障がいの理解(視覚障がい)
■視覚とは?
視覚とは,眼に入力された光信号を感知し、さらに光信号に含まれる外界の情報を基に外界の構造や事物の性質を推定する機能である。
■視覚の情報量の割合
人や動物には五感というものが存在する。五感とは知識、情報を得るためのすべての感覚。
味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚のこと。
・味覚
「美味しい」「苦い」「甘い」
・嗅覚
「いい匂い」「臭い」
・視覚
「綺麗」「可愛い」「かっこいい」
・聴覚
「静か」「うるさい」
・触覚
「固い」「柔らかい」
視覚(87%)
聴覚(7%)、触覚(3%)、嗅覚(2%)、味覚(1%)
この中でも視覚は8割~9割の情報を得られる、五感の中でも特権的な位置を占めている。
人や動物は日常生活の中で視覚に依存していると言える。
■視覚の機能
視覚には5つの機能がある。
・視力
物体の形状や位置などの認識をする。
・視野
見える範囲のこと。
・光覚
光の区別をして色の明るさなど判断をする。
・明暗
明るいか暗い区別をつける。
・両眼視
両目で見ること。
■視覚障害とは?
視覚障害とは視力や視野に障害があり、日常生活を送る上で困難さを感じる状態。
矯正器具(眼鏡、コンタクトレンズ)を使用しても明確に見えない、視野が狭く感じたりする。
【視覚障害の等級】
1級~6級に区分に分けられている。
※6級は0.6とあるが眼鏡、コンタクトレンズで矯正できない状態である。
■視覚障害の特徴
視覚障害の特徴は大きく2つに分けられる。
・先天性視覚障害者
先天性視覚障害者とは、生まれつき目が見えない人のことを言い、視力経験がない状態。物体等を見たことがないため言葉のみで物や、動きなどなどを伝える必要がある。
・中途視覚障害者
以前は見えていたが、病気や事故等で視力が著しく低下してしまった人。
先天性の人と比べ、視力の経験があるのでコミュニケーションも取りやすい。
しかし急に見える生活から見えない生活に転換するため、困難な状況に陥ることが多い。
※中途視覚障害に多い病気
糖尿性網膜症、緑内障、網膜色素変性症、網膜剥離、ベーチェット病
視覚障害の種類
視覚障害の種類は大きく2つに分けられる。全盲と弱視。
全盲
全盲とは視力が全くない、両目とも失明の状態。
多少の明るさの判断ができる人もいる。
全盲は視覚に障害があるうちの2割程度。
弱視(ロービジョン)
メガネやコンタクトレンズを使用してもよく見えない状態。
弱視の方が100人いれば100通りの見え方がある。
■弱視(ロービジョン)の種類 視力障害/視力障害/色覚障害/光覚障害
視力障害
目の見えにくさや、視力に障害を抱えた状態。牛乳瓶を下から見ているイメージと表現する方もいる。眼鏡、コンタクトを使用している人は、外した時のモザイク状をイメージするとわかりやすい。
視野障害
視野障害とは、視力の低下や視野の欠損によって「ものが見えにくい」状態。
この写真では中心部分が見えない状態だが、人それぞれ見え方が違う。
色覚障害
色が異なって見えてしまう状態。
色覚障害は基本的に日常生活に支障はないと言われているが、信号がわからなかったり、UNOなどのカードゲームができなかったり、料理する際のお肉の焼け具合がわからなかったりの支障があります。
光覚障害
光の強さを区別する機能が、障害により調整できなくなる状態。明るいところはでは見えるが、暗いところでは見えない、その逆で暗いところは見えるが、明るいところは見えないという方もいる。さほどまぶしくない光でも、まぶしく感じたり、目に痛みが出る場合もある。
このように視覚障害にも見え方がそれぞれなので、利用者がどう見えているのかを、利用者情報見たり、利用者に直接聞いてみるのもよい。
■スポーツ現場で配慮するべき点「挨拶」
視覚障害者はいきなり話しかけられても、誰に向かって話しかけているのか分からないため、相手の名前を呼び、自分の名前を名乗ってから話し始める。
また危険な場面に陥った時、「〇〇さんストップ!」と呼ぶことで瞬時に危険を知らせることができる。
■スポーツ現場で配慮するべき点「具体的表現」
「こちらの~」「そこの~」等の指示語ではなく、「向かって右に3歩進んだところ」と具体的に、方向や距離を説明するよい。
本人を中心に時計の文字盤を利用して方向を指示することもある。
例)9時の方向に3歩。(左真横に3歩進む) 12時の方向に一歩。(前に一歩)など
言葉だけで伝わらない場合は、身体に触れることを相手に伝えた後、手を取り説明をする。また逆に見本を行い体に触れてもらい、動きを説明する。
■スポーツ現場で配慮するべき点「環境整備」
スポーツをする上で、安全な環境を提供する必要がある。
視覚障害者は視覚からの情報がないため、自分の歩数など感覚を使って行動をしている。
そのため、慣れているグラウンドの中では、見えているかのように行動することも可能。
しかし、実際には見えていないので、それまで、なかったところに椅子が置いてあったりすると、そこには椅子が無いという前提で行動するので接触をしてケガをするというリスクがある。そのため、物を動かしたときには、必ずそのことを伝えるようにすること。その他に、プレーをしている近くに障害物があると接触(突っ込んでしまう)ことがあるので、周りはなるべく物がないところを提供する。接触や転倒のリスクがあるものは排除する。視覚障害者は自らの手で触り、確かめることが多いので、触ってケガを負うような鋭利な部分は無くすことが必要。
■スポーツ現場で配慮するべき点「音のよく聞こえる場所で」
視覚障害者は耳から多くの情報を得ている。人が多くいる場所、音楽が流れている場所等は音が聞こえづらいので場所を選び対応をする。特にボールを使う競技は、周りの音に関する配慮は必要である。ゴールボールやブラインドサッカー等のように少し音やボールが大きい場合は、比較的聞こえやすいが、ブラインドショートテニスなど小さいボールでは、特に音の配慮は必要。ブラインドショートテニスを行っている隣で、バスケットボールをつく音だけでも聞こえなくなるので場所を提供する際には注意が必要。
■日常で使える知恵
・白杖とは?
前方の路面に触れて、安全安心に歩行するために必要な杖。
※視覚障害者は白杖を使うことが義務づけられているが、弱視の人は使っていない人もいる。
・杖を持っている人
杖を両手に持って上に上げている人は、「SOS」のサイン。
街中で見かけたら、お声をかけて助けるようにする。
・白杖を強くたたいている人
点字タイル上を白杖で強く叩いて歩いている方もいます。
歩きスマホをしている人などに、自分を気づかせるために強く叩いているので、決して怒っているわけではありません。
※視覚障害者の半分が駅のホームに落下した経験があると言われています。
日常生活で視覚障害者の困っている方を見かけたらお声がけするようにしましょう。