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空閑と村上

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ミカド駅に着く。　空閑　「帰ってきたな。」　村上　「うん。　空閑はここからタマコマまでどう帰るんだ？」　空閑　「レイジさんが迎えに来てくれる。」　村上　「そっか。俺はバスだからここでお別れだな。」

村上　「じゃあ、次の防衛任務で会おう。」　空閑が村上を引き留めて言う。「聞いてほしいことがあるんだ。」

空閑　「俺がこの国に来たのはなりゆきで、日本は…ていうかミカドは、俺にとってはただの『親父の故郷』ってだけだった。　来たばっかのときは馴染めなくて、はやくもといた国に帰りたいって思ってた。　でもオサムやチカ、タマコマやボーダーのみんなと出会って考えが変わった。」

空閑　「もう『親父の故郷』じゃない。ここはおれ自身の居場所だ。　この先、遠征の結果や近界民との関係がどうなるかで俺の生き方は変わってくる。　でもこれだけは覚えておいてよ、村上先輩。　俺は過去の自分の居場所に『帰る』ことはない。　故郷はどこかって聞かれたら今のおれは間違いなくミカドを選ぶよ。　村上先輩がミカドでの暮らしを選んだように。」

空閑　「村上先輩のおかげで自分の気持ちにも気づけたよ、ありがと。」　村上　「いや、俺のほうが感謝してるよ。」　空閑　「先輩、またふたりでゆっくり出かけよう。」　空閑が差し出した手を村上が握る。　「うん。」

車が近づいてくる。　空閑　「おっと。レイジさんの車だ。　じゃ、またな。」　去っていく空閑に手を振る村上　「うん。また。」　*終わり

以下奥付…イメージソング：kodaline 『One Day』、タイトル「望郷」、発行日：2022年10月22日（2023年10月1日再版）、発行者：ham（余暇）、印刷所：あかつき印刷。この本は個人による非公式ファンブックです。原作者、出版社とは一切関係ありません。無断転載、複写、転用、web上へのアップロード、ネットオークションやフリマアプリへの出品を禁止します。

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