ご挨拶
生命金属科学シンポジウムは、生体内での金属・半金属元素(生命金属)の役割・機能について議論する分野横断的な研究交流の場として、2022年より始まりました。生命金属は、酵素活性や電子伝達の中心、シグナル伝達、生体分子の構造形成など、生命現象を実現・維持するために必須の機能を担っており、その微妙なバランスの乱れが疾病を引き起こすことも知られています。よって、生命金属が制御する現象・機能を理解するためには、原子・分子のレベルから細胞や個体のレベルに至るまで、さまざまな視点からのアプローチが求められます。そのために、本シンポジウムは、化学・蛋白質科学・細胞生物学といった基礎科学に従事する研究者、さまざまな機器分析を専門にする研究者、そして、医学・薬学・農学などの応用的側面を持った学問分野を担う研究者など、異分野の研究者が一堂に集う場を提供しています。
一方、生体分子科学討論会は、今回52回目を数える開催の伝統の中で、生体内で繰り広げられる生命現象や生理的な機能発現について、生体分子の立体構造、電子構造、相互作用、反応挙動などの観点から深く考察し、化学と物理の言葉で議論する貴重な場を提供してきました。特に、タンパク質・酵素、核酸、脂質、糖、補因子といった生体を構成する化合物やそのモデル、またそれらを組み合わせた細胞・組織まで、対象を広く掲げて、分子レベルでそれらの構造と動的挙動を議論する研究分野、及び得られた知見を創薬、ナノバイオマテリアルやタンパク質工学へ応用する研究分野が本討論会の対象となっています。
以上のように、生命金属科学シンポジウムと生体分子科学討論会は、お互いに親和性の高い集まりであると感じますし、両方に参加してきた研究者も多いのではないでしょうか。2024年には、シンポジウムと討論会を連続開催し、ポスター発表と懇親会を共同開催しましたが、盛会な討論会・シンポジウムを行うことができました。そこで、より一層の研究交流を促進し、当該研究領域の活性化をはかるため、今回も生体分子科学討論会と生命金属科学シンポジウムの連続開催を企画しました。今回の連続開催が双方の研究コミュニティにとって有益な交流の場となり、それぞれの分野に基づく新たな研究分野を構築するきっかけになれば幸いです。
皆様のご参加お待ちしております。
世話人代表
兵庫県立大学大学院理学研究科 當舎武彦