水中ロボットを用いた自動クラゲ駆除システムの開発:
近年クラゲ数の増加により観光、水産などの分野で被害が起こっており、被害を減らすために網を用いた駆除作業が行われている。クラゲの駆除作業では、クラゲを網で捕獲し、それらを海中で船外機を用いて粉砕させて駆除している。しかし、このような駆除方法では、多くの時間と労働力が必要とされ、漁業就業者数が毎年減少傾向にある現状では負担となっている。そこで本研究では、クラゲ駆除作業の自動化を目的とした水中ロボットのシステムの開発を行う。
提案するシステムでの水中ロボットの運用方法は次の通りである。①小型漁船などで駆除作業の対象となる海域まで移動し、水中ロボットを投入する。②水中ロボットはあらかじめ設定されている経路を移動しながらクラゲの探索を行う。③設定経路の探索を終了するとロボットが高度を変えて再探索を行う。④クラゲを発見した場合、その環境のデータ(クラゲの位置、直径、水温、溶存酸素など)を記録し、吸引式駆除装置を用いて吸引してクラゲを粉砕する。⑤クラゲを粉砕した後、設定された経路に従って移動する。⑥探索が終わるとロボットは浮上し回収される。⑦ロボットからクラゲの位置、水温、溶存酸素などのデータを取得する。⑧取得したデータで調査海域の3次元マップを作成する。さらに、本システムを実環境で運用実験をすることで、その有効性を確認と3次元マップによるクラゲの分布を分析し、効率的なクラゲ駆除経路作成システムを開発する。