祝詞 宮司作祝詞。無断使用・転載を固く禁じます

はじめに

[一般の方へ]

各種祭事でこれまでに奏上してきた祝詞の一部です

古文なので耳慣れないかもしれませんが「相内神社の祭事では、このような祝詞を奏上するんだ」と思って、読んでいただければ幸いです

なお、同じ祭事でも毎回、同じ祝詞にはなりません(だいたい同じ、ならある)

書かれたものを読むわけですが、参列された方が非常に強くお願いしたいことがあるときなど、ついつい勝手に口をついて書かれていない言葉が出ることも稀にあります

[神社関係者の方へ]

つたない祝詞ですが、何らかの理由があってこれらの祝詞を使用したい場合は、ご一報ください

祝詞作文のため参考にしたり、参照されたりするのでしたら、その限りではありません

また誤字脱字、文のねじれ等ご指摘賜れば幸いです

分類の仕方は、菟田俊彦校訂・編纂『新雑祭祝詞大成』によります

神祭文 中臣氏祝詞篇[攘災招福・生産諸業を主とする祝詞]

諸祓

〇神符守札清祓式

挂けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名い恐み恐みも白さく、師走の初めの今日の生日の足日に、家毎に持ち斎き仕へ奉る大神たちの御璽を初めて、諸の神符・守札のさはに、ここだくに授くるときとなりぬれば、祓の神事修め奉らくと、大麻の音のさやさやに清清しく祓へ清めて、大神たちの御恵を弥益益に乞ひ祈み奉る状を、御心に平けく安けく聞し食し、諾ひ給ひて、今し祓へ清むる大神たちの御璽の大御稜威を信ひ受け奉る諸人の上を、幸く真幸くあらしめ給ひ、射干玉の夜は夜の守り、茜刺す日は日の守りに守り恵み幸はへ給ひて、神の真道の正道のただ一筋に進めしめ、いな醜めき汚き横さの道に踏み迷ふことなからしめ給へと、恐み恐みも白す

〇新設神棚清祓式祝詞(社殿)

この大宮を静宮の常宮と鎮り坐す皇神等の御前に恐み恐みも白さく、常にも蒙り奉る皇神等の恩頼を仰ぎ奉り辱み奉る、【住所】に住まひて【生年月日】に生れ出でしより此の年【年齢】歳の齢を数ふる【氏名】い、此度皇神等の大綾威を弥益々に崇め奉り、尊み奉らむとするによりて、おのが家に御神棚設け備へ奉るが故に、祓の神業仕へ奉ると今し御前に参来詣でて、初穂の代に玉串をも捧げ奉りて拝み奉る状を、平らけく安らけく聞し食して、今ゆ往先、日に異に献奉る御食・御酒、種種の物を願主が赤き真心と嘉し給ひて、畏けれど厳の御霊幸はへ給ひ、これの某の家を喪なく事なく、夜の守り・日の守りに守り恵み給へと、恐み恐みも白す

〇新設神棚清祓式祝詞(事務所)

神風の伊勢の国拆鈴五十鈴の川上に鎮り坐す掛けまくも畏き天照大御神の大御前に、又相内神社の大神等のうづの御前に恐み恐みも白さく、常にも蒙り奉る高き尊き大神の御恵を仰ぎ奉り、辱み奉る是の某組合の諸人、先つ頃此の所の地鎮め奉り、棟上の式をも厳しくまめまめしく仕へ奉りしより以来、大神等の広き厚き恩頼も験く、大匠小匠の弥努めに努めしめ、弥励みに励ましめ給ふに依りて、斯くも清く麗しく造り畢へぬれば、千々のひとつだに報い奉らまくと、今日の生日の足日に新しき御神棚据ゑ奉り、大神等の厳の大神璽を収め奉りて、振るや大麻の音のさやさやに清清しく祓へ清め奉り、是の神事の礼代の幣帛と御食御酒献奉り、玉串の執り執りに拝み奉る状を御心に平けく安けく聞し食して、今ゆ往先、是の神床を瑞の神殿と鎮まり坐して、組合長某いを初めて、持ち斎き奉る諸人の上を、日は終日、夜は夜すがらに守り恵み給ひて、是の生業を弥張りに張り広めしめ坐せと恐み恐みも白す

○企業移転並びに神棚奉遷清祓式祝詞

神風の伊勢の国拆鈴五十鈴の川上に鎮り坐す挂巻も綾に畏き天照坐皇大御神を初め奉り、相内神社の大神等の御前に恐み恐みも白さく、常にも蒙り奉る皇神等の御恵を仰ぎ奉り辱み奉る是の【企業名】の諸人、世の進み行く任に弥益益に生業張り拡め、世の為人の為に尽さむと、この処に所替ふることとはなりぬれば、先づは皇神等の瑞の神殿据ゑ奉りて、祓の神事仕へ奉らくと、八十日日はあれども今日の生日の足日に、振るや厳麻のさやさやに内外祓へ清めて、御食御酒種種の味物献奉り、拝み仕へ奉る状を御心に平けく安けく聞し食して、今ゆ往先、この処に穏ひしく鎮り坐して、赤き清き真心以ちて仕へ奉らむ諸人の上を夜の守、日の守に守り幸はへ給ひて、手の躓・足の躓を初めて諸の障あらしめ給はず、豊らに弥向栄に富み栄えしめ給へと、恐み恐みも白す

〇持参物清祓祈願祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、常にも戴き奉る大神等の大御蔭を嬉しみ辱み奉る[住所]に住める[氏名]い、祓の神事仕へ奉ると、今し大前に参来詣でて、礼代の幣帛捧げ奉りて乞ひ祈み奉る状を、平らけく安らけく聞し食して、今日持ち参来たる[物名]をば、大麻の音もさやさやに祓へ清めむ後は、大神等の大御稜威以ちて、科戸の風の天の八重雲を吹き放つ事の如く、清き甘き物と成し幸はへ給へと、恐み恐みも白す

〇人形焚上祈願祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、天つ菅麻のさやさやに祓の業を厳しく美はしく仕へ奉らむとするが故に【住所氏名】い、常に蒙り奉る大き御神徳によりて心安く心楽しく月日を送り迎へて、喪なく事なくあり経ることを喜び奉り辱み奉りて、明き真心の随に斎廻り清廻り大前に参来詣でて、玉串を捧げ奉りて拝み奉る状を平らけく安らけく聞し食し諾ひ給ひ、よしやこれの人形にすさび荒ぶる異しき気のあらば、このところよりは山川の境なる清き明き処へと相導き相遷し給ひ、ゆくりなき穢、思はざる過ちありとも、広き厚き神慮のまにま、神直日・大直日に見直し聞き直し坐して、天地の月日と共に動く事无く変る事无く弥遠永に守り幸へ給へと、恐み恐みも白す

〇転居宅神棚清祓式祝詞

此の神床に斎き奉り、仕へ奉り来たれる、神風の伊勢の国、拆釧五十鈴の川上に鎮り坐す、掛けまくも綾に畏き天照坐皇大御神を初め奉り、この里の産土神と称へ奉り仰ぎ奉る某神社の大神たちのうづの御前に、恐み恐みも白さく、大神等の御氏子なる【依頼者氏名】い、高き尊き恩頼を蒙り奉り、広き厚き御恵を喜び嬉しみ奉りて年頃経に来たれど、此度これの家居を出でて、他所に移り住むことと成りぬるがゆゑに、畏けれど御神棚をば引き去り奉らむと思ひ計りて、今日を生日の足日と選び定めて、大麻の音のさやさやに、清々しく祓へ清めて、礼代の御食、御酒を献奉り、柏手のたしたしに拝み奉りて報賽の御祭、修め奉る状を、大神等の御心に平らけく安らけく聞し食して、いささかも荒ぶことなく、障ることなく、御魂穏に鎮め坐して、願主が赤き清き真心を肯ひ給ひて、今ゆ往先も夜の守、日の守に守り恵み、幸はへ給へと、鵜じもの頸根突き抜きて、恐み恐みも白す

〇倉庫清祓並安全祈願祭祝詞

此の神床に斎き奉り仕へ奉れる、挂けまくも畏き天照大御神・相内神社の大神等の御前に恐み恐みも白さく、常にも仰ぎ奉り、辱み奉る恩頼も験く、喪無く事無く有経るを尊み謝び奉る随に、是の[会社名]に在りては、弥益益に大神等の厳の御魂幸へ坐して、世の為、人の為と勤き務むる斯が尊き重き生業の上を守り幸はへ給へと乞ひ祈み奉るが故に、御食・御酒を初めて、心尽くしの味物を捧げ奉り、拝み仕へ奉る状を、平らけく安らけく聞し食して、今ゆ往先、斯が会社の諸人の、異国に在りとも海中を行くとも、些の手の躓・足の躓在らしめ給はず、此度新しき倉をば造り設けて祓の神事仕へ奉るに依りて、清清しき吉き処と成し幸はへ給へと恐み恐みも白す

〇霊璽焚上清祓式祝詞

これの御霊床を静けき霊床、真秀の霊床と鎮め奉り、仕へ奉れる某命の御霊の御前に謹み敬ひも白さく、あはれ汝命や令和某年某月某日と云ふ日に何歳を一世の限りと、百足らず八十の隈路に隠れ給ひしより此方、御霊安かれ、幸く居坐せと時時の御祭修め奉りきたれど、此度〇〇の家にありては所以ありて畏かれど是の御霊璽より御霊遷し奉らむと思ひ計れば、今日の生日の足日に御食御酒種種の物を献奉り、玉串捧げ拝み奉る状を御心穏に安らけく見そなはして、今ゆ往先、子孫等の乞ひ奉る任に、是の御霊璽よりは高天原に神留り坐す神御祖の御許辺とも、常世辺の清き明き汀の辺とも遷り出で給ひて、障ることなく、武ぶことなく、和魂とも幸魂とも御霊鎮り居坐して、親族家族等の上をも弥遠長に守り幸はへ給へと、謹み敬ひも白す

〇某農業施設清祓式祝詞

神風の伊勢の国、拆釧五十鈴の川上に鎮り坐す挂巻も畏き天照坐皇大御神を初め奉り、相内の神の御社に鎮り坐す諸の皇神たちを、神招きに招き坐せ奉りて恐み恐みも白さく、これの某所の大野の原の真中をいと吉きところの甘きところと斎ひ定め、世のため、人のためと思ひ計りて、此度【職氏名】いを頭といただく某農業協同組合にありては、某施設を建て設けむと、【設計会社】に墨縄打たせ、【施工監理会社名】に種種のことをば理め計らせ、【建設会社】に工事請け負はせて、先つ頃地鎮の御祭修め奉りしものから、皇神たちの御恵験く、喪も事もなく業進みて、中らばかりにきたるを尊み辱み奉りて、祓の神事治め奉ると、振るや大麻の音も清清しく浄め廻りて、御食・御酒を初めて、海の幸・野の幸、種種の幸を机代に置き足らはし、玉串の執り執りに拝み奉る状を平けく聞し食して、なほも続かむ工事に関づらふ諸人に、手の躓・足の躓、いささかの障りもなく、これの室・かれの室、漏るることなく、落つることなく美はしく竣功へしめ給ひ、よしや過ち犯しけむ種種の罪・咎あらば、神直日・大直日に見直し聞き直し給ひ、四方・四角より疎び荒び来たらむ天の禍つひと云ふ神の云はむ禍事あらば、祓へ退け却り坐せと、恐み恐みも白す

〇変死者清祓式祝詞(物置)

神風の伊勢の国、拆鈴五十鈴の川上に鎮り坐す掛けまくも綾に畏き天照大御神、相内神社の大神たちのうづの御前に、斎主恐み恐みも白さく、常にも蒙り奉る大神等の御恵を喜び奉り、辱み奉る某い、我が産土大神と年頃敬ひ仰ぎ奉りて、喪無く事無く在り経るが、先つ頃これの家内の室積へは知らぬ人の入り来て、ゆくりなくも群肝の命落とせば、かつ怪しみ、かつ驚きて、いかなる禍神の穢き仕業にやと畏み懼りて、今日の生日の足日に祓の神事仕へ奉らまくと、かかる処を大麻の音のさやさやに清々しく祓へ清め、御食御酒種種の物を供へ奉り、玉串のとりどりに拝み奉らくを平らけく安らけく食して、過ち犯しけむ種種の罪咎有りとも、神直日・大直日に見直し、聞き直し坐して、よしや猛き荒ぶる御霊あらば、大神等の大御稜威以ちて、この処よりは山川の明き清き処へ神導きに導き、神遷しに遷し却り坐して、この処は清清しき本つ姿に立ち返らしめ給へと、恐み恐みも白す

〇死亡事故現場清祓祝詞

此の厳の斎庭と祓へ清めて、神籬挿し立て招き坐せ奉る此の処を領き坐す諸の皇神等の御前に、斎主恐み恐みも白さく、[会社名]、日毎に仰ぎ奉る皇神等の高き尊き御恵に依りて、喪無く事無く在り経るを尊み辱み奉る間に、いかなる禍神の穢き仕業にやありけむ、斯が生業に勤しみ励める者の、ゆくりなくも命落しければ、祓の神事仕へ奉ると御食・御酒種種の物を設け供へて、玉串をも捧げ奉りて拝み奉る状を、平らけく安らけく諾ひ聞し食して、過ち犯しけむ種種の罪咎有りとも、神直日・大直日に見直し、聞き直し坐して、恐けれど皇神等の大御稜威以ちて、神遣ひに遣ひ、神祓へに祓へ退け却り坐して、此の処を浄き明き清清しき本つ姿に立ち返らしめ給へと、恐み恐みも白す

