「原朗氏を支援する会」

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お知らせ

新規の書評論文のお知らせ(2022年112日更新)

 原朗氏著の『学問と裁判―裁判所・都立大・早稲田大の倫理を問う』の書評がだされていますので、ご紹介させていただきます。

 加藤陽子氏著:書評「“学の独立”を支える司法とは」(『週刊読書人』2022年10月14日、3460号。週刊読書人のホームページ

 書評はこちら

 なお、このホームページでは同書についての書評や関連著作等、皆さんに読んでいただきたい著作を今後も随時掲載させていただきますので、時々、訪問していただけますと幸甚です。


原朗氏を支援する会・事務局

『学問と裁判』の刊行と、「支援する会」の今後について


 2013年6月の小林氏による提訴を受けて開始された原氏に対する支援運動は、地裁・高裁判決(2019年)、最高裁による上告棄却(2020年6月)を経て、2019~2022年においては、大学の学術倫理の姿勢を問う東京都立大学、早稲田大学との論争に引き継がれてまいりましたが、本年2022年8月1日にそれらの運動の全体像が、原朗編著『学問と裁判―裁判所・都立大・早稲田大の倫理を問う』として刊行されました(同時代社、353頁、2500円)。本書は、『創作か盗作か』の後を承けて、最高裁の判断、東京都立大学と早稲田大学との論争の内容を検討したものです。

 今回の出版にあたっては、緊急のお願いであったにも関わらず、89名の方々から115万円に及ぶ募金をいただくことができました。先に刊行されました『創作か盗作か』が70名、94万5千円のご支援をいただきましたことと合わせ、200万円を超える多額の御支援をいただきましたことに、心より御礼申し上げます。これによって、法律学等の多くの関係分野の方々やマスコミ関係者、公共図書館等も含めて、私たちの運動の全体像が多くの方々の目にふれる機会を広げることができましたことを有難く思っております。

 もちろん長期にわたった裁判の費用や小林氏に対する名誉棄損金(300万円)などは、原氏御本人の御負担とならざるをえませんでしたから、学術的問題を裁判に訴えることが研究者間のあるべき姿でないことは、この面からも強調せざるをえません。

 問題を整理し、広く関係者に知っていただき、種々の形で私たちの運動を支援していただくことができたという点で、私たちの運動は無駄ではなかったと考えておりますが、司法機関・学術機関の形式論理の姿勢を崩せなかったことは残念でなりません。

 以上のような経緯で「支援する会」の運動は、『学問と裁判』の刊行のための援助活動をはじめとする成果を挙げつつも、大きな壁を超えることはできませんでした。とはいえ、裁判所、関係大学に対してその見解の修正を迫る手段を現在の私たちは持ち得ていない以上、これまでのような運動のスタイルを継続することも困難です。今後も原朗氏の遭遇した研究不正事件に係わる論評や記事が、学会誌や新聞等に掲載される可能性がありますので、「支援する会」のホームページや適宜のメールでの対話の機会は残しておきますが、ひとまずここに、裁判開始から9年間、「支援する会」結成から7年間の支援する会の運動を閉じることといたしました。

 長期にわたりました物心両面でのご支援に、心から感謝申し上げます。


2022年9月5日            

原朗氏を支援する会・事務局

加瀬和俊、柳沢遊

連絡先:ahara.shien☆gmail.com

(☆を@に変更してください)

ご挨拶

原 朗

20228


 このたび、本事件についての二冊目の記録『学問と裁判』を出版するため、みなさまからたいへん巨額のご支援をいただきました。最初の記録『創作か 盗作か』につづき、無事に出版され、発売以降ほぼ一ヶ月間、多数の読者の手許に渡り続けております。

これらはすべてみなさまの限りなく貴重なご芳志により、不可能が可能になったものでありまして、心から感謝にたえません。深くお礼申し上げます。

「加害者」が「被害者」を告訴した「顛倒的」な裁判だと評されたこの裁判で、地方裁判所は学問的理解が全くできず、虚偽に満ちた原告側主張に依拠して誤った判決を下し、高等裁判所もこれを繰り返し、最高裁判所はこれら下級裁判所の誤判を見抜くこともできず、単純に私の上告を退けました。

裁判所の実態がかくも劣化していることを見定めた私は、学問の力で真理に到達しようとして、原告が最初に属していた大学である東京都立大学と、彼が最後に在籍していた大学である早稲田大学に対して、彼の行為が大学の研究倫理規定に違反するものであることを通報し、その回答を求めました。

結果は残念ながら二大学とも当方の通報を正面から受け止められず、大学自身の権威による判断をなしえずに、あるいは「判決」を「尊重」し「大学」としては「判断しない」とか、「執筆時期」と「公表時期」が異なり、「本学に在籍」していかいから本調査委員会は設けない、という理由で、学問の府にふさわしい対応をされませんでした。

その結果として、私はこれら三つの裁判所と二つの大学で争われたことを、そのまま闇に葬ることなく、事の真実を、事実そのものを、正確に歴史的記録として登録し、将来あるいは未来の読者たちを実質上の「歴史の法廷」の裁判官として、これに訴えることを考えたのです。『学問と裁判』はそのために書かれました。

最高裁判所が最後の裁判所なのではありません。「歴史の法廷」がその先にあるのです。あるいは、書物に残された記録が社会に示された途端に、社会問題として燃え上がることもあるでしょう。この事件の性質上、二つの本が直ちに社会の注目を引くには至らなかろうと判断していますが、法廷の世界でも大学の世界でも、許されないものは許されない、これを主張すべき時に主張しないのは、公民としての私が自ら公民としての資格を放棄することになる、これがこの9年間、三つの裁判所と二つの大学、そして二つの本と取り組んだ私の心組みでした。

なにか過ぎ去った9年間がほとんど夢だったような気もします。ただし現実はそう甘いものではなく、身体は確実に9年分老いましたし、毎日毎日、「歳」をとり続けています。今後はすべてを研究生活に、と思ってもなかなかそうもいかないでしょう。やはり毎日毎日、老化と闘いながら最善を尽くすほかはない、と思っております。身勝手な気持ちだけを綴ったことをどうかお許しください。

最後になりましたが、支援する会のみなさまの常日頃からのご助力と激励とに深く感謝し、みなさまの今後のご精励をこころからお祈り申し上げるとともに、この9年ほどの私の努力の結果が、個々人のみなさまから、そして社会的にみて長期的にどのように評価されていくかにつき、ご関心を寄せ続けてくださいますことをお願いする次第です。みなさまの研究環境が心ない不正行為によって乱されることがありませんよう、衷心からお祈り申し上げます。

2022年8月28日(2022年8月27日の『毎日新聞』朝刊一面下段拙著広告を見遣りつつ)

原朗著『学問と裁判』が刊行されました。(202283日更新)

 日ごろは「原朗氏を支援する会」にご関心をお寄せいただき、有難うございます。

 原朗氏の裁判については、すでに刊行済みの『創作か盗作か』(2020年2月刊行、同時代社)以降に生じた裁判・大学に関わる動きを対象として、第二の著作『学問と裁判―裁判所・都立大・早稲田大の倫理を問う』が、同じ同時代社から8月1日に刊行されました(同時代社、353頁、2500円)。

 詳細はこちらを御覧ください(同時代社のページへ飛びます)。

 その内容は、第一部:最高裁を含む各級裁判所への批判、第二部:東京都立大学への批判、第三部・第四部:早稲田大学への批判、第五部:本裁判に寄せられた9氏の書評・書評論文、第六部:裁判記録に見る小林英夫氏の主張の特色、補論:裁判支援運動と学会での動き、となっております。 

