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空閑と村上

表紙。手前に立っている村上を、奥にいる空閑が見つめている。村上は日陰のなかにいるが、空閑にはあたたかな日差しがあたっている。背景には青空が広がっている。

タイトル　「望郷」

お好み焼き屋の「かげうら」にて。空閑　「そういえば、村上先輩の家はミカドのどこにあるんだ？　たしか今はスズナリに泊まり込んでるんだよな？」　影浦　「コウ、オメー、空閑に教えてねーのかよ。」　村上　「言ってなかったかも。」　影浦　「いつも二人でだべってるくせによー。」　きょとんとする空閑。　北添　「コウくんはね、ボーダーにスカウトされて遠くから来てくれてるんだよ。」　空閑　「そうなのか。　じゃあこことはまた違う場所なのか。　どんなところに住んでたんだ？」　村上　「普通のところだよ。ミカドよりちょっと田舎っぽいかな。」　空閑　「ミカドより田舎？　気になるな。」　村上　「そうか？」　影浦　「ああ。空閑はよく親父さんと旅してたんだっけな。そういうの気になるのか？」　空閑　「そうそう」

空閑　「親父の好奇心を受け継いでるもんで。」　村上　「へえ。まあ、機会があったらな。遠くて日帰りできないし。」　空閑　「なるほど。　カゲ先輩、タマコマとスズナリの予定調べてくれ。二日間休みがかぶってるとこ。」　影浦　「ああ、ちょっと待ってろ。　来週末がちょうどかぶってんな。」　空閑　「じゃあその日で。」　村上　「フットワークかる…」

空閑　「あ、でも村上先輩の都合に合わせるよ。」　村上　「俺は別に構わないけど、親に大丈夫か聞いてみる。俺の家に泊まるってことでいいんだよな？」　空閑　「うん。　友達の家に泊まるのは初めてだな。」　影浦　「そうなのか？、よかったじゃねーか。」　村上　「俺も家に友達泊めるの初めてかも。」　村上のスマホが鳴る。「返事来た。大丈夫だって。」　北添　「おー、楽しんできなよ。」　影浦　「土産買って来いよ、コウ。」　村上　「はいはい。」

旅行当日、ミカド駅にて。空閑　「村上先輩。お待たせしました。」　村上　「おはよう。行こうか。」　空閑　「うん。」

村上と空閑が電車に乗って景色を楽しんだり、食事を楽しんだりしている。

バス停に着いた二人。　空閑　「もうすぐ？」　村上　「うん。　空閑はなんでこんな急に俺の地元来ようと思ったんだ？」　空閑　「カゲ先輩とかミカドに住んでるみんなのことはだんだんわかってきたけど、村上先輩のことはよく知らないなと思って。」　村上　「でも今じゃなくてもよかったろ。もっと暖かくなってからでも来れたんじゃないか？」　空閑　「う～ん、なかなかそうもいかなくて…。遠征がどうなるかわからないと先の予定も立てらんないんだよな。」　村上　「ああ、そっか。玉狛は遠征行って知り合いを助けるんだもんな。」　空閑　「そうそう。もし遠征でオサムたちの目的が果たせたら、俺が育った国に帰ろっかなーと思ってるし。」　驚く村上。　空閑　「まー、そんな簡単にはいかないだろうけどな。」

村上　「帰っちゃうのか？」　空閑　「たぶん、まだわかんないけど。　俺はもともと遠征とは別の理由で日本に来たんだけど、それが無駄足ってわかったから。遠征終わったら、日本にいる理由無くなっちゃうんだよね。」　村上　「そうなのか…。」　空閑　「城戸さんとかネツキさんとかにも嫌われてるし。」　村上　「それはまあ…、気難しい人だから…。」　村上の実家のあるマンションに到着する。　「着いたよ。」　空閑　「おー！」

村上の両親が出迎える。「おかえり。」　村上は恥ずかしそうに「ただいま。」と言う。　空閑　「こんにちは。」　母親　「えっ、コウが連れてくるって言ってた友達、こんな小さい子なの。」　空閑　「空閑ゆうま。15歳です。」　母親　「よろしくね、空閑くん。」　父親　「寒いから中に入りな。」　母親　「まだ夕飯まで時間あるし、部屋でゆっくりしてな。」　父親　「飲み物あとで持ってくから、待ってて。」　空閑　「ありがとうございます。」　村上　「ありがとう。」

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