〇災難消除清祓式祝詞

掛けまくも畏き相内神社のうづの大前に恐み恐みも白さく、日に異に蒙り奉る大神たちの広き厚き御恵を仰ぎ奉り、称へ奉りて、【住所】なる【氏名】い、いかなる禍神の仕業にやあらむ、異しきこと、怪しきこと弥次次に出で来て、よしや障りあらむと畏み恐りて、こは大神たちの御稜威にすがり奉る他はあらじと思ひ定むるによりて、八十日日はあれども今日の生日の足日に、大前に参来詣でて祓の神事仕へ奉り、礼代の幣帛献奉りて、ひたすらに乞ひ祈み奉る状を神ながら平けく安けく聞し食して、今よりのちは過ち犯しけむ諸の罪・咎ありとも、相内川の浄き流れに神攘ひに攘ひ給ひ、神退けに退け却り坐して、家をも身をも、疾く速けく本つ姿に立ち返らしめ給ふべく、夜の守り・日の守りに守り恵み幸はへ給へと恐み恐みも白す

四時祭

〇歳旦祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名い、恐み恐みも白さく、この新しき年の初日を尊み奉り、慶び奉りて、御氏子崇敬者の負ふな負ふな家内清らに、厳しく麗しく門飾り、松竹刺し立て、御注連縄引き延へ、供へ奉る鏡の餅に大御代の円なるを言寿ぎ、汲み上ぐる若水に齢の若えむことを称へ奉りて、互に礼辞述べ、相共に御酒盛り交はしあるが中に、大神等の神役等、あが大神と慕ひ奉る任に御寿の寿詞白さむと、大前に参集ひて、御食御酒種種の味物を献奉りて、玉串の執執りに捧げ奉りて、かく御祭仕へ奉る状を、大御心もうらげ、豊明に聞し食して、これの年も四方八方の国安く穏に、波風の立喧ぐことなく、皇御孫命の大御代は飾の松の常磐に堅磐に、皇御国の大御稜威は刺し添へし竹の八千代に変らず、弥高に弥広に耀き、例なき御代と立ち栄ゆべく守り幸はへ給ひ、この郷の刀禰男女を初めて天の下の公民に至るまで、撫で給ひ、恵み給へと、斎主、冠の頸傾しつつ恐み恐みも白す

〇古神札焼納祭祝詞

掛けまくも畏き天照皇大神宮を始め奉り、相内神社、遠き近き神社の大前を遥かに拝み奉りて恐み恐みも白さく、御氏子崇敬者らが年毎に受けて、日に異に斎き奉る神璽を初め、戸毎門毎に飾れる御注連、松飾に至るまで尊び辱み奉りつつ、これの斎庭に持ち参来たれば厳しき手風の随に忌火以て焚き上げ奉らくと、今日の朝日の豊栄昇に御食御酒種種の味物を捧げ奉り、報賽仕へ奉らくを、御心もたしに平けく安けく聞し食して、今も往先も弥益益に皇神等の厳の御霊幸へ坐して、今し御前に参列む諸の上をも守らひ恵まひ幸はへ給へと、恐み恐みも白す

〇人形感謝祭祝詞

是の相内神社の祖霊殿に永久に鎮り坐す、言はまくも忌々しき世世の御祖の御霊のうづの御前に宮司氏名い慎み敬ひ恐み恐みも白さく、今し御前に据ゑ並める雛の人形を初めて天児傀儡諸はしも是の神社の御氏子崇敬者の持ち参来たりし物にして、或は年毎に飾り立つるにつけて娘のすくすくと成長き来たれるを喜び嬉しみて、或は家族の如く友垣の如く親しみ尊み来たれど此度各がじし思ふ処の在りて焚き上げむと事委ねしものから、今一度御前に御列正しく御装物の真袖の清く麗しく並べて見せ奉りつつ、些かなりと御魂和め奉らむと、御食御酒を初めて種種の味物を八取の机代に置き足らはして、かくなも御祭仕へ奉る状を御心穏に安らけく聞し食して、よしやこれの雛の人形天児傀儡に荒び慌ぶる御魂あらば高き尊き御慈以ちて、この処よりは山川の清き明きを見遥かす処へと教へ諭し導き給へと恐み恐みも白す

〇鎮火祭祝詞

この里の産土神と永遠に鎮り坐す掛けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名い、恐み恐みも白さく、昭和十六年四月二十二日といふ日はしも、大神たちの郷内の片隅より、いみじき炎上りて、百の家居・八十の室居の焼け損はえし日にしあれば、御氏子諸相議り、相語り合ひて、長く久しく記し留めむと、これの御祭起し始めしより此方、年毎に仕へ奉り、修め奉りて、掻き数ふれば今年はしも七十八度とはなりぬ。かかる長き歳月、火の加具土の暴び健びのまたとなきは、もはら大神たちの広き厚き御稜威によることとなも、尊み辱み奉る志のためと、相内町連合町内会会長某いを初めて、主とある長人らが斎しり厳しり大前に参出で、群雀蹲踞り侍りて、石上古き例に倣ひて、川菜・埴土・匏の神事をも、厳しとも厳しく、美しとも美しく仕へ奉り、礼代の幣帛と御食・御酒を初めて、綿津見の海の幸、足引の山の幸のありの悉、八取の机代に置き足らはして、八十玉串のとりどりに捧げ奉りて拝み奉る状を、大神たちの御心に平けく安けく聞し食し、諾ひ給ひて、今ゆの後も大神たちの大神璽を、家の守り・竈の鎮めと持ち斎き、持ち祀らむ御氏子・崇敬者の上に、広き厚き恩頼を、弥遠永に蒙らしめ給ひて、夜は夜の守り・日は日の守りに守り幸はへ、恵み給ひ、家にも身にも禍神の禍事なく、子孫の八十続に至るまで、五十橿八桑枝のごとく立ち栄え、仕へ奉らしめ給へと、今日の生日の足日の朝日の豊栄登に、大前に鵜じもの頸根衝き抜きて、恐み恐みも白す

〇春季例祭宵宮祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名い恐み恐みも白さく、この里の産土神と大神たちの鎮り坐すこれの甘南備の常盤木弥繁りに繁り、青鷺の声のしみみに響す今日の夕日の降はも、一年に一度仕へ奉る春の大御祭の先つ日なれば、大神たちの御氏子大前に参上りて、振る大麻の音もさやさやに、清清しく祓へ清めつつ、斎まはり清まはりて献奉る御食御酒を初めて種種の味物を八取の机代に置き足らはし、各も各も玉串執りて拝み奉らくを、大神たちの御心もたしに、真澄の鏡のまそやかに押し遥かして見行はし、今も将来も、御氏子の生業豊けく弥向栄に、各も各も幸く真幸く、家門高く広く、家内富足らひ、手にてなす業に手の躓なく、足にてなす業に足の躓なく、明日の大御祭をも厳しく麗しく仕へ奉らしめ給へと恐み恐みも白す

〇春季例祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名い恐み恐みも白さく、この里の産土神と持ち斎き奉るわが大神たちの広き厚き恩頼に依りて、御氏子崇敬者の日まねく月まねく安く穏にあらしめ給ふを謝び奉り、辱み奉りつつ、今日の生日の足日の豊栄昇に常の例の任に春の大御祭仕へ奉らまくと、御氏子崇敬者諸、斎まはり清まはりて大前に参上り、深雪なす白米に真澄の鏡なす餅、海幸、野の幸、種種の幸を礼代と机代に置き足らはし、拍手の音のたしたしに清々しく玉串捧げ拝み仕へ奉る状を、御心に平らけく聞しめして、皇御孫命の大御代を手長の御代の厳し御代と、堅磐に常磐に斎ひ奉り、幸はへ奉り給ひ、この里の御民諸は白すも更なり、空に満つ大和の国の四方八方の公民に至るまで、幸く真幸く身健かにあり栄えしめ給ひて、来たらむ秋の大御祭をも厳しく麗しく仕へ奉らしめ給へと恐み恐みも白す

〇境内社・三吉神社例祭祝詞

掛けまくも畏き三吉神社の御前に、宮司氏名恐み恐みも白さく、これの相内神社の境内社と斎き奉り、定め奉りしよりこの方、一年に一度、秋田県人会北見支部の諸人参集ひて、群肝の心尽くして御祭仕へ奉り、歌の調べ、舞の技に故郷の山川ゆかしく転楽しき一時を過して、白金の秋田の名に負ふことなく、ひたすらに飽かず偲びて年頃経につれど、世の状移り、人替りて、あるは世を退り、あるは老い屈りて家の門も出づる能はず、またあるは住処を替へて漸漸に崇敬者の減りにき。さはあれど大神たちを遷し奉り鎮め奉りし昭和の中つ頃ほひ、相内神社の初代宮司・今村政男い、弥遠に弥永にこれの御社を守り仕へむと誓ひ奉りしに相背き、相違ふまじと初夏の光閑けき生日の、青葉の目に甘き足日の某月某日の今日の朝日の豊栄昇に、大神たちの御稜威の弥益益にい照り耀きて、奇しく妙なる大御蔭を蒙らしめ給へと祈み奉る崇敬者らの中執り持ちて、ゆきの御食・御酒に種種の味物を献奉りて、事の由告げ奉り、称辞竟へ奉らくを平けく安けく聞し食せと、恐み恐みも白す

〇境内社・相馬神社例祭祝詞

これの山川の清き明きを見遥かす相内神社の境内の底つ石根に宮柱太知り立て、高天原に氷木高地りて、鎮り坐す、挂巻も畏き相馬神社のうづの御前に、宮司氏名恐み恐みも白さく、常にも蒙り奉る大神たちの高き尊き大御蔭を、仰ぎ奉り辱み奉る任に、崇敬者諸、一年に一度の御祭仕へ奉ると、常盤木の弥繁りに繁り、無加川の瀬の弥速みに速みて涼しき夏の最中の今日の生日の足日の朝日の豊栄昇に、内外の御装厳しく麗しく設け備へて、振るや大麻の音もさやさやに祓へ浄めて、礼代の幣帛と献奉るゆきの御食・御酒、種種の味物に至るまでに献奉りて、御前に拝み奉る状を、平けく安けく聞し食して、今も将来も是の相内の郷内に住まへる人らの勤き務むる農業、牛馬を飼ふ業、木を伐る業を初めて、万の生業に諸の障あらしめ給はず、豊けく弥向栄に成し幸はへ給ひ、時の気穏に、機に適ひて、悪しき風、荒き水にも遭はせ給ふことなからしめ給へと、神職鵜じ物頸ね衝き抜き、厳し桙の中執り持ちて、恐み恐みも白す

〇秋季例祭宵宮祭祝詞

懸幕も畏き相内神社の大前に宮司氏名い恐み恐みも白さく、この大宮を鎮宮の常宮と鎮り坐して、夜中暁の差別なく御氏子崇敬者を守り幸はへ給ふ大神の広き厚き御恵を称へ奉り、仰ぎ奉りて、今日の生日の足日はしも、一年に一度仕へ奉る秋の大御祭の先つ夜なれば、詣での道の左右、御旗連ね、御燈灯して、種種設け備へて、祭典委員長某いを初めて御氏子の主だちたる者の斎回り、清回りて大前に参り侍りて、御食御酒種種の味物を献奉り、玉串の執り執りに捧げ拝み奉る状を御心に平けく安けく聞し食して、縦や今度御祭修め奉る者に過ち犯さむ種種の罪咎穢在りとも、神直日大直日に見許し給ひ、免かし給ひて、明日の大御祭をも厳しく麗しく仕へ奉らしめ給へと恐み恐みも白す

辞別きて白さく、恐き厳の御霊遷し奉り、神輿をば里内の遠近廻らせ奉る事とは成れば安く穏に鎮り居坐せと恐み恐みも白す

〇秋季例祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名い恐み恐みも白さく、高天原に神留り坐す神漏岐神漏美命以ちて天つ社、国つ社と称へ辞竟へ奉る中にこの里の産土神と鎮り坐す大神の高き尊き恩頼を謝び奉り、辱み奉りて、一年に一回仕へ奉る常の例の今日の御祭に御氏子崇敬者、又神社本庁よりうづの幣帛捧げ奉るが故に、大前に斎まはり清まはりて献奉る御食御酒種種の物を平けく安けく聞し食して、皇御孫命の大御代を厳し御代の足る御代と堅磐に常磐に斎ひ奉り、手長の御代と幸はへ奉り給ひ、御氏子崇敬者の上を広く厚く守り給ひ、恵み給ひて、各も各も心穏に身健やかに、家内安く生業豊けく、各も各も弥饒びに饒びしめ給ひて、子孫の八十続に至るまで弥栄えに栄え仕へ奉らしめ給ひて、大神の常にも見遥かすこれの里内を豊けき里の真秀の里と成し幸はへ給へと、恐み恐みも白す

〇秋季例祭神幸祭祝詞(御旅所)