 本書刊行のための募金にご協力いただいた皆様にはすでに同書を発送しておりますが、新たに購入を希望される方は、書店ないし出版社でお求めください。今回の募金のお願いは短期間でしたが、88名の方々から114.5万円という多額のご支援をいただくことができました。『創作か盗作か』と合わせますと、延べ158名、209万円という誠に多額のご支援をいただきました。心からお礼申し上げる次第です。

 また、同書が皆さまのご推薦等によって、皆さまが関係しておられる教育・研究機関等に収蔵していただけると、この裁判の成果・教訓が時間の経過とともに忘れられてしまうことなく、歴史的証言として引き継がれていくことが期待されますので、可能な範囲でご協力いただけますと誠に幸甚です。

 長い間、私たちの運動をご支援いただいたことはもちろんのこと、そのおかげで関係者一同、前向きに運動に参加することができ、貴重な記録を刊行できましたことに、心よりお礼申し上げる次第です。

 2022年8月

 原朗氏を支援する会・事務局

はじめに

【本会の趣旨】

本サイトは、小林英夫氏を原告・被控訴人とし、原朗氏を被告・控訴人とする名誉毀損裁判において、原朗氏を支援するために設立されたものです。

2013年6月に小林英夫氏によって、原朗氏に対する訴訟が起こされました。それは、原氏が東京国際大学での最終講義(2009年3月)において、院生たちに研究倫理の重要性を訴えるなかで、約40年前の出来事に言及したことから始まっています。原氏の主張は、小林氏が1975年に刊行した『「大東亜共栄圏」の形成と崩壊』は、それまで緊密に共同研究していた原氏の研究構想と研究成果を巧妙に剽窃した著作であった、という重い内容を持つものでした。原氏が永年の沈黙を破って、自分の心情を込めて公的に語ったことが衝撃的でした。さらに、原氏は既発表論文集である2冊の著作『日本戦時経済研究』『満州経済統制研究』(いずれも2013年3月刊)においても、この問題について見解を述べています。小林氏は、これらが自らの名誉を毀損するものであるとして、東京地方裁判所に訴訟を提起したのです。

本来、 剽窃の認定は、アカデミズムの内部で自治的・自律的に判断が下されるべきものです。にもかかわらず、小林氏は、突如として司法の場に自己の正当性を訴え出たのでした。そして、2019年1月に下された第一審判決では、原告である小林氏の主張を大幅に認め、被告である原氏に対して賠償金220万円及び遅延損害金の支払いを命じるという不当な判断が下されました。そこでは、分析視角の設定や歴史的事実の確定は「誰にでも行い得るもの」として独創性を否定され、表現の類似や重複も免罪する、現在のアカデミズムにおける厳しい基準からすれば極めて杜撰と言わざるを得ない認識が示されていました。詳細は、堀和生氏による「意見書Ⅳ」を御覧ください。

原朗氏を支援する会(以下、本会とする)を構成する私たちは、この裁判が小林氏と原氏との個人的な関係に留まらず、社会と学界にとって極めて深刻な意義を有するものと捉え、裁判資料を公開することによって広く問題を提起したいと考えています。

なお、趣旨にご賛同いただける方には、「賛同者フォーム」より氏名・ご所属を賛同コメントと共にお知らせください。裁判所への参考資料として提出させていただく予定です。

過去のお知らせ

原朗氏の新著『学問と裁判』の刊行・普及にご協力下さい(2022年5月13日更新)

 私たち「支援する会」では、小林英夫氏による原朗氏に対する提訴(2013年5月)から最高裁判所による上告棄却の決定(2020年6月)までの7年間、裁判に勝利することをめざした運動を展開いたしました。また、その後現在までの2年間は、各大学の研究倫理規定等にもとづき、個々の案件について大学側に調査を促すことができるという仕組みにのっとって、関係大学に調査と処分を求めてまいりました。

 残念ながら原朗氏の主張はいずれにおいても受け入れられませんでしたが、『創作か盗作か』(同時代社、2020年2月刊)を刊行してから、多くの人々に研究不正問題の実態が浸透し、多くの書評も掲載されました。しかし、裁判の結果を覆すだけの大学の判断は示されず、司法も大学も正当な手続きを踏んでしかるべき判断を下すことはできませんでした。原氏はこの事実を深刻に受け止め、裁判所と大学へ提出したその後の諸文書を収録するとともに、事件全体を記録し総括する著作として『学問と裁判』を新たに刊行する準備を進めておられます。

 そこで私たち「支援する会」も、その刊行・普及を支援すべく、新著刊行のための募金を呼びかけさせていただくことにいたしました。皆さまには地裁・高裁の判決の直後にも募金のお願いをしており、前著の刊行を支えていただきましたが、今回改めて募金のお願いをさせていただくことといたしました。恐縮ではありますが、趣旨ご理解の上、ご賛同いただければ誠に幸いです。

 新著および募金の詳細につきましては、こちらをご参照ください。

 2022年5月13日

「原朗氏を支援する会」世話人

渡邊春己弁護士の新刊書『反対尋問と事実認定2-歴史をめぐる事件の記録と解説』(花伝社、2022年2月刊行、2500円)では、弁護士の目から見た原朗氏の裁判の記録が詳細に掲載されております。(2022年3月16日更新)

 

 小林英夫氏から提起された原朗氏の裁判を一貫して担当して下さった渡邊春己弁護士が、当該裁判全体の記録を作成・刊行して下さいました。原朗氏の裁判以外にも、同弁護士が担当された3つの事件(第三次家永教科書裁判、李秀英名誉毀損事件、吉見義明名誉毀損事件)の記録が収録されています。

 詳細はこちらを御覧ください(版元花伝社のページへ飛びます)。

 なお、同弁護士は、『反対尋問と事実認定1-尋問の記録と解説』(花伝社)と題する著作も刊行しておられます。

新規の書評論文のお知らせ(2022年3月14日更新)

原朗氏がご自身の裁判について書かれた著作が刊行されてから、すでに2年が過ぎました。この著作に対する9本目の書評論文として、石井寛治氏(東京大学名誉教授)より、

原朗著「創作か盗作かー『大東亜共栄圏』論をめぐって」の提起するもの』が寄せられました。ぜひお読みください。

(「原朗氏を支援する会」でホームページに入り、最上部にある「書評」をクリックしてご覧ください。)


「原朗氏を支援する会」の運動の現状について(2021年11月26日更新)

 日ごろは「原朗氏を支援する会」にご関心をお寄せいただき、有難うございます。

 私たちの運動は、2020年6月15日の最高裁判所による上告棄却によって、正当な裁判を求める運動としては収束せざるをえなくなりました。そこで私たちは、小林英夫氏が関係していた大学に対して、当該大学が公表している学術研究倫理規程と「通報制度」に照らして、氏の著作が学術的にみて不当なものであると認定して処罰することを求める運動に取り組むことにしました。これは、各大学が通報制度をいかす方向で運用してほしいという私たちの願いに沿ったものです。この制度にもとづいて私たちがした通報は以下の2つです。

(1)2020年3月5日、都立大学に対して。小林氏の博士学位請求論文が原氏の著作の盗作の疑いがあるとする通告。回答は2021年3月30日。

(2)2021年9月6日、原朗氏自身が通報者となって、早稲田大学に対して。同大学在職中に刊行した『「大東亜共栄圏」の形成と崩壊』の「増補版」が盗作の疑いがあるとする通告。回答は10月1日。

