全国高等学校美術工芸教育研究会のあゆみ
本研究会は、全国造形教育研究大会(略称「全造連大会」昭和23年10月発足)における高校分科会に発端をみることができる。すなわち、全造連大会の一分科として高校の美術、工芸教育の振興のための研究が始まったわけである。
しかし、高校の美術、工芸に関する研究や教育課程、ならびに教育諸条件の改善を図るため全国規模の組織化の機運が次第に高まり、昭和27年に「全国高校美術工芸研究会」が発足し、高校独自の歩みを始めることになった。しかし、その活動は相変わらず全造連大会の高校部会との併催の形をとって行われるに過ぎないものであった。
昭和34年に第12回全造連神戸大会が開催された頃から、高校独自の研究組織の完全な確立を望む声が再び強まった。折しも教育課程の改訂を控えて、美術、工芸教育に関する研究や改善運動が活発になり、高校独自の研究組織の確立の機運が次第に熟していった。
そのような背景から昭和36年には東京都立駒場高等学校で、さらに翌37年には東京都立向丘高等学校に全国各都道府県の代表を招集して「全国高校美術・工芸研究協議会」を発足させ、高校独自の美術工芸教育関係者の組織の確立を目指すことになる。そこでは全国の速やかな組織化と、全国研究大会の基盤を整備するために「都道府県代表者会議」の発足準備が行われた。
このような経緯をたどり、昭和38年に第1回都道府県代表者会議を東京・国立教育会館で開催した。これが記念すべき第1回大会となる。
昭和39年第2回宇都宮大会は全造連の第17回大会と併催であったが、40年第3回東京大会以降は毎年、高校独自の代表者会議が確実に開催できるようになり、43年第5回京都大会以降は大会参加者も一段と増加し、研究協議の内容も、とみに充実してきたので、46年第8回島根大会における代表者会議の決議に基づき、47年第9回大阪大会より「研究大会、都道府県代表者会議」を呼称するようになる。
当時は新教育課程が昭和48年度から実施される直前のことであり、「標準単位のもつ意味を重視して、芸術科目の最低必履修は4単位以上とし、美術、工芸教育の一層の充実を図ること」に共通の理解を得て、各都道府県における教育課程編成の大きなよりどころとなった。
機関誌「全高美工研」第1号が昭和43年7月に発刊され、全国大会での研究討議の報告や教育課程に関する情報提供及び問題提起が中心に行われたが、経費の問題等で残念ながら数年前より休刊となった。
昭和51年第13回愛知大会において、青年期の美術の振興策の一つとして、「全国高校選美術展」を企画提案したが、担当する事務局の事務量の膨大なこと、経費の問題等に懸念を抱いたことから、時期尚早として見送られた。昭和53年第15回愛媛大会の年、第2回全国高校総合文化祭兵庫大会・高校美術部門に参加出品することによって、その趣旨が生かされたとして事実上、提案の機会は消滅した。ただし、全国高校総合文化祭は、当初文化庁所管から全国高等学校文化連盟の手に移管されたが、あくまでも部活動の振興を目的とするもので、愛知大会での本部提案とはいささかねらいを異にするものである。
昭和48年、第10回新潟大会、第26回全造連京都大会を通じて芸術教育振興法制定へ向けての運動報告があった。それ以後引き続き運動を展開したが諸般の状況が大きく変化し、実現を見るには至らなかった。この運動は昭和50年第12回長崎大会をもって終わりを告げたのである。
昭和53年第15回愛媛大会から、昭和57年新教育課程改訂に向けての芸術教育の充実を図る運動を推進するに当たり、大会名は「全国高等学校美術工芸教育研究大会」のみ冠するようになったが、前記の都道府県代表者会議の質的な討議と、議決機関としての性格は、現在も色濃く引き継がれている。
昭和61年第23回大分大会から、臨時教育審議会や教育課程審議会の動向・情報収集と「4単位以上履修」の実現に向け、音楽、書道を加えた芸術4科が結集して「全日本高等学校芸術教育協議会」が結成された。以後、芸術教育の充実発展を図るべく、中央教育審議会、教育課程審議会、文部省、並びに各都道府県の教育委員会等への陳情を繰り返し強力に行っている。
