開発者インタビュー

オリジナル版を尊重して再構築!

東京ゲームショウ2022のTHQ Nordicブースにて、PlayStation 5、Xbox Series X|S、Steamでリリース予定の『Alone in the Dark』をひと早く体験!開発者にもインタビューできたので、プレイレポートとまとめてお送りしよう。


『Alone in the Dark』は、今から30年前の1992年にオリジナル版がリリース。固定カメラの見下ろし型3Dホラーゲームで、当時はこのシステムがとても革新的であった。あまりの反響ゆえにその後のゲームに影響を与え、様々なホラーゲームが誕生するキッカケとなった3Dホラーゲームの先駆けとも言える作品なのである。

今作はTHQ Nordicがライセンスを取得し、3年程前から “リ・イマジネーション版”として開発がスタート。オリジナル版を基に制作をしているのとのことだが、当時はストーリーがあるというよりも、アイテムとして確認ができるノートに物語の真相がずらずらと書かれている印象があり、それを紐解いていくというイメージがあった。


リ・イマジネーション版では、そのノートに書かれていただけの人物をゲームの中に登場させ、パズルのような謎解きをクリアしていくだけだったオリジナル版と比べ、しっかりとストーリーを体験することができる内容として開発が進められている。オリジナルの雰囲気を残しつつ、全く新しいゲームとして生まれ変わった『Alone in the Dark』をぜひ楽しみにしていただきたい。

まるで悪夢のような迫りくる恐怖をいざ体験!

怖がりだけどサイコホラー大好きな筆者がデモ版『Grace in the Dark』をプレイしてみた。今回の試遊では、操作はスティックの視点切り替えと移動、「調べる」のみの操作だったので、これなら大丈夫そうだ!という謎の安心感に包まれながらスタート。しかし開始直後から、すでに穏やかじゃない雰囲気を察知する。

エミリー・ハートウッドという少女を操作し屋敷の探索が始まる。薄暗い部屋の中に流れるオルゴールの音楽、床の軋む音、ドアがゆっくりと開き不穏な音が響き渡るだけでもドキドキするのだが、道中で屋敷の電気が消えたり、ロビーが浸水していたりと、何だかよくわからないけど、ただただ不気味な雰囲気。いつ何が起きても平常心でいることだと自分に言い聞かせて挑んだものの、恐らく見どころであろうびっくりシーンでは思わず「あっ!」と声が出てしまう。


このゲームのコンセプトは、「物理的な恐怖」よりも「心理的な恐怖感」にフォーカスを当てたゲームだということがわかる。例えばゾンビや幽霊はいきなり出てきたら人は怖いと感じることがあるが、『Alone in the Dark』が目指している心理的な恐怖と言うのは、何が起きているのかよくわからない、という恐怖だ。不可解な謎に包まれているその裏で待ち受けるのは一体なんなのか……。つねに緊張感があるものの、その奇怪さがよりストーリーに引きずり込まれる要素だと感じた。

ゲームを進めていくと、謎解き要素の場面も。ドアを開けるために鍵を入手したり、開かない扉をどう進むか……など、パズル的要素がストーリー内に組み込まれているのも面白い。今回の謎解き要素の難易度は、人によって感じ方はそれぞれだと思うが、この試遊版では比較的にわかりやすいものになっていると感じた。謎解き場面で足止めになってしまった場合でも、ヒントが出てくるそうなので物語から逸れるということはなさそうだ。


試遊版の最後には、幼少期のエミリー・ハードウッドの物語が一旦終わる。そして本編ではエドワード・カーンビーと大人になったエミリー・ハードウッドのどちらかを選択する形となる。実際の本編では選ぶキャラクターによってイベントシーンはもちろんエンディングも変わるそうなので、1粒で2度美味しく楽しめるはず。


今回の試遊では、トレーラーで一部紹介されていたクリーチャーとの銃撃戦がなかったが、実際の戦闘シーンではもちろん銃や刃物を使ったアクションはもちろん、まるで自分がその主人公になりきったかのように、恐怖のあまりに近くにあるものを咄嗟に投げつけるなど、リアルな味付けも施されているという。

探索、戦闘、謎解き、映画のようなストーリー、この4つの要素を重点に置いているとのことで、実際のプレイがより楽しみになった。

▲THQ Nordicブースにおける『Alone in the Dark』コーナー。一般日は2時間以上も待つ行列に!

