会場:
日本大学 理工学部 駿河台校舎 1号館2階121会議室
(対面形式ならびにZOOMによるオンラインにより開催)
日時:
2026年1月16日(金)
9:00~9:10 開会挨拶 日本海洋工学会会長 山﨑哲生(資源・素材学会)
JAMSTEC 中西賞受賞特別講演
9:10~9:35 土木学会 田﨑拓海
9:35~10:00 日本水産工学会 松下吉樹
10:00~10:25 日本沿岸域学会 安田誠宏
10:25~10:50 海洋音響学会 Ravega Rullianov Ruben
第55回海洋工学パネル
10:50~11:00 企画趣旨説明
日本大学 教授 居駒知樹
海洋空間計画は2000年代初頭から欧州を中心に海域管理・利用のために導入されてきたものである。海洋空間計画の概念やその実質的な目的,さらにはその実行過程や方法論については日本での理解は十分ではない。本パネルでは海洋空間計画の意味や意義を,国際的な状況を踏まえて理解を促す。そのために,海洋空間計画の事例を紹介するとともに,海外と日本との実情の違いを示す。そのうえで,日本においてもEEZを含む今後の海域利用や環境保護のために海洋空間計画が重要であること,そしてその実例をつくっていくことがいかに重要であるかを議論する場とする。
11:00~11:45 再エネ海域利用法と海洋空間計画-法的視点から見た海洋利用の密度と計画制度
横浜国立大学 / 放送大学 名誉教授 來生 新
利害調整のメカニズムとして見た計画制度(海洋空間計画を含む)と再エネ海域利用法のアプローチを比較検討する。
11:45~12:30 国際法からみた海洋空間計画の必要性:BBNJ協定の発行を目前に控えて
中部大学国際関係学部 教授 加々美康彦
海域における人間活動の空間的、時間的配分を行うプロセスである海洋空間利用計画(MSP)を、国際法の観点から検討する。沿岸国の主権等が及ぶ領海や排他的経済水域と、主権の及ばない国家管轄権外区域(ABNJ)-公海と深海底-では、MSPのアプローチは大きく異なる。特にABNJでは漁業や採鉱などセクター別管理が顕著で、横断的調整が課題となる。いよいよ発効する国連公海等生物多様性協定(BBNJ協定)がこの状況をどう補い得るかも検討する。
12:30~13:40 昼休憩
13:40~14:25 海洋空間計画の国際動向-ユネスコ政府間海洋学委員会の取組み―
東京大学総長特使(「国連海洋科学の10年」担当)、ユネスコ政府間海洋学委員会議長 道田 豊
海洋空間計画については、2000年代に入って欧州諸国を中心にその概念設計などが進んできたが、国際的にはユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)が2006年に国際ワークショップを開催したことを機に本格的な取り組みが始まった。その成果文書としてガイドライン「Marine Spatial Planning -A Step-by-S Approach-」が刊行された。わが国ではなかなか海洋空間計画に関する議論等が進まない中、国際的にはIOC等を中心として構築が進み、2023年時点の評価では、約150のIOC加盟国のうち100か国程度において何らかの形の海洋空間計画があるとされ、2030年には世界のEEZ面積のおよそ30%を各国の海洋空間計画でカバーするという目標を掲げている。
14:25~15:10 中国海洋区間計画制度の変遷と特徴
海洋政策研究所 高翔
中国の海洋空間計画は、2002 年の海域使用管理法により海洋機能区画制度が法定化され、無秩序な海域利用の是正と環境改善が進展した。2010 年代には海島保護や主体機能区規劃などの関連法制が整備され、「主体機能区—要素別管理—機能区画」から成る多層的な計画体系が形成された。2018 年以降は自然資源部の設立を契機に国土空間計画へ統合され、陸海統合・生態重視の原則とする「多規合一」の新たな段階へ移行している。他方で、計画の実施性や柔軟性、多用途・立体利用への対応には、改善すべき課題が残されている。
15:10~15:25 休憩
15:25~16:10 太平洋の島国ニウエの海洋空間計画:取り組みの成果と課題
東海大学 教授 脇田和美
ニュージーランドの北東約2400kmの太平洋に位置する島国ニウエは、領海および排他的経済水域をカバーする海洋空間計画を策定し、海洋の持続可能な利用と保全に取り組んでいる。本発表では、現地調査により明らかになった計画策定過程に対する住民の賛否、排他的経済水域の40%を占める大規模な採捕禁止の外洋の海洋保護区への賛否と実効性の課題等を報告する。ニウエの事例から日本の海洋空間計画の今後の取り組みにおいて参考となる点を検討する。
16:10~17:00 総合討論
・講師への質疑応答
・パネルディスカッション「日本の海洋空間計画づくりをすすめるためには何が必要か」
モデレータ: 日本大学 居駒知樹
パネリスト: 講演者全員
17:00~17:05 閉会挨拶 日本海洋工学会副会長代理 久保田真一(土木学会)
17:15~19:00 意見交換会