カフェのキッチンは朝からいい香り。 

お客様をお迎えするため、モーニングメニューの準備中。 


いちごジャムを煮ている。

いちごにきび砂糖、シナモンスティックを入れ、レモン汁も少しだけ。

いちごがだんだん深い赤い色になり、香りが成熟していくのを楽しみながら見守る。

今日のパンは天然酵母のパン。 粉も塩もこだわった近所のパン屋さんのもの。 

小ぶりだけど粉の味が生きている、少しだけ酸味があるからジャムとの相性も良く、食感はしっとり、もっちり、トーストしたらカリカリになる。 

バターはいつものお気に入りを。

あとはとっておきのストロベリーティー。 

コーヒーも自家焙煎のお店の豆を取り寄せている。

 

日曜日、にちようび、というだけで少し幸せな気持ちになる。

それが本当に日曜日じゃなくても。

本当の日曜日がとんでもなく忙しさに追い回されていたとしても、憂鬱だとしても。

 

いや、日曜日にはマイナスの形容詞がつくことも多い、曜日の中で一番いろんな形容詞がつくのは日曜日くらいかも。

そう思いつつ、やっぱり「にちようび」という言葉は幸せで不思議な力がある。

私の仕事は日曜日はお休みではない。

でも、平日のお休みのほうが人が少なかったりするし、ちょっと不便だけど悪くない。


月曜日も火曜日も他の曜日も、今日も誰かの「日曜日」かもしれない。

だから自分のお休みの日はとっておきの日曜日を演出するのだ。 作ったり、食べたり、書いたり、読んだり、撮ったりしながら。 

これが自分の仕事にもプラスになる、 誰かの日曜日のひとかけらをキラキラにするお手伝いができたらいいな、と思いつつ。


モーニングのメニューを黒板に書く。

そろそろ開店時間。

看板を出してお客様をお待ちしよう。