掛けまくも畏き相内の神の御社の大神輿の御前に恐み恐みも白さく、年毎の例の任に、神幸の神事仕へ奉り来たりて、此の所はいと吉き真秀の処と留め奉り坐せ奉るに、此の所の御氏子忠実人等が暫が間、御心和め奉らむと思ひ計りて、礼代の幣帛と叢肝の心尽くしの御食御酒種種の物を献奉り、柏手の音もやららに打ち挙げ清々しく拝み奉る状を平らけく安らけく聞し食して、大神等の恩頼の弥遠永に験く在らしめ給ひ弥益々に霊幸坐して、此の里内を堅磐に常磐に守り恵み給ひ、各も各も心穏に身は健やかに、八十禍つ日の禍事なく、家内富足らひて、子孫の八十続、厳し八桑枝の如く立ち栄え仕へ奉らしめ給へと恐み恐みも白す

〇秋季例祭神幸祭祝詞(本社還幸)

挂けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名い恐み恐みも白さく、一年に一度の秋の大御祭の神幸の神事、今し喪なく事なく仕へ奉り畢へて、大神輿をこれの御殿の内に据ゑ奉りて、大神たちの厳の御魂遷し奉り、鎮め奉るによりて、高く尊き御神徳を以ちて、神役の各も各も些の障りもなかりしを尊み辱み奉りて、祭典委員長何某いを初めて、玉串のとりどりに拝み奉る状を、平けく安けく聞し食して、今ゆ往先、大神たちの厳の御魂穏ひに安く鎮め坐して、仕へ奉りし神職よりは、神役の諸人に至るまで、疎ぶるものの下より往かば下を守り、上より往かば上を守り、射干玉の夜は夜の守り、茜刺す日は日の守りに、守り幸はへ給へと、恐み恐みも白す

〇秋季例祭後日祭祝詞

挂けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名い恐み恐みも白さく、令和の初の今年九月二十二日の夕日の降よりは、今日の生日の足日の朝日の豊栄昇に至るまで、一年に一度の秋の大御祭仕へ奉り来たるに、大神たちの恩頼も験く、各も各も喪なく事なくあり経るを敬ひ尊み、嬉しみ辱み奉りて、群肝の心尽の味物と、御食・御酒種種のものを献奉り、玉串をも捧げ奉りて、後取り納めの御祭仕へ奉る状を平けく安けく聞し食して、此度の大御祭に仕へ奉りし諸人の上に、四方・四角より疎び荒び来たらむ天の禍津日と云ふ神の云はむ禍事あらば、神掃ひに掃ひ、神退けに退け却り坐して、千早振神の真道に違ふことなく、横邪の道に惑ふことなく、夜は夜の守り、日は日の守りに守り恵み幸はへ給へと、斎主厳し桙の仲執り持ちて、恐み恐みも白す

〇屯田開拓記念祭

挂けまくも畏き相内神社の祖霊殿に斎き奉り仕奉りきたれる屯田歩兵第四大隊第三中隊の諸人を初めて、斯が親族・家族諸のうづの御霊の御前に宮司氏名い恐み恐みも白さく、朝日の直刺す処夕日の日隠るる処の甚吉き処と是の祖霊殿に安く穏ひに鎮り坐して、日は終日、夜は夜すがら、里内見そなはすを頼み奉り、依り奉りてあれど、尚も山川の清き明きを見遥かす処よりも揺揺と寄り来坐して、或は日の少宮よりも或は常世辺よりも天翔り国翔りに翔り集ひ坐して、今日の御祭受け給へかしと白す。汝命等の此の里を開き始めしより此方、百二十四年を数ふるに、思ひ見れば千五百の辛苦、八百の労苦もものかは、凍て付く冬の寒きを耐へ、い照る夏の暑きを忍び給ひつつ、大君の醜の御楯と身も心も練り給ひ、かつは畠作田作の業に勤しみ励み給ひて、此の里の礎を固め成し給ふものを。漸漸に世開け、状変はれど、かく固め成し給ふ御跡を慕ひ辱み奉りつつ、汝命等の高き尊き御功績を称へ仰ぎ奉り、些かなりと御心慰め奉らむと、今日の生日の足日の朝日の豊栄昇に汝命等の子孫裔の御前に参集ひて、斎まはり清まはりて献奉る心尽の幣帛は、千穎・八百穎を米にも汁にも、大野原に生ふるものと甘菜・辛菜、青海原に住むものと尾鰭の真魚咋に至るまでに献奉りて、相内屯田会会長某いより汝命等の子孫等の主だちたる者の玉串捧げ奉り、鵜じもの頸根衝き抜きて拝み奉る状を面がしと見そなはして、皇御孫命の大御代を手長の御代の厳し御代と堅磐に常磐に斎ひ奉り、幸はへ奉り給ひ、汝命たちの子孫等の各も各も、家門高く広く、家内安く富足らひて、負ひ持つ業に勤しみ励ましめ給ひ、栂の木の弥次次に立ち栄え仕へ奉らしめ、浦安の穏しき世を修め理り固め成さしめ給へと、恐み恐みも白す

〇新穀感謝祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名い、恐み恐みも白さく、今日の生日の足日はしも、天つ御食の長御食の遠御食と皇御孫命の新嘗聞し食す甚も厳しく美はしき日にして、大神等の郷内にても常に常に蒙り奉る御恵も験く、秋の稔を豊らにここらに依し給ふは申すも更なり、万の生業をも弥進めに進め、弥励みに励ましめ給ふを喜び嬉しみ奉りて、某農業組合某地区事務所の主とある人、関ふ寄合の長人、斎回り清回りて大前に参来集ひて、献奉る礼代の幣帛は和稲荒稲に、山野の物は甘菜・辛菜、青海原に住む物と尾鰭の真魚咋に至るまで献奉り、各も各も玉串捧げ拝み奉る状を真澄の鏡の真清かに平けく安けく聞して、皇御孫命の大御代を万千秋の長五百秋に斎ひ奉り、幸はへ奉り給ひ、大神の里内は申すも更なり、天の下四方の国の国民の上に広き厚き御恵を蒙らしめ給へと、恐み恐みも白す

〇除夜祭祝詞

掛巻くも畏き相内神社の大前に宮司氏名い恐み恐みも白さく、高照らす朝日の輝き出でし今年の始めより、咲く花の移らふ随に天伝ふ日は立ち去り、往く影の月は消え行き、今しこの令和五年の大晦日とはなりぬ。故、常に常に蒙り奉る皇神等の広き厚き恩頼を謝び奉り、辱み奉りて、立ち返り来む新年の歳々の緒は麻績如す長く悠しく守り幸はへ給へと、捧げ奉る種々の味物を平けく安けく聞し食して、皇神の敷き坐せる産子の諸人、また国々所々の崇敬者に至る迄、厳し八桑枝の如く立ち栄えしめ給へと恐み恐みも白す

臨時

〇宮司就任奉告祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、高天原に事始め給ひし岐美二柱の大神等の御言依さしを、天つ序・国つ序と樛の木の弥継継に伝へ奉り給ひし随に、大神等はも、大正十一年と云ふ年、是の相内の山川の清き明き処と今の元宮てふ処を斎ひ定めて、鎮め奉りしより此方、神職を初めて御氏子・崇敬者の諸々、吾が大神と慕ひ、産土大神と称へ奉りて、時々の御祭の大きも小さきも厳しく麗しく治め奉りて、去年よりは北海道神社庁網走支部・支部長某い、万に事執り計り、仕へ奉りて在りしほどに、此度大神たちのこれの御社に宮司と、おほけなくも某い、任けらえたれば、重き尊き勤めと畏み恐り奉りて、今日を生日の足日と撰び定めて、礼代の幣帛と御食・御酒を初めて、種々の味物を献奉り、玉串をも捧げ奉りて事の由告げ奉り、拝み奉る状を、御心に平らけく安らけく聞し食して、今ゆ往先、皇御孫命の大御代を、手長の御代の穏しき御代と、堅磐に常磐に斎ひ奉り給ひ、しが相内の郷内は白すも更なり、谷蟆の狭渡る極み、塩沫の留まる限り、奇しく妙なる大御恵を弥遠永に蒙らしめ給ひ、神職を初めて、氏子総代・神社委員に至るまでに己が乖乖在らしめ給はず、神事の悉心朗らに身健やかに仕へ奉らしめ給へと、恐み恐みも白す

〇天皇陛下御即位三十年奉祝祭祝詞

高天原に神留り坐す陰陽二柱の皇神たちの命以ちて、天つ社・国つ社と称へ辞竟へ奉る中に、網走・斜里・常呂と御名は白して、此の三郡に坐す諸の皇神等を、神招きに招き奉り、神坐せに坐せ奉りて、斎主・相内神社宮司氏名い、懼無き身にはあれども、恐み恐みも言寿き奉らくは、挂けて白さくも綾に畏き、挂けて白さぬもいとなめき皇御孫命はも、天つ日嗣の次の任に、大御位に就き給ひしより此方、三十年を数ふる事とは成りぬ。故、皇神等の高き尊き厳の御霊幸へ坐すによることとなも、尊み辱み奉り、事の由告げ奉る物にある。それ大倭秋津洲豊葦原の瑞穂の国は、いと吉き国の美き国にて、時の気穏に、国の内外安かれと祈み奉り給ふがゆゑに、大き災小さく、小さき幸へ大きくなし給ふに、顕しき蒼生の一人として恩頼を蒙り奉らずある者なし。故、千千の一つだに大御心に報い奉らむと、見給へ、尊給へ、歓給へ、聞き給へ、茂し世に八桑枝の如く立ち栄え仕へ奉らむと白しし三十年前の寿詞の任に、今日の夕日の降に喜び奉り祝ひ奉りて、畏けれど皇御孫命を初め奉りて、親王等・王等、四方・八方の公民に至るまでに、射干玉の夜の守、茜刺す日の守に守り奉り、斎ひ奉り給ふがゆゑに、御食御酒種種の物を献奉りて、北海道神社庁網走支部総代会会長某いを初めて、玉串のとりどりに捧げ奉り、神寿きに寿き奉り、豊寿きに寿き奉りて、称へ辞竟へ奉らくと白す

辞別きて白さく、この年はも明治の新世開き給ひて、これの北の大地を北海道と唱ふべく定め給ひしより百五十年に当れば、皇神等の御恵以ちて、御代御代にありし諸人の上を幸はへ給ひ、守り給ひて、世を進めしめ給ふを崇め奉り、称へ奉らむとも思ひ計りて、今日の御祭仕へ奉る状を、御心に平けく聞し食せと、恐み恐みも白す

〇践祚改元奉告祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の珍の大前に宮司氏名い、恐み恐みも白さく、高天原に神留り坐す皇睦・神漏岐命・神漏弥命以ちて、天つ日嗣の弥継継に知ろし食し来る中に、今日の生日の足日の朝日の豊栄登に、皇御孫命の大御位に登り給ひ、知ろし食す大御代の御名をば令和と定め給ふによりて、大前に事の由告げ奉りて、献奉る幣帛は、御食・御酒に言祝の御餅と紅白に供へ分け、甘菜・辛菜に時の菓子をも献奉り、鹿じもの膝折り伏せ、拝み奉る状を、甘らに安らに聞し食して、皇御孫命の大御代を足る御代の厳し御代と、堅磐に常磐に斎き奉り、幸はへ奉り給ひ、上皇の大御上は白すも更なり、皇大朝廷を平けく安けく坐し栄えしめ給へと恐み恐みも白す

〇大嘗祭当日祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名い、恐み恐みも白さく、高天原に事始め給ひて、皇御孫命は豊葦原の瑞穂の国を安国と平けく知ろし食して、斎庭の稲の穂を天つ御饌の長御饌の遠御饌と、万千秋の長五百秋に聞し食せと事依さし奉り給ひし随に、食国天の下知ろし食す大御代の始の大御典と、今日の生日の足日に大嘗祭仕へ奉り給ふを喜び祝かひ奉りつつ、大神の御恵著く、奥つ御年を八束穂の茂し穂に成し幸はへ給ひ、万の産業を弥進めに進め、弥張りに張り広めしめ給ふをも嬉しみ辱み奉りて、某いを初めて、御氏子・崇敬者の各も各も、豊寿きに寿き奉りつつ大前に参集侍りて、令和の初の稲の穂は汁にも穎にも、瓮のへ高知り、瓮の腹満て並べて、大野の原に生ふる物は甘菜・辛菜、青海の原の物は、尾鰭の真魚咋に至るまで、机代も狭に、撓に置き足らはして献奉り、また神社本庁より献奉る礼代の幣帛を足幣帛の安幣帛と、相諾ひ聞し食して、皇御孫命の大御代を天地日月と共に弥遠に弥長に、万代に大坐し坐さしめ給ひ、天皇が大朝廷を始めて、天の下の国民に至るまで、弥高に弥広に、五十橿八桑枝の如く立ち栄えしめ給ひ、各も各も負ひ持つ務めに勤しみ励み、互に睦び和みつつ、浦安の穏しき世を修理り固め成さしめ給へと、恐み恐みも白す

