鳥類は、派手な求愛や抱卵・育雛など、私達が興味ひかれる面白い行動や性質を示します。本研究室では、鳥類の特徴的な行動を可能にする生体内の分子機構を解明しようと研究に取り組んでいます。また、日本で家禽化された鳥類とその野生原種の比較を通して、家禽化のプロセスを遺伝子レベルで解明しようと研究を進めています。
准教授
小鳥の歌の科学 ユニット
准教授
人類の福祉に高等脊椎動物である応用動物を利活用する。これが動物応用科学である。そのためには、応用動物の諸機能を認知して適切に飼育しなければならない。この飼育には、その動物の能力を評価し、高い能力の個体から利活用の目的に適した子孫を殖やすことも含まれる。このように動物応用科学は応用動物に関する様々な知識・技術を理解し、そのうえで、これらを組み合わせて人類の実利を追求する設計科学である。そして動物繁殖学は、応用動物の生殖に関する様々な現象を理解する認知科学から、それらを制御して利活用する設計科学までを含む総合科学である。本研究室は、このような動物応用科分野における動物繁殖学研究を展開する。
分子生殖科学 ユニット
教授
講師
動物工学研究室では、主に哺乳類を対象とし、分子・遺伝子・ゲノムから細胞・個体・集団に至る各レベルで展開される様々な生命現象を、分子細胞生物学的手法を駆使して解析しています。これにより生物が持つ多様な機能と制御機構を明らかにし、人類と環境との持続可能な発展に応用するための基礎的理論や応用利用を目指した教育研究を展開しています。わたし達の研究室では、細胞の分子制御に関わる領域と動物の遺伝制御に関わる領域が協働してこの目標の達成のため教員と学生が一体になって取り組んでいます。
遺伝制御学領域では、家畜と野生動物の違いに着目した遺伝子の解析や分析を行っています。家畜は、幾千年間にわたり野生動物を人間に役立つ方向に改良し続けることで作られた動物です。しかし、野生動物の家畜化にどのような遺伝子が関わっているのかはほとんど判っていません。家畜化による動物に生じた変化に関与する遺伝子を探し出し、その機能解明することは、野生生物の多様性の保全やヒトや動物の遺伝性疾患の原因遺伝子の発見にもつながります。
動物の胚発生に関わる領域では、不妊治療にも役立ちうる知見を得ることを目的として、特に男性の未熟な生殖細胞の活用の可能性を模索し解析を行なっています。また、受精後間もない時期の胚が置かれる栄養環境が将来に影響を及ぼしうるのか、アミノ酸に着目した解析も行なっています。
動物遺伝情報研究 ユニット
教授
生殖受精エピゲノム ユニット
講師
牛や豚などの産業動物、犬や猫などの伴侶動物、あるいは動物園の展示動物など、飼育下にある動物は、多くの場合、人間にとって都合の良い飼い方がなされています。また、野生動物も人間の立場からその存在の善し悪しを論じられることが多いです。しかし、人間の管理下にあるからこそ、彼らの立場に立って、よりよい環境を提供してやることが人間の責任ではないでしょうか? 私たちは、言葉を話すことができない動物の心や欲求を、その行動を通して判断し、それを管理技術にフィードバックすることにより、動物と管理者の両者にとってよりよい環境づくりをめざして教育・研究を行なっています。
応用動物行動学 ユニット
講師
動物行動栄養学 ユニット
講師
私たち野生動物学研究室では、哺乳類や鳥類を中心に、動物たちの行動やくらしを調べ、人と野生動物が共に生きていくための方法を探っています。小型データロガーを使った行動観察や、農業被害・ロードキルなど人と動物のあいだに起こる問題の解決、動物園や水族館での研究など、幅広いテーマに取り組んでいます。フィールドは近隣の津久井湖城山公園から、群馬県の神津牧場、東京都の離島までさまざまです。“Bridging the gap between Human Society and Animal Kingdom” ― 人と動物の世界をつなぐ架け橋となることを目指しています。
野生動物保全管理学 ユニット
教授
動物時空間解析 ユニット
准教授
ヒトはなぜ、種の異なる動物たちと共生し、癒されるのでしょうか?
