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風間と歌川（BL）

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食事会が終わり、店の外に出る。隊員たち「ごちそうさまでしたー。」「今日はありがとね！」「こんど一緒に遊ぼうよ。」風間が歌川を呼ぶ。「もうすぐ辞めるんだってな。」歌川「はい。俺、風間さんには直接言いたかったんですけど、なかなか会えなくて結局今日になってしまいました。すいません。」風間「いや…、俺も忙しかったからな。おまえが辞める前にふたりで何か食べに行くか。」歌川「はい、ぜひ。」風間「じゃあ、気をつけて帰れよ。」歌川「風間さんもお気をつけて。」

歌川が風間の後ろ姿を見送っていると菊地原が近づいてくる。「さっき歌川がボーダーやめるって言ったとき、風間さん動揺してたよ。」歌川「おまえなぁ、やめろよ。そんなの本人に聞かないとわからないだろ。」菊地原「でも歌川がミカドから出て行っちゃうっていうのに、風間さん、あっさりしてたね。僕、もうちょっとリアクションあると思ってた。歌川も期待してたでしょ。」歌川「おまえはほんとうに口が減らないな。」

落ち込む歌川を見かねて菊地原が言う。「僕、今から一緒にお酒飲みに来てくれる人探してるんだよね。誰かいない？」歌川「行く…。」

歌川がボーダーをやめる日。隊員たちが見送りをする。「じゃーねー、隊長。」「いつでも三門に遊びに来てね。」「お世話になりました。」歌川は照れ笑いする。「ありがとう。じゃあもう行くね。」隊員「お元気でー！」風間が歌川を出迎える。「ちゃんと見送ってもらえたか？」歌川「風間さん。」

歌川「わざわざ来てくれたんですか。」風間「ああ。ここからは俺が見送る。」歌川「ありがとうございます。」風間「宇佐美たちとは話せたか？」歌川「はい、たくさん贈り物いただきました。」二人は幹部が待つ部屋の前へ到着する。風間「歌川、ひとつ言っておきたいんだが…。」歌川「わかってます。俺、これから記憶封印措置を受けるんですよね。」

風間「全部の記憶がなくなるわけじゃない。ボーダーの機密に関することと、ネイバーフッドの情報だけだ。今後の生活にあまり支障はないだろう。」歌川が風間の手を引く。「風間さん、これは俺のわがままなんですけど…。俺が辞めたあとも風間さんにはできるだけ長くボーダーにいてほしいんです。風間隊の隊員として任務や遠征に行ったこと、俺は忘れてしまうけど、風間さんがボーダーにいてくれている限りはその記憶は残り続けていくから。」

歌川「だから俺…。」風間「やめろ。やめてくれ。ばかなことを言うな。そんなこと聞きたくない。」歌川は風間の手を離す。「すみません、俺ひどいこと言ってしまいました。風間さんに押しつけることではなかったですよね。それじゃあ失礼します。」歌川が部屋の中へ入ってしまう。

残された風間は苦しそうな表情をする。すこし前の出来事に場面が移る。風間と諏訪が会話をしている。諏訪「歌川がボーダー辞めてミカドから出てくって？」

諏訪「俺もこないだ聞いたわ。おまえ、歌川と一緒にメシ行ったんだろ？…何かねぎらいのひとつでも言ってやったか？」風間「ああ。いままでよくやったと伝えた。」諏訪「それだけ？」風間「それだけだ。」諏訪「あっ、そう…。どうせもう同じ組織に所属する人間どうしじゃなくなるんだし、もっと言ってやればよかったじゃんか。」風間「…おまえが期待してるのは、俺と歌川が私的な関係になることか？」諏訪「あ…、悪い。俺、踏み込みすぎたな。おまえらのこと見て勝手に勘違いしてたわ。」風間「いや、そのことはいいんだ。」

風間「俺自身もよくわかってないんだ。歌川のことを好ましく思っているのは本当だ。でもその感情が何なのか。どんな関係を築きたいのか。ずっと考えても正解が見出せずにいる。焦って決めようとすることではないとわかってはいるんだ。でも、何もせずに過ごしているあいだに、まわりは俺を置いて変化していってしまう。ほんとうはときどき立ち止まって、自分の胸の内と向き合ったり、大事な人のそばでひと息ついたり、誰かとの別れを惜しんだり…。そういうことに時間をかけて過ごしていたい。」

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