〇新型コロナウイルス感染症流行鎮静祈願祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名い恐み恐みも白さく、今年の春立つ頃ほひより唐土に起こりし疫病の四方八方に広ごりて、いかなる禍物の仕業にやありけむ、これの千五百秋の瑞穂の国へも渡らひ来りて、百姓のあるは倒れ、あるは伏して、身罷る者の多にしあれば、老いも若きも相恐り、相憚りて、朝に夕に幾度となく手を清め、口濯ぎ、またその口を常に覆ひて、他人には近くも寄らず、親しき人とも会はず話さず、浅ましとも浅ましき世の状とはなりにけり。薬師の業・看護の業に関ふ人人を初めて、国民の各も各も力を竭し、職業に励みつつ、疫病の広ごり、状変ふるを防ぎ止め、あるは新しき薬を作りなさむとすれど、なほ篤かひ悩む者の多かれば、畏しや、当初天壌と共に窮りなけむと宣ひしことのごとく、堅磐に常磐にこれの国を千五百秋の長秋の甘し国と、弥益益に幸はへ給ひて、疾く速やけくかかる疫病を掃ひ平け、鎮め給ひ、大神等の御氏子・崇敬者は白すも更なり、天の下の諸の人草に至る迄、命長く、身健やかにあらしめ給へと、恐み恐みも白す

農事祭

〇豊作祈願祭祝詞

この処を厳の斎庭と祓へ清めて、この里を長き歳月見守り来たれる青銅の鐘に招き奉り、坐せ奉る掛けまくも畏き産土大神のうづの御前に恐み恐みも白さく、常にも蒙り奉る皇神の高き尊き御神徳を仰ぎ奉り、辱み奉るこれの某町の諸人、年毎の例のまにまに弥益益に恩頼を乞ひ祈み奉らまくと、今日の生日の足日の朝日の豊栄昇に、斎まはり清まはりて御前に参集ひ、村肝の心尽しの御食御酒種種の物を礼代と献奉り、拍手の音のたしたしに拝み奉る状を皇神の御心に平けく安けく聞し食して、今ゆ往先、畑作りの業、牛飼ひの業を初めて諸の生業に至るまで、豊らに弥向栄にあり栄えしめ給ひ、時の廻りの穏ひしく、悪しき風、荒き水にも遭はせ給はず、白金の秋の稔を多にここらに得さしめ給ひ、各も各も幸く真幸くあらしめ給へと、恐み恐みも白す

○祈雨祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名恐み恐みも白さく、大神の里内に日まねく雨降らず、御氏子らが作りと作る物の朝に枯れ、夕に凋み、天つ日の直照りに照りつづけば、やがては川の流れも尽きなむ、池の水も失せなむと思ひ惑ひて、御氏子某を初め○○の諸人ら、こは専ら大神の奇しく妙なる御神徳に縋り奉るほかはあらじと、八十日の中に撰みし今日を生日の足日と、斎廻り清廻り大前に参来詣でて、御食御酒を初めて、山の幸、野の幸、種種の味物を尾鰭の真魚咋に至るまで置き足らはし、切に乞ひ祈み奉らくを哀れと見行はして、四方より青雲掻き寄せ、八方より白雲い廻らせ、里内の御空遍く覆はしめ、氏子らの心足らひに天つ水を豊らにしみみに降り下し給ひて、田作りの業・畑作りの業をば神援けに援け、神輔ひに輔ひ給へと恐み恐みも白す

○祈晴祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名恐み恐みも白さく、この頃いかなる神の御仕業にや、これの里内に天つ日の照らふこと僅かに、長雨の降り続けば、御氏子らの作る作り物は草の片葉に至るまで凋み、傷れるを悩み歎きて、御氏子某を初め○○の諸人ら、大神の高き尊き御稜威に依り奉りて、いかでか天つ光を仰がむと、ひたすらに乞ひ願ぎ奉るまにまに、〇〇を初めて、関ふ者らが今日を生日の足日と斎ひ定めて大前に参集侍りて、これの御祭の礼代と御食御酒を初めて、種種の味物を机代に置き足らはし、天の八開手やららに拍ち挙げ、天つ空なす爽やかに清清しく拝み奉る状を哀れとも面向しとも見行はせと白す。かく御祭仕へ奉るに依りて、今ゆ往先、大神の奇しく妙なる御神徳以て、疾く速やけく天つ八重雲吹き払ひ、天つ光のい照り通らむことは疑なければ、畏し我が産土大神と御名を称へ奉りて、膝折り伏せ頸傾しつつ恐み恐みも白す

事始

〇出初式祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名い恐み恐みも白さく、今日の生日の足日はしも、一年に一度の出初めの日にしあれば、常に蒙り奉る大神たちの御恵を謝び奉り、辱み奉りて、大神たちの里内なる消防団の主だちたる者の大前に参侍りて、礼代の幣帛献奉り、玉串捧げ奉りて、拍つや柏手の音もやららに拝み奉る状を平けく安けく聞し食して、今ゆ往先、重き尊き務めと仕へ奉るこれの消防団の諸人を守り幸はへ給ひ、事あるときは心締り配りて玉響の緩びなく、かりそめにも手の躓、足の躓なく、雄々しき鋭心振り起こし、全く正しく事畢へしめ給へと恐み恐みも白す

〇開店商売繫盛祈願祭祝詞

この御神棚に鎮め坐せ奉る、掛けまくも綾に畏き天照大皇御神を初め奉り、産土大神たちの御前に恐み恐みも白さく、今度【氏名】い、【住所】のこのところを真秀の商ひどころと定め、【店名】とその店の名を選みて、世のため、人のためと新たに生業始めむとするがゆゑに、皇神たちの瑞の御殿と、これの御神棚を据ゑ奉り、弥遠永に守り恵み幸はへ給へと拝み奉る状を、めぐしうむかしと見そなはして、直き正しき真心の隋に、清き利益をここだ得さしめ給ふがゆゑに、御食・御酒、種種の物を捧げ奉りて称へ辞竟へ奉らくと、恐み恐みも白す

〇漁業初海上安全豊漁祈願祭

是の某の港の片隅をいとよき処と祓へ清めて据ゑ奉り坐せ奉る、掛けまくも畏き相内神社の大神璽の御前を拝み奉りて恐み恐みも白さく、常にも蒙り奉る大神等の御恵を仰ぎ奉り称へ奉る任に、大神等の御氏子にして【船名】の船長たる【氏名】を初めて、関ふ諸人等が待遠に待ちゐたる漁初の時季の至れば新玉の春の汀清けく磯浜麗しき今日の生日の足日に御祭仕へ奉り、海の上穏に船の上安けく海幸多に得さしめ給へと乞ひ祈み奉るが故に、礼代の幣帛と御食御酒種種の味物を置き足はし、玉串をも捧げ奉りて拝み奉る状を、御心に平けく安けく聞し食して、今ゆ往先、大神等の大神璽を舳の守、艫の鎮めと持ち斎き奉るに依りて、棹舵過たず悪しき波、荒き風に遭せ給はず、大海原を寄り来む魚も波間に鰭振る真魚も、大網小網に漏るることなく、落つることなく悉に横山の如く海幸給ひて、各も各も手にて為す業に手の躓なく、足にて為す業に足の躓なく、世の為人の為と日に異に勤き務むる是の生業を神扶けに扶け給ひ神進めに進めしめ給へと恐み恐みも白す

〇マッサージ業開業奉告祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、この大宮を静宮の常宮と鎮り坐す大神の御氏子某い、日に異に蒙り奉る御恵をひたすらに仰ぎ奉り、慕ひ奉りつつ、健やかなる人の身体は骨身を整ふるにありと思ひ計りて、その業を学び究め年頃経に来たれど、今度世の為人の為と焼太刀の鋭心振り起こし、その業を開き行はむとするに依りて、今日の生日の足日に事の由告げ奉らくと、礼代の幣帛献奉り、玉串捧げ拝み奉る状を真澄の鏡のまそやかに、平けく安けく聞し食して、今より往先、蒼生を憂瀬に救はむ手指の業を弥進めに進め、弥励みに励ましめ給ひ、その名を四方八方に張り広めしめ給ひつつ、弥高に弥遠に立ち栄ゆべく、守り恵み幸はへ給へと恐み恐みも白す

〇選挙事務所開祝詞

このところを厳の斎庭と祓へ清めて、神籬刺し立て招き奉り坐せ奉る、神風の伊勢の拆釧五十鈴の川上に鎮り坐す、挂けまくも綾に畏き天照大神、度会の宇治の山田の原に鎮り坐す、豊受大神のうづの御前に恐み恐みも白さく、日に異に蒙り奉る大神たちの高き尊き大御恵を、喜び奉り辱み奉るこれの某事務所にありては、此度四年に一度と掟て習へる任に、これの北見の街の内外の諸諸のことを事議る市議会議員をば撰び挙げむこととなりぬれば、弥益益に皇神たちのいづの御霊幸へ坐せと乞ひ祈み奉り、また集ひどころを設けて、千五百の備へ、万の要とすべきものと思ひ計りて、御前に入紐の同じ心に参集ひて、御食・御酒を初めて、鏡なす餅、鮮けきものと海の魚、大野の原に生ふるものと甘菜・辛菜に至るまで、置き足らはして献奉り、八十玉串の執り執りに捧げ奉りて、拍つや柏手の音のたしたしに清清しく拝み奉る状を、平けく安けく聞し食し、諾ひ給ひて、今ゆ将来、皇神たちの大御稜威以ちて、赤き清き【候補者氏名】の真心をあまねく諸人に伝へしめ坐して、ここだにさはに入札あらしめ給ひ、これの選び挙げに関ふ者の各も各も、手にてなす業に手の躓なく、足にてなす業に足の躓なく、よしや漏れ落ちむことのあらむをば、神直日・大直日に見直し、聞き直し坐して、夜は夜の守り、日は日の守りに守り恵み幸はへ給へと、恐み恐みも白す

諸願

〇新年商売繁盛祈願祭祝詞

掛けまくも畏きわが大神の大前に恐み恐みも白さく、日に異に蒙り奉る大神たちの高き尊き御恵によりてし喪なく事なくあり経るを嬉しみ辱み奉りて、某社の諸人、新玉の年の初めの今日の生日の足日に、弥益益に御霊幸へ坐せと乞ひ祈み奉らくと、礼代の幣帛献奉り、玉串のとりどりに捧げ奉りて拝み奉る状を、平けく安けく聞し食して、今ゆ往先、大神たちの奇しく妙なる恩頼以ちて、この年をも吉き年の美し年と成し幸はへ給ひ、世の為・人の為と勤しみ務むるこれの生業を弥奨めに奨め、弥励みに励ましめ給ひ、日毎に賑はひ、月毎に栄ゆる門と清き利益を多に得さしめ給へと、恐み恐みも白す

〇交通安全祈願祭祝詞

挂まくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、常にも蒙奉る大神等の高き尊き御恵を仰奉り、称へ奉る御氏子(崇敬者)にして、某所に住まひて某年某月某日に生れ出でしより此の年某歳の齢を数ふる姓名い、此度自動車を購ひ求むるが故に先づは大神等の御稜威を乞祈み奉りつつ祓の神事仕奉らくと、今日の生日の足日に大前に参来詣でて、礼代の幣帛献奉り、玉串捧奉りて拝み奉る状を平けく安けく聞し食して、左往き右行く玉桙の道に些の障無く、常にも心配り締りて、玉響の緩み無く、願主の身は白すも更なり、他人も自動車もゆくりなき災無く、安く穏に行き帰らしめ給へと、恐み恐みも白す

〇厄祓祈願祭祝詞 

挂まくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、常にも蒙奉る大神等の高き尊き御恵を仰奉り、称へ奉る御氏子(崇敬者)にして、某所に住まひて某年某月某日に生れ出でしより此の年某歳の齢を数ふる姓名い、風の音の古き昔ゆ此年しも厄年と唱へてとにかくに慎み忌むべき廻りに当たれば祓の神事仕奉らまくと、今日の生日の足日に大前に参来詣でて、礼代の幣帛献奉り、玉串捧奉りて拝み奉る状を平けく安けく聞し食して、過ち犯しけむ種種の罪咎在りとも、神直日大直日に見直し聞き直し坐して、八十禍津日の禍は萌さぬ先に神祓へに祓へ給ひ、神退けに退け坐して、心穏に身健やかに是の年を喪無く事無く過ぐさしめ給へと、恐み恐みも白す

〇厄難消除祈願祭祝詞

挂まくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、常にも蒙奉る大神等の高き尊き御恵を仰奉り、称へ奉る御氏子(崇敬者)にして、某所に住まひて某年某月某日に生れ出でしより此の年某歳の齢を数ふる姓名い、如何なる物の仕業にや此の頃ほひ、心のままならざること多く、身も篤かひ悩むこと在れば(怪しきこと奇しき事打続きたれば)、此は専ら大神の御稜威に縋り奉る他は在らじと思ひ定め、今日の生日の足日に大前に参来詣でて、祓の神事仕奉りて、礼代の幣帛献奉り、玉串捧奉りて拝み奉る状を平けく安けく聞し食して、過ち犯しけむ種種の罪咎在りとも、神直日大直日に見直し聞き直し坐して、千々の災万の禍事押し払ひ打ち消し給ひて、人の身にては及ばぬ事は逸早く厳の大御手差し伸べ神輔ひに輔ひ助け給へと、恐み恐みも白す