平成3年第28回兵庫大会において、生徒急減期や学校週5日制の問題に素早く対応するために各地区ごとの情報交換や運動の必要性が提唱され、以後、近畿地区や東北地区での活動が始められた。近畿地区では、現在も活発に活動が行われている。
平成4年第29回千葉大会では、「感性教育」の推進という新たな運動の展開が提唱され、その年より3年間開催された「感性教育シンポジウム」に協力をし、広く反響を呼んだ。
平成5年第30回山口大会では、兵庫大会より懸案であった全国大会への文部省と全国高等学校長協会の後援を申請し承認された。
平成6年第31回静岡大会では、コンピュータによる授業研究が取り上げられ、以後マルチメディア等の情報教育が現実のものとなっていく。
平成7年第32回熊本大会では、その年、芸術教育諸団体が大同団結して結成された「全日本造形・美術教育者会議」「全日本芸術教育振興協議会」への加盟が承認され、芸術科目の減単の動きに対し「全日本高等学校芸術教育協議会」と共に中央教育審議会へ提言、要望書を提出するなど強力に要請行動を展開した。
平成8年第33回福島大会では、7月に出された中教審の答申で「厳選」の方針が打ち出され、芸術滅単への危機感が強まる中ではあったが、福島大会のテーマでもあった「人間教育」として、美術工芸教育の新たな理念を21世紀に向けて再構築していくことが確認された。また、8月に発足した教課審に対しては、「要望書」「今後の教育課程のあり方についての意見書」を提出するなど様々な形で強力に要請行動を展開した。
平成9年第34回三重大会では、教育課程審議会の中間報告の発表と時期を同じくするという状況となった。必履修の単位数が削減される中で、芸術科目の必履修単位については、当初認められそうにないとの情報もあり、本部としては危機感を募らせていた。しかし、様々な要請行動を展開してきたこともあり、芸術科目の必履修については、どうにか2単位は認められるであろうこととなった。また選択の幅が拡大するであろうことから、今後は各学校において、芸術講座の開講に対するよりいっそうの工夫が必要となってくることが確認された。
平成10年 第35回長野大会では、教育課程審議会の答申と今後の取り組みについて、前大会に引き続き話し合われた。Ⅰの科目の必履修2単位に加え、従来からあるⅡ、Ⅲの科目の設置に最大限努力をすること、選択幅の拡大という考え方を生かし、新たに「絵画」「素描」「美術史」などの専門科目や、「陶芸」「映像表現」「伝統工芸」などのその他科目を「学校設定科目」として設置できるよう強力に働きかけていくことなどが本部より提案された。
平成11年 第36回宮城大会では新指導要領への対応について本部より大阪府の案を下敷きにマニュアルが示された。教育課程の編成に当たっては可能な限り学校の裁量に委ね、具体的な編成例はないということから、今後は各学校での個別の対応がポイントになり、そのための参考となる全国の高校で開設されている学校設定科目(その他の科目)のアンケートのまとめが本部より配布された。
平成12年第37回島根大会では、従来の分科会の形式と異なり、第三分科会の「美術、工芸を取り巻く諸問題」は、異例の全員参加の形で開かれた。各県からの報告では、新教育課程の具体的な話し合いが各学校において行われ、特に進学校においての芸術科目の単位減が必至であるとの報告や、「総合的な学習」、「情報」を芸術科の教員が担当することについての意見が出された。また、研究会自体の存続の危機にさらされている団体もあり、本部として実態把握のため各団体の財政の状況の調査を行い、以後毎年調査を実施していくこととした。
