Project of AIT-23

2023 年度は昨年達成できなかったEV システム完成を目指して活動して参りました。また、今年度のメンバーはほとんどが大会未経験者のため、教育も重視してチーム運営して参りました。

2023 年度の大会では、大会前に提出する等価設計計算書(SES)の Front Protection においてレギュレーション違反が見つかり、大会に出場出来ませんでした。弊チームは2019 年大会を最後に動的種目に出場できておらず、今年度こそは大会で結果を残したいと強く想っていたため、非常に残念な結果となりました。しかし、今年度の最終目標としたEV 車両初の走行を成功させたことは弊チームにとって大きな成果だと確信しています。また、今年度のプロジェクトを通じてチームの弱点が明確になったと考えています。これまで弊チームでは部品ごとに担当者を1人定め、その担当者が責任もって設計・製作・評価を行なっていました。しかし、その弊害として複数人で確認する機会が不足してしまい、レギュレーション違反に気づけない、部品の設計ミスに気づけないといった問題が生じていると判明しました。この対策として、来年度は各部品の副担当者を定めようと考えております。他の弊チームの弱点も克服していき、チームとして成長して参ります。

最後になりますが、今年度のプロジェクトを支えて下さったスポンサー様、大学関係者の皆様、大会関係者の皆様、基礎を築き上げて下さった OB・OG の皆様にこの場をお借りして感謝申し上げます。皆様のご支援とご理解がなければ、 この1年間取り組むことが出来ませんでした。学生フォーミュラという貴重な活動を通じて、多く の経験を積み私自身大いに成長することが出来たと思います。1 年間ありがとうございました。


AIT-23 プロジェクトリーダー 小川敬寛

Team Menber

Goal & Consept

今年度の目標は「EV部門総合5位」「全動的種目の完走」です。

昨年度は初の EV 車両製作ということもあり、信頼性に重点を置き車両開発をして参りました。しかし、設計スキルや知識の不足により車両を完成することが出来ませんでした。この反省を踏まえ、今年度はEV 車両製作について基礎から学び直ことでナレッジの蓄積と問題解決能力の向上を図りました。

また、昨年度は製作時間短縮のため前年度のフレームを流用しました。しかし、フレーム製作経験のある部員が卒業する際に引き継ぎが上手く出来ず、フレーム製作関連のナレッジ を失う結果となりました。この反省を踏まえ、今年度は車両生産技術を確実に継承することで、より精密で正確性の高い車両を作り上げることを目指しました。

以上の振り返りを基に今年度の目標を定め、目標達成のため「安心して踏んでいける車」というマシンコンセプトを掲げました。安心して踏める車とは、車両を信頼して理想通りの性能を引き出せる車であると定義しています。理想通りの性能を引き出せる車とはドライバーの感覚と車両運動に乖離がなく、直感的に操作できる車です。弊チームが考える「安心」と「理想」に関する定量的な指標を定義し、静的審査・動的審査両方で好成績を狙える“強いチーム”を目指しました。

Car Features

シャシー

昨年度の問題点の解消と技術伝承を兼ねてしいフレームを製作しました。昨年度は搭載スペースが狭く積載性不足が慣性モーメント増加に繋がり走行性能悪化させていました。積載性を向上させてモーター・インバーターフレーム底面に配置するため、フレームリア区画を132 mm 延長しました。また、フレーム延長に伴いフレームの剛性が低下したため、ブレースを追加して剛性を向上させました。弊チームフレームに使用する鉄パイプの端面をフライスで加工しているため、高い精度で製作することが出来ます。しかし、フラ イス盤を用いて切削するにはパイプのねじれ角、取り付け角度などを考慮して行う必要があり高度な技術が必要です。1 からフレームを製作することで失われたフレーム製作のナレッジを再構築しました。 曲げパイプに関しては、渡辺工業株式会社様に加工していただきました。

インパクトアッテネータを自作しました。エネルギー吸収部材としてアルミ管を採用し、圧縮により蛇腹状に潰れていき、一定の荷重でエネルギーを吸収するように設計しました。自作したインパクトアッテネータは重量が 444g で、標準アッテネータに比べ 47% の軽量化を実現しました。しかし、大会提出書類である SES でエビデンスデータに不備があり、SES が不合格となってしまいました。


パワートレイン

軽量化と消費電力の削減のため、新しいウォーターポンプを搭載しました。冷却能力として最低水流量を確保でき、かつ軽量な株式会社アイシン様ウォーターポンプを採用しました。昨年度と比較して 610g の軽量化 を実現できました。また、消費電力が約 75% 削減できたため、エンデュランス時における低電圧の負担を軽減できました。

遊星歯車とスプロケットを繋ぐシャフトを新調しました。昨年度はシャフトを自作しておりましたが、信頼性に問題がありました。そこで今年度は株式会社三五様に加工してもらいました。高トルクがかかる部品であるため、焼き入れを行い信頼性向上させました。遊星歯車とスプロケットチェーンは昨年度と同様にマテックス株式会社様に製作頂いたものを用いて2 段減速する方式を採用しました。

今までドライブシャフトを提供してくださっていた会社様の提供が終了してしまったため、今年度はイケアフォーミュラ株式会社様にドライブシャフトの加工をしていただきました。

昨年度の HV Box レームからの側面視に対してマスタースイッチと測定点が同一平面上になく、レギュレーションを満たしていませんでした。今年度この問題を解消し、フレームの形に合わせ HV Box を製作できました

バッテリー容量の変更に伴い、ACC Box を小型化しました。これにより 9.5kg の軽量化を実現でき、ACC Box の内部でも外部でも十分な積載スペースを確保できるようになりました。


エレクトリック

エンデュランス以外のタイム向上のため、バッテリーの電気容量を半分にしました。昨年度は信頼性を重視していたため、容量が大きく長時間高い出力を維持して走行することが出来る電気容量を採用していました。しかし、非常に重たくエンデュランス以外の種目ではオーバースペックとなっていました。弊チームの現状から走行できる車両を完成させることを最優先にすべきだと考え、バッテリー容量を半分にして大幅な軽量化と内部構造の簡略化を実現させました。これにより 24.3kg の軽量化を実現できました。電気容量が減少したため長時間の走行出来なくなりましたが、モーターのトルクを制限を行うことでエンデュラ ンスも完走できるのではないかと考えました

性能不足によるレスポンスの低下を懸念して、ECUを変更しました。昨年度は Arduino nano を用いて制御していましたが、今年度は M5Stack Tough を採用しました。 M5Stack Tough にはディスプレイが搭載されているため、ダッシ ュパネルに搭載して車両情報を表示しています。ドライバーが直感的に操作できるようにダッシュパネルの各電子部品の配置し、ドライバビリティを向上させました。

電気回路のデバックには EP エンジニアリング株式会社様からご提供いただいた安定化電源を使用しました。普通の安定化電源とは違い1050Wまで出力できるため、高電圧の回路のデバックも可能となりました。

Result

動的審査 


静的審査


燃費


総合結果  : 46 / 1000 point,  67 位 / 69 チーム