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風間と歌川と諏訪

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諏訪が風間の肩に手を置く。　諏訪　「風間、おまえ…。」　風間が諏訪の手を振り払いながら言う。「しゃべりすぎたな。おまえはもう戻れ。」　諏訪　「ハァーー？　人がせっかく…。」　風間　「うるさいぞ諏訪。お前が医務室でサボっていると堤に伝えてもいいのか。」　諏訪　「クソッ…。あとでシバく。」

諏訪　「おい。俺に打ち明けてくれんのはいーけどよ。歌川たちともちゃんと話せよな。」　諏訪が立ち去る。風間は歌川が起きていることに気づく。

風間　「聞いてたのか。」　歌川　「すみません。」　風間　「横になってちゃんと休め。」　歌川　「はい。…風間さん。風間さんの言うとおり、俺はここにいるべきじゃないのかもしれません。」

風間　「あれはおまえを責めたくて言ったわけじゃない。」　歌川　「わかってます。　鳩原先輩…、誰よりも遠征に行きたがっていたのに合格を取り消されて、違反を犯してまで向こうへ行ってしまった。俺は、あのひとの席を奪ってしまった気がして…。」　風間　「考えすぎだ。人を撃てなければ仲間どころか自分の身も守れない。遠征に行ったところで命を危険にさらすだけだ。」　歌川　「そうですね…。それもわかってるんです。」　風間　「じゃあ何をそんなに思い詰めているんだ。」

歌川　「俺は怖いんです。遠征にあまりに多くの人の思いがのしかかってる。絶対に失敗はできない。でもそう思えば思うほど失敗したらどうしようと怖くなるんです。」　風間　「歌川、おまえが気負う必要はない。同行するのはA級部隊のなかで最も腕の立つ部隊だぞ。」　歌川　「確かに。そうですね。そう言われると心強いです。」　風間　「そうだろう。」

歌川　「風間さんは、戦いのときは俺たちを引っ張ってくれて、戦いの外ではこうして俺たちの背中を押してくれる。ほんとうに俺は頼りっぱなしで…。風間さんのように強くなれたら、自分の中にある迷いや恐怖にも打ち克てると思ってました。でもやっぱり風間さんのようにはいかないですね。俺はまだ、弱いままだ。」　風間は黙って聞いている。

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