平成13年第38回東京大会では「HEART&ART」を大きなテーマとし、心のバリアフリー、言葉のバリアフリー、場のバリアフリーをキーワードとして、3つの分科会で養護学校や盲学校での美術、工芸教育の研究発表が行われた。また、文化芸術振興基本法制定への動きについて情報交換が行われた。(文化芸術振興基本法は大会後の12月に国会で成立した。)引き続き本部として情報の収集を行うことが確認された。
平成14年第39回広島大会では、「今を見つめ、未来につなぐ美術、工芸教育」をテーマに4つの分科会が展開された。第3分科会「文化と人間の理解」では地域の伝統文化の専門家の招聘や美術館との連携による郷土文化や異文化理解の実践の発表があった。この年の12月に平成13年の文化芸術振興基本法成立を受けて、文化審議会答申が閣議決定された。その中で留意すべき事項として教育の充実が揚げられている。そのような情勢を受けて本部からは美術館や博物館との連携を積極的に進めていこうという提案があった。
平成15年第40回大阪大会では、「美術・工芸教育、その教科性と系統性を考える」をテーマに5つの分科会が展開された。小学校、中学校からも発表者を招き、多くのパネルディスカッションが用意され、美術・工芸教育を根底から考えていく議論が行なわれる一方、綿密な調査から美術、工芸教育の現状を分析するなど、様々なアプローチでテーマに迫ることができた。関連して展示された世界各国や日本の古い教科書からも新鮮な視点で現在を見直すことが出来た。本部からは大会テーマでもある「教科性と系統性」によって足場を固めること、生涯教育・社会教育の視点から美術・工芸教育を広げていくことが提案された。
平成16年第41回岐阜大会では、「バサラな世紀-今、美術、工芸教育の真価とは-」をテーマに様々な問題提起、研究発表が行われた。会則の改正を行い全国組織としての研究会のあり方が見直された。全国的には、採用の減少、専任の減少、兼務の増加など様々な問題も出されたが、「兼務を専任による美術、工芸教育を行なうものとして捉える」「新しいタイプの学校の増加の中での美術、工芸教育の位置づけを考える」など、新しい姿勢が現れた。これまでの大会を受け「美術、工芸教育の教科性と系統性」「美術、工芸教育の基礎基本」に焦点を当てた議論も行われた。
平成17年第42回埼玉大会では、「21世紀ルネサンス―今、美術教育発信のとき―」をテーマにここ数年の様々な問題提起・研究について到達点を確認し、成果をまとめ上げるような発表や協議が多く行われた。懸案であった全国実態調査に取り組み、未完成ながらも各研究会の協力のもと大規模な調査を行うことができた。調査の継続により採用の減少、専任の減少、兼務の増加など様々な問題に対し、具体的な推移の全国レベルでの実態の解明に結びつくことが期待される。
平成18年第43回鹿児島大会では「ひっとべ!おやせ、美の心―地域を生かす美術教育の可能性―」をテーマに、多くの島嶼を含み地域性豊かな鹿児島の特色を生かした大会となった。田中一村記念美術館を切り口に、各地域・島ごとに違う文化を大切にし、生かしていく取り組みを中心に据え、美術、工芸教育が育んできたもの、これからの美術、工芸教育に求められるものが模索された。指導要領の次期改訂をにらんだ意見交換も多くなされた。
平成19年第44回滋賀大会では「淡海からひろがる美の輪」をテーマに、自然と伝統を生かし新しいネットワークや生涯教育を視野に入れた「連携」の取り組みを中心に発表がなされた。なかでも学校・美術館・博物館をNPOが結び付け、連携授業を築いた積極的な取り組みが話題を呼んだ。また大会会場を一般に公開し、記念講演にも幅広い参加者が訪れた。前年に引き続き指導要領の次期改訂をにらんだ意見交換も多くなされた。
平成20年第45回岩手大会では「いま たいせつなものを みつけにいこう」をテーマに、~つくるたのしみ 描くよろこび~ということで、岩手の風土のなかでの様々な取り組みを中心に発表がなされ、原点に戻り芸術教育の大切さを訴えた。また、大会運営のために地元の美術系学生ボランティアが参加し、今後の大会運営上でのひとつのヒントを提示しており、美術教員育成という観点でも話題を呼んだ。また大会会場内の作品を利用し、生徒よる発表は印象的であった。