クリエイターインタビュー「オリジナル版と同じ視点のバージョンも開発していた」

今回はエグゼグティブプロデューサーのMichael Paeck氏に本作の開発経緯や見どころなどをうかがった。

▲THQ Nordic エグゼクティブプロデューサーのMichael Paeck氏

― リ・イマジネーション版での『Alone in the Dark』概要を教えてください。

Michael:リ・イマジネーション版では、オリジナル版の人物を入れたいという考えがありました。例えばオリジナル版ではジェレミー・ハートウッドと言うキャラクターが自殺してしまい、その謎を解いていくという内容になっていましたが、今回はジェレミー自体が精神病院で精神的な疾患があると認識しながらも生きているという設定になっています。実際に精神病院に訪ねて、スタッフや患者さんと話し合ったりすることでストーリーへの導き方を現代的にしています。オリジナル版をプレイしたことがない方であればすぐに世界観を楽しめますし、遊んだことがある人なら「このシーンは昔あったなぁ」と感じる場面が散りばめられているので、それぞれ違った楽しみ方があると思います。


― 『Alone in the Dark』のIPを取得してリ・イマジネーション版を開発されていますが、このタイトルを選んだ理由は何ですか。

Michael:私たちはまず、ゲームの中でも歴史を持ったタイトルで新しいライセンスを探してみようというところから始まりました。中でもベストだったのが『Alone in the Dark』だったのです。クラシックなサバイバルホラーゲームの原点というイメージがあったので、長きに渡ったゲームを新たに手掛けることができるのはとても名誉なことだというのもあり、ATARI社から権利を獲得させていただきました。


― オリジナル版のように、シーンが切り替わる毎に固定式カメラで見下し視点でやろうというアイデアはありましたか?

Michael:じつは、カメラを固定したバージョンとTPS視点で動かしたバージョンと両方を作って試しました。例えば同じ部屋、同じユーザーで試した場合、カメラを固定ですと大体2分くらいその場にいるという感じだったのですが、TPS視点場合は大体10分くらいその場で過ごすということがわかりました。自分がその場にいるという没入感や、辺りをよく見るというのを大事にしようと思っていたので、非常に難しい選択ではあったのですが、TPS視点で試してみる価値があると判断しました。固定カメラは違う感じのテイストになっていて、これはこれですごく面白いんですけどね(笑)。


― 戦闘シーンについて聞かせてください。いわゆるシューターのようなテクニカルな操作は必要になるのでしょうか。

Michael:戦闘シーンなどを初めてプレイされる方や、物語を重点的に楽しみたい方向けにストーリーモードというのがあります。戦闘シーンでは銃で撃ちやすい、狙いやすい設定になっていますね。もう少しレベルの高いモードではエイムの視点を合わせて狙い撃ちするといったものもありますので、ゲームのレベルは選択できるようにしています。

― ゲームをはじめるときに2人の主人公のどちらか選択するということですが、エドワードとエミリーのどちらから先にプレイしたほうがいい、というオススメはありますか?

Michael:難易度などはどちらを選んでも変わらないですね。ただ、どちらかを選ぶかによってストーリーのトーンは変わってきます。例えばエミリーを選択すると、彼女が探しているのは叔父なので、より個人的な物語でシリアスな内容なってきます。どちらを先にプレイするのがおすすめと言うのはなく、自分自身で選んでいただくということでまったく問題ないですよ。

― 発売は来年をメドに……とのことですが、いつごろリリースしようという目途はありますか? 

Michael:まだわからない……というのが正直な答えです。今はαバージョンで次はβバージョンへと移行しますが、こういったゲームはもっと詳細を追加しようと思えばいくらでも作り込める要素がたくさんありますからね。βが完成して、これでもう満足だなと思ったタイミングで発売タイミングを発表しようと考えています。


― 日本にも『Alone in the Dark』ファンがたくさんいます。新作を楽しみにしている方も多いので、最後にメッセージをお願いします。

Michael:日本のプレイヤーさんの期待に応えれるように、いま懸命に取り組んでいます。ホラーゲームの歴史の中でもトップになれるようなゲームを作れたらいいなと思っていますので、ぜひ楽しみにしてください!

▲来日前に腕を怪我されたそうですが、終始にこやかに対応してくれたMichael Paeck氏