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風間と歌川と諏訪

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風間　「悪い。」　風間が手を離そうとするが、歌川がその手をつかむ。　歌川　「風間さん、ごめんなさい。俺、熱出して倒れたうえに風間さんに看病までしてもらって…。昨夜は風間さんを不安にさせるようなことを言ってしまいました。なのに俺は風間さんがつらそうなときに何もできない。風間さんのことを何もわかってあげられなくて…。」

風間　「何もできないなんて言うな。他人の苦しみに気付いて、その苦しみを何とかしようと気遣いができる。それだけで救われる人がいるんだ。俺だって例外じゃない。　俺がいくら強がってみても、ごまかしても、拒絶しても、おまえは俺のささいな心の動きさえ拾い上げて寄り添ってくれた。」

風間　「その行動だけで俺はずいぶん助けられてきたんだ。なのに俺はおまえの体調を案じることも、不安や恐怖を汲み取ることもできなかった。謝らなきゃならないのは俺のほうだ。おまえが俺のことをわからなかったように、俺もおまえのことをわかってやれなかった。だから…まあ…、お互い様だな。」　その言葉を聞いて歌川が笑う。

歌川　「俺たち、わからない者どうしですね。」　風間がほほ笑む。

二人が手を握る。　風間　「そうだな。」

その後、諏訪と堤がやってくる。　諏訪　「風間ー、こっちは夜勤明けなんだよなー…。」　堤　「あ、お疲れ様です。」

風間　「遅いぞ諏訪。」　諏訪　「ハァ？　おまえが急に連絡してくっからだろーが。」　風間　「歌川を一人で帰らせるわけにはいかないだろう。」　諏訪　「頼み方考えろっつってんだよ。」　堤　「隊長たちは朝から元気だな～。はい、これ。」　堤が歌川に食べ物を渡しながら言う。「体調崩したって聞いたから、ゼリー飲料とか食べやすいもの。」　歌川　「ありがとうございます。」　諏訪　「あ、そういや体調はもう良くなったのか？」　歌川　「まだ本調子じゃないですけど、熱は下がったので…。」　諏訪　「あのなぁ、そうやって油断してっと長引くぞ。これ貸すから着ていけ。」　諏訪が歌川に自分の上着をかぶせる。　歌川　「ありがとうございます。」　諏訪　「返すのはいつでもいいからな。」　風間　「一生返さなくても大丈夫だ。」　諏訪が怒る。「おめーはよォー。」

諏訪が車に風間と歌川を乗せ、歌川の自宅へと走る。　歌川　「あ、ここで大丈夫です。送ってくれてありがとうございました。」　諏訪　「おー。」　風間　「玄関先まで送ろう。荷物はこれで全部か。」　歌川　「はい。」

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