 上記の案件のうち(1)に対して都立大学は、7か所において「研究倫理上、不適切な点があった」が、最高裁の判決が出た以上、別途の判断は行わないとの結論を下しました。また(2)に対しては「増補版」は新しい研究成果ではなく、早稲田大学在職中の研究成果とはみなせないので、同大学が審議すべき責任はないという回答を示しています。

 このうち、(1)については本ホームページにすでに関係文書を掲載済みですので、今回は(2)を公開いたします。


(以下、クリックすると各資料にアクセス出来ます)

書評論文掲載のお知らせ(2021年11月1日更新)


原朗氏支援の書評論文2点(下記)を新たに掲載いたします。どちらも重要な新しい論点を展開しておられますので、ぜひご一読下さい。


(1) 堀和「学術剽窃と司法裁判―原朗『創作か盗作か』をめぐってー」中部大学総合学術誌『アリーナ』第23号(2020年11月)所収。(本論文の掲載誌は有料刊行物のため、1年間、掲載を遅らせておりました。)


(2) 疋田康行「原朗『創作か盗作かー「大東亜共栄圏」論をめぐって』に寄せてー擬装盗用の摘発と防止のために」、『立教経済学研究』第75巻第2号(2021年10月)所収。



    2021年11月

原朗氏を支援する会事務局


【原朗氏を支援する会より】小林英夫氏の盗作の疑いで都立大の判断を批判(2021年6月1日更新)


「原朗氏を支援する会」の諸活動にご理解いただき、有難うございます。

小林英夫氏が博士号を取得した都立大学には、「不正行為等に係る調査手続き等に関する取扱規程」なる規則があり、それが定めている手続きにしたがって、研究不正審査が実施されます。この規程に依拠して研究不正通報者となった方が、都立大学長に対して2020年3月5日に通報し、小林英夫氏の博士号取得論文『「大東亜共栄圏」の形成と崩壊』が、原朗氏の学術論文の盗作である疑いが取り上げられました。

同大学は調査委員会を設置して審査を行い、2021年3月30日付で通報者に回答を寄せました。その内容は、小林氏の博士学位請求論文には、七か所において、「先行研究に関する言及や典拠・引用箇所を示していない等、研究倫理上、不適切な点があった」ことを認定した上で、「研究倫理上、不適切な点もあるが、原朗氏の研究業績から数行にわたってそのまま引用していた箇所はないことから、重大な不正があったとは言えない」という結論を導いています。

 これに対して通報者は、4月12日に「再審査とその公表のお願い」を同大学長あてに発していますが、それに対しては5月14日付で同大学長から「それ以上申し上げることはございません」との「回答」が届けられただけでした。

 以上の経緯を踏まえて、私たちはここに、別紙の通り、研究学術倫理に背を向けた同大学の態度に対する全面的批判を公開するものです。引き続くご支援をよろしくお願いいたします。


  2021年6月1日

原朗氏を支援する会・事務局

(別紙)

東京都立大学の学位論文調査報告の二重性―研究不正排除の流れに抗って―


書評追加のお知らせ(2021年4月23日更新)

田昌征氏が参加しておられるブログ「ちきゅう座」に、原朗著『創作か盗作か』の書評が掲載されました。

こちらよりご覧ください(「ちきゅう座」へのリンクです)。

書評追加のお知らせ(2021年3月12日更新)

老川慶喜氏(立教大学名誉教授)の書評論文「研究倫理と研究不正―『創作か盗作かー「大東亜共栄圏」論をめぐって』を読んで」が日本経済評論社の『評論』No.220(2021年1月)に掲載されましたので、本ホームページの書評コーナーに転載させていただきました。

こちらよりご覧ください。

早稲田大学学術研究倫理委員会「調査報告書」の公表にあたって(2020年10月1日更新、10月9日再更新)

小林英夫氏が原朗氏を訴えていた裁判の経過の中で、小林氏が原氏の論文だけでなく、他にも多くの剽窃を行っていた事実が明らかになっていました。裁判所はそれについて全く関心を示しませんでしたが、それに気づいた人たちはその調査を継続していました。

一方、小林氏が勤務していた早稲田大学は、小保方事件の後、学術倫理に厳しい姿勢を持ち、同大学関係者に関わる学術不正に気付いた者は誰でも、同大学本部に通報することを歓迎され、通報後4か月以内には結論を通知されるという規程を設けていました。

原朗氏を支援していたA氏は、この規程にしたがって小林氏の一論文について同大学に通報したところ、同大学学術研究倫理委員会からはA氏に対して、通報を正式に受理したこと、判定のための調査委員を決定したこと、倫理委員会として小林氏に「不正あり」の認定をしたこと、小林氏からは「不服申し立て」が出されたが却下されたことなど、順を追って経過報告がなされるとともに、倫理委員会の「調査報告書」(2020年2月25日付)もお送りいただきました。

同大学のこのような対応は、学術研究上の不正事案に対しては学術界が責任をもって対処している点でも、規則通りの厳格な手続きを経て正当な結論に至っている点でも、学術機関として模範的な対応であったと評価できます。

以上のような判断に立って私たちは、この文書の内容を学術研究倫理の前進を求める多くの方々に知っていただきたく、このホームページに掲載する形で、資料として情報提供させていただくことといたしました。

文書のPDFは、こちらよりご覧ください。(早稲田大学学術研究倫理委員会事務局からの申し出により、2020年10月9日に削除しました。)

2020年10月1日  

原朗氏を支援する会・事務局


七年間の裁判を終えて

-お礼のことば-

原 朗

2020年6月19日

この6月15日、最高裁判所は私の上告を棄却し、上告受理申立ても受理しないという決定を通知してまいりました。従いまして、2013年6月27日に小林英夫氏によって提訴されたこの裁判は、東京地裁の2019年1月21日判決を踏襲した東京高裁の同年9月18日判決が確定し、私は小林氏に対し「220万円及びこれに対する平成25年3月15日から支払済みまで年五分の割合による金員」を支払い、あわせて各種の訴訟費用等を負担することとなりました。日付からおわかり頂けますとおり、地裁での審理は5年8ヶ月を要して難航し、これに対して高裁と最高裁の審理はごく短期に終わり、都合7年間にわたるこの裁判で私はすべて敗訴したわけです。

この長期間にわたる裁判闘争で私を支えてくださったのは、なによりも「支援する会」のみなさまが、直接間接にあらゆる形での多彩な支援をしてくださったことであり、私は深く感謝しております。地裁・高裁でみなさまが傍聴席を埋め尽くしてくださり溢れ出すほどであったこと、その時々の集会で熱心にご意見を述べ討論してくださったこと、ウェブサイトを立ち上げてこの事件の持つ重要性を速報し続けてくださったこと、その他全てのみなさまのご尽力なくしては、かくも長期にわたり冷静に裁判闘争を闘い続けることはできませんでした。重ねて厚くお礼申し上げます。