介在動物学研究室では、イヌなどの伴侶動物とヒトがいかに共生を成り立たせているのかという命題を解き、共生を介したヒトと動物の互いの心身への影響を明らかにします。
「ヒトと動物の集団の成り立ち」「ヒトと動物のコミュニケーション」「ヒトと動物の共生による効果」の3つのテーマを中心に研究を行い、その理解をもとに、ヒトと動物の持続可能な共生の在り方について深く洞察します。
①ヒトと動物の集団の成り立ち:社会内分泌学の創生
動物はそれぞれの種特有のルールをもって「社会」をつくっています。一方、ヒトとイヌ、ヒトとネコは、異種にもかかわらず、お互いの「社会」が緊密につながり、混ざり合っています。そこで、集団としてのヒトと動物の共生を可能にしている要因を見出すために、イヌやネコのそれぞれの同種の集団の成り立ちや文化進化を調べ、そのうえで、動物とヒトがどのように関わっているかについて明らかにします。
②ヒト動物の認知的インタラクション
ヒトはイヌやネコに対して、言葉は通じませんが、互いに理解しあえているような感覚を持つことができます。ヒトはなぜそのように感じることができるのでしょうか。動物たちは実際に、どのくらい私たちヒトを理解しているのでしょうか。このテーマでは、ヒトと動物たちがどのようなシグナルを使ってコミュニケーションを成り立たせているのかを明らかにすることを目指しています。
③ヒトと動物の共生による効果
ヒトでは、友だちや家族などの親しいもの同士は行動や感情が同調し、調和しあうことがわかっています。そこで、ヒトとイヌやネコが生活をともにすることが、お互いの行動や生活パターン、心身の健康にどのような影響をもたらすかについて、長期的に調べています。また、ネコとヒトの間に、ヒトの親子間に形成されるような愛着が、どのようにして形成されるのか、その愛着の形成が両者にどのように影響するのかも調査しています。
動物社会内分泌 ユニット
教授
同調的共生 ユニット
教授
本研究室では動物のもつ社会性に関わる脳機能、「Social Brain」の解明をめざし、社会行動の神経メカニズム解明(neural mechanisms of social behavior)、社会認知機構(social cognitive function)、社会性に関わる幼少期社会環境の影響(developmental influences on social brain)に関する研究を行います。これら研究を通して動物の社会性を科学的に理解することで、動物生命科学への貢献を軸とし、人間社会との接点における動物との共生について考察を深めることを目的としています。
Social cognitive function:
動物の “こころ”と未知なる能力の解明をめざす。
動物の社会認知機構の科学的・生物学的研究を通して、その意義の理解を目指します。動物たちはお互いどのようにコミュニケーションをとっているのか?その背景となる神経機構は?動物はなぜ他個体の存在を理解し、それに応じた適切な行動をとるのか?これらのさまざまな疑問に答え、「社会脳」の適応的意義からの、動物の社会認知機構の理解を目指します。
Developmental influences on social brain:
どのような社会環境が、動物の「社会脳」を育てるのか。
動物にもヒトと同じようにさまざまな個性が存在します。例えばひとなつっこいイヌがいるのに対して、番犬として優秀な攻撃性の高いイヌもいます。動物はどのようにこのような行動学上の個性を獲得したのでしょうか?“三つ子の魂、百まで”と言われるように、幼少期の社会環境、特に母子関係のよしあしが動物の行動パターン形成に与える影響は大変大きなものです。たとえば幼少期に母親から早期に離された動物やストレスを受けた動物では、成長後も不安行動や攻撃性が増加することが知られています。伴侶動物学研究室ではマウスをモデル動物として用い、このような社会性の発達に関するメカニズムの解明、また幼少期の母子関係に障害が起こってしまった場合の治療方法開発の研究を行います。特に中枢オキシトシン神経系の発達における幼少期環境の役割について、遺伝子改変マウスやsiRNAなどの分子生物学的手法を駆使して、その神経メカニズムの解明に挑みます。
動物社会神経科学 ユニット
教授
動物社会認知科学 ユニット
講師
私たちの健康を守り、生活を豊かにしてくれる化学物質でも、使われ方や使う量によって、健康に悪い影響を及ぼすことがあります。また、私たちは意図しなくても、環境中の様々な化学物質と毎日接して生活しています。毒性学は、私たちを取り巻くさまざまな化学物質の有害な側面を研究する実践的な科学ですが、進化の過程で生物が培ってきた生存や生殖の戦略を、化学物質に対する生体の反応から探る科学でもあります。
研究室では、実験動物が持つ特性を活かして、胎児や子どもの発達障害や生殖寿命の短縮や発がんなどの悪い影響がどのようなメカニズムで起こるのか、それはどのような条件で起こるのかを、遺伝子から個体に至るレベル、あるいは個体間の関係から研究しています。
環境病因学 ユニット
准教授
ゲノム編集・疾患モデル ユニット
講師
肉・乳・卵などの動物性食品は、私たちの食卓に欠かせない存在です。これらは高い栄養価値があるだけでなく、嗜好性にも優れ、生体調整機能を有する食材です。また、食材として単体で食するにとどまらず、さまざまな調理や加工食品に応用されるなど、幅広い用途があります。今後の社会において、動物性食品を科学的に分析することで、その有用性を明らかにし、食材としての価値を高めること、そして持続可能かつ発展的な利用方法を探ることは重要な課題です。
私たちの研究室では、食肉の風味を決定づける要因について筋細胞の特性から探っています。また野生鳥獣肉の肉質解析とその価値を高める技術開発、そして海産植物を使った食肉生産技術についても検討を行っています。また、動物性食品と微生物の関係に着目し研究を行っています。特に乳酸菌に着目し、我々の健康への寄与、そして動物性食品の品質や安全面への応用について研究しています。
准教授
准教授
動物資源が現代社会のなかでどのように存在し、利用されているのか、そしてその背景は?そういった問いに対し、経済学をはじめとする社会科学的な視点から研究するのがこの研究室です。
具体的には、欧州でいち早く取り組みが進められ、アメリカでも最近関心が高まっているアニマル・ウェルフェアに配慮した畜産食品の生産・流通・消費の動向を、鶏卵を中心に実態を把握し、その展開構造を明らかにしようと研究しています。そのことを通じて、日本での適用に際しいかなる課題を克服すればいいかわかるからです。
1.世界的な規制の把握:アニマルウェルフェア(動物福祉)に配慮した畜産生産は、欧米とくにヨーロッパで進んでおり、EUで統一した取り組みが進められている。またアメリカでも州ごとの法律段階から連邦法で定めようという動きが進みつつある。そうした世界の動向とその背景を正確に把握していくことが第一の課題です。
2.先進的地域での動向調査:実際に、イギリスやアメリカでは、スーパーの店頭で放し飼い卵は普通に売られていますが、それらはケージで飼育された卵と比較して高いものの、かなりの比率での広がりを見せている。その背景や構造を解明すること。
3.日本の畜産食品におけるアニマルウェルフェアの対応生産への可能性の検討:実際の小売店の店頭ではどのような商品が販売さえており、それらはアニマルウェルフェアの視点でみたときどのような特徴が見られるのか?
4.消費者の意向調査:消費者はどんな購買行動をとっているのか?
畜産物フードシステムユニット
教授