昔のひとにとって外国人は宇宙人みたいなものだったんだろうな
そんなことを考えているのは秋葉原駅ホームのミルクスタンドにいるからなのだ
別にミルクスタンド愛好者ではない
これまでの人生でミルクスタンドを体験したのも一度か二度だとおもう
子どもの頃は牛乳を飲むとお腹がゆるくなるのでできれば飲みたくなくて
大人になったいまは牛乳に全然抵抗はないものの積極的に飲みたいとおもうこともなく
そんな自分がミルクスタンドに近寄るわけがないではないか
かつては他の駅でもミルクスタンドを見かけた気がしていたがいつの間にか
秋葉原駅ホームでしかその存在を確認できなくなってしまった
昭和に郷愁をおぼえるタイプではないし
郷愁によりかかって生きる趣味は持ち合わせていない
だけど近頃めっきり見かけなくなったミルクスタンドの前で
近頃めっきり多くなった外国人観光客がわらわらとたむろっている光景を目の当たりにし
吸い寄せられるようにメニューを選んでいた
人生の半分以上を東京で過ごしているというのに
ガイジンの消費行動に影響されるとは
われながら田舎者まるだしである
欧米の青年もアジアのファミリーもどうやら流儀をご存知のようで決して長居はせず
くいっと飲んでは日本語で明朗快活に挨拶して立ち去っている
メニュー選びがとにかく苦手なわたしは大量にあるミルク類からのセレクトを
迷いに迷った末に断念し結局は飲むヨーグルトに落ち着いた
ガイジンたちを見習って精一杯テキパキと飲み干し
次の電車までになんとか「ごちそうさま」をミルクスタンドの主に伝えることができた
ところで宇宙人たちはいつどこでミルクスタンドを学んだのだろう
電車に揺られながらぼんやり考えている