1001
旭川高専DX化推進隊 :校内体育大会で使用したオンライントーナメントシステムの開発
ポスターに「オンライントーナメント」とは何をするものかについての記述がなく、動画で理解しました。図7「総合的評価」の1と4のどちらが高い評価なのかがわかりませんでした。システム自体は実際に使えそうとの印象を持ちました。
自分たちが必要としているものを形にされた点に、好感が持てます。アイデアを実際に動くものに仕上げ、使い、利用者からフィードバックを得る。とても大切で貴重な経験をされましたね!
多くの学校の体育祭(あるいはそれに準ずるイベント)のトーナメント表は、紙で配布か模造紙に書き込んで掲示していると思います。それをデジタルデバイスに置き換え、しかもリアルタイム性の高さも追求したこと、また事後アンケートから評価している点も高く評価できます。今後はトーナメント表だけではなく、メンバー表やスケジュール管理なども配信できるように進展することを期待しています。
システムの実装方法については比較的わかりやすく書いてありますが、そもそも、「オンライントーナメントシステム」が何をしてくれるのかが示されていません。Web Socketを用いた利点として通信コストの低減を強調されていますが、確かに非同期通信で効率の良い通信が可能ですが、今回のアプリケーションでの比較に限定したとき、それほど優位性があるとは思えません。それよりも、スケーラビリティや安定性での優位性を検証した方が良いかもしれません。
1002
UECスクールAチーム :エルニーニョ現象・ラニーニャ現象長期予測システム
model1では、期待した結果が得られませんでしたが、その原因がどこにあるのかを検討してください。天文台のデータと現象の関係という仮説は正しいのか、データの精度は正しいのか、学習方法に問題がなかったかなど、いろいろな原因が考えられます。Model2についてもさらなるチューンアップに期待しています。
エルニーニョ現象とラニーニャ現象の長期予測という、重要なテーマに挑戦したことは価値があります。研究としては、LSTMやLightGBMといった先端的な機械学習手法を採用し、潮汐周期や黒点相対数といった独自の特徴量に着目した点は高く評価できます。現在の精度は必ずしも高くありませんが、たとえばランダムフォレストなどの従来の手法との比較も含めて比較することで、採用した手法の特徴を検討できるように思いました。
工ルニーニョ現象・ラニーニャ現象と黒点との相関、いい視点からの研究ですね。
1003
Keisei:VRを使った新しい学校教育の可能性と課題
XRデバイスの教育現場での可能性について研究したものであり、大変意義のあるものだと感じました。実際に使用している状況を見ると理科の実験が多いような気がしますが、どの教科でどのような使用状況が考えられるのかまとめてもらえるとよいかと思いました。
インタビューを通じて生徒さん自身が体験したいことを調べているのはよいことだと思いました。どのようなことが解決すれば、あるいは達成されればこの研究の目的が達成されたのかがわかると、よりよくなると思いました。
インタビュー調査による「教育アプリは生徒の声が反映されづらい」という意見は大切で、今回の研究の対象である XR デバイスに限らず、さまざまな場面で考慮すべき事項ですね。
1004
茶コーダー:最短経路問題の解決結果をユーザビリティ向上のために利用することの提案
図2のフローチャートの各処理に番号が書かれていると、どのように探索されたのかがよりわかりやすくなります。フローチャートから最短経路を求める目的は、すでに処理に関する状態遷移が決まっているときに実際の処理の流れを検証するためなのでしょうか。
日常のふとした思いを問題提起の形にし、どう解決に結びつけるか、視点も良く、楽しく拝見いたしました。
複雑なシステムのユーザビリティ向上という重要な課題に取り組んでおり、ダイクストラ法を用いた解決策を提案している点は高く評価できます。フローチャートからグラフへの変換方法や、コストの算出方法が具体的に説明されていると理解しやすいように思いました。
1005
情報有志:半自立型ジグソーパズル完成支援ロボットの開発
パズルを完成させる仕組みが丁寧に説明されていて、読者にも分かりやすい内容です。背景や光の工夫による精度改善の提案が、さらなる成果につながりそうですね!