平成21年度第46回兵庫大会では「美術の力」-美術、工芸教育からひろがる学び-をテーマに、「美術の力」によって地域や社会と繋がって行くあり方が発表された。今回の大会前に百年に一度の金融危機や、新型インフルエンザの流行、また教育現場における美術専任教員の減少、芸術の教員免許だけでは採用試験の受験不可等困難な状況であったが、シンプルな運営の形で手作りの大会として様々な研究発表や意見交換が行われた。今後の大会運営での財政面を含めた方向性が示された
平成22年度第47回神奈川大会では「リンク」−つながる・つなげる 美術、工芸教育−ということから、高校という教育現場を足がかりに「広く社会とつながる」「人とつながる」をテーマに据え、小・中学校や大学、美術館、企業や病院など様々な期間との連携についての研究発表がなされた。今回の大会は宿泊場所と研究発表が同一の場所で行われ、教員だけでなく参加者のほとんどが研修に関わり活発な意見交換を行うことが出来た。
平成23年度第48回高知大会では『美術維新 ~それがArtの役割ぜよ~』ということであったが、今回の大会前には東日本大震災が起こり美術教育について「何ができるのか」が問われる中で、美術教育について一度立ち止まり改めて見直すような研究発表がなされた。また、近年初めての8月開催ということで生徒が参加したワークショップ等が行われ、夏季休業中ならではの発表が行われ活発な意見交換を行うことが出来た。
平成24年度第49回岡山大会では『美術工芸がもたらす教育の可能性』〜自己と他者を認め合う実践教育〜をテーマに、授業研究を中心とした研究発表がなされた。また、代表者会議では東日本大震災で被災された、福島、宮城、岩手の3県から震災後の状況報告があり、これからの美術工芸教育に課せられた課題の大きさを共有した。また、生徒を対象に記念講演、美術館及び生徒作品展鑑賞、展示ブース見学を連動させた取り組みも行われた。
平成25年度第50回香川大会では「なんがでっきょん 美術、工芸教育~よりよく生きるために~」をテーマに、様々な問題提起、研究発表が行われた。分科会アドバイザーによる協議会、初めての取り組みとしてポスターセッションが行われ、発表者と参加者が積極的に関わり合いを持ち人の輪を広げていく活動がなされた。地域との連携、校種間連携、教師間連携の必要性を改めて共有できた。美術館研修、生徒作品展、生徒対象のワークショップなども行われた。また、学習指導要領が今年度から学年進行で全面実施された。
平成26年度第51回秋田大会では「オープン!美術、工芸教育~授業の深まりと広がり~」をテーマに、特に分科会発表者を全国から公募形式で募り、3分科会で参加者と発表者を含め活発な議論が展開された。また、大会準備に10年、本大会の2年前にはプレ大会を開催、開会式には大会説明を行い参加者が共通のイメージを持って大会に参加できた。最終日には、全体会協議を実施した。校種間連携、震災風化の防止、ベテラン教員の大量退職に対応した、円滑な世代交代が急務であると再認識した大会でもあった。本部から学習指導要領の次期改定に向けて提案がなされた。(同年11月に中央教育審議会で諮問がなされた。)
平成27年度第52回福井大会では「あおっさ!! -未来につながる美術、工芸教育-」をテーマに、分科会ではグループ・全体ディスカッションを通して課題を共有し、解決策を探る協議が活発になされた。また、「福井型18年教育」の推進を目的とし、「美術、工芸指導ユニット」を開発し研究の組織化を図った研究成果の公開が大会を機になされた。都道府県代表者会議において、分担金改定について検討を始めることを提案し、改定案の検討が始まった。本部提案では、教育課程編成に際しての段階的対応が提案された。(同年8月、文部科学省教育課程企画特別部会から学習指導要領の次期改定に向けて論点整理が報告された。)
