■9月27日(土)は岡本 仁宏さん (309)によるWeb講演会
■司会: 城 昌克(305)
タイトル:「そもそも民主主義とは? 危機に立つ民主主義を原理的に問い直す。」
岡本 仁宏 さん
関西学院大学 名誉教授
社会福祉法人大阪ボランティア協会ボランタリズム研究所 所長
公益財団法人公益法人協会 顧問
公益財団法人助成財団センター 評議員
プロフィール
高校の時は、入学の時にハンストをしている生徒がいて、びっくりしました。その後、生徒会が崩壊の危機で「仮執行部」というのが作られ、その一員になりました。
京都大学に入ってみると、学生運動の末期症状の状態でした。いろいろあって法学部の学生自治会の委員長をしたりして、政治学を勉強したいと考えるようになり、名古屋大学の法学研究科に入って、政治学の研究者になりました。
その後、滋賀大学で政治学、関西学院大学で西洋政治思想史や政治哲学の担当で教員生活をし、2年ほど前に退職しました。教員生活の間に、阪神淡路大震災の被災を経験し、ボランティアやNPOに関心を持つようになり、第二の専門として、NPO論をするようになり、再度資格認定審査を受けてこちらの講義も担当してきました。
政治哲学とNPO論という二足の草鞋を履いて、今話題の(笑)兵庫県の知事選で広報車公開討論会をしたり、NPO関係の行政委員や法制作成に関与したり、学会会長などもしてきました。なにか定まらない人生かもしれませんが、民主主義のことを考えてきましたので、政治哲学をメインにして民主主義論をお話ししたいと思います。
講演要旨
トランプ、斎藤、右翼政党の拡大などいろいろな動向があり、また戦争のきな臭い匂いもしてきて、中国の軍事力拡大や移民問題などで日本でもナショナリズムの勢いがポピュリズムとともに強まっているように思います。ネットやSNSでの「世論」が政治を左右するようになり、社会的分裂が深くなり、公論の質が低下しているのではないかとも危惧されています。
民主主義とはそもそもどんなものなのか、ということを、政治思想の歴史と対話しながら再度考えてみたいと思っています。僕らにとって、民主主義の意味とは何でどんな価値があるのか、を問い直す機会になればと思います。皆さんのご意見を聞きながらお話するつもりです。
講演の全スライド(約100枚)は下の方にあります。そのうちから3枚を選んで、AIの力を借りて全体の流れを要約しました
司会の城さんが校歌の一節「♪ 民主の世築く礎ならん~ ♪」を口ずさんで、岡本さんの講演会はスタートしました。
テーマは 「そもそも民主主義とは?―危機に立つ民主主義を原理的に問い直す」 でした。
話の流れ
まず岡本さんは、民主主義の歴史と基本原理をふり返り、現在の社会状況の中で民主主義への信頼が揺らいでいることを示しました。ナショナリズムの高まりや分断の拡大といった課題を挙げつつ、自由・平等・自己決定権・投票権などの原理を改めて問い直す必要性を強調しました。
全体の流れとしては、「民主主義の原理」→「現況の危機」→「新しい可能性」という三段構成で展開されました。
続いて、急速に進むデジタル化やAIの登場といった大きな社会変動の中で、従来型の民主主義が限界に直面している現状を解説しました。民主主義は完成された制度ではなく、時代ごとに変化し、常に更新されてきたことを歴史的に確認しました。現在もまた「バージョンアップ」が求められているという視点が示されました。
メディアテクノロジーの変化が世界を変えようとしているという認識を前提に、それにふさわしい民主主義として集団的自己決定システムのバージョンアップを図る必要性があると、プルーラリティ という概念を紹介されました。スライドでは ⿻ のシンボルで示されています。これは多様な人や価値観が重なり合いながら共存し、意思決定を形づくる新しい民主主義の姿を指します。オードリー・タンやグレン・ワイルの議論を例に、インターネットやAIを活用した市民参加型の仕組み(Wikipediaやガブゼロ運動など)が紹介されました。
最後に、政治参加については多様考えがあり、政治参加することは倫理的義務というよりも、自ら人生を紡ぐうえで自己決定することの楽しさととらえており、そういった「変人」でありましょうと呼びかけ、講演を結びました。
講演会スライド (下にスクロールしていくか、右上アイコンでポップアップしてご覧ください)