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2022/3/15 令和3年度会計科学論文賞を神戸大学大学院生の加藤大智先生,松山大学の佐久間智広先生,流通科学大学の早川翔先生の共著論文「販売費及び一般管理費が創出する将来価値:Banker et al. (2011)の追試」に授与することを決定しました。 賞状はこちら。受賞理由は,販管費と将来収益の関係について,日本企業における分析結果がどのように先行研究と異なるのかを丁寧に明らかにした点となります。
2020/9/16 令和2年度会計科学論文賞を熊本学園大学の小笠原亨先生,近畿大学の井上謙仁先生の共著論文「ジェネリック戦略は財務指標から測定できるか?:Banker, Mashruwala, and Tripathy (2014) の追試」に授与することを決定しました。 賞状はこちら。受賞理由は,戦略測定という日本企業を対象とした分析がほとんど行われていない分析を適用したこと,限定的な再現性であることを明らかにしたこと, の2点となります。
2020/4/1 創刊しました。
2020/2/4 編集委員会を開催し,創刊宣言,投稿規定などを決定しました。
投稿について
投稿規定をよく読んだうえで,テンプレートに従い本文を作成の上,メール(acc.sci.journal (at) gmail.com; (at)は@マーク)の添付ファイルにてお申し込みください。投稿は随時可能です。
『会計科学』誌の創刊にあたって
2020年4月1日
編集委員長 新井 康平
2020年になった現在においても,2010年代より議論されてきた科学の多様な分野における「再現性の危機(replication crisis)」の問題は解決していない。ポパーが指摘したように,反証可能性こそが科学の基礎をなすものであるとしたら,現状の反証されていない仮説の総体を追試し続け,反証を試みる姿勢こそが科学の発展には欠かせないだろう。その意味では,再現性の危機は科学の正常な発展の一側面として捉えることも出来る。つまり,科学的に反証を繰り返すことは科学の発展において重要な段階であるし,その結果として再現性が認められなかったという事実は,研究者に新たなるフロンティアを提示し,さらなる探求へ駆り立てるものとなり得るのである。
しかし,国内外の会計研究の雑誌において,追試(replication studies)を掲載するのは,現在,大変に困難な状況が続いている。国内会計研究関係の雑誌のうち,査読の基準が明記されている『現代ディスクロージャー研究』では「学界と実務において、ディスクロージャー問題の解決に貢献することを目的に,新規性の高い,独創的な研究を掲載」[1]することが宣言されている。また,『管理会計学』においては,「独創性」が掲載のための必要条件としてあげられている[2]。その他の雑誌についても(掲載論文から判断するに)追試研究を許容しているようには思われない。
このような状況は,反証可能性こそを基礎とする科学の現状と相容れないものと言わざるを得ない。もちろん,各誌が独創性や新規性を雑誌の基盤とすることは自由であるのだが,それにつけても追試研究の掲載の余地がないことは問題である。また,キャリア初期の大学院生や研究者にとって,優れた研究を追試することは,その結果自体に科学的な意義があるだけでなく,自身の研究者としての成長にとっても有用であると思われる。そこで,会計研究分野における実証的・実験的先行研究の「追試」を査読付きの原著として掲載する専門誌『会計科学』を創刊することとなった。また,本誌がキャリアの初期の大学院生や研究者の支援を行うという意図から,追試研究以外にも,先行研究の解題や統合的なレビューを実施した研究ノートについても査読付きで積極的に掲載するものとする。
本誌の創刊が,会計研究のさらなる発展に寄与することを願ってやまない。
以上
[1] http://www.jardis.org/publications/cdr/referee.html
[2] http://sitejama.jp/?page_id=159
編 集 委 員 会
編集委員長 :新井康平(大阪府立大学)
副編集委員長:北田智久(近畿大学),濵村純平(桃山学院大学)