取組の面白さを感じました。パズルでは「空」など均一色なのが難解。そこへの挑戦を期待しています。
適切なピースを選び出すためのアルゴリズムの研究と、それを実際にコンベアで運ぶようにした技術的実現と、両面にわたる研究なのがよいですね。今後は参考文献に述べられているような別の手法もとり入れ、独自の判別手法も工夫して、様々な作業現場での部品取り出しなどにも使えるようにすることを見据えて研究を進めるのがよいですね。
1006
盛一物理部:「人の気配」を感じる無人販売
とても役立ちそうな取組。今後の課題として取り上げている観点へ挑戦し、ビジネス化へも期待しています。
仮説を立てられたことは素晴らしいスタートだと思います。次のステップとして、人の気配を感じる(ひとの行動に対する応答が得られる)ことが無人販売の売上向上や、利用者の心理面へのポジティブな効果がみられたかを調べられると、仮説に沿って結果を検証することができると思います。
無人販売所に「人の気配」を加える工夫が素晴らしいですね!センサーを活用したリアルタイムの応答で、お客様への温かさが伝わる仕組みが印象的です。実地での動作確認も期待しています!
無人販売の弱点を補う、とても有用な取り組みであると思います。今回は、みかん400g、りんご300gと仮定されているようですが、実際には仮定した重さぴったりではない場合があると思いますので、複数個取られた場合等に、重さの変化だけでは取られた数等を正しく検知できないように感じました。今後も開発を進められ、実際の無人販売所で活用されることを期待しています。
1007
[東北公益文科大学]ジュニアドクター鳥海塾広瀬研究室 3D+Blneder班:学校教育で使用可能な3Dモデルの作成、軽量化について
1人1台端末でも動作する という要件でかいはつしている点が評価できます。また、角度によって表情認知が変わることとシステム関わりを深くできると良いと思います。
データ量を抑えた効率的なシステム設計が素晴らしいです!能面の「童子」を活用した感情表現も独創的で、実用性のあるアイデアですね。
過去の実績を踏まえて、これを展開する取組。今後の進捗に期待しています。
低スペックのマシンでも使えるように3Dモデルをシンプルにすることは重要です。角度だけで感情を表現するという発想はすばらしいです。ぜひ有効性を検証して、今後の研究に結び付けてください。
1008
[東北公益文科大学]ジュニアドクター鳥海塾広瀬研究室HTML/css js プログラミング班:情報発信サイトの作成と提案
Webサイト閲覧者に対して興味関心を持ってもらおうとするサイトの作成を行っています。Webサイト開発のための調査はしているものの、「商店街に興味を持ってもらう・知ってもらう」ためにどのようなニーズについては「進捗」で軽く触れられているだけで、どのような対象者にどのようにしてアプローチしていくかが不明です。Webサイトを作成するにしても、「なぜそのようなサイトを作成しようとしているか」について、より深く言及していただくことを期待します。
継続的な取組で、着実なアプローチ。今後の発展に期待。
昨年のゲームからさらに進化した内容ですね!Webページやゲーム、マップそれぞれの改善点を明確にしながら、多くの商店街で役立つシステムを目指している点が素晴らしいです。
1009
[東北公益文科大学]ジュニアドクター鳥海塾広瀬研究室ゲーム大国班・3D+Blender班:バーチャルショップを利用した地域活性化、売上向上のための研究
ただバーチャルショップを開発するのではなく、HELPLIST機能を実装している点が評価できます。お店だけでなく、学校のVRにもつながると思います。
継続した取組であり、地域活性化等へ向けた本取組の継続に頑張ってほしい。
足を運びにくい人への配慮が感じられる優しい発想ですね。HELPLISTなど実際に活用できるシステムが既に形になっているのも素晴らしいです!
