ではないかと思っています。企業の研究開発で求められる分析について、キャリア形成も交えてご紹介します。