いずれ改めて私はこの裁判の持つ意味について考えをまとめたいと思っておりますが、現在の私の感想のみを短く述べさせていただきたいと存じます。

まず、この案件が、本来は学術の場で争われるべきものであって、裁判の場で争われるものではなく、学問上の争いを司法の場に持ち込むこと自体が学問の自由を根本的に脅かすものであるという、第一審から最高裁まで一貫して述べ続けていた主張を、私はいまなお変えておりません。事実として、地裁・高裁の裁判官は、学術に関する専門的知識を持ち合わせず、判決を行うに際して必要不可欠な法律家としての正確な「事実認定」の能力すらなかったことを、地裁・高裁の二つの判決文で露呈してしまっていると考えています。学術的に考察すれば「誤判」としか言いようのないこれらの判決を書いた裁判官たちが、その後も私のケースと類似したような「判決」を日夜書き続けているであろうことを想像すると、私の心は傷みます。最高裁は形式的な上告棄却をするだけで、これら下級裁判所の示した重大な問題点を含む「判決」を追認し、日本国憲法第六章「司法」で国民から最高裁判所に託された決定的に重要な権限をきちんと行使できていないことも非常に問題だと考えております。

次に、現在私が最も憂慮していることは、私が裁判で破れて判例として確定してしまった結果、今後「司法」が「学術」に介入してくる道が開かれてしまったことです。具体的には、不幸にして盗用行為をうけた研究者がそのことを指摘したとき、名誉毀損の廉で訴えられ、私の場合を例に取ってみれば、ほとんど7年に及ぶ時間と労力や、全体として1000万円をも超えるであろう「金員」を負担しなければならなくなるというわけで、研究不正を厳格に取り締まり摘発するという学界で確立した優れた慣行が、様々な場所で機能不全に陥りかねないことを憂慮しているわけです。この七年間、敗れながら私は考え続け、書き続けてきたのですが、裁判官は司法と学術との関係が如何にあるべきかという基本問題について、一瞥も与えてくれなかったように感じております。

反省すべき点はまだ多いのですが、ここでは以上にとどめましょう。「裁判」の場では敗れましたが、これで問題は七年間の時を経て、本来の「学術」の場に帰って来たと言えるのではないかと思っております。私はこの間の経験を生かして、個別的な小林氏と私との関係を媒介にして、「学術」と「裁判」との普遍的な関係、一歩踏み出して言えば「真理」を追求してやまない「学術」と、公平な「正義」を実現すべき「裁判」との関係、要約すれば「真理と正義」について考えを一層深め、諦めずに研究不正と闘っていきたいと考えます。今後とも皆様のご理解とご教示・ご支援を引き続きいただきたく、改めてお願いする次第です。

声明文「最高裁判決を受けて──批判と決意──」(2020年6月28日更新)

原郎氏を支援する会「最高裁判決を受けて──批判と決意──」を公開いたします。

こちらよりご覧ください。

原朗氏裁判、最高裁判決でる、敗訴=上告棄却(2020年6月16日更新)

原朗氏の裁判の最高裁の決定が、本日弁護士事務所に届きました。

上告棄却で、理由は「最高裁が扱うべき事由に該当しない」というものです。

全員一致の決定であり、各裁判官の見解の表明はありません。

判決の全文は、こちらよりご覧下さい。

非常に残念ですが、現実を直視して、必要にして最善の策を引続き探ってまいります。

そのためにも、現時点での感想、今後の行動についての提案など、お寄せいただけますと幸いです。ご意見はkazkase49☆gmail.com(☆を@に変えてください)までお寄せください。

引続き、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

書評コーナー設置のおしらせ(2020年6月16日更新)

原朗著『創作か盗作か』に関わる書評・随想コーナーを開設しました。今後も随時、追加してまいります。

こちらからご覧下さい。

最高裁判所に226名分の署名を提出いたしました(2020年5月12日更新)

「原朗氏を支援する会」の呼びかけで、最高裁判所に対して公平で丁寧な審理を要求する署名をお願いしておりましたが、5月11日(月)、支援する会の世話人から、最高裁判所第一小法廷・書記官室・民事事件担当の係官に、226名の署名票(簡易製本版)と、個々の裁判長に宛てた4枚綴の訴えを提出いたしました。

最高裁に公平・丁寧な審査を求める署名活動の御報告

200名を越える署名に感謝申し上げます

(2020年4月27日更新)

最高裁判所に対して公平・丁寧な審理を求める署名は、4月5日からメール・封書・ホームページで皆様にお願いしておりましたが、このほどその結果がまとまりましたのでお知らせいたします。署名者は全体で200名を超え、これまでの署名者数と私たちの目標とを大幅に上回るものでした。

その理由の一つは、これまでは署名の範囲が学術分野としては経済史学・歴史学関係者にほぼ限られていたのに対して、今回は法律学やその他の分野の方々からも多くの署名が寄せられたことでした。人づてにこの裁判のことを聞かれた研究者の方々が、ホームページから自発的に署名用紙を印刷してお送り下さったことなど、貴重な署名をたくさんいただき、感激しております。

署名文と署名者リストを裁判官の皆さんが丁寧にお読み下さり、今後の審議に生かしていただけるよう、さらに働き掛けを続けていきたいと念じております。引き続きご支援をよろしくお願い申し上げます。

2020年4月27日 原朗氏を支援する会

署名者の一覧表はこちらです。

【早稲田大学が小林英夫氏の過去の論文を「盗作」と断定しました】(2020年3月3日更新)

原朗氏を名誉毀損で訴えている小林英夫氏は、他にも盗作事例が多い人物であるといわれており、原氏が刊行を予定していた著作物の内容・構想を小林氏が無断で先に出版してしまった今回の事案も、その一つであったと私たちは考えております。

この件に関連して私たち、原朗氏を支援する会では、小林氏が早稲田大学に所属しておられた時点で、自著『論戦「満州国」・満鉄調査部事件ー学問的論争の深まりを期して』(彩流社、2011年)に収録した自身の過去の論文が、尹亨彬著「1929年元山労働者の総罷業とその教訓」(『歴史科学』1964年第2号、1964年3月刊、朝鮮語)の盗作であることを発見し、早稲田大学に対して本会の会員個人(以下、「通報者」という)の名によって、その点の確認を求めておりました(2019年7月2日)。この間の経緯はすでに本ホームページの「おしらせ(2019年8月31日更新)」に掲載してある通りです。また、その関連文献は本ホームページの「おしらせ(2019年6月28日更新) 小林英夫氏の剽窃疑惑に関する新たな指摘について」にも、原朗著『創作か盗作かー「大東亜共栄圏」論をめぐって』(同時代社、2020年2月)の471~488頁にも収録されております。

私たちの照会を受けて早稲田大学では、学術研究倫理委員会が学内規則にしたがって調査委員会(学外者、朝鮮史研究者を含む)を設置して審理を行い、本年2月25日付けで「アジア太平洋研究科における研究不正事案(盗用)に関する調査報告書」(以下、「報告書」という)を採択し、通報者にその旨、連絡がありました。

「報告書」は小林氏からの聞き取りを含む調査を行った上で、「小林氏が盗作を行った」事実を明確に認定しております。公開されている同大学の学内規則によれば、この事案は今後、アジア太平洋研究科での審議を経て、理事会による処分の決定に移ることになったと理解されます。

小林氏の盗作方法は、文章そのままをまねるという方式ではなかったため、これまで名指しの批判はなされてきませんでしたが、論文の冒頭で何人もの先行研究者の名前を列挙し、本論に入ると個々の実証、評価ともに、内容的には特定の研究者の成果をそのまま利用しているにも関わらず、読者にはすべて小林氏の研究成果と見えるようになっている点で共通しています。今回の事案についても、調査委員会の調査に対して小林氏は、引用した研究者名を先行研究者として最初に断っているのだから盗用には当たらないと主張していますが、調査委員会と学術研究倫理委員会は学術的にみてそれは認められないと判断して、明確に「盗用」と認定しています。裁判官は「盗作とまではいえない」と判断停止状態であった小林氏の手法が、学術界の当然の基準によって明快に断罪されたことの意義は大きいと評価できます。

