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風間と歌川と諏訪

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歌川が眠る横で、風間は諏訪のメッセージに返事をする。　諏訪が医務室に来る。　諏訪　「あ？　なんだ。」

風間　「なんだとはなんだ。」　諏訪　「お前がケガか病気にでもなったのかと思った。」　風間　「俺じゃない、歌川だ。夕方に熱出して倒れた。」　諏訪　「は？　それ大丈夫なのかよ。」　風間　「意識ははっきりしてたし自力で薬も飲めていたから、大丈夫だろう。今は眠ってる。」　諏訪　「ふーん。」　諏訪が歌川が寝てるところを見る。「お前も泊まってくのか。あれ、付き添い用のベッドだよな？」　風間　「ああ。」

諏訪　「へー。」　風間　「ほら、諏訪。借りてた本。」　風間が諏訪に本を渡す。　諏訪　「おー。　あ、これ下巻な。」　風間に本を渡す。　風間　「わざわざ持ってきたのか。　ちょうどいい、これで暇しなくて済む。」　諏訪が椅子を持ってくる。　風間　「何してる。」　諏訪　「俺も暇つぶしにつきあってやろうかと思って。」

諏訪　「ま、どーせ待機でヒマだしよ。ずっと堤と話してても楽しくねーし。」　諏訪が椅子に腰かける。　諏訪　「風間、おまえずいぶん世話好きになったな。泊まり込んでまで面倒みるなんて。」

風間　「歌川はまだ15歳だぞ。もし笹森や小佐野に何かあったらおまえも同じことするだろ。」　諏訪　「まあ、そうだな。」　歌川が目を覚まし、風間と諏訪の会話に気づく。　風間　「何が言いたいんだ、おまえは。」　諏訪　「いや別に何もねーけど。　自分のとこの隊員が倒れて、おまえみたいな奴でも何か思うことあんのかなと思って。」

風間　「まあ、精神的にも身体的にも、負担のかかる時期だとは思ってたんだ。通常の防衛任務に加えて、遠征に向けての訓練や準備も進めてる。　それに、このまえの二宮隊の降格でいろいろと忙しなかったしな。」　風間は鳩原が密航したときのことを思い出す。　諏訪　「あ？　ああ。」　風間　「だから、」

風間　「ほんとうは隊長の俺が、隊員の不調に気づいて対処しなければならなかった。一人でも戦力が欠けたら任務に支障が出るからな。」　諏訪　「おまえ、そこまで言わなくてもいいだろ。他人の体調把握できたら苦労しねーわ。　それにおまえの隊ひとつダメになっても、他の部隊がカバーするから大丈夫だろ。気にすんなよ。」　風間　「そんなこと自分でもわかってるんだがな。　俺は歌川も菊地原も三上も、大事な戦力だと思ってる。自分の部隊にとっても、ボーダーにとってもな。　でも今日みたいな日はどうしても考えてしまうんだ。」

風間　「『あいつらはこんな場所にいるべきじゃない』、『こんな場所で死んで欲しくない』。　まあ、そんな考えは俺個人の願望に過ぎないが、自分なりに隊員たちのことをちゃんと見てきたつもりだった。でも。」　風間の回想が入る。歌川が風間に手を添えて「風間さん、大丈夫ですか？」と声をかけている。　風間　「歌川のようにはいかないな。結局、無理をさせてしまった。」

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