アート×

サイエンス×

ジェンダー

2019.8.28 京都アニーズカフェ

アート×サイエンス×ジェンダー

【概要】

2018年、日本のジェンダーギャップ指数は149か国中110位でした。ジェンダーにまつわる偏見や差別は、長い時間をかけて深く根を伸ばしています。アートやサイエンスの分野も例外ではありません。本イベントでは、ジェンダー研究の今と、サイエンスとアートそれぞれの分野における現状を学び、その上で、そしてアートやサイエンスに関わる学生や若い世代が議論を通じてこの問題についての認識を深めることを目的としています。


【世話人から】

こんなにもジェンダーギャップの激しい国で生きてきたというのに、そのおかしさや異常さに気づいたのは、本や母からの教え、講義で学んだ社会学を通じてだった。そういえば政治家はみんな男性だし、偉そうな会社の管理職も学校の教授も男性が多い。これは変だ、と知っていてもふとした瞬間こういった価値観は普通の感覚として自分の中にしっかり根付いているのを感じる。私は芸大で勉強をしている。時々感じるのはアート界が紛れもなく男性優位だということだ。活躍している先生やアーティストに男性が多いものだと思っていると、私には無理かもな、といとも簡単に思ってしまう。科学の分野もそうだろう。女性の数はいつだって少ない。圧倒的に男性が優先される世界で女性はずっとずっと軋んでいるのだ。常に軋んでいるものを感じるのは難しい。しかし知ることはできる、知って、発信することはできる。そうすることで歪んだ地面の上でうまく立てずにいる人が、羽を自分からたたむのを止めたい。たたまさせない世界にしたい。私は多くのことを知りたい。知って、考えて、そうして作品を作っていきたい。

(河原雪花 京都市立芸術大学美術研究科修士課程 専門:映像制作)


サイエンスもアートも、常識や慣習にとらわれないことを良しとします。不正義で不合理な差別と偏見がこの社会に根付いているとき、サイエンスは理性と説得力をもって、アートは感性と表現力を持って、それに抗う存在であって欲しい。しかし現実には科学も芸術も、そのコミュニティの内部に問題を抱えています。サイエンスとアートの交流は様々な形で行われていますが、ジェンダーギャップ、専門家としての倫理、社会の中での立ち位置など、それぞれのコミュニティが抱える共通の課題についての知見や経験を交換するという試みは、これまであまりなかったのではないでしょうか。本研究会がサイエンスとアートの世界におけるジェンダーにまつわる問題の理解を深める一助となると共に、サイエンスやアートを志す人々の交流につながることを期待しています。

(磯部洋明 京都市立芸術大学美術学部准教授 専門:宇宙物理学)


ここ数年で最も心を揺さぶられた本は、イ・ミンギョンの『私たちにはことばが必要だ:フェミニストは黙らない』です。どんな専門書やどんな小説よりも、私の行動や信念を具体的に変えてくれました。その副題に呼応するように、6月に公開された実写映画「アラジン」でも、女性の置かれている状況が "speechless(言葉を奪われている)" という語で表現されていました。当然のように言葉が奪われている現実が、確かにあるのです。ただ、主タイトルの「私たち」という一人称複数形が示唆するように、言葉はひとりでにできあがるものではありません。誰かとの交流の中で生まれるものです。#metoo が「私も」というフレームで様々な声を引き出したように、言葉は誰かとの間で作られていくのだと思います。このイベントが、私たちが共同で多様な言葉を生み出す機会になることを願います。

(谷川嘉浩 京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程、京都市立芸術大学非常勤講師 専門:哲学・教育学 )



【日程】2019年8月28日(水) 14:30-

【会場】京都アニーズカフェ

京都市伏見区にある、ライブ&レストラン。地下に広がる空間で、夜な夜なディープでアングラな音楽イベントが繰り広げられています。

駅:京阪電車深草駅徒歩10分、京都市営地下鉄くいな橋駅徒歩10分


〒612-8401

京都市伏見区深草下川原町51-4, サイラスノ―ム京都 B1F/B2F

TEL:09091633948

https://annies-kyoto.therestaurant.jp


【タイムスケジュール】

14 : 00 開場

14 : 30 - 14 : 40 趣旨説明(河原雪花)

14 : 40 - 15 : 10 講演 「現代世界とジェンダー ジェンダー公正な社会は実現するのか」内藤葉子(大阪府立大学 人間社会システム科学研究科准教授 )

15 : 10 - 15 : 40 講演 「アートにおけるジェンダー問題」小山田徹(京都市立芸術大学 彫刻専攻教授)

15 : 40 - 16 : 10 講演 「サイエンスにおけるジェンダーギャップの現状」一方井祐子(東京大学 Kavli数物連携宇宙研究機構)

休憩

16 : 20 - 16 : 50 講演 「人文科学におけるジェンダーギャップ:女性哲学研究者の立場から」酒井麻依子(立命館大学文学部 初任研究員)

16 : 50 - 17 : 20 講演 「私という身体におけるジェンダー」ブブ・ド・ラ・マドレーヌ(アーティスト)

17 : 20 - 18 : 15 グループディスカッション

18 : 15 - 19 : 00 パネルディスカッション(講演者+ファシリテータ:谷川嘉浩)

19 : 15 - 19 : 30 CuBerryによるライブパフォーマンス

~22 : 00 懇親会

【対象】

どなたでも参加可です。特にアートやサイエンスに関わる学生に参加して欲しいと考えています。

【定員】

30名

【参加費】

研究会への参加費は無料です。

※懇親会参加者のみ 学生1500円/ 大人2000円(ドリンクは別途料金がかかります。)

【申し込み】

氏名、所属、学年・職名、専門分野、懇親会への参加の有無を明記の以下のアドレスまで電子メールでお申し込みください。

申込・問い合わせ先:asg@isobehiroaki.info


【主催】アート×サイエンス×ジェンダー実行委員会

【共催】京都市立芸術大学自然科学研究室 KYOTO STEAM

【後援】大阪府立大学女性学センター 京都大学芸術と科学リエゾンライトユニット

【世話人】河原雪花、磯部洋明、谷川嘉浩


フライヤーのPDF


【テーマに関連する外部リンク】

Global Gender Gap Report 2018

https://jp.weforum.org/reports/the-global-gender-gap-report-2018


日経サイエンス 世界の男女別博士号授与数

http://www.nikkei-science.com/201502_WEB2.html


国立情報学研究所オープンサイエンス基盤センター mihoチャネル | ジェンダー

https://rcos.nii.ac.jp/miho/Gender/


美術手帖 シリーズ:ジェンダーフリーは可能か?

https://bijutsutecho.com/magazine/series/s21/19908


Don't exploit my anger! (私の怒りを盗むな) 2016年に京都市立芸術大学のギャラリー@KCUAにて「デリバリーヘルスのサービスを会場に呼ぶ」企画があった際の出来事に関する経緯や発言のまとめ。

https://dontexploitmyanger.tumblr.com