旭川離散数学セミナー
2023年3月6日(月)
北海道教育大学旭川校
N301教室(数学第一演習室)
スケジュール
・13:00 - 14:00 辻栄 周平(北海道教育大学旭川校)
タイトル:グラフの辺順序から定まる置換について
アブストラクト:グラフの辺に対し,その頂点を入れ替えるという互換を対応させる.辺の順序を決めるごとに,対応する互換の積をその順に取ることで,置換を得ることができる.Dénes (1959) は,任意の辺順序に対し,対応する置換が full cyclic な巡回置換となることと,与えられたグラフが木であることが同値であることを示した.本講演では,対応する置換が full cyclic な巡回置換であるような辺順序をもつグラフに注目し,その特徴づけを与える.また,本研究を始めるきっかけとなった Pawlowski の彩色作用素の理論 (2022)と未解決問題についても紹介する.本研究は北海道大学の内海凌氏との共同研究に基づく.
・14:15 - 15:15 陶山 大輔(育英館大学)
タイトル: Catalan配置とShi配置の離散積分による基底構成について
アブストラクト: ルート系によって定まるCatalan配置とShi配置が自由配置であることはすでに示されているが、その導分加群の基底はいくつかのケースを除いて知られていない。本講演ではA型の(拡大)Catalan配置と(拡大)Shi配置の基底を離散積分を用いて構成する方法を紹介する。本研究は吉永正彦氏(大阪大学)との共同研究である。
・15:30 - 16:30 後藤 良彰(小樽商科大学)
タイトル:定数係数2階常差分方程式と単調性
アブストラクト:Fibonacci 数をはじめとする,定数係数2階常差分方程式の解(数列)については様々な方面から研究がなされてきた.本講演では特に,特性根が実数のときに,隣接する2項の比が特性根に収束する際の単調性について論じる.本研究は渋川元樹氏(神戸大学)との共同研究である.
・16:45 - 17:45 黒田 匡迪 (日本文理大学)
タイトル:単項GAPN関数の分類について
アブストラクト:有限体上の非線形性が高い関数として PN (Perfect nonlinear) 関数や APN (Almost PN) 関数が研究されており,標数 2 の場合に暗号理論や符号理論への応用が知られている.近年,標数 2 の APN 関数の代数的な性質を保つ奇標数への一般化である GAPN (Generalized APN) 関数が研究され始めた.これらの非線形性が高い関数を対象とした研究の目的の一つとして,分類を明らかにすることが挙げられる.単項の場合でさえ完全な分類を与えることは困難であり,いずれの関数の場合も未解決であるが,位数 p の有限体の無数の拡大体上で PN (or APN) となる単項関数の分類についてはよく知られている.本講演では,上記の性質を有する単項 GAPN 関数の分類について,これまでに得られた結果を紹介する.なお,本研究は神戸大学の三井健太郎氏との共同研究である.