Search this site

Embedded Files

ホーム
レッドブルー / switch
ワールドトリガー
その他

風間と歌川と諏訪

6ページ目

風間が歌川に袋を渡す。「堤と諏訪からもいろいろもらっただろうが、これは俺からだ。」　歌川　「わざわざすみません。」　歌川が抱えている荷物を見て風間が笑う。　歌川　「な、なんですか。」　風間　「いや、いい具合に甘やかされているなと思って。」　歌川　「ああ…。」　風間　「しばらくは家でゆっくりしていろ。こっちのことは心配しなくていい。他人だけじゃなくて自分も大事にしろ。ちゃんと治してから戻ってくるんだぞ。…それと、これからは何か思うことがあれば俺に言ってくれていい。すぐには解決できなくても一緒に背負ってやることはできる。」

風間　「少なくともおまえたちの意思をないがしろにすることはない。」　歌川　「風間さん、今の言葉そっくりそのまま返します。つらいときは周りを頼ってください。」　風間　「菊地原みたいなこと言う…。」　歌川が笑いながら言う。「いつも一緒にいるから口調がうつったんですよ。　じゃあ、いろいろとありがとうございました。」

風間は歌川が帰るのを見届けて、車に戻る。　諏訪　「楽しそうに話してたな。よかったじゃねーか。」　風間　「そうだな。」

風間　「ときどき、なんでもないときに兄を思い出す。それがなんでなのかわからなかった。兄の死を知った当時は冷静に受け入れていたし、すぐに乗り越えられると思っていた。慰めも何もいらなかった。でも、最近歌川たちを見てると思う。この年頃の子どもはこんなにも幼く傷つきやすいのかと。」

風間　「あのときの俺が、平気だったはずがない。　ほんとうは傷ついていたんだ。自分が思ってるよりもずっと。」

風間　「傷ついた自分を見て見ぬふりして、ここまできてしまった。今更何ができるのかわからない。」　諏訪が風間の肩に手を置いて名前を呼ぶ。

諏訪　「お前ひとりでなんとかしようとすんなよ。俺やレイジたちがいるんだから。まぁ、なんとかなんだろ。」　風間　「なんだそれは。全くアテにならんな。」　諏訪　「肩の力抜けってこった。」　風間　「でもその通りかもな。諏訪、俺はもうおまえの手を振り払わないよ。」　風間がほほ笑んで諏訪の手を握る。

諏訪が風間をはたいて言う。「よっしゃ！」　風間　「はたくな。」　諏訪　「おまえこのまま俺んち来い。なんかうまいもん出してやるよ。」　風間　「じゃあ、甘えさせてもらうか。」　*終わり

以下奥付…イメージソング：Bronze Radio Return『Still Wandering / String Version』、タイトル　「剥落」、発行日：2022年10月22日 (2023年10月1日再版)、発行者：ham（余暇）、印刷所：あかつき印刷。この本は個人による非公式ファンブックです。原作者、出版社とは一切関係ありません。無断転載、複写、転用、web上へのアップロード、ネットオークションやフリマアプリへの出品を禁止します。

この話の先頭へ

ワートリのアーカイブへ戻る

SNSや掲示板へのURL共有、作品の転載・無断使用を禁止しています。ご意見や不備の報告などはWaveboxへお願いします。

Google Sites

Report abuse

Google Sites

Report abuse