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とても内気な赤厄獣の雌個体
しかし、いざという時は正義感のもとに勇気を出せるようだ
とても内気で、自己肯定感もどん底。しかし性格自体は良く、敵は作らないタイプでもある。
平和な世界を何よりも望んでおり、無意味な攻撃は絶対にしない。
実は容姿も良く、性格もいい、つまりかなりな完璧女子だったりする。他種族からもモテる。
赤厄獣は厄介者扱いされ、煙たがられ、舐められる存在だ。それはトルレーネも例外ではなかったのだ。
ひとり海を漂えば、視界に入った途端に周りから馬鹿にされる日々を送った。
それは、毒があるからだ。その毒は実に中途半端で、言うなれば厄介なのだ。特別致命傷を与えることもなければ、格好も良くない。ただただ中途半端に終わる。
それを愚かだと言わんばかりに皆は笑いものにした。
人間界には水族館という場所があるらしい。そこには、まだ見ぬ仲間もたくさんいるらしい。
赤厄獣はそこの定番展示物であることは、後に知る。
(散々馬鹿にされてきたけど、都合よく扱われれば褒められるのか……)
そんなことを思った時期もあった。
———ただ、何かが違うのだ。本当にそれでいいのだろうか。
ある時、トルレーネは限界を迎える。
息をしているだけで馬鹿にされ、ろくに海を泳ぐことも許されず、海の外に逃げ道も用意されていない。
なら、消えてしまおうか。
元々自分に居場所などなかったのだ。それにやっと気づけたんだ。
トルレーネは下へ、下へと泳いだ。赤厄獣を知る者がいない、そもそも赤厄獣が生きることすらできない世界へと———。
真っ暗な闇は、酷く安心した。馬鹿にしてくる者たちも見えなくしてくれるから。
自分を、消せる気がした。
———。
「こりゃ珍しい見かけの生き物だ」
「?」
「そこのお嬢さん、深海の生き物じゃないだろ?」
暗闇に一筋の光が差した。眩しくて———美しかった。
標炎竜の青年ロフィセスはトルレーネを光へと導いた。美しくも元気なその泳ぎは、トルレーネを惹きつけた。
「アンタも泳いでくれよ、その綺麗な身体でさ」
何かを見失っていたのかもしれない。優しいひともいるということを、忘れていたのかもしれない。
トルレーネは光に向かって泳いだ。今までで1番元気に、楽しそうに。
「泳ぐって、こんなに楽しいものだったんだ」
「私はトルレーネ。せ、赤厄獣っていう……クラゲの一種なんだけど……」
「私、頑張るよ。みんなと幸せに暮らすために……!」
「うう……私なんて……私なんて…………」
「君、とっても綺麗なヒレだね。……え? い、いや! 私はみっともない姿だと思うよ……」
「色んな海を泳いでみたいんだ。みんなと一緒に」
「可愛い……可愛い!? も、もっと可愛いクラゲのためにとっておきなよ……!」
「あなたはなんて種族? 初めて見たんだ、とっても綺麗……。私? え、えっと……ク、クラゲだよ!」