1010
福島高校SS部-水槽環境制御システム:飼育観察のための水槽環境制御システム
「命の大切さ」と「デジタル技術」の融合が魅力的な研究ですね!観察日記やポイントシステムが飼育の楽しさをさらに高める工夫として、とても印象的です。
とても大切な取組であり、システム完成を進めてほしい。
研究の土台となる背景がしっかりしています。シンプルな構成で、水槽環境を制御しようとする試みが評価できます。 水の交換をお知らせしてくれるような機能もあると良いと思います。
飼育を楽しくサポートしてくれる、良いシステムであると感じました。ポスターに、飼育ポイントや観察日記の具体的な機能について記載されていると、システムの魅力がより伝わると思います。
1011
福島高校SS部-麻雀班:拡散過程モデルを用いた麻雀の手牌読みモデルの制作
捨て牌から手牌をAIで予測する試みはとても興味深いと思います。ただ、今回の結果を見ると、あまり精度は高くないように思います。例えば、データ数が10,000、100,000のときにも、フリテンになっているところがあります。データの質にも影響するかもしれませんが、打ち手の癖みたいなこともありますので、さまざまな要素を含めて検討してもらえると面白いと思います。
新規性を感じました。有効な結果となる今後の改良に期待しています。
麻雀のような難しいゲームに拡散過程モデルを適用するという発想が素晴らしいです!評価方法やデータ量についての考察も、次のステップにつながる重要なポイントですね。
2001
IT未来高校情報システム部:バーチャルマウス エアリアルの開発
Webカメラと手の動きだけでPCを操作できるのは、コロナ禍で生まれた非接触操作へのニーズに着目した点で評価できます。MediaPipeやOpenCVの技術を組み合わせ、実際に動作するシステムを作り上げたのも素晴らしいです。
興味深い研究です。クリックの動作は、ある瞬間に発生するはずなので、右(左)クリックの画像で判断するのではなく、ホームポジションからの画像が変化したときにクリックとみなすと思うのですが、ホームポジションを維持し続けないといけないとしたら、ちょっと辛いように思います。
身近な課題に着目し、コストやユーザなどのことを意識しながら開発をしたことは素晴らしいです。動作検証をするユーザ数を増やしたりすることで、更なる汎用性も生まれると思いますので、今後に期待しています。
2002
夢のゲーム開発部:音声認識を用いた発音評価学習系ゲームの開発 ~Have magic power!~
ゲーム形式で英語の発音練習・評価ができて、とても楽しそうな研究です。Azure AI SpeechのPronunciation Assessment APIをうまく活用されています。もっとユーザが発音する機会が多いといいのではないかと思いました。
よい思い付きだと思います。まだ作って少し使ってもらっただけのようですが、このあと、このシステムでの学習をする人と従来の勉強法で学習をする人にグループを分けて進み方がどう違ったか、などの比較研究を行なうとさらによいですね。なおHave magic power!はよくわかりませんでしたが「魔法の力を持て」という意味でしょうか?