〇健康祈願祭祝詞

この神床に仕へ奉れる掛けまくも畏き天照皇大御神、相内神社の大神等のうづの御前に恐み恐みも白さく、日に異に蒙り奉る皇神等の恩頼を尊び仰ぎ奉るこれの某福祉施設の諸人、各も各も去年の一年喪なく事なくあり経るを嬉しみ辱み奉りて、年毎の例のまにまに新玉の初春の御寿の寿詞仕へ奉りつつ、弥益益に大御蔭乞ひ祈み奉らまくと、今日の生日の朝日の豊栄昇に御食御酒を初めて種種の味物を尾鰭の真魚咋に至るまで置き足らはして、玉串捧げ拝み奉る状を、皇神等の御心も真澄の鏡の真清かに押し晴るかして、平けく安けく聞し食して、今も将来も心穏に身健やかに、仮初にも手にてなす業に手の躓なく、足にてなす業に足の躓なく、世の遠人、世の長人と愈愈仰がれ尊まれて、鶴亀の齢あらしめ給へと恐み恐みも御寿の寿詞仕へ奉らくと白す

〇職業安寧・転職成功祈願祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、常にも蒙り奉る大神たちの広き厚き御恵を嬉しみ奉り、辱み奉る崇敬者にして、【住所】に住まひ、【生年月日】に生まれ出でしより【年齢】歳の齢を数ふる【氏名】い、【会社名】を初めて、大神等のこれの御社の内外の種々のことに、仕へ奉りてありしが、此度大神等の大御蔭を弥益々に仰ぎ奉らまくと、今日の生日の朝日の豊栄昇に大前に参出で、祓の神事仕へ奉り、拍つや拍手の音のたしたしに清々しく拝み奉る状を、御心に平けく安けく見そなはして、これの春はも、勤しみ励める生業の庭の境目変りて人の移らひあれば、今ゆ行先も患ふことなく、窘むことなく、締り勤めしめ給ひ、また間近くは、おのが生業変へることとはなれば、喪なく事なく、安く穏に事進めしめ給ひて、変はらむ後も豊らに弥向栄に立ち栄えしめ給へと、恐み恐みも白す

〇世界平和祈願祭祝詞

掛けまくも畏き明治天皇の詔はく、四方の国みな朋輩と思ふ世になど波風の立ち騒ぐらむと詔ひし大御心を戴き奉りて、大神等の崇敬者某い、国の内外整ひて四方八方の平らぎ鎮まらむことを乞ひ祈み奉る赤き清き真心以ちて、八十日の中に撰みし今日の生日の足日に礼代の幣帛献奉り、玉串捧げ奉りて拝み願ぎ奉る状を、御心に平けく安けく聞し食して、今ゆ往先、大神等の大御稜威をば弥益に弥遠に幸はへ坐して、大倭日高見の豊葦原の瑞穂の国は白すも更なり、四方八方の国のことごと、ありのことごと、互に睦び和らぎつつあり栄えしめ給ひ、各も各も乖乖あらしめず、浦安のうまき国国となし幸はへ給へと恐み恐みも白す

〇某高等学校野球部必勝祈願祭祝詞

挂けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名い恐み恐みも白さく、日に異に蒙り奉る大神等の御恵を仰ぎ奉り、辱み奉る任に、今し大前に参来列む[学校名]野球部に在りては、自主友愛の訓の許に学の業を尊み、心豊けく在らむ、己を愈磨かむと、努め励み年頃経にけるが、此度、夏の試の時の近く成りにければ今日を生日の足日と撰み定めて、大前に礼代の幣帛献奉り、監督[氏名]い、主将[氏名]いを初め、諸人等が玉串の執り執りに拝み奉る状を、平らけく安らけく聞し食して、今ゆ往先、身も心も健かに、仮初にも手の躓・足の躓在らしめ給はず、攻むるも守るも、亦走る業をも、良き処は弥伸ばしに伸ばし、劣らむ処は弥助けに助け給ひ、試の時に臨みては、樫の実の一つ心に、大き声の高らに朗らに、己が持てる力を残る事無く、落つる事無く、振り起さしめ給ひ、悔無き夏の旨き夏と成し幸はへ給へと恐み恐み白す

神祭文 斎部氏祝詞篇[造営・迂宮・住居・土木・宅神を主とする祝詞]

起工

〇一般住宅地鎮祭祝詞

このところを厳の斎庭と祓へ清めて、注連引き廻らし招き奉り坐せ奉る、掛けまくも畏き産土大神たち、大地主大神、このところを領き坐す諸の皇神たちのうづの御前に恐み恐みも白さく、日に異に仰ぎ奉る皇神たちの御恵を嬉しみ奉り、辱み奉る【願主氏名】い、今度これの【住所】のこのところを常の家所の甘き家所と撰び定めて、工事起こし始めむとするによりて、今日の生日の足日に地鎮祭仕へ奉らむと、斎鎌以ちて荒草刈り払ひ、斎鍬以ちて磐ね樹ね取り払ひ、斎鋤以ちて土敷き均し、御食・御酒種種の物を礼代と献奉り、玉串をも捧げ奉りて拝み奉る状を、平けく安けく聞し食して、今ゆ往先、健び荒び給ふことなく、永久に地鎮め坐して、【施工業者名】を初めて、関ふ大匠・小匠に手の躓・足の躓、諸の障りあらしめ給はず、築き建てゆかむ真木柱は巌なす重く、引き据うる礎は弥固らかになし給ひ、このところは地震揺り、風暴ぶとも、水溢るとも、崩え損ふことなく、夜の守り、日の守りに守り恵み幸はへ給へと、恐み恐みも白す

〇企業工事安全祈願祭

このところを厳の斎庭と祓へ清めて、注連引き廻らし厳の神籬起こし立てて、招き奉り坐せ奉る、掛けまくも畏き産土大神たち、大地主大神、このところを領き坐す諸の皇神たちのうづの御前に恐み恐みも白さく、常にも大神等の大御蔭を蒙り奉りつつ世のため、人のためと、里内に生業営める【社長氏名】を頭といただく【企業名】、御恵験く日毎に月毎にここだの実り得来たれば、今度新たによろづの事執る室積築かむと工事起こさむと思ひ計りて、八十日の中に撰みし今日の生日の足日に、諸人御前に参侍りて、献奉る御食御酒を初めて種種の物を机代に置き足はし、各も各も柏手やららに打ち挙げ拝み奉らくを、御心に平けく安けく聞し食して、今ゆ往先、健び荒び給ふことなく、永久に地鎮め坐して、【施工業者名】【設計担当会社名】を初めて、関ふ大匠・小匠に手の躓・足の躓なく、このところに悪しき風・荒き水ありとも些かの損ひあらしめ給はず、厳しく麗しく竣功しめ給へと、恐み恐みも白す

〇某農業施設地鎮祭祝詞

山川の清き明きを見霽すこのところを厳の斎庭と祓へ清めて、注連引き廻らし招き奉りて、招き奉り坐せ奉る、挂巻も畏き産土大神、大地主大神たちの珍の御前に恐み恐みも白さく、世の拓けゆく随に、此度某農業協同組合にありては、世のため人のためと思ひ計りて、【施設名】をこのところに建て設けむとして、工事起さむととするによりて、今日の生日の足日に地鎮祭仕へ奉らむと、斎鎌以ちて荒草刈り払ひ、斎鍬以ちて磐ね樹ね取り払ひ、斎鋤以ちて土敷き均し、御食・御酒を初めて、種種の味物を机代に置き高成して、玉串の執り執りに拝み奉る状を、大神たちの御心に平けく安けく聞し食し、諾ひ給ひて、今ゆ往先、このところをいと吉きところの甘きところとなし幸はへ給ひて、工事に関ふ大匠・小匠に手の躓・足の躓、諸の障りあらしめ給はず、築き立てゆかむ真木柱は巌なす重く、引き据うる礎は弥固らかになし給ひ、よしや地震揺り、水溢れ、風吹くとも、崩え損ふことなく、夜の守り、日の守りに守り恵み幸はへ給へと、天つ奇し護言以ちて恐み恐みも白す

〇リフォーム工事安全祈願祭

この所を厳の斎庭と祓へ清めて、招き奉り坐せ奉る挂巻も畏き産土大神、大地主大神、この所を領き坐す諸の皇神等の厳の御前に恐み恐みも白さく、常にも蒙り奉る皇神等の恩頼を仰ぎ奉り、辱み奉る何某い、今度茲に工事起し始めむと思ひ計りて辞竟へ奉らくは、昭和某年の頃ほひ、某所の清き明き山並を見遥かし、ポン相内川の麗しき瀬音尽きせぬこの所はいとよき所の甘し家所と、願主が祖父の斎ひ定めて、大峡・小峡に立てる木木を、斎斧以ちて本打ち伐り、末打ち断ちて、根太として、家居建て設けて年頃住み慣れゐたれど、昭和某年、他所へは移り住むこととは成りて、歳まねく離れゐたれど、今し願主が赤き鋭心振り起し、祖父が跡を偲びつつ、これの家居の床貼り直し、土壁作り成して、屋根葺き替へ、牖は入れて、家居全けむことを切に願ひて、今日の生日の足日の朝日の豊栄昇に祓の神事仕へ奉り、礼代の御食・御酒献奉りて、玉串をも捧げ奉りて拝み奉る状を、平けく安けく聞し食して、今ゆ往先、自らこれの工事に関ふ願主が上を、堅磐に常磐に守り恵み給ひて、厳しく麗しく事成し畢へしめ給へと、恐み恐みも白す

柱棟

〇一般住宅上棟祭祝詞

このところを厳の斎庭と祓へ清めて、招き奉り坐せ奉る掛けまくも畏き産土大神、屋船四柱大神たちの御前に恐み恐みも白さく、日に異に蒙り奉る皇神たちの恩頼を仰ぎ奉り、辱み奉る某い、住所なるこの処を甘き処と撰び定めて地鎮祭修め奉りしより此方、棟梁氏名いを頂く施工業者名の匠らの、打つ墨縄の違ふことなく、釿の過つことなく、家居かくも清く美はしく造らしめ給ふことを尊み嬉しみ奉りて、御食・御酒種々の物を献り、玉串を捧げ奉りて棟上の式仕へ奉る状を平けく安けく聞し食して、今ゆ往先、棟・桁の重り、梁の鎮めと永遠に坐し坐して、これの家居を守り恵み幸はへ給ひ、陽炎の春も露霜の秋も静けき住処となし給ひ、なほも続かむ工事に関係ふ者には、喪なく事なく、諸の障有らしめ給はず、これの家居を厳しく麗しく造り竟へしめ給へと恐み恐みも白す

竣工

〇新宅祭祝詞

此の処を厳の斎庭と祓へ清めて、招き奉り坐せ奉る屋船四柱大神等のうづの御前に恐み恐みも白さく、今度某い、是の[住所]の此の処をいと良き在処と撰び定めて、工事起こし始めしより此方、[施工業者名]の匠等の只管に勤しみ励みしものから、斯くも清く麗しく造り畢へぬるを尊み辱み奉りて、今日の生日の足日に、此の新室を厳の真屋と祓へ清めて、御前に御食・御酒、種種の物を献奉り、玉串の取取に拝み奉る状を、平らけく安らけく聞し食して、今ゆ往先、此の新室を永久に静けき住処と為し給ひ、親族・家族の心朗らに身は健やかに在らしめ給ひ、子孫の八十続、いかし八桑枝の如く立ち栄えしめ給ひ、常石に堅石に守り恵み幸はへ給へと、恐み恐みも白す

〇会社竣功祭並新設神棚祓

神風の伊勢の国拆鈴五十鈴の川上に鎮り坐す掛けまくも畏き天照大御神の大御前に恐み恐みも白さく、常にも蒙り奉る高き尊き大神の御恵を仰ぎ奉り、辱み奉る是の[会社名]の諸人、先つ頃此の所の地鎮め奉り、棟上の式をも厳しくまめまめしく仕へ奉りしより以来、大神等の広き厚き恩頼も験く、大匠小匠の弥努めに努めしめ、弥励みに励ましめ給ふに依りて、斯くも清く麗しく造り畢へぬれば、千々のひとつだに報い奉らまくと、今日の生日の足日に新しき御神棚据ゑ奉り、大神等の厳の大神璽を収め奉りて、振るや大麻の音のさやさやに清清しく祓へ清め奉り、是の神事の礼代の幣帛と御食御酒献奉り、玉串の執り執りに拝み奉る状を御心に平けく安けく聞し食して、今ゆ往先、是の神床を瑞の神殿と鎮まり坐して、社長某いを初めて、持ち斎き奉る諸人の上を、日は終日、夜は夜すがらに守り恵み給ひて、是の生業を弥張りに張り広めしめ坐せと恐み恐みも白す

土木

〇伐採式祝詞

このところを厳の斎庭と祓へ清めて招ぎ奉り坐せ奉る、挂けまくも畏き産土大神・高木大神・久久能智神のうづの御前に恐み恐みも白さく、常にも蒙り奉る皇神たちの恩頼を仰ぎ奉り、辱み奉る【氏名】い、これの庭なる常盤木を伐りしより怪しき事、あやしき事あまたたび出で来れば畏み恐りて、祓の神事仕へ奉りつつ大神等の御稜威に縋り奉る他はあらじと思ひ定めて、今日の生日の足日に御食御酒献奉り、御前に拝み奉る状を御心穏に平けく聞し食して、よしやこの常盤木にいまだし荒ぶる御霊あらば、このところよりは山川の清き明きを見遥かす真秀のところへ遷し給ひ、鎮め給ひて、咎過ちありけむと恐るるを神直日大直日に見許し聞き許し給ひへと恐み恐みも白す

