理科の見方・考え方を働かせて資質・能力を育み、
豊かな未来を切り拓く理科教育
自然との共生と科学の進歩が調和する理科教育の創造
~生命の尊厳と科学的な見方・考え方を統合し、
豊かな未来を描く~
人口増加による資源の枯渇や食料不足、ビッグデータや生成AIなど急速に発展したデジタル技術がもたらす課題、さらに国際情勢では社会の分断や対立が顕在化するなど、現代社会は簡単には解決できない多くの不確実な問題を抱えている。
加えて、日本には独自の課題も存在する。少子高齢化による生産年齢人口の減少や、天然資源が乏しいことに起因するエネルギー供給の不安定さなど、複数の構造的な問題へ同時に向き合わなければならない。
一方で、悠久の時を超えて人類の文明を支えてきた地球環境は現在大きくバランスを崩しており、温室効果ガスの排出量増加に伴う地球温暖化や自然災害の激甚化、悲劇的な勢いで進展する森林の消失がもたらす生物多様性の損失など、自然環境の深刻な劣化が相次いでいる。これらは、私たち人類の活動がもたらした負の側面として捉えることができるだろう。
このように、複雑で多面的なプロブレムが同時進行している現代において持続的な社会の発展を実現するために人類の英知を結集することが欠かせない。とりわけ、科学技術には環境、エネルギー、医療、情報通信など、あらゆる分野からの期待が集まっている。従って、科学技術関係人材の育成と確保こそが、今後の人類の発展にとって決定的な鍵となる。
理科教育に携わる私たちには「知識及び技能に関する統合的な理解」や「思考力、判断力、表現力等の総合的な発揮」を育成するとともに、多様な他者と協働しながら課題を見つけ解決し「持続可能な社会を創る担い手」を育む重要な使命が課せられている。そこで本大会では「理科の見方・考え方を働かせて共に学び合う学習指導」の研究主題を踏まえ「自然との共生と科学の進展が調和する理科教育の創造」を大会主題として設定した。
青森県は、世界最大級のブナ原生林が現存し我が国で最初の世界自然遺産に登録された「白神山地」を有している。また、日本のエネルギー政策において重要な役割を担う「核燃料再処理工場」が拠点を構える我が国唯一の地でもある。自然豊かな環境のもとで世界最高技術確立への挑戦を続けている本県に理科教育へ邁進する全国の先生方が集い、互いの教育実践と成果を共有し合うことの意義は大きい。そして、活発な意見交換や交流を通して科学技術関係人材の育成に資する理科教育のあり方を見出すことを願うものである。