シンポジウム開催に寄せて

2017年12月の国連総会で「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年(UN Decade of Ocean Science、以下UN Decade)」(2021~2030)が採択された。17の持続可能な開発目標(SDGs)のうち、No.14「海の豊かさを守ろう」を推進するため、参加国が、研究教育機関および政府、地方自治体、民間企業、市民など様々なステークホルダーと協働でさらに努力していくという、強い意志を示したことになる。

研究の現場においては、温暖化が引き起こす気候変動、海洋酸性化、貧酸素化、生物地球化学循環の崩壊、海洋生態系サービスの劣化など連鎖して起きると推測される様々なプロセスの解明が未解明な状況にある。また、海洋プラスチックなど新規物質の海への排出及びその影響評価、大気と海洋の活発な相互作用による極端な気象現象の発生とそれに向けた防災・減災、社会課題への喫緊な対応など、多様な分野・利害関係者と連携しながらその解明や解決に向けて挑戦していくことが求められている。

大気海洋研究所は、大気海洋科学を推進する東アジア地域の中核的研究機関として地球表層を覆う海洋と大気の構造や変動メカニズム、および海洋に生きる生物に関する様々な基礎的研究を推進するとともに、地球環境の変動や生命の進化、海洋生物群集の変動など、人類と生命圏の存続にとって重要な課題の解決につながる研究を展開してきた。大気海洋研究所は、これら学術研究に加え、共同利用・共同研究機関として国内外の研究者と連携することにより、UN Decadeを推進することが期待されている。そこで、「国連海洋科学の10年」–日本の大気・海洋科学のコミュニティがどう貢献できるか?-というタイトルでシンポジウムを開催し、国内の大気海洋科学、社会科学のコミュニティが互いに連携しながら、2030年までにUN Decadeにどのように貢献していけるか、どう推進していくべきかについて議論する。

東京大学大気海洋研究所

附属国際・地域連携研究センター

原田尚美

本シンポジウムは、東京大学コロナ感染予防ガイドラインに沿って実施します。

会場

東京大学大気海洋研究所2階講堂