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空閑と村上

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夜の街を歩く二人。　村上　「寒くないか？」　空閑　「平気、平気。」　山道にたどり着く。　村上　「ここ登ったらもう着くよ。」　周りを見渡していた空閑が転びそうになり、村上が助ける。「大丈夫か？」　空閑　「びっくりした。」　村上　「このへん、滑りやすいんだよ。」

村上　「危ないから手繋いでようか。」　空閑　「うん。」　二人は手を繋いで歩き出す。

空閑　「村上先輩。さっき言ったこと。　もうすぐ帰るっていうのは、ほんとなのか？」　村上　「んー、そうだな…。もともと俺のわがままで、親に無理言ってボーダーに入隊させてもらってるし。父さんと母さんにとっては俺しか家族がいないから、この先俺が二人を支えていきたいんだよ。　学校でうまくいってなかった俺のそばにいてくれたのは家族だけだったし。ちゃんとお礼っていうか、お返しをしたいんだよ。」

空閑　「親孝行ってやつか。」　村上　「はは。そんな大げさなものじゃないよ。」　空閑　「…お。ここがそうか？」　村上　「うん。」　山の上の展望広場に立つ二人。

空閑　「きれいなとこだな。」　村上は何も答えない。　空閑　「村上先輩？」　村上　「あ、悪い。ボーっとしてた。」　空閑が少し考え込んで質問する。「ほんとはもっと、考えてることがあるんじゃないの。」

村上　「ここは、俺の故郷だ。ここで生まれ育って、住み慣れた家と街があって、大事な家族も住んでて、今まで生きてきたぶんの思い出がある。親が言うように、ここが俺の帰ってくるべき場所なんだ。でも…」

村上の回想。荒船や迅や太刀川、影浦、穂刈など、友人の顔が次々と浮かぶ。

村上の回想。友人やスズナリ第一のメンバーの顔が浮かぶ。

村上　「なんでこんなに苦しいのかわからない。自分の体が、心が、引き裂かれるみたいに痛いんだ。」

村上の心の声　「故郷を故郷たらしめるものに、過去の思い出なんていらないのかもしれない。」　村上の幼少期の姿が一瞬映る。

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