音声認識技術とゲームを組み合わせた、英語学習への斬新なアプローチは素晴らしいです。特に、小中学生が楽しみながら発音練習に取り組めるように、RPGの要素を取り入れた点は良かったと思いました。
2003
清田葉月:後期太宰作品は本当に暗いのか!? ー単語感情極性対応表を用いた分析ー
「限界と展望」に「今後は全作品を対象として分析を進めたい」ありますが、全作品を対象とした分析の結果がどうなるのか気になります。
後期の作風が暗いという一般的言及を情報学的手法で分析したのは興味深い試みだと思います。上位語を見ると動詞が多いようですが、形容詞や形容動詞の方が修飾的表現が多いので、その使用傾向も見てみたいと思いました。
太宰作品の作風が時期で異なるとする既存の学説を検証するために、テキストマイニング手法で数量的に明らかにしようとしています。しかし、なぜ中期と後期だけとりあげて前期はとりあげていないのでしょうか。研究としては、前期が暗いという可能性も考えられると思います。分析結果の平均値がどこを計算してその数値になったのかがわからないため、残念ながらポスターを拝見した限りでは検証ができませんでした。「極性×頻度/全語数」の平均値ではなさそうです。また結果の示し方としても、図が小さく見づらく、かつ比較しづらいため、よりわかりやすい可視化を考えると、もっとよくなると思います。
社会に流布している人々の印象を、定量的な研究によって裏付けようとするところにとても好感が持てました。STEP1に示された結果が少し小さかったので見間違いかもしれませんが、どの作品にもよく出ていた単語や、太宰の作品でなくてもよく出てくる単語を除いて分析をしてみる手もあるかもしれません。単語の共起関係・係り受けの関係なども影響しているかもしれない、などいろいろと興味がわきました。
2004
しょっぴーず:デマンド交通システムのシミュレーションと検証
実証実験で得たデータをシミュレーションモデルに与えることで、利用者にとって待ち時間が少なくい状態を確保しつつどこまで車両数を減らせるかを検討することが目的と理解しました。今後の展望として同一人物が同じ乗降パターンを繰り返したときにこれを1回の予約として扱うとありますが、そうした理由がわかりませんでした。
少子高齢化に伴い、地方の交通手段をいかにして維持するかが社会的に重要な課題となっており、興味深い問題設定を提案している。精度が高い交通の実データ取得には時間と金がかかるので、よいシミュレーション環境を構築すれば、研究が大いに進展する可能性がある。ポスターは比較的がんばって書かれているが、提案手法により何が新しくできるようになり、何はうまく行かないかを分かりやすく伝えるようにがんばって欲しい。
地域の実際の問題を情報的手法で改善しようとする、意義のある研究だと思います。このようなシミュレーションによる研究はいろいろ事例があると思いますので、参考文献に挙げられているもの以外にもいろいろ調べて参考にするといいですね。なお「パラメーター」というのが何に関するパラメーターなのかよくわかりませんでした。
2005
4K:高齢者用VTuberの運用と情報技術の活用
もともとの動機は紙媒体の回覧板の代替えであり、これであればコメント欄の解析は不要です。ここまでの内容で高齢者の反応を見てみたいです。外国人向けの情報提供も実用的で良いと思います。ChatGPTについては、AI学習による精度向上が達成できたら高齢者施設などでの運用も面白いかもしれません。
広報用のVtuberを作成したことは評価できます。一方で、高齢者はVtuberの配信を見るのでしょうか。そういった調査をされたのならば、ぜひポスターに掲載していただきたかったです。またコメントを入力することのハードルや人工音声に対する抵抗感はないのでしょうか。最近は自治体の広報サイトをAIに作成させて、ありもしない観光地を紹介してしまった事例がありましたが、そういったリスクについてどのような対応をされているのか、興味を持ちました。
高齢者むけのVTuberが質問に答えるようなシステムを作られたのですね。実際、高齢者の方の反応はどのような感じだったのでしょうか。どのような質問と回答の組み合わせがあったのかなどの例があると良いと思いました。多言語対応にぜひトライしてください。
2006
高高物理部その3:手話認識AIと顔認識AIを用いたコミュニケーションツールの作成
グラスを使っていろいろな人どうしがやりとり出来るようになるのは大変すばらしいです。実際に様々な人どうしがやりとりする評価実験が見たいです。