原朗氏の裁判においても小林氏がとっている手法はこの事案と同じなのですから、小林氏の行為は盗作に当たるはずであり、したがってその事実を指摘した原朗氏の行為が重い責を負わされる理由はなく、最高裁が一審、二審の判決を追認することは許されるはずはありません。この案件の経緯を最高裁に伝えることによって、最高裁が素直に事実に向かいあい、地裁、高裁の誤った判断を正すことを切に望みます。それが実現すれば、司法の判断によってではなく、学術界の判断が主導して、他人の業績を盗用した不祥事が正当に指弾されたという望ましい結果を、私たちは手にすることができます。

その可能性に期待して、私たちもいっそう努力したいと決意を新たにしております。そのために必要であれば、今回の事態の詳しい経過や小林氏の他の類似案件等についても、このホームページで事実関係を明らかにしていきます。

活動状況に関するお知らせ(2020年4月24日更新)

原朗氏は4月13日、最高裁判所第一小法廷に「上告受理申立理由補充書」および関連書類13点を提出されました。これは最高裁判所に対して提出することが許されている一連の文書(「上告理由書」、「上告受理申立理由書」など。この2文書の要旨は原朗著『創作か盗作か』509~522頁)の一つであり、原朗氏の主張を補充・強化する事項について述べたものです。

今回提出の書類の中には、早稲田大学学術研究倫理委員会が小林英夫氏の著書収録論文を明確に「盗用」と認定した決定「アジア太平洋研究科における研究不正事案(盗用)に関する調査報告書」(2020年2月25日)なども含まれています。

最高裁判所の担当判事の方々が、これらの文書を丁寧かつ公平に検討していただけることを願っております。

【緊急】最高裁への要請署名を集めています!(2020年4月5日更新)

原朗氏を被告として小林英夫氏によって起こされた名誉毀損裁判は、上告審の日程の通知を待っている段階ですが、その間にも、小林英夫氏の別件の盗作事件が早稲田大学の学術研究倫理委員会で正式に盗作と認定されたこと(本年2月25日)、本裁判についての原朗氏の著作である『創作か盗作かー「大東亜共栄圏」論をめぐって』が2月20日に刊行されたことなど、目立った動きが続いてきました。

そこで、多数の学者・研究者がこの裁判に注目していることを示し、最高裁に対して公正で丁寧な審議を求めるための署名を、以下の要領で実施し、一括して提出したいと計画しております。署名用紙記載の状況説明と主張をお読みいただき、ぜひ署名していただけますよう、お願い申し上げます。


  • 署名用紙は下記リンク先にありますので、ダウンロードの上、プリントしてお使い下さい。(当方から通信を送らせていただいている方々には、メール添付で署名用紙をお送りいたします。)

PDF版

WORD版

  • 署名後、支援する会からのメールを受け取られた方は、記載の住所宛にお送り下さい。その他の方は下記アドレスにお尋ねください。

ahara.shien☆gmail.com (☆を@に変更してください)

  • 署名用紙がプリントできない場合には、ご自身の住所を明記の上、上記アドレスあてに、署名用紙を送付するようメールでお知らせ下さい。

  • 4月18日(土)に集約を予定しておりますので、その時点までにお願いできれば幸いです(多少遅れても大丈夫です)。

  • 署名して下さった方々のお名前を、ホームページに掲載させていただきます。公開を望まれない方は、郵送の際にその旨を別紙にお書き下さい。

【署名者リスト公開のお知らせ】(2020年3月7日更新、4月1日追記)

これまでに賛同者フォームを通じて集まった署名のうち、公開可とされた方々の氏名・ご所属・コメントを以下に掲げます。

署名者一覧(←クリックしてください)

署名者の皆様に厚く御礼申し上げます。

現在も署名は受け付けておりますので、本サイト「ホーム」最下段の「賛同者ホーム」をご利用ください。

また、このサイトを他のお知り合いの方々にもお薦めいただければ幸いです。

※署名者数の推移は下記の通りです。今後も随時更新いたします。

3月 7日:合計111筆(公開可97筆)

3月 9日:合計122筆(公開可107筆)

3月23日:合計128筆(公開可111筆)

4月 1日:合計133筆(公開可113筆)

【書籍刊行のお知らせ②】(2020年2月24日更新)

原朗氏著『創作か盗作かー「大東亜共栄圏」論をめぐって』が2月20日付けで発行されました。定価3000円、出版社は同時代社です。

6年半を経過してなお決着がつかない長期裁判の中で、原氏側から提出した主張類と、一審・二審の判決、原氏の主張を支える堀和生氏・松村高夫氏の「意見書」、小林英夫氏による他の剽窃行為の新証拠などを収録し、それらのおのおのに原朗氏本人がそれぞれ短い解説をつけて読者の便に供しています。

この裁判は、盗作された側が訴えられ、盗作した側は「盗作とまではいえない」として推定無罪とされ、他方、原氏は無罪の者を「盗作」と口外したとして名誉毀損で有罪とされ、多額の賠償金を課せられています。

万一この判決が最高裁でも維持されると、学会・大学等で盗作と判断した事案が、裁判に訴えられれば、事案を提起・審議・処分決定した人たちが名誉毀損に問われることになりかねません。

最高裁判決に向けて、ぜひ本書をお読みになり、ご支援くださいますようお願いいたします。

石井寛治氏の推薦文

「情報革命が進み、知識の独創性の価値が高まるなかで、本書は知的作業の正常な進歩を破壊する巧妙な一大盗作事件を告発する。すなわち、親しく指導してくれた先輩の歴史研究の構想と成果を剽窃した者が、学界でその所業を暴露されると、逆に先輩を名誉毀損で訴え、原告の嘘を丸呑みした裁判官が訴えを認めたという学界・司法界に跨る不祥事の記録である。問題の要点を知りたい読者には被告の友人の意見書から読むことを勧めたい。」

目次

Ⅰ 回想――三十代前半までの私の研究

Ⅱ 裁判に明け暮れた七十代後半

Ⅲ 四つの「意見書」

Ⅳ 法廷に立たされて

Ⅴ 驚くべき東京地裁判決

Ⅵ さらに驚くべき東京高裁判決

むすび 学問と裁判――「学問の自由」と「学問の独立」

事件と裁判をめぐる略年表

【書籍刊行のお知らせ】(2020年2月2日更新)

原朗氏を被告とする名誉毀損裁判の経緯を収録した著作が出版されます。

詳細はこちらを御覧ください(版元ドットコムへ飛びます)。

刊行日は2月17日の予定、著者は原朗氏、題名は『創作か盗作かー「大東亜共栄圏」論をめぐって』同時代社刊行、定価3000円です。石井寛治氏が推薦文を寄せて下さいました。

【新年のご挨拶】(2020年1月1日更新)

原朗氏より皆様へのお礼を兼ねた年頭のご挨拶が送られてきましたので、掲載いたします。


「支援する会」のみなさまへ

-2020年を迎えて-

原 朗

昨年中は貴重なお時間を割いて、たびたび小生の裁判の傍聴や集会などにお集まり下さり、さまざまな形で大きな力強いご支援を賜りまして、まことに有難うございました。年の初めにあたり、みなさまの本年のご健勝とご研鑽を心からお祈り申し上げます。

