【天下特別守衛隊】の主将候補
隊の創始者である天堂道陽とは以前から知り合いなようだ
どこか生気を感じさせず、それは数多の諦めによるもの。その諦めは印象に留まらず、残酷で非道な選択肢をも選ばせる程だ。
本来は周囲に目を向ける善人であるが、ある絶望を機に現在のような悪の傀儡と成り果てている。
従軍する前は可もなく不可もない人生を送っていた。平和とは言いずらいが、特に気にしはなかった。
ある時、ある噂話を耳にする。どうやら、陛下直属の護衛組織ができるらしい。
その組織の人々は全国の武士の中から選ぶとのことで、それは五成も例外ではなかった。
後日、五成含め武士たちは召集され、数多の教えと苦行を強要される。
(陛下は何をお考えなのだろうか……)
後にその組織は軍隊となり、武士以外の男性も召集されることになる。
可哀想に、こんな空間に閉じ込められるだなんて。
まぁ、仕方がない。結果的に国が発展すれば良いのだから。
五成も最初は反発した。それは微量ではあるが。
他の武士が酷く反発するも、それはあまりにも無力、それどころか酷い仕打ちを受けて終わり。
諦めず抵抗しても意味など成さず、次第にその行為が恥であると洗脳される始末だ。
五成も、その洗脳行為に屈した1人だろう。
五成は諦め、考えた。最適解はなんなのかを。武士———いや、軍人の存在意義を。
膝をつく、手で頭を掻いた。そして嗤った。
———五成生は優秀な軍人である。
戦績は言うまでもなく、行動力もあり気の利く軍人。まさに手本にすべき存在だ。
これからの国に必要な存在だろう。
帝国軍は、五成生のような軍人を今も求め続けている。
酒好きで、特に日本酒が好き。ちなみに強い方。
西の方から召集された士族の1人であり、酔っ払ったりすると方言が出ることがある。地元の人とは方言で話している。
若い頃はかなりヤンチャしており、いわゆる不良であった。時々その名残が見える。(所作が乱暴だったり、脳筋だったり)
「俺はやれることをやるだけだ」
「無理はないように。ただ任務を遂行出来れば良いのだから」
「ああ、良いと思うよ。どうも俺には成し得ぬ事だから、お前のような者がいるのは助かるな」
「私は主将候補だ。悪いが、手加減など出来ようがない。まぁお互い頑張ろう」
「見事大成功だ。これは良い結果だ。そう、お国のためになることだから、素晴らしい事だ」
「……いいね。正直羨ましい。皮肉と取るならそうしても良いし、別の取り方をしてもいい。俺からの言及は控えさせてもらうよ」
「ありがとう。お前も充分素晴らしい軍人だ。行動力もあって、勿論実力もある。期待しているよ」
「自分をふてるぅは俺も嫌じゃ。しかしお前も見ちゃろ?あがいな扱い、こたう」
「やっぱぁこの方が喋りやすいがか。俺がいっつもかっつもあがいに喋るんはぁ……、ははっ、言わんでも分かるけん、言わん」
「あ〜…、貴方が飲めぇ言うたけん。こたーない酒は好んどらんき。めっそーばぶれる酒はぁこたうけ。……ぁ?……ああ……冴賀少佐ー、げにのーがわるそうけ、あはは!そこぉ、布団があるけん、寝ときぃ」
はからんさん宅、永崎 瑞穂さん
生気がなく、全てを諦めている五成は、周囲から薄情やらなんやら言われがちだ。しかし、瑞穂さんはポジティブに受け取ってくれる。それは唯一の人物と言っても過言ではない。
瑞穂さんの前だと気が抜けるのか、少々天然さが出る五成。瑞穂さんはそんな五成に世話を焼いてくれている。