視覚障がいを持つ方と聴覚障がいを持つ方が互いにコミュニケーションを取ることに重点を置かれていたことに、社会問題に積極的に取り組んでいる姿勢がうかがえました。関連研究調査があるともっと良くなると思います。
日常に着目し、ユーザに寄り添って開発を行い、改善に向けて取り組もうとする姿が見受けられます。既存のARグラスの進化もめまぐるしいため、既存のものも検証しつつ、ユーザ分析をするなどして、身近な方の課題解決から社会へ広げていくことができると期待しています。
2007
Dr.みまもりくん:自然会話からの認知症判定機能つき会話ロボット「Dr.みまもりくん」の開発
「認知症の判定」という極めて注目されている重要なテーマにチャレンジしています。それゆえ、既存の研究がたくさんあるはずなので、それらについてもう少し言及して欲しかったです。この研究自体のアプローチの仕方は良いと思います。
これまでの研究の積み上げを生かした、すぐれた研究だと思います。社会的にも必要性が高い分野を見据えたものであることも高く評価できます。検証については、まだ「自ら行った会話4回」についての実験だけのようなので、実際の認知症患者などを被験者にした実験が望ましいですが、そのためには研究倫理審査を通す、被験者の方や家族の方等への事前説明を行い許諾を得るなど、高い社会的ハードルを越えなりません。しかし最終的な検証としてはぜひ必要なので実施の可能性をさぐってほしいと思います。
昨年度開発したものの改良を行なったとのこと、研究の継続性があり、複数の機能を追加したことはとても良いと思います。参考文献もしっかり書かれているようですね。引き続き頑張ってください
おもしろい取り組みです。会話機能を通じて認知症の早期発見を目指すだけでなくみまもり機能や地域コミュニティ紹介機能まで行っている点は素晴らしいです。認知症早期発見機能については、もっとデータ量を増やして有効性を検証してほしいです。
2008
ただの高校生:男子高校生のための食生活改善アプリ
高校生の食生活は乱れがちですし、エナジードリンクを普通のジュース代わりに手軽に飲むような習慣も感じる中で、必要性の高いアプリだと感じました。また、ChatGPTに質問できる機能やタイピングゲームで意識を高める機能、掲示板で他のユーザと交流できる機能も実装されており、手軽かつ日常的に使いたくなるアプリだと感じました。研究背景では「食生活」にポイントを絞っているにも関わらず、タイピングゲームでは「生活習慣病」という広範囲の単語が出題されています。また、今後の展望も「生活習慣病」の改善となっており、研究背景とややずれてしまっています。「食生活」に機能を絞ることで、より明確なユーザニーズに応えるアプリになると考えられます。写真と質問をChatGPTに送る機能ですが、ポスターや動画にあるサンプルを見ると、どの写真を送ってもChatGPTから返ってくるアドバイスは同様になってしまうのではないかと思いました(男子高校生に適した食事は、、、)。生成AIはプロンプトの書き方が重要なので、プロンプトの例や書き方のアドバイスがアプリ内にあればよりよいと思いました。今後の展望のところで、生体情報を入力させることでより正確なフィードバックを返すとありますが、生体情報も個人情報なので、生成AIに渡す情報と渡さないほうが良い情報の線引きをする必要はありそうです。検討してみてください。
事の写真と質問をChatGPTに入力するということですが、実際の写真と質問の例をもとにどういう回答があったかを提示すると良かったです。また、タイピンクゲームや掲示板については、実際に使ってもらい評価結果を得ることが重要です。
身近な問題である食生活の改善をアプリ開発で解決しようとした着眼点は、ユーザを意識した開発を目指すうえで好感が持てます。作成したアプリについて、評価・改善の段階があるとさらによいものができると思いますので、期待しています。
おもしろい取り組みです。会話機能を通じて認知症の早期発見を目指すだけでなくみまもり機能や地域コミュニティ紹介機能まで行っている点は素晴らしいです。認知症早期発見機能については、もっとデータ量を増やして有効性を検証してほしいです。
2009
おもしろ発明家:デジタルとアナログを融合した自己管理補助
アナログとデジタルを融合させて、それぞれの良さを引き出そうとしていて、発想は面白いと感じました。一方で、研究背景で、様々なタスク管理方法において、メリット・デメリットが細かく見いだせず、提案内容が有益であったかどうかを把握することができませんでした(例えば、高齢者向けにはスマートスピーカーを活用するといった事例もあります)。従来の手法と比較できる観点を明確にし、今回の提案が機能面やコスト面において、有益である指標を作成し、その比較をすることで、より良いものであることを示せることを期待します。