宅神

〇某建築会社月次祭祝詞

此の神床に斎き奉り、仕へ奉れる掛けまくも畏き天照坐皇大御神を初め奉り、某神社の大神等のうづの御前に恐み恐みも白さく、日に異に仰ぎ奉る大神等の高き尊き恩頼を尊み辱み奉り、広き厚き御恵を喜び嬉しみ奉る、是の某社に在りては、月毎の例の任に御食・御酒を献奉り、御灯燈して拝み奉る状を、平らけく安らけく聞し食して、今も往先も弥益益に霊幸へ坐して、世の為・人の為と勤はき努むる斯が生業に、関らふ諸人の上を、夜の守・日の守に守り幸はへ給ひ、手にて為す業に手の躓無く、足にて為す業に足無く、縦や過ち犯しけむ種種の罪咎在りとも、神直日・大直日に見直し、聞き直し坐せと、恐み恐みも白す

〇某社創立記念祭並解除祝詞

この神床に坐せ奉る挂巻も畏き天照大御神・相内神社の大神たちのうづの御前に恐み恐みも白さく、常にも蒙り奉る大神たちの高き尊き御恵を仰ぎ奉り、称へ奉り、広き厚き恩頼を嬉しみ奉り、辱み奉るこれの某社の諸人、斯が生業を起こしし今日の某月某日の生日の足日に報賽の御祭修め奉り、弥益に弥遠に御霊幸へ坐せと乞ひ祈み奉らむと思ひ計りて、御食・御酒を初めて、心尽くしの種種の味物を相調へ、相献奉りて、玉串を捧げ奉りて拝み奉る状を平けく安けく聞し食して、今も往先も世のため、人のためと勤はき務むる斯が生業を免し給ひ、たとひ荒び暴ぶる御霊の咎・祟ありとも、神祓へに祓へ給ひ、神退けに退け却り坐して、各も各もいささかの手の躓・足の躓、また諸の障りもあらしめ給はず、大神たちに服ひ奉り、斎き奉れる明き浄き真心の任に、豊けく向栄になし幸はへ給へと、恐み恐みも白す

〇埋井祭祝詞

これの某所の広庭をうまし所と斎ひ定めて、注連引きもとほし厳の神籬に招き奉り、坐せ奉る掛けまくも畏き産土大神、弥都波能売神の御前に斎主恐み恐みも白さく、皇神等の高き尊き恩頼に依りて、青人草の生活に欠きてはあらぬ清き甘き水を、長き歳月、多に豊かに授け給ふを喜び嬉しみ奉りてあれど、此度この所に常の家居建て設けむとするがゆゑに、恐かれど埋め奉り、戻し奉ることとはなりにけり。故、謝びの御祭仕へ奉ると御食・御酒に種種の味物添へ献奉りて御前に拝み奉り、事の由告げ奉る状を、皇神等の御心に平らけく安らけく聞し食して、いささかも猛び給ひ、荒ぶることなく、この所よりは移り出で坐して、工事に関ふ者に過ち犯すことのあらむをば神直日・大直日に見直し、聞き直し坐せと恐み恐みも白す

〇新年家祈祷祝詞

此の神床に斎き仕へ奉る皇神等の御前に恐み恐みも白さく、新玉の初春の今日の吉き日、吉き辰に、是の某家の諸人、御前に参集ひて、柏手の音のたしたしに拝み奉る状を平らけく安らけく諾ひ聞し食して、今ゆ往先、皇神等の奇しく妙なる恩頼以ちて、此の年をも吉き年の甘し年と成し幸はへ給ひ、堅磐に常磐に命長く、子孫の八十続に至る迄、いかし八桑枝の如く立ち栄えしめ給ひ、咎・過ち在らむをば、神直日・大直日に見直し、聞き直し坐して、夜の守・日の守に守り恵み幸はへ給へと、恐み恐みも白す

〇山神祭祝詞

神風の伊勢の国拆鈴五十鈴の川上に鎮り坐す掛けまくも綾に畏き天照大御神を始め奉り、此の里の産土神と持ち斎き奉る吾が大神等、四方八方の高山低山を遍くうしはき給ふ大山積大神を遥かに拝み奉りて恐み恐みも白さく、是の某社の諸人が常にも蒙り奉る皇神等の御恵験く灼然にして、足引の山に入りては各も各も喪無く事無く、手にて為す業に手の躓無く、足にて為す業に足の躓無く在らしめ給ひ、世の為、人の為と勤はき務むる是の生業を助け給ひ輔ひ給ふを尊み辱み奉りて、山の神の御祭の日と御縁深き今日の生日の足日に御前に参集ひて、振るや大麻の音もさやさやに清清しく祓へ清め、礼代の幣帛と御食御酒種種の味物を置き足らはして、玉串の執執に捧げ奉り拝み奉らくを御心に平けく安けく聞し食して、今ゆ往先弥益益に皇神等の御霊幸へ坐して、堅磐に常磐に守り幸はへ給へと恐み恐みも白す

神祭文 物部氏祝詞篇[鎮魂・人体・寿福・人事を主とする祝詞]

勧請

〇新設重機入魂祭祝詞

初夏の山川の清き明きを見遥かすこの処を今日の御祭の斎庭と種種設け備へて、厳の神籬仕へ奉りて、招き奉り坐せ奉る掛けまくも畏き産土大神、祓戸大神のうづの御前に恐み恐みも白さく、日に異に蒙り奉る大神等の広き厚き御恵を嬉しみ奉り、辱み奉る【組合名】の諸人、世のため、人のためと弥益益に生業張り広めむと思ひ計りて、新たにこれのコンバインを贖ひ求むるがゆゑに、今日の生日の足日の朝日の豊栄昇に、祓の神業仕へ奉らまくと、御食・御酒、種種の物を献奉り、玉串捧げ奉りて拝み奉らくを、御心に平けく安けく聞し食して、今ゆ往先、弥遠永に厳の神霊幸へ坐して、操る者は常にも心締り、緩びなく、手の躓・足の躓なく、諸の障りあらしめ給はず、堅磐に常磐に護り幸はへ坐せと、恐み恐みも白す

祈祷

〇安産祈願祭祝詞 

挂まくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、常にも蒙奉る大神等の高き尊き御恵を仰奉り、称へ奉る御氏子(崇敬者)にして、某所に住まひて某年某月某日に生れ出でしより此の年某歳の齢を数ふる姓名い、吾が産土大神の奇しく妙なる御魂頒り給ふに依りて、此度身籠りぬれば安く穏に産ましめむ事を乞祈み奉るが故に、今日の生日の足日に大前に参来詣でて、礼代の幣帛献奉り、玉串捧奉りて拝み奉る状を御心に愛ぐし面向しと聞し食して、今ゆ往先願主の身も心も健やかに撫で給ひ恵み給ひて、月満ち日足らひ子産む時に臨みてはいともきらきらしき玉の子をば授け給ひ、初声高らに朗らに健やかなる子と成し幸はへ給へと、恐み恐みも白す

〇病気平癒祈願祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、日に異に蒙り奉る大神等の御恵を仰ぎ奉り、称へ奉る御氏子にして[住所]に住まへる[氏名]い、やがて病の状を知るべき試のまさやかにならむとすれば、よき徴、うまき兆あれとひたすらに望めるが故に、今日の生日の足日の朝日の豊栄昇に妻をつかはしめ、大前に御恵乞ひ祈み奉り、玉串捧げ奉りて拝み奉る状を、御心に平らけく安らけく聞し食して、これの病の状をば朝の御霧・夕の御霧の朝風・夕風の吹き払ふことの如く払ひ退けやり給ひて、疾く速やけく本つ健やかなる姿に立ち返らしめ給ふべく、夜の守・日の守りに守り恵み幸はへ給へと、恐み恐みも白す

〇CD作成成功祈願祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、日に異に蒙り奉る大神等の御恵を仰ぎ奉り、称へ奉る[住所]に住まへる[氏名]い、此度大神のいろと神たる素戔嗚尊の御上を歌ひ挙げ奉らむと思ひ計りて種種備へてありしが、先づは事の由告げ奉らむと恐り畏み奉りて、八十日の中に撰みし春立ち返る今日の吉日吉刻に、大前に玉串捧げ奉りて拝み奉る状を御心に平らけく安らけく聞し食して、今ゆ将来も大神等の広き厚き恩頼を弥遠永に蒙らしめ給ひ、横さの道に迷ふ事無く、惑ふ事無く、神随の御道の正道へは神導きに導き給ひ、神進めに進めしめ給ひ、願主が赤き清き真心以ちて、風の音の古き御代の神語り歌ひ挙げむをば神輔ひに輔ひ給ひ、神扶けに扶け坐せと恐み恐みも白す

人事

〇結婚奉告祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に宮司氏名い恐み恐みも白さく、高天原に神留り坐す神漏伎命、神漏美命以ちて、岐美二柱の大神みとあたはし給ひてより、これの葦原の中つ国に嫁ぎの礼業始まりしに、日に異に蒙り奉る大神等の恩頼を辱み奉りつつ、朝日の豊栄昇の御光に御垣内の桜の花花麗しく咲き匂へる今日の吉日吉辰に、恐かれど倣ひ奉りて、新郎新婦い古き例の任に着物装ひて親族家族ともどもに大前に参上りて、誓詞聞え上げ奉り、三つの盃に妹背の契交はして、礼代と献奉る御食御酒種種の物を机代に置き足らはし、玉串の執執に拝み奉る状を、大神の御心もあな清けと、面向しみ見行はして、今ゆ往先、久方の天に日月の並べるが如く、海山の相輔ふが如く、夫婦の契常永遠に、相睦び交はして幸く真幸く、家門は高殿の弥高に広庭の弥広にあらしめ、子孫の八十続栂の木の弥継継に立ち栄えしめ給へと恐み恐みも白す

〇初宮詣祝詞

挂まくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、常にも蒙奉る大神等の高き尊き御恵を仰奉り、称へ奉る御氏子(崇敬者)にして、某所に住まひて某年某月某日に生れ出でしより此の年某歳の齢を数ふる姓名い、吾が産土大神の恩頼も験く、安く穏に玉の男子・女子産ましめ給ひ、喪無く事無く日足し給ふを嬉しみ辱み奉りつつ、初宮詣仕奉らくと、今日の生日の足日に大前に参来詣でて、礼代の幣帛献奉り、玉串捧奉りて拝み奉る状を御心に愛ぐし面向しと聞し食して、今ゆ往先此の嬰児の上に病しき事無く患はしき事無く、八十禍津日の禍事無く、若竹如すすくすくと生ひ立ち栄えしめ給ふべく養し給ひ育み給へと、恐み恐みも白す

〇七五三詣祝詞

挂まくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、常にも蒙奉る大神等の高き尊き御恵を仰奉り、称へ奉る御氏子(崇敬者)にして、某所に住まひて某年某月某日に生れ出でしより此の年某歳の齢を数ふる姓名い、吾が産土大神の恩頼も験く、喪無く事無く日足し給ひて、此度三歳・五歳・七歳の齢を言寿ぐ言成りぬるを嬉しみ辱み奉りて、今日の生日の足日に大前に参来詣でて、礼代の幣帛献奉り、玉串捧奉りて拝み奉る状を御心に愛ぐし面向しと聞し食して、今も往先も此の嬰児の上を撫で給ひ、恵み給ひて、八十禍津日の禍事無く、心真直に智深く、すくすくと生ひ立ち栄えて甚良き国民と成し幸はへ給へと、恐み恐みも白す

〇学力試験合格祈願祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、[住所]に住まへる[氏名]い、日に異に蒙り奉る大神等の御恵を仰ぎ奉り、敬ひ奉りつつ、学びの業に勤しみ励みて在りしが、試しの時の近く成りにければ、弥益益に大神等の大御稜威を仰がしめ給へと、八十日の中に撰みし今日の生日の足日に、大前に参出で、玉串を捧げ奉りて拝み奉る状を、平らけく安らけく聞し食して、明き清き心の只一筋に、学びの道に弥進めに進め、弥励みに励ましめ給ひ、試しの日に当たりては諸の障無く、些かも手の躓・足の躓、在らしめ給はず、漏れ落ちむ事の在らば、相導き、相助け給へと、恐み恐みも白す

〇学業成就祈願祭祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、[住所]に住める[氏名]い、常にも戴き奉る大神等の御神徳を慕ひ奉りつつ、学びの道に勤しみ励み来しが、此度、弥益益に大神等の厳の御霊幸へ坐せと乞ひ祈み奉ると、大前に参来て、礼代の幣帛献奉りて拝み奉る状を、平らけく安らけく聞し食して、今ゆ往先、明き真心の一筋に、鍛へ培ひ来し学びの力、弥進めに進め、弥励みに励ましめ給ひ、努め締まりし学びの業をば隈米の隈無く援け給ひ、軈ては世の為、人の為に尽くさむ良き国民と教へ導き給へと、恐み恐みも白す

霊祭文 霊魂祭祀を主とする祭祀

慰霊

〇獣魂祭祝詞

この碑に招き奉り坐せ奉る、牛豚を初めて鶏獣諸の御霊の御前に謹み敬ひも白さく、千早振神代の昔、恐き保食神の口より毛の麁、毛の柔出でて、頂に牛馬成りきと語り継ぎ言ひ継がひけり。されば汝御身は神の御量に依りて、汝御魂は奇しく妙なる御産霊に依れる物なり。尊き犠牲と己が身を捧げて、人の命の糧と成りしは甚じくも高き功績にこそあれ。故、今日の生日の夕日の降に御前に関係者等参集はりて、御食御酒種種の味物を献奉り、謝び辱み奉りつつ御霊和めの御祭仕へ奉らくを平けく安けく享け給ひて、今ゆ往先も、些かも御霊荒ぶことなく、踈び荒ぶることなく、奇しく尊き御産霊の神の広き厚き御恵の蔭に隠ろひ、千代常永遠に穏しく鎮り居坐して、一年に一度仕へ奉るこれの御祭に漏れ落ちむことあらば、見許し給ひ、免し給へと謹み敬ひも白す

