A.D.Japonは,2000年に「A.D.」としてオープンし,2004年に「A.D.Japon」として新たに歩みを始めました.創業以来,花にとって最も良い環境とは何か,そして花を手に取る人にとって最も誠実な届け方とは何か,を問い続けてきました.
私たちが扱う花は,すべて市場に足を運び,自らの目で見て選び抜いたものです.一輪一輪の状態を確かめ,丁寧に水揚げを行い,自然に近い管理のもとで,花が持つ本来の美しさと生命力を引き出すことを大切にしています.
ユニークな佇まいの店内では,花そのものだけでなく,お客様一人ひとりの物語や想いに耳を澄ましながら,最もふさわしい花々を静かに形にしていきます.花と人とのあいだに生まれる,その一瞬のために.
新たな場所で花を手渡すとき,私たちは何かを「持ち込む」というよりも,すでに在る時間や人の流れに,そっと手を差し込むような感覚で立ちます.花が置かれる空間,花を受け取る掌,そしてその先に続く時間.私たちがまず耳を澄ますのは,そこにすでに流れている物語です.
過去に敬意を払い,いまを丁寧に見つめ,これからも静かに寄り添い続けること.花は主張しすぎず,けれど確かに,そこに在る人の暮らしを少しだけ豊かにする存在でありたいと,私たちは考えています.
A.D.Japonは,その場所と対話しながら,地域に根ざした花のかたちを選び続けています.
私たちは,花を「つくる」ことよりも,花と向き合う姿勢そのものに基準を置いてきました.一輪を選ぶこと,束ねる順序,水を与える時間,そして手渡す瞬間に至るまで,そのすべてに理由があります.合理性と持続性への誠実な関心は,花を扱うすべての行為の根幹です.
花材は信頼できる生産者からのみ受け取り,季節や個体差を見極めながら用います.長年培ってきた感覚と知識に,その時代に合った方法を重ね,最良のかたちを探り続けています.
A.D.Japonが花を束ねるのは,見た目の新しさのためではありません.誰かの暮らしの中で,確かな意味と役割を持つと判断できたときにだけ,花はかたちになります.
技術を学ぶためではなく,感性を研ぎ澄ますために,フランスへ向かいました.フランスは,答えを教えてくれる場所ではありませんでした.どう感じるか,どう美しいと思うか,そのすべてを,自分自身に問い返してくる土地だったのです.
花の扱い方より先に,花を見る「まなざし」を.完成形より先に,過程に宿る静けさを.効率よりも,理由のある遠回りを.正しさよりも,心が動いた瞬間を.
A.D.Japonが大切にしているのは,フランスの様式そのものではなく,フランスが育ててきた“美への態度”.それは誇示しないこと.急がないこと.そして,手でつくることを信じること.
私たちの花は,フランスを真似るためにあるのではありません.フランスで育まれた感性に敬意を払いながら,ここ,日本で咲かせるためにあるのです.
Hommage à la France.