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柿崎と影浦

表紙。柿崎と影浦が薄暗い空の下で遠くを見つめている。

タイトル　「凪」

数年前の柿崎と影浦がボーダーで初対面をする場面。　柿崎がソファーで寝そべる影浦に声をかける。「おまえ、たしか影浦、だよな？」

柿崎　「こんなとこで寝るなよ。具合悪いのか？」　影浦　「…別に。」　柿崎　「そっか。おまえの個人ランク戦見てたけど、強いんだな。攻撃かわすの上手くてさ。未来が見えてるみたいに戦うよな。勘がいいのか？」　影浦　「うっせえな。おまえ誰だよ。」　柿崎　「お。そうだった。俺は嵐山隊の柿崎。ちゃんと話すのは初めてだよな。」

影浦　「未来なんて見えるわけねーだろ。俺のサイドエフェクトだよ。他人から自分に向かってくる感情が全部感覚になって刺さってくんだよ。だから攻撃を先読みできる。これで満足か？」　柿崎　「質問した俺が言うのもなんだけど、それバラしても大丈夫なやつなのか？　なんかこう、戦術的に…。」　影浦　「もし隠してたのがあとになってバレたら、卑怯者とか言われるだろ。めんどくせーから最初から言ったほうがいい。」

柿崎　「おまえさ、このあと暇だったら一緒に何か食いに行かないか？いい店知ってんだけど。」　影浦　「そんなの行くわけ…。」　柿崎　「オレの奢り。」　影浦　「……マズかったら殴るからな。」　柿崎　「おー、いいぜ。」　影浦が換装体を解く。生身に戻った彼を見て柿崎が困惑する。「え…、どうしたんだそれ。」　影浦　「は？」

柿崎　「顔のケガ！」　影浦　「ああ…。」　柿崎　「なんか危ないことに巻き込まれてるのか。」　影浦　「あー…、腹立つ奴に突っかかったらやり返されたちった。サイドエフェクトなんてボーダーの外じゃ邪魔なだけだ。」　心配した柿崎が言う。「…よし、今日は俺が盛大に奢ってあげよう。」　影浦　「言ったな。俺けっこう食うぜ。」

現在のボーダー本部に場面が移る。影浦隊がまだA級にいる頃。

同級生たちと歩いていた影浦と、宇井を連れた柿崎がすれ違う。　影浦　「ザキさん。」　柿崎　「おっ。なんだ、仲良しグループの集まりか。」　影浦　「仲良しじゃねーし。それより、今日時間あったらこないだ言ってた店行きてーんだけど。」　柿崎　「いいな、行くか。」

柿崎　「じゃあ、またあとでな。」　影浦　「ん。」　影浦は同級生たちの視線に気づく。「なんだよ。」　村上　「カゲはあの人と仲が良いんだな。」　北添　「昔っからだよねー。」　荒船　「ザキさんが気遣ってくれてるだけだろ。」　影浦　「ああ？　もっかい言ってみろコラ。」　村上　「まあまあ落ち着いて。」

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