ご承知の通り、私の裁判では地裁・高裁とも、学問的にはほとんど理解不可能な、誤まった不当な判決に終わりましたが、昨年11月下旬に無事「上告理由書」と「上告受理申立理由書」を裁判所に提出することができました。

最高裁判所の判決までには若干の時間がかかるようですので、現在私は裁判の記録のとりまとめの作業を進めております。地裁や高裁の際のような司法による非論理的かつ非合理的な判決がそのまま学術の世界に持ち込まれることは絶対に防がなければならないと考えるからです。

まず地裁の判決があった時点で、私はこの裁判が、被告である私と原告である小林英夫氏との個人的な争い、すなわち盗作(盗用・剽窃)行為の有無・名誉毀損行為の有無のみにはとどまらず、裁判所と学界、すなわち司法的判断と学術的判断との深刻な対立を含むものに局面が急変した、そう判断いたしました。

学界において長い年月をかけて作りあげられてきた研究倫理に関する慣行と議論を無視した根拠のない判定がなされたのです。地裁の裁判官たちは、この学界の盗作を厳禁する慣行を無視し、それと全く異なる非学術的・恣意的な基準を用いて、被告の主張をほとんど全面的に退け、学術的・学問的にみて本質的・内容的な論点は全て回避し、表面的・形式的論理のみによって判決を言渡しました。

研究不正を行ったものを、学界が自律的に処分した場合に、被処分者が裁判所に訴え出れば、形式的・非学問的基準によって逆に「名誉」が回復されるばかりか、数百万円の慰謝料すら得ることになり、学界に大混乱をもたらすことになりましょう。

裁判に要する長期の時間と巨額の費用を考えて、研究不正の摘発は極めて抑制されることになるのは必至です。地裁では審理に6年近い時間を費やし、何回も判決期日を延期しながら、最終的には没論理的にただただ原告側を勝訴させるためにひたすら原告側の誤った論法に辻褄を合わせ、上記のような学術と司法の深刻な対立の問題を孕む判決文を急遽とりまとめざるを得なかったのだ、という印象を禁じ得ませんでした。

高裁での審議と判決にも驚くことがいくつかありました。まず5分もかからぬ初回のみの結審で、最後の事実審としての役割は全く果されなかったこと、判決期日は1回延長されただけでしたが、他の案件と十把一絡げに判決がなされたこと、判決の内容が地裁判決の不備を弥縫するのに懸命で、当方がすでに地裁段階から詳細に示しておいた「剽窃の定義」も全く無視してわざわざ『広辞苑』などの簡単な語釈などに依拠したことについては、驚倒するほかありませんでした。

また当方への立証責任のハードルを極端に高めたこと、「(剽窃)とまではいえない」というレトリックを何回も多用して、なぜ「とまではいえない」かの論証は全くなされていないこと、学術と司法との関係にも全く無意識であること、地裁判決を維持することに汲々として、本質的論点については地裁判決と同様に全く触れず、要するに高裁判決と地裁判決とはお互いに庇い合おうとしていることが明白に読み取れてしまうこと、等々枚挙にいとまがありません。

地裁・高裁の審理が上記のようなものでしたから、その実態を明らかにするためには、原告の訴状提出から、地裁・高裁を経て、今回の上告に至るまでの経過を私なりに整理し、要約して、「司法」的判断がこれほどにも非論理的であることを、学問の世界で日夜研究教育に励んでおられる方々や、一般社会の市民の人々に、具体的にこのような裁判が進行中であり、かつ最高裁の判断を求めていることを、裁判関係の当事者のみではなく、他の分野の研究者や一般読者にもわかりやすくまとめておくことが必要だろうと考えました。

やはりこの裁判も歴史の中の一つの事件として、時の流れに沿って書き綴っておきたいと思うわけです。まだ少々時間がかかるかと思いますが、しばらくお待ち下さいますよう。そして今後ともこの事件と裁判につきよろしくご支援のほどお願い申し上げます。

以上をもちましてみなさまへの年初のご挨拶かたがた現状のご報告とさせて頂きます。

2020年1月1日

【上告のおしらせ】(2019年12月3日更新)

原朗氏の名誉毀損裁判につきましては、既報の通り、9月18日の二審判決で一審判決が維持されたため、原氏は最高裁に上告していましたが、そのための関係文書を11月26日に最高裁に提出されました。

二審判決は一審判決の不適切な表現についていくつかの修正を加えていますが、原氏の著作の核心部分については、「当該部分は歴史的事実の記載であって、同じ事実を他者が記述したからといって直ちにこれを剽窃であるということはできない」(二審判決23頁)というように、歴史学にとってはとうてい受け入れられない判断に立ち、小林氏の著作が原氏の著作の剽窃であるというためには、原氏の著作に依らなければ小林氏の著作は当該記述を行い得なかったことを、「立証責任を負う控訴人(原氏―引用者注)において証明すべき」(同20頁)であるとしています。こうした判断に立って剽窃か否かが判断されてしまえば、学界においては容易に剽窃と判断される案件であっても、司法に訴えれば正当な著作として認定されることになってしまい、その影響は広く学界全体に及ぶ恐れがあります。

ここに掲載します原氏側の4つの文書は、一審判決、二審判決の論法・判定を具体的に批判し、研究倫理をめぐる学界のこれまでの議論の成果の上に立って、正当な判決を出されるように訴えたものです。4文書は以下の通りです。

上告理由要旨・目次

上告理由書

上告受理申立理由要旨・目次

上告受理申立理由書

【控訴審判決に関するおしらせ】(2019年10月5日更新)

9月18日に控訴審判決があり、一審判決が維持されました。

これを受けて9月30日、原朗氏は最高裁判所に上告されました。

ここに①二審判決と、一審判決に対する批判となっている、被告代理人(弁護士)執筆の②「控訴理由書」を新たに掲載いたします(一審判決は掲載済みです→こちら)。




二審判決は言い回しの変更は多数おこなっておりますが、内容的には初審判決の論点を繰り返しているだけで、初審判決の矛盾点を真摯に検討した跡は全くみられません。そこで、一審判決に対する批判として、被告代理人(弁護士)執筆の控訴理由書も同時に掲載いたします。

両判決の論理が判例として定着してしまえば、学術倫理をめぐる学界・科学行政などで積み上げられてきた努力はすべて無駄になり、全くの同一文章をそのまま盗作するのでない限り、裁判を提起すれば盗作・剽窃が正当化されることになりかねません。控訴理由書をお読みいただければ、この点を明確にご理解いただけるものと思っております。

私たち、原朗氏を支援する会は、最高裁判所の判決に向けて、支援の輪を一層強めていく決意です。引き続くご支援を心よりお願いいたします。

【おしらせ】(2019年8月31日更新)

小林英夫氏の別件の盗作の疑い(尹亨彬「1929年元山労働者の総罷業とその教訓」に対して)について、小林氏が当時所属していた早稲田大学に対して、公開されている同大学の規則―「研究活動に係る不正防止および不正行為への対応に関する規程」(2018年3月27日規約第17-65号の14)―に基づいた対応を求めた文書を当会より同大学に対して送付いたしました。同大学の誠意ある調査と回答を期待し、ここに関係文書を公開いたします。

2019年7月2日文書(A氏より早稲田大学宛)

2019年7月18日文書(A氏より早稲田大学宛)

2019年7月24日文書(早稲田大学研究推進部研究マネジメント課長よりA氏宛)

2019年7月26日文書(A氏より早稲田大学宛)

2019年8月28日文書(A氏より早稲田大学宛)

2019年8月30日文書(早稲田大学研究推進部研究マネジメント課長よりA氏宛)