平成28年度第53回千葉大会は「伝える 受け取る~21世紀の美術、工芸教育~」をテーマに、美術、工芸教育からの発信、表現、鑑賞、伝統文化の4分科会で討議が深められた。前年には「工芸教育」をテーマとしたシンポジウムが開催され、大会では、千葉県会員100名の「授業の引き出し」実践パネルの展示、授業実践の継承がなされた。前年度から検討に入った分担金は平成6年以来の改定が決定した。「第13回東博・藝大研修」が7月に開催された。(同年12月、中央教育審議会から「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」(答申)が示された。)
平成29年度第54回静岡大会は「参・産・賛(さん・さん・さん)~富士山のふもとで美術、工芸教育を考える~」をテーマに、次期学習指導要領の改訂に向けた審議の内容を踏まえ、「未来を考える」「社会を考える」「文化を考える」「学びを考える」4分科会に分かれて、活発な発表と協議がなされた。大会3日目には全員が参加できるポスターセッションの時間が用意され、展示発表者(静岡県の先生方)と参加者(全国の先生方)との活発なセッションが行われた。会則に「研修部」に関する項目を追加することが決定された。13回開催してきた東博・藝大研修は「第14回本部企画研修」として東京藝術大学のみを会場とした「藝大研修」が行われた。また、近畿地区では「第1回近畿美術館博物館・美大研修会」が、京都国立博物館と嵯峨美術大学を会場に開催された。
平成30年度第55回埼玉大会は「GO!GO!アート 未来を彩る美術、工芸教育」をテーマに、全国から集まった研究発表を四つの切り口「もの・こと・ひと・みち」から捉えて全国の教員へ投げかけることで、アクティブ・ラーニングの学習観をはじめ、未来の美術、工芸教育の可能性や学びの改革について語り合う場とした。今大会でも活発なポスターセッションが行われた。本部の中に研究部、研修部、広報部が設置され、専門部規約が施行された。各部に部長と数名ずつの部員を置き、活発な活動が始まった。豪雨、地震等の大きな災害が相次いで美術工芸の備品にも被害が出たため、支援の方法を検討した。3月に告示された新学習指導要領について、ブロックや都道府県等、様々な単位で研修会が行われた。
平成31年度第56回東京大会は「MiTE(ミテ) Movement image Technique Expression」をテーマに、インターネットやデジタルのメディアを活用した大会運営を行い、参加者も分科会の場などで即座に皆の意見が共有できる環境を体験した。また、大会会期を超えて会場周辺で「Welcome to TOKYO Project」を行い、高校生によるワークショップを展開し、高校生が作品を共同制作する様子と作品を一般の人々にも公開、発信した。ここのところ続いたポスターセッションは行わず都内の先生方の授業を紹介する冊子「私のとっておきの授業」を発行、その分、分科会の時間を増やし、分科会ごとに異なったスケジュールや発表方法を工夫して充実した協議会を行った。今大会より後援について、平成30年10月に芸術教育の管轄が文部科学省から文化庁に移管したことを受けて、文部科学省ではなく文化庁から受けることとなった。昨年度大きな災害が続いたことへの支援の方法は、被害を報告した道府の分担金を免除することとなった。全日本高等学校芸術教育研究会総会にて採択された「要望書」を、文部科学省文部大臣、文化庁長官、各都道府県教育委員会教育長あてに提出。都道府県代表者会議にて各高等学校長あてにも提出することを確認した。
令和2年度第57回富山大会は「再発見!~美術、工芸教育の可能性~」をテーマに大会準備を進めた。しかし、開催年になり新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2月末から春休みまで小中高校臨時休校の要請、4月には緊急事態宣言が発表された。大会実行委員会、本部で協議を重ね、集まらない大会の開催とし、大会冊子の送付をもって大会参加とした。口頭発表のない大会とはなったが、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善及び今後の美術、工芸教育の発展に役立つ、全国の美術工芸教育研究を充分に共有することが出来た。また、3月以降の各種会議もリモート開催や中止となり、藝大研修、近畿美術館博物館・美大研修会も次年度への延期を余儀なくされた。