〇某社創立記念並獣魂慰霊祭

この神床に坐せ奉り、仕へ奉れる挂巻も畏き天照大御神、相内神社の大神たちのうづの御前に恐み恐みも白さく、常にも蒙り奉る大神たちの高き尊き御恵を、仰ぎ奉り、称へ奉り、広き厚き恩頼を嬉しみ奉り、辱み奉るこれの【会社名】の諸人、斯が生業を起こしし今日の某月某日の生日の足日に、報賽の御祭修め奉ると弥益に弥遠に御霊幸へ坐せと乞ひ祈み奉らむと思ひ計りて、御食・御酒を初めて、心尽くしの種種の味物を相調へ、相献奉りて、玉串をも捧げ奉りて拝み奉る状を、平けく安けく聞し食して、今も往先も世の為・人の為と勤き務むるこれの生業を見許し、免し給ひ、例ひ荒び暴ぶる御魂の咎祟りありとも、神祓へに祓へ給ひ、神退けに退け却り坐して、各も各も聊かの手の躓・足の躓、また諸諸の障りもあらしめ給はず、大神たちに服ひ奉り、斎き奉れる明き浄き真心の任に、豊けく向栄に成し幸はへ給へと恐み恐みも白す

〇鎖塚慰霊遥拝式祝詞

掛けまくも畏き相内神社の大前に恐み恐みも白さく、大神等の御垣内よりは東の方に祀られたる鎖塚とて、明治の大御代の中つ頃に、旭川より網走までの道作りに携はりし役の者の記とある塚のことの行き立てをば願主が深く厚く、うら刻みに刻み、うら悲しに悲しく思ひて、これの役とありし者の御魂安かれ、幸くあれと謝び尊び奉るがゆゑに、大神等の御慈以て、神教へに教へ神導きに導き給へと乞ひ願ぎ奉らくと、礼代の幣帛献奉り、大前に鵜じもの頸根衝き抜きて、拝み奉る状をめぐしおむがしと見そなはして、願主が赤き真心を嘉し給ひて、全く速やけく願ふところを顕はし給へと恐み恐みも白す

〇納棺祭祭詞

この処に据ゑ奉り坐せ奉る某主の御柩の御前に、慎み敬ひも白さく、先に親族家族等、枕辺近くに侍りて、あたかも古の式がごと御名を呼び奉りしかど、一言も答へだにし給はざりき。あはれ帰り来坐さぬ道になも立ち給はむと、落つる涙もせきあへず、村肝の心もわりなきまにまに仕へ奉る状をば平らけく見そなはせ。そも現身の人の世の終りは、父母の力にも留めあへず、子孫等の心にも任せ得ぬ物にしあれば、いかにとかせむ。悲しむとも嘆くとも甲斐はあらず、慨しとも憤ろしとも言はむ術なし。こは神の御心にしあれば、よく明らめ弁へ給ひ、種種の御饌物を設け供ふるをも聞し食して、さらに仕へ奉る明日よりの御祭をも穏に承け給へと、慎み敬ひも白す

〇遷霊祭祭詞

あはれ某い、某年某月某日てふ日にこの現世を罷り去り坐しぬることは、いといと惜しけく悔しけれども、現身に命の限あるは神の掟て給へることなれば術なし。かれ、今し家族・親族ら、さてしもあらねばとて、朝な夕なに御饌つ物を献奉りて、斎き奉るは白すも更なり、御前に打ち集ひて古き物語などせむ、御蹟を慕ひ奉らむとして、請ふがままに、をぢなき身にはあれど斎主、汝が御霊を此の霊璽に遷し奉り、鎮め奉らむとするを穏に承け給ひて、本つ御魂は幽世の神の御許に帰り坐しつつも、この霊璽には奇しき御霊を留め給ひ、今ゆ往先、弥遠永にこれの某の家を目守り給へと慎み敬ひも白す

〇通夜祭祭詞

挂けまくも綾に悲しき某命の御霊の御前に慎み敬ひも白さく、幽世は静けくやあらむ、はや汝命の御霊鎮り坐して、もの騒がしう思し召さむやと畏み恐るれど、我どちの習ひのことと免し給ひ、許し給ひて、しましがほど斎主がをぢなき詞を聞き分き給へと白す。もし御霊の帰り来坐さむものにしあらば、今し遷し奉りし御霊代よりいといと速やけく本つところに返し給へ。和魂・荒魂、天翔り・国翔りにとくとく速やけく戻り給へ。さにあらずは、わりなき思ひに沈みたる我どちにはあれど、御食・御酒、種種の味物をば献奉らむ。玉串に涙を添へて奉らむ。遥けきかなや、某命。幽けきかなや、汝命。幽世は静けくあらむや。早くも惜しくも汝命の鎮り坐して、あな騒騒しと思ひ給はむかと恐り畏み、今宵の斎主の言の葉の拙き言の葉をば平けく安けく、御心穏に聞し食せと、慎み敬ひも白す

〇葬場祭祭詞

言ふも哀しく偲べば嘆かはしき某翁命の御霊の御前に謹み敬ひて白さく、汝命はや昭和某年某月某日某県某郡に某主の六人の内の真名子と生まれ出で給ひてより、志堅らに強く、情深く広く坐して、人と成りては負ひ持つ業と只管に匠の業に勤しみ励み、玉鉾の道を整ふる術に長けて、瑞垣の久しき年月勤め挙げ給ひき。昭和某年某月某日某媼命を嫡妻と迎へ給ひてより、某君、某君、某君三人の御子に恵まれ給ひ、撫で給ひ、育し給へば各も各も立ち栄えて、かたや広く厚く家内省み給ひつつ、某媼命の弱り給ひしよりは住まふ処の異とはなれば、徒歩より日毎日毎に通ひ給ひしものを。夫婦の絆の強きを思はざるはなかりけり。かく過し給ふ中に妹の君と死に別れし哀しみはあれども、匠事に魚釣りにと楽しみ多く、別きても五人の御孫、一人の曽孫さへに恵まれ給ひて、千代万代に健けく坐して鶴の寿亀の齢と頼めりしものを、如何なる禍神の仕業にや在りけむ、是の年の春立つ頃より御身ややややに弱らせ給ひて、某病院に薬師看護の業を種種試み給ひしかど験なくて、某月某日の亥の刻に百足らず八十の隈路に出で立ち坐しき。哀しとも哀しき極みにはあれど、今わの際に息子娘の立ち会ふを得るはせめて心慰むる事にはあらずや。故、今式のまにまに斎き奉り、鎮め奉らまくと八十玉串に白露の涙を添へて御霊鎮まり坐せと乞ひ祈み奉る状を面向しみ見行はせと、謹み敬ひて白す

〇発柩祭並びに火葬祭祭詞

掛けて白さくも悲しき何某命の御柩の御前に慎み敬ひも乞ひ祈み奉らくは、汝命身罷りてより此方、神職、事取り図りて礼業仕へ奉り来たり、親族・家族、また知り人、友垣ら今なほこれの斎庭に集はり侍りて名残を惜しみてあれど、哀しやな、いつまでもかくてあるべきやうもなく、はや式のまにまに火葬の業をば仕へ奉るべきときとはなりぬ。かれ、永の別れと心を籠めて、喪主の捧げ奉る玉串を穏に受け給へ。さてしも人の世ばかり、はかなく悲しきものはあらざりけり。されど現身の人とある身は、たまきはる命長きも短きも、ただ神の御心のままなれば、畏み思ひ定め給ひ、出で坐さむ道の八十隈、恙むことなく障ることなく、後ろも安く罷り坐せと、慎み敬ひも乞ひ祈み奉らくと白す

〇帰家祭祭詞

某媼命の御霊の御前に白さく、汝命はや、百年の齢を重ねて世の長人と名に負ひ坐さむことを願ぎ奉りしに、ゆくりなくも百足らず八十の隈路と遥けき幽世に罷り坐すは憂たしとも憤ろしとも言はむ術なく、せむ術知らに、親族家族は心も虚ろに悲しみ惑ひ、日は終日、夜は夜すがらに悔しみ惜しみつつ顕し世の例と仕へ奉る神葬の礼業も疾く事竟へぬれば、御食御酒を初めて、種々の味物取り備へ御前に拝み奉る状を平けく安けく聞し食して、畏き産土の大神の御謀に依りて、和魂荒魂は神の御許に仕へ奉り、幸魂は家の守り神と鎮り坐して、各も各も向栄に栄えしめ給ひて、時時の御祭をも絶ゆることなく怠ることなく美はしく仕へ奉らしめ給へと謹み敬ひて白す

〇埋葬祭祝詞

掛けまくも畏き某命の御霊のうづの御前に慎み敬ひも白さく、口惜しくも哀しきかなや、某月某日と云ふ日に、【年齢】歳を一世の限りと汝命の幽れ坐ししより、あはれ歳月は水のごとくに流れ流れて、はや百日とはなりぬれば、名残惜しくはあれど、いつまでもかくてはあらじと、これの奥津城に御遺骸をば収め奉らむと、御前に御食御酒献奉りて拝み奉る状を、愛ぐしうむがしと信ひ給ひて、今ゆ往先、山川の清き明きを見はるかすこの奥津城に、安く穏ひに鎮り坐して、子孫を初めて親族家族に至るまで守り幸はへ給ふべく、見守り神と神備りに備り坐せと恐み恐みも白す

〇御魂鎮詞

諸の天神に服ひ奉り、坐しと坐す地祇を敬ひ奉り給へかし。高天原に事始め給ひし神漏岐命、神漏美命以ちて、神世七代の最後に成り出で坐しし岐美二柱の大神等、女男の理、夫婦の道をば神始めに始め給ひ、神開きに開き給ひき。かく始め給ひて、生み給ふ島は十四島、為し給ふ神は三十五神を数ふるに、女の御神はや、火神にみほと焼かえて神去り坐しき。かく神去り坐ししより、顕しき蒼人草の上にも、身罷るといふ事始まりけむを、神の御身だにかくし在れば、まして人の身にては止めあへぬ事にこそ。なづきの田の稲幹に葡ひ廻ろふ野老蔓の如く嘆かひ慕ひ奉れど、空は行かず、足よ行く我どちの習ひ、陸行かば浅小篠原に腰なづみ、海処行かば、藻菜にいさよひ、汀行かば、浜よに惑ひていといと辛し。高幡・広幡掲げ、御名をば呼ばひて御魂の還り坐さむを乞ひ祈み、好み給ふ種種の食物据ゑ奉るとも、父母、子の口に御食を含ます能はず、子は父母の声だに聞くを得ず。夫は妻の御魂を戻し得ず、妻は夫の御魂をえ還さず。あな、あはれ、一度身罷れば、親族の情以ちて御魂還さむ術無きものを。家族の慈以ちて、顕し世に命戻さむ手立て無きを。かくて戻らぬ御魂はも、よしや時を同じくすといへども、二つ三つ、四つ五つ、いなとよ、いづくにても坐すものにしあれば、大科津の疾風、稚科津の疾風に乗りて、高天原に参到り、双無き神にまみえ給はむ。海の原、綾波敷波の秀を踏みて、常世辺に着き給ひ、ゆたに穏に坐し坐さむ。或は天の狭霧、国の狭霧に紛れて根の国底の国に迷ひ給ひ、百の蛇、八十の百足に困じ坐さむ。天の闇戸、国の闇戸に紛れて大戸惑に戸惑ひ給ひ、夜見の醜めき汚き国に至りて、慨み嘆き坐さむ。遥けきかなや、汝命の御魂はも。谷蟆のさ渡る極み、塩泡の留まる限りとも、青雲の棚引く極み、白雲の向伏す限りとも、その彼方に坐すらむと思へど、なほ魂招きに招き奉り、坐せ奉る瑞の霊璽にも憑り給はむ。住み慣れ給ひし家をば見晴るかす偲はしき高山、愛しき低山に坐して、今はや親族家族を、まさかに見守り給はむ。右は左ならず、左は右ならず。元は元、本は本に異らずと。暗く辛き処よりは、清き明き処に依らせ給はば、右は右、左は左たらむ。いまだ荒き御魂の御為に良かれ、幸く清しく坐せと修め奉る、時時の御祭受け給はば、元は元、本は本たらむ。かるが故に、今ここに、汝命の御魂鎮め奉らむとす。をぢなけれども斎主、慎み慎みも白す