【急告】控訴審判決公判の日程が延期されました(2019年8月30日更新)

来る9月4日に予定されておりました控訴審の判決日につき、東京高裁第17民事部より、下記の通り延期する旨の連絡がありました。

日時:9月18日(水)午後1時30分

場所:東京高等裁判所812法廷(変更なし)

また、判決延期に伴い、判決後に弁護士会館で行う意見交流会の会議室の番号が507号室に変わりました。よろしくご承知ください。

【控訴審判決公判のご案内】(2019年8月14日更新)

下記の通り判決公判の日程が迫ってまいりました。

日時:9月4日(水)13:30開廷

場所:東京高等裁判所812号法廷

学術倫理全体にとっても大きな影響を及ぼす判決が出される可能性があります。御時間の許す方々にはぜひ傍聴していただけますようお誘い申し上げます。

なお、当日は公判終了後に隣接する弁護士会館の会議室(508AB)において、判決をどう受け止めるかをめぐって交流会を開催します。こちらの御参加もよろしくお願い申し上げます。

2019年8月13日

原朗氏を支援する会

よびかけ人:植田浩史( 慶應義塾大学教授)、加瀬和俊(帝京大学教授)、金子文夫(中央学院大学特任教授)、栗林純夫( 東京国際大学教授)、谷本雅之(東京大学大学院教授)、柳沢遊 ( 慶應義塾大学名誉教授)

【2019年7月15日更新】署名提出・公開のおしらせ

(1)署名127名分、東京高等裁判所に提出しました

原朗氏の主張を十分審議することなしに下された第一審判決を取り消し、公平かつ慎重な審理を求める「要望書」への署名が集まりました。7月11日、127名分の署名を集約し、東京高等裁判所に提出しました。

※「要望書」はこちらです。

(2)Web署名82名分、公開しました

「原朗氏を支援する会」のweb署名に賛同していただき、氏名の公表を了承して下さった方々82名(2019年7月9日現在)のリストを公開いたします。署名は引き続きお願いしておりますので、ご協力いただければ幸甚です。

※「web署名者一覧表」はこちらです。

【2019年7月9日更新】彩流社への質問書について

小林英夫「抄録 元山ゼネスト-一九二九年の朝鮮人民のたたかい」を補章として収録している小林英夫・福井紳一著『論戦「満州国」・満鉄調査部事件―学問的論争の深まりを期してー』(2011年)の発行所である彩流社ならび発行人竹内淳夫氏は、当方の「質問書」に対し10日間の期限より一日遅れて誠意のない回答をしたものの、5日間の期限を与えた「質問書2」に対しては一切回答せず、今日に至りましたので、この経過をのべた「質問書3」を送り、同社らが「研究不正に関する出版倫理に誠意ある対応する意思も姿勢もない」ものとして対応せざるを得ないことを通知しました。同社らの「回答書」の内容は、「質問書2」および「質問書3」に引用されていますのでここには掲げません。

【2019年7月6日更新】2019年6月30日開催「戦時経済研究会」について

すでにお知らせしましたように、6月30日の午後1時から4時50分まで、東京大学大学院経済学研究科棟3階第2教室にて、「戦時経済研究会―原朗氏の著作をめぐって」という学術研究集会が開催され、当日は約80名の参加がありました。以下は、永岑三千輝氏による会合の記録です。 (事務局)

【2019年6月28日更新】小林英夫氏の剽窃疑惑に関する新たな指摘について

※ 小林英夫氏の最初の発表論文が、先行して発表されていた尹亨彬氏の論文「1929年元山労働者の総罷業とその教訓」から、文字数にして48%もの剽窃を行っていた疑惑が、堀和生氏(京都大学名誉教授)「小林英夫氏盗作行為の起源」によって新たに指摘されました。詳細はこちらを御覧ください。

裁判関係資料

【裁判資料】

【裁判の前史】

  • 1965年05月 原朗・中村隆英、元大蔵大臣泉山三六氏所蔵企画院文書(物資動員計画・生産力拡充計画・資金統制計画等)、日満財政経済研究会(陸軍参謀本部石原莞爾の調査機関・日満経済統制五ヶ年計画等)を発見。

  • 1965年07月 原、日本銀行調査局内国調査課で臨時資金統制法関係資料筆写作業に入る(09月まで)。

  • 1965年12月 原、修士論文『戦時資金統制と産業金融』

  • 1966年04月 原、短縮版「生産力拡充計画の金融的側面」を作成。

  • 1966年06月 小林英夫「元山ゼネスト-1929年朝鮮人民のたたかい」(『労働運動史研究』44号)

  • 1966年07月 原、文部教官助手(東京大学経済学部勤務)に任命され、日本プラスチック工業調査所を退職。

  • 1967年01月 原「資金統制と産業金融」(『土地制度史学』1967年01月号)(以下、「資金統制論文」と略称)

  • 原、各種貿易統計・貿易外収支統計を「円ブロック向け」「第三国向け」分割作業

  • 1969年03月 原 「日中戦争期の国際収支-外貨不足問題と経済統制」(『社会経済史学』1969年03月号)(「国際収支論文」と略称)

  • 1969年04月 小林英夫氏の提案で「満州史研究会」発足(以下人名は全て敬称略)会員4名(浅田喬二・原朗・松村高夫・小林英夫)。

  • 1971年07月 八王子セミナーハウスで合宿、原は「満州における経済統制政策の立案・実施過程」の原稿を提出、分量過大のため協議の結果、前半の政策立案過程の部分のみを研究成果刊行物に収録することを決定。原稿を相互に交換し検討。

  • 1972年01月 政策立案部分を満州史研究会編『日本帝国主義下の満州』(御茶の水書房)第1章に収録(「満州第一論文」)

  • (政策実施過程についてはのちに安藤良雄編『日本経済政策史論』下巻(東京大学出版会、1976年03月)(「満州第二論文」)

  • 小林担当の第2章は難航、原はすでに蒐集をほぼ完成していた満鉄経済調査会『立案調査書類』のうち『満州金融統制方策』全三冊を小林に提供、小林はこれを活用していわゆる「金融再編成論文」を脱稿、第3章の松村高夫は「労働問題」、第4章の浅田喬二は「土地商租権問題」を分析。

  • 1973年11月 土地制度史学会理事会、次年度秋季学術大会共通論題につき討議開始(原は書記役の幹事として陪席)。

  • 1973年12月 土地制度史学会理事会で西洋経済史担当理事が共通論題廃止論を提起、理事会で深刻な対立が続く。

  • 1974年6月 1974年度共通論題廃止直前に安藤良雄理事の提案で担当分野を西洋経済史から日本経済史に変更して実施と決定、事務局幹事の原に共通論題組織の要請。

  • 1974年7月、原、要請に驚きつつも、学会の将来を考え受諾、「1930年代における日本帝国主義の植民地問題」を共通論題とし、満州史研究会メンバーで構成する案を立てる。司会:浅田喬二、報告:原朗・小林英夫・高橋泰隆。原、共通論題(案)趣意書を執筆。

  • 1974年07月24日、学会理事会、上記趣意書原案を「秋季学術大会共通論題(案)」として全評議員に諮問。

  • 1974年08月31日 全評議員から賛成の回答。

  • 1974年09月理事会で共通論題案可決、司会に安藤良雄理事参加。

  • 1974年10月12日 学会理事も出席して最終準備研究会、原「『大東亜共栄圏』の経済的実態」目次・図表6頁を提出。小林「土地制度史学会報告資料」目次なし、図表のみ4頁を提出。