令和3年度第58回茨城大会は「VIVA! ART! ~価値でつながる美術、工芸教育~」をテーマに初めてのWEBでの大会開催となった。令和3年度に入ってからも新型コロナウイルス感染症の終息の見込みが立たないことから大会ホームページと大会冊子を活用し、研修を深められる工夫がなされた。分科会テーマは、新学習指導要領の「カリキュラム・マネジメント」を意識して、設定された。前年度から延期された、第17回本部企画研修(藝大研修)はオンラインでの開催、第4回近畿美術館博物館・美大研修は対面で開催された。各会議が中止となる中、オンライン開催や書面での開催などに切り替え、研究や研修の活動を継続するための取り組みが全国の研究会で見られた。
令和4年度第59回群馬大会は「「美のいと」~つむぐ・むすぶ・つなぐで考える美術、工芸教育~」をテーマにWEB配信と対面(都道府県代表者)を併用したハイブリッドの大会開催となった。令和に入って初めて、都道府県代表者会議、総会、記念講演及び関連行事が対面でも開催された。北海道の研究会が令和4年7月に解散したが、本部は全国への情報発信を継続し、本会は全国規模の研究会として活動していくことを確認した。本部企画研修(藝大研修)はオンラインでの開催、近畿美術館博物館・美大研修は対面で開催された。新型コロナウイルス感染症のまん延によって、各研究会の運営、役割の引継ぎが困難になる状況がうかがえた。持続可能な研究会の構築の推進が、本部提案で示された。全日本高等学校芸術教育研究会総会にて採択された「要望書」を、文部科学省文部大臣、文化庁長官、各都道府県教育委員会教育長あてに提出した。
令和5年度第60回宮崎大会は「テゲ テラス~未来(あした)にマッポス!美術、工芸教育~」をテーマにWEB配信と対面を併用した大会開催となった。2つの分科会では「新しい時代の“感性を豊かにし、価値観を育む美術、工芸教育”とは」「生活や社会とつながる美術、工芸教育とは」をテーマに口頭発表と指導助言が行われた。実施2年目の学習指導要領の趣旨やねらいである、生徒一人ひとりの「主体的・対話的で深い学び」の実現のために、大会で共有した研究成果を各自の授業実践に生かし、今後の美術、工芸教育を一層充実させる大会宣言が採択された。第19回本部企画研修(藝大研修)は対面とオンライン、第6回近畿美術館博物館・美大研修会は対面で開催された。
1.名 称
本会は全国高等学校美術工芸教育研究会(略称を全高美工研)と称する。
2.目 的
本会は高等学校美術、工芸教育研究活動を推進する。又、全国高等学校美術、工芸教育の充実と振興を図る。
3.事 業
本会の事業年度は総会から次期総会までとし、次の事業を行う。
(1)全国高等学校美術、工芸教育研究大会を開催する。
(2)各種関係諸団体と連携する。
(3)会員の研修等、本会活動に必要な事業を行う。
4.会員組織
本会は全国の高等学校美術、工芸教育の担当者及び関係者によって組織する。
5.役 員
(1)本会に次の役員を置く。
会長 1名、副会長 若干名、理事長 1名、副理事長 若干名、事務局長 1名、事務局、次長 若干名、事務局会計 1名、常任理事 数名、ブロック理事 6名、 都道府県理事 47名、監事 2名
(2)事業を推進するための役員の役割は以下の通りとする。
会長 本会を代表する。
副会長 会長を補佐する。
理事長 理事を代表する。
副理事長 理事長を補佐する。
事務局長 事業推進にかかわる庶務を統括する。
事務局次長 事務局長を補佐する。
事務局会計 会計業務を行う。
常任理事 事業を推進する。
