仕事終わりに車を飛ばし新幹線に飛び乗って品川駅で落ち合う。

翌日の夕方には新幹線でひとり帰る。

2時間車を走らせて深夜家に着く。

人知れずそんな恋をしていた。


新幹線を降りてから車で走られなければならないので帰るその日はお酒が飲めない。


一度だけどうしても飲みたくなった。それだけ楽しくて残りの時間が寂しくてほんの少しだけビールを飲んだ。

一杯だけなら大丈夫だよね。


ホームで新幹線を待っている間、少し赤い顔がちょっと心配になった。

でも1時間あれば車に乗る頃には大丈夫。


そろそろ新幹線が発車する。

その時彼がポンと自販機で買ったミネラルウォーターを投げてよこす。

気をつけて帰ってね。


嬉しかった。

私はそんなふうに彼を思い遣る事ができていただろうか。

少しの苦味が残っている。