〇十日祭祭詞

これの小床に坐せ奉り鎮め奉る某命の御霊の御前に相内神社宮司氏名い謹み敬ひて白さく、あはれ汝命はや、昨日今日までも子孫らを慈しみ愛ほしみ給ひて、身は安らかに心穏ひしく暮らし坐すを玉剋命に限りありて神の御心の儘なるは疑なき物にはあれど、なほ永らへて空蝉の世の面白きことも見坐せ、御心も慰め坐せと乞ひ願ぎし甲斐もあらず、夢に夢見しことのごとく、今も坐すものとあらぬ御姿偲びつつ、還り来ませと待つほどに、あはれあはれ行きて還らぬ川の水のごとくに時は過ぎ行きて、今日しも十日を数ふることとはなりぬ。故、親族家族打ち集ひて御祭仕へ奉らむと、御食御酒を初めて真澄の鏡なす餅、鮮けき物と尾鰭の真魚咋、種種の菜草取り揃へ供へ奉り、玉串の取り取りに偲ぶ心の丈を尽くして拝み奉る状を、あな愛しと思し召し、御心晴け給ひて、高天の神の朝廷とも、常世の清き明き汀とも何処方に坐すとも御霊永久に鎮め坐して、某命と相睦び、相輔ひ合ひて、子孫諸の上を守り恵み幸はへ給へと謹み敬ひて白す

〇二十日祭祭詞

あはれ某翁命の御霊の御前に白さく、御病の状変りてより親族家族は心も虚ろに驚き惑ひ、若竹に吹く朝風の騒ぎ立てて、やがて玉の緒の絶え坐しぬれば、為む術知らに、雲居行く山子規泣き哀しめども甲斐はあらず、御葬の礼業治め奉り、ありし日を偲び、心寂しみ語らふほどに十日を過ぎて、今日しも早二十日とはなりにけり。故、家族親族御前に参侍りて、御食と和稲、御酒は𤭖のへ高知り、𤭖の腹満て並べて、見明らむる物と真澄の鏡如す餅、尾鰭の真魚咋、野に生ふる物と甘菜・辛菜、天の忍穂井の水に時の花をも折り添へて、玉串のとりどりに白露の涙とともに捧げ奉り、拝み奉りて御霊和め奉らくを御心穏ひしく受け給ひて、今ゆ往先も御霊安らけく永久に鎮め坐して、現し世に坐しし時の如く、汝命の子孫を初めて諸の親族家族に至るまで、相輔ひ、相助け給ひて、某媼命と諸共に、夜は夜の守り、日は日の守りに守り恵み幸はへ給へと、斎主島つ鳥頸傾しつつ恐み恐みも白す

〇三十日祭祭詞

これの相内神社の祖霊殿を今日の御祭の斎庭と、絵姿掲げ、御霊代に深雪なす御亡骸をも据ゑ奉りて仕へ奉る、某翁命の御霊の御前に宮司氏名い、謹み敬いも白さく、あはれ汝命の身罷り給ひてより、親族家族等朝に夕に心寂しみ、悲しみ更に止まず、ありし日の事ども思ひ出でつつ、片時も忘れず一向に慕ひ奉りてあるほどに早三十日とはなりにけり。故、我どちの現し世の習と式のまにまに御食御酒を初めて、心尽くしの種種の味物を献奉り、時の花をも御前に飾り奉りて、玉串捧げ奉り拝み奉る状を、面わ笑ぎ、御心穏に見そなはして、常世の御霊、黄泉の御霊、根の片洲国の御霊、いづこの御霊も平けく永遠に鎮り坐して、和御霊とも幸御霊とも神備りに神備り給ひ、汝命の子孫を初めて諸の親族家族に至るまで、某媼命と諸共に、ぬばたまの夜は夜の守り、あかねさす日は日の守りに守り恵み幸はへ給へと、謹み敬ひも白す

〇四十日祭祭詞

これの小床に坐せ奉り、鎮め奉れる某媼命の御霊の御前に謹み敬ひて白さく、哀れ汝命や、一月が程前までは子孫等を慈しみ愛ほしみ給ひて、世の遠人、世の長人と慕はれ敬まれしに、今は家内に現身の坐さねば語らはむ術もなく、子孫等の仕へ奉らむ由もなし。人の身に齢の長き短きあれど、今五年、十年と永らへ、世の面白きこと楽しきことを見給ひ、慰め坐せと、乞ひ願ぎしにゆくりなくも身罷り坐せば、朝に語らひ、夕に歎かふうちに、月日を止めむ関守なく、行く水の流るるがごとくして、汝命の身罷り坐ししより、十日二十日と過ぎて、いつしか令和六年と年も改まりて、今日しも四十日の御祭仕へ奉ることとはなりぬ。故、親族家族参集ひて、御食御酒を初め種種の味物に、汝命の好み給ふ菓子に至るまで取り揃へ供へ奉りて、玉串の取取に偲ぶ心の丈を尽くして拝み奉ることの状を、あなあはれ、あな面向しと見そなはして、御心慰め御晴け給へと恐み恐みも白す

〇五十日祭祭詞

この処をしましの御座所と坐せ奉り、斎き奉り来れる掛けて申さくも偲はしき某命の御霊の瑞の御前に、謹み敬ひも白さく、ゆくりなくも汝命の身罷り給ひしより凍てつく夜を、深雪降り積む昼を五十日数へて、ややややに雪消え、草木萌え初め、陽炎の春近き今日を生日の足日と撰み定めて、いささかなりと汝命の御霊をば相鎮め、相和め奉り、仮の御霊床よりは、これの御霊代に霊招ぎに招ぎ奉り、遷し鎮め奉らくと、親族・家族・子孫ら参集ひて、御前に御燈灯して、御食・御酒、種種の物を心尽くしと献奉り、玉串をも捧げ奉りて拝み仕へ奉る状を、平けく安けく聞し食して、山川の浄き明きを見遥す吉き処の甘き処よりは、子孫らの上を見行はし導き坐して、高き尊き御教の任に、負ひ持つ業に勤しみ励ましめ給ひ、家の御栄を高殿の弥高に、広庭の弥広に幸はへ給ひ、子孫の八十続に至るまで、厳し八桑枝のごとく立ち栄えしめ給へと、謹み敬ひて白す

辞別きて、某命の御霊の御前に白さく、汝命の身罷り坐ししより某年を数ふるがゆゑに、時の花をも種々折り添へ、玉串をも捧げ奉りて拝み奉る状を相うづなひ坐して、現し世に居坐ししときのごとく、某命と妹背相諸共に親族・家族の上を夜の守り・日の守りに守り恵み幸はへ給へと白す

〇百日祭祭詞

これの相内神社の祖霊殿の御前を今日の御祭の斎庭と斎ひ定めて、霊璽据ゑ奉り、絵姿掲げ奉る、掛けまくも懐かしき某翁命の御霊の御前に宮司氏名い、恐み恐みも白さく、高天の神庭に居坐せる御霊、常世辺の清き渚に居坐せる御霊、親族家族の上を見守り給ふ御霊、諸の汝御霊のゆりゆりと寄り来坐して、かくなも御祭修め奉る状を穏に見そなはし、受け給へかしと白す

御霊安く坐せ、幸く坐せと乞ひ祈み奉る子孫裔ら御前に参集ひ、在りし日々を偲びつつ、時の花をば飾り設けて、御食御酒種種の味物を献奉らくを聞し食せと白す

玉串の執り執りに拝み奉り、現世に居坐ししときのごとく某媼命と相睦び、相並び坐して、是の甘南備の緑の日増しに色濃く、青鷺の子の親慕ふ声のしみみに響す今日の生日の足日の百日の御祭をば、御心に平けく聞し食せと、恐み恐みも白す

式年

〇一年祭祝詞

これの某家の奥処を常の御坐所と日に異に仕へ奉れる言はまくも貴き某媼命の御前に慎み敬ひて白さく、あはれ汝命はも、去にし令和某年某月某日と云ふ日にこの顕世を去り坐ししより早一年を数ふれば、常世辺に鎮り坐さむ御霊、幽世の神の御列に連なり坐さむ御霊と知る我どちにはあれど、なほこれの斎庭へはゆりゆりと寄り来給へかしと白す。親族家族等所も狭に蹲踞り侍りて、心尽くしの御食御酒に種種の味物を置き足らはし、時の花をも折り添へて、御前に拝み奉り、神の真道の正道を只一筋に歩み給ひし汝命なれど、なほも神備りに備り坐せと乞ひ祈み奉る我どちの状を、願はくは詳らに甘らに見そなはして、親族家族の互ひに和み睦びつつ、浦安く転楽しくあらしめ給ひ、子孫の各も各も八十続に至るまで守り幸はへ給ひて、時時の御祭をも麗しく仕へ奉らしめ給へと慎み敬ひて白す

〇五年祭祝詞

蓋し聞く、総て御霊なる物の縦や時を同じくすと云へども何処にても坐し坐すと、故今し常世辺の甘き清しき境よりは緩緩と出で来坐して、今し御霊憑り坐さむを疑無き物と思ひ構へて、御祭修め奉らむとす、某命と御名を称へ奉り、今宵の斎主の拙き言の葉をば聞き給へかしと白す 春の花散り、秋の最中も過ぎて山紅葉の色の移ろふに将と目を留むれば、早汝命の身罷り坐しし某月某日とは成りにけり、顕し世の事の繁く徒に我どちの齢を重ぬと白さむのみ、省すれば最後に目見えし五年前、既に患ひ給ひしかば、面輪の窶れ笑まひすら虚なりき、されど押して我どちの許に来給ひて、小樽に海の魚遊び、獣の戯るるを見給ひ、青き硝子の器を愛でて贖ひ求め給ひき、豊滝に梟の羽・狐の背を撫で、中山峠に後方羊蹄山を見遥かし坐しき、帰り給はむ朝には汝命の姪の作りし食物を美味しと宣ひし物を、かく思ひ出づる事の彼是眼交に係り止まぬは、今宵又心尽と誂へ奉る御饌つ物に、好み給ひし秋鮭を初めて時じくの海の魚に至る迄調へ奉る鮨をも添へ奉り、神備りに備り給ひ、神栄えに栄え坐して、愈穏に鎮り居坐せと願ぎ奉りて、懼無くも仕へ奉る国つ御祭を、憐び見給ひ微笑み亨け給へかし、汝命の姪の上を弥益に守り幸はへ給へと白す

〇十年祭祝詞

挂けて申さまくも偲はしき某命の御霊の御前に慎しみ敬ひ、恐み恐みて白さく、汝命の身罷坐ししより早十年の日月は巡らひ、大御代の御名の令和と改まりし是の冬はも、藻岩・仁頃に深雪無く根雪も未だし。斯く有りて年越の準備に急ぎつつも、某月某日はも平成某年と云ふ年、[年齢]歳を一期と為て、汝命の神去りに神去り坐しし日にし有れば、先立つ今日の生日の吉日吉辰に、是の相内神社の祖霊殿の御前に親族・家族参集ひ、うづの霊璽を据ゑ坐せ奉り、御食・御酒、種種の味物を献奉り、色彩豊けく鮮やかに瑞の花花をも撰み添へ奉りて、玉串をも捧げ奉りて拝み仕へ奉る状を、汝命の御心に平けく安けく聞し食し諾ひ給ひて、今ゆ往先も恐けれど幽世の大神の教へ導き給ふ任に、御魂静けく穏ひに鎮り坐して、縦や時時の御祭に漏れ落ちむ事の在らむをば見直し聞き直し坐して、子孫の八十続に至る迄、堅磐に常磐に守り幸はへ給へと、慎しみ敬ひて白す

〇十三年祭祝詞

この祖霊舎に鎮り坐す掛けまくも畏き某命の御霊の御前に慎み敬ひも白さく、汝命はや、某年某月某日と云ふ日に是の現世に生まで出でしより此方、御性質忠実にして直く正しく坐して、世の遠人、国の長人と遍く人の頼めりしものを、某年某月某日、某歳を一期として神去り坐ししはいとも慨く、口惜しき極みにあれど、時時に御祭仕へ奉り来たりて、はた指折り数ふれば今日しも早十三年とはなりにけるに、御食御酒種種の味物を礼代と献奉り、季節の花をも折り添へて拝み奉る状をめぐし面向しと見そなわして、今も往先も御霊安く、幸く真幸く、弥益益に神備りに備り坐して、これの某の家の家門高く広く、子孫の八十続五十橿の如く立ち栄えて、各も各も身は健やけく心は穏ひしく、夜は夜の守、日は日の守に守り幸はへ給へと謹み敬ひて白す

〇十五年祭祝詞

これの霊床に斎き奉り仕へ奉れる綾に尊き某命、又某命の御霊の御前に慎み敬ひて白さく、行く水の過ぎ行くままに日を重ね月を重ね、咲く花の移らふままに賤の小田巻繰り返し、はたと膝打ち指折り数ふれば十五年とは成りぬ。いとど早しとや云はむ、あさましとや云はむ。

汝命等はも、平成某年某月某日と云ふ日にゆくりなくも身罷り坐ししものから、日毎に御前に額づき、月毎に時の花をば折り添へ飾りて、年毎に種種設け備へて御祭修め奉り来たり、今しも十五年の御霊祭り仕へ奉らむと、御前に御食・御酒、種々の味物に好み給ひし物をも添へ献奉り、汝命等の現世に居坐ししほどは、世の為・人の為と生業に勤しみ励み、或は学びの業に努め締りて、澪標心を尽くし給ひしものをと慕ひに慕ひ、偲びに偲びつつ拝み奉る状を、うら安く、うら楽しく受け給ひて、今も将来も常世辺の清き汀、里山の明き山際に御魂穏に神鎮めに鎮め、神備りに備り坐して、これの某家の家門は高殿の高く、広庭の広らに赫かしめ給ひ、子孫のうまはりつつ時時の御祭をも厳しく麗しく仕へ奉らしめ給へと、慎み敬ひも白す