ブロック理事 地区ブロックを代表する。
都道府県理事 各都道府県の研究会において、事業を推進する。
監事 会計業務を監査する。
(3)役員の任期は、本会事業年度とする。ただし再選を妨げない。なお、都道府県理事の任期は各研究会の会則による。
(4)役員の選出は、本部役員会に於いて次期役員案を作成し、本部理事会、都道府県代表者会議を経て総会で決定する。
6.運 営
(1)本部役員会は、東京及び近県の会長、副会長、理事長、副理事長、事務局長、事務局次長、事務局会計によって構成する。
(2)本会の所在地は会長の在籍校に置く。
(3)本部事務局は東京都高等学校美術、工芸教育研究会内に置き、事務局員は東京及び近県の会員をもって組織する。
(4)本部理事会は、会長、副会長、理事長、副理事長、事務局長、事務局次長、事務局会計、常任理事、ブロック理事、監事によって構成する。
(5)都道府県代表者会議は、本部理事会と各都道府県の高等学校美術、工芸研究会の代表者、及び都道府県理事によって構成する。
(6)全国を北海道・東北地区、関東甲信越地区、東海・北陸地区、近畿地区、中国・四国地区、九州地区の6ブロックに分け、各ブロックにブロック理事を置く。
(7)会員の連絡は、各都道府県の高等学校美術、工芸教育研究会の事務局が担当する。
(8)全国高等学校美術、工芸教育研究大会に於いては、主催地の高等学校美術、工芸研究会によって大会役員及び実行委員会を組織する。
7.会 議
(1)本会の会議は、総会、都道府県代表者会議、本部理事会、及び本部役員会とする。
(2)本会の事業に関する議題は、総会によってこれを決定する。総会は年1回とし、全国高等学校美術、工芸研究大会に於いて開催する。
(3)総会の議題は、本部役員会が原案を作成し、本部理事会、都道府県代表者会議を経て総会に提出する。
(4)会議の議決は出席者の過半数による。
8.会 計
本会の経費は、各都道府県単位の分担金とその他協賛金等をもってこれにあてる。
9.専門部
本会に次の専門部を置く。運営については専門部規約による。
研究部、広報部、研修部
10.功労者表彰
(1)表彰の対象者は、全国高等学校美術工芸教育研究会に貢献した者、及び各都道府県の高等学校の美術、工芸教育に貢献した者とする。
(2)表彰は、原則として退職の直前の全国高等学校美術、工芸教育研究大会にて行う。
(3)表彰対象者の推薦は、全国高等学校美術工芸教育研究会本部、または各都道府県の美術、工芸教育研究会が行う。
11.会則の改正
本会則は、総会出席者の過半数の同意をもって改正することができる。
<付 則>
本会則は1952年7月1日より施行する。
1992年11月21日、一部改正
2000年10月26日、一部改正
2003年10月25日、一部改正
2004年10月8日、一部改正
2011年8月19日、一部改正
2012年8月24日、一部改正
2017年8月23日、一部改正
2018年8月10日、一部改正
全国高等学校美術工芸教育研究会 専門部規約
1.目的
各専門部は事業内容と分担を明確にし円滑に事業の推進を図る。
2.専門部
(1)専門部の構成は概ね以下の通りとする。
研究部 4~6名、広報部 4~6名、研修部 4~6名
(2)事業を推進するための専門部の役割は以下の通りとする。
研究部 本会における必要な調査集計及び研究を行い、全国の動向を把握する。
広報部 ホームページを運営・管理し、会員の情報交換及び交流に寄与するとともに、本会の活動を広く一般に開示する。
研修部 本会における研修事業を運営・管理し、本会の研修活動を活性化する。
(3)専門部員の任期は、2年とする。ただし再選を妨げない。
(4)各専門部員は、副理事長、事務局次長、常任理事で組織するものとし本部役員会に於いて次期部員案を作成し、本部理事会、都道府県代表者会議を経て総会で決定する。尚、各専門部部長は各専門部より選出する。
<付 則>
本規約は2018年8月10日より施行する。