  • 1974年10月27日 土地制度史学会秋季学術大会(於:専修大学)共通論題「1930年代における日本帝国主義の植民地問題」司会:安藤良雄・浅田喬二

  • 報告:原「『大東亜共栄圏』の経済的実態」「報告資料」

  • 小林「1930年代植民地『工業化』の諸問題」「配付資料」

  • 高橋泰隆「日本ファシズムと『満州』農業移民」

  • 大会共通論題は全体として新しい時代をとりあげた点で「画期的」と評価され(土地制度史学会/政治経済学・経済史学会『60年のあゆみ』)、山田盛太郎理事代表の恒例の総括発言「総評」も理論・現状部門と史的分析部門との共同研究の基礎を築くもの」と評価。同理事代表の「総評」はこの年度が最後となる。

  • 原は同学会誌『土地制度史學』に共通論題報告の一括掲載を強く要望。

  • 理事会=編集委員会は前例無しとして拒否、難航。原はさらに一括掲載をくりかえし要求。1976年4月号でようやく一括掲載が実現。

  • 1975年12月20日 小林英夫著『「大東亜共栄圏」の形成と崩壊』(御茶の水書房)刊行。

  • 小林、原に同書を寄贈、原、その内容を一読して「盗作」であるとの確信を抱く。

  • 原、学会理事会への告発=小林論文の撤回要求を検討するも、これまでに「一括掲載」を強く主張してきた点、共通論題第一報告者が第二報告者の論文撤回を求めれば、その共通論題を認めた理事会・各理事・理事代表および司会者の責任問題が生じ、辞任問題の浮上で学会の存続・解体に到りかねない危機を招く怖れが強いこと、告発による小林への懲戒免職・著書絶版など社会的制裁が激化し本人が自ら命を絶つ危険性も強い点に配慮して、摘発を断念。

  • 1976年01月 原、同時に自分の著作構想と研究者としての生活を諦め、次世代研究者の育成に重点を置き、日本帝国主義と植民地・占領地研究からも完全に撤退し、論文執筆は共同研究の一員としてのみに限り、単著は一切発行せず、教育と資料発掘・編集・公刊・学会事務などは継続することとする。

  • 1976年4月 『土地制度史學』第71号で一括掲載実現、原「『大東亜共栄圏』の経済的実態」の前文と付記で大会報告と内容には変更無し、小林著書と比較する要望を注記。

  • (この間、25年を経過、この件につき原は完全に沈黙を守る)

  • 2001年01月 『展望 日本歴史20 帝国主義と植民地』(初学者向け代表的論文集)発刊。原の論文を収録、上記の問題について「追記」で実名を挙げて言及。

  • 2006年03月15日 小林 、『「大東亜共栄圏」の形成と崩壊』増補版を発行。

  • 2009年03月 原、東京国際大学大学院で最終講義「開港百五十年史-小江戸・大江戸・そして横浜」で、自らが盗作の被害者となった旨を述べ、剽窃・盗用行為の絶対厳禁を、研究者を目指す大学院院生と、聴講にきた研究者に強調、自己の大学生活の最終講義とする。

  • 2010年03月20日 同最終講義録、東京国際大学大学院経済学研究科『経済研究』第12号、1-31頁に掲載。


【裁判の経過】

  • 2013年05月08日 小林「催告書」(3頁)を書留内容証明で原に送付。9日到着。

  • 2013年06月27日 小林は東京地方裁判所民事部に原への「訴状」(17頁)を提出

  • 2013年07月12日 東京地方裁判所より原に呼出状・訴状到着。

  • 2013年08月30日 原、「原告小林の単著と被告原の論文との対照表」を作成。

  • 2015年09月01日 支援者21名の会合、「公正な裁判を要請する要望書」に署名。

  • 2015年09月09日 裁判長交代。

  • 2015年10月01日 堀和生京都大学大学院教授「意見書」提出。

  • 2016年04月17日 松村高夫慶應義塾大学名誉教授「意見書」提出。

  • 2016年09月13日 被告「陳述書Ⅰ」提出。

  • 2017年04月28日 被告「陳述書Ⅱ」、堀「意見書Ⅱ」提出。

  • 2017年05月02日付 原告「陳述書」、1月20日付 依田憙家「陳述書」(提出は5月10日)。

  • 2017年07月31日 裁判長、再び交代。

  • 2017年12月27日 堀「意見書Ⅲ」を提出、表4で小林著書全項目の盗作部分を特定。

  • 2018年02月05日 証人尋問 被告側 堀和生 原告側依田憙家 主尋問25分 反対尋問25分。

  • 2018年02月13日 本人尋問 被告 原 朗 原告 小林英夫 主尋問60分 反対尋問80分。

  • 2018年05月22日 被告本人口頭陳述、結審。

  • 2019年01月21日 第一審判決(当初の言渡し期日は2018年9月3日であったが、2回延長される)。被告敗訴。

  • 2019年01月31日 控訴状を提出。

  • 2019年04月25日 控訴人として控訴理由書と陳述書Ⅲ、堀意見書Ⅳほか証拠を提出。

  • 2019年05月27日 東京高等裁判所控訴審第1回期日、即日結審。

  • 2019年09月04日 控訴審判決予定日だったが、裁判所の都合により18日に延期。

  • 2019年09月18日 控訴審判決。一審判決維持。

  • 2019年09月30日 原氏、最高裁判所へ上告。「上告状」提出。

  • 2019年11月26日 「上告理由書」「上告受理申立理由書」等提出。

  • 2020年02月14日 「記録到達通知書」到着。高裁から最高裁へようやく到着。

  • 2020年02月20日 原朗著『創作か 創作か』(同時代社)刊行。

  • 2020年04月09日 「上告受理申立補充書」等提出。

  • 2020年04月13日 「上告受理申立通知書」等到着。

  • 2020年05月02日 「上告受理申立補充書2」等提出。

  • 2020年05月11日 最高裁に原朗氏支援の署名を提出(社会科学研究者を中心に226名分)

  • 2020年06月15日 最高裁判所より「調書(決定)」到着、上告棄却

  • 2020年06月19日 原朗「七年間の裁判を終えてーお礼のことばー」ホームページに掲載

  • 2020年06月28日 支援する会事務局:声明「最高裁判決を受けてー批判と決意ー」

【過去の催し】

※ 原朗氏の裁判に関する集会を、下記の通り開催しました。多数のご参加、ありがとうございました。

2019年6月30日 (日)午後1時〜午後5時(於:東京大学経済学研究科棟3階第2教室)

「戦時経済研究会-原朗氏の著作をめぐって」

  • 講演「学術盗作問題と司法-原朗・小林英夫裁判に関わって」京都大学名誉教授 堀 和生 氏

  • 発言「戦時経済研究回顧-学問と裁判と人生と」東京大学名誉教授・東京国際大学名誉教授 原 朗

  • 質疑・討論 司会 慶應義塾大学名誉教授 柳沢 遊

【呼びかけ人】

  • 植田浩史 慶應義塾大学教授

  • 加瀬和俊 東京大学名誉教授・帝京大学教授

  • 金子文夫 横浜市立大学名誉教授・中央学院大学特任教授

  • 栗林純夫 東京国際大学教授

  • 谷本雅之 東京大学大学院教授

  • 柳沢遊 慶應義塾大学名誉教授

(五十音順)

連絡先

  • 原朗氏を支援する会:ahara.shien☆gmail.com (☆を@に変更してください)