ソフトウェアでも同等なことはできると思いますが、物理的にあると便利なガジェットだと思いました。いわゆる「強者」と「弱者」といった二元論ではなく、その間にグラデーションがあるので、「弱者」といった言い回しは避けた方がよいと思います。あと、回路図には現れるけど説明のない部分が気になりました。
タスクを忘れないようにするために人感センサで、具体的なタスク内容について声がけするというところが有用なシステムだと思いました。オリジナルタスクを録音カードで追加できるところが良いと思います。ポスターとしては、完了するのがボタンをスライドさせるということがわかりにくいので、そこをわかりやすくすると良いと思いました。
こういうツールがスマートフォンのソフトばかりになりがちな現在において、既存の製品にはなかなか無い、良い意味で「手作り感満載」のものだと感じました。ハードウェアから自作していることの長所として、一から作り直しやすい、ということがありますから、実際に他の人にも利用してもらう評価実験を行なって、その結果からまたより良いシステムに改良していくことが期待できると感じました。
2010
チームマヴィカライ:DiscusScore ~議論力を高めるためのフィードバックプラットフォーム~
ディスカッションの質を向上させることは現代社会で重要性の高いテーマです。音声認識、感情分析、AIによる評価など、複数の技術を効果的に組み合わせて実装まで行った点は評価できます。
リアルタイムで会話を分析して様々なサポートを出来るようになるという可能性が素敵です。よい、楽しい会話を作り出すサポートツールを期待したいです。
会話を可視化することをデータをもとに可視化しようとする課題意識、ユーザに対してメタ認知をできる機能を実装している点が素晴らしいです。体験ユーザの調査件数を増やすとよりよい検証ができると思いますので、今後に期待しています。
議論の問題点を自分自身でメタ認知することは難しいことに注目した研究であり、興味を持ちました。有償になってしまいますが、議論の様子を可視化するシステムはいくつか発表されていますので、みなさんの開発されたシステムがどのようなユニークさを持っているのか、ぜひ詳しくお話を伺いたいと思いました。また、みなさんもご存知の通り、議論の良し悪しは、発言の外形的な特徴だけでは評価が難しいことも知られています(相手に対する悪意ある批判と、その場に出ているアイディアをよりよくするための建設的な批判は、同じ「批判」でも別物ですね)。これらの区別は研究者にも難しいところがありますので、今後の一層の研究の発展に期待しています。
2011
高高物理部1239:ラッKey〜自動化された認知症高齢者徘徊防止方法〜
画像による本人識別、対話の質による識別、それらを組み合わせた通知機能の実現という3つの側面から認知症の方の徘徊防止に挑戦したことがすばらしいと思います。認知症の方が不慮の外出をしないように、ドアをハードウェア制御して開けられないようにする機能も、安全確保の観点では大事だと感じました。
現在社会の問題に対して、その解決策として介助者を意識したシステム開発に取り組んだところが素晴らしいです。ユーザとしての介助者や認知症高齢者等の実証検証が行われるとさらに良い研究となると思いますので、期待しています。
認知症高齢者の徘徊という、社会的に意義のある重要な課題に挑戦したことは評価できます。Raspberry Pi、Teachable Machine、OpenAI、LINE Notifyといった身近な技術を組み合わせ、実際に動作するシステムを構築した点も素晴らしいです。
2012
永久不滅トルティーヤ:カプセルトイ型服薬リマインダー「おくすりタイムキーパー」
アプリ完結の服薬管理システムはいくつか先行事例があるものの、子ども向けにガチャガチャと組み合わせたシステムの開発は珍しく、新規性のある研究だと思いました。ただガチャを回した後に服薬していなかった場合も考えられるため、その点にどうアプローチするかが研究目的の達成に関わると思います。
服薬時にしかガチャを回せないとなると、ガチャで遊ばなくなってしまって、結局、回して欲しい時刻にも回さないようになりそうですね。いつも遊べる工夫が欲しいですね。
服薬時間がきたらガチャガチャが回せることにより、子どもの薬の飲み忘れを防止できる仕組みで大変有用かと思います。保護者のLINEには通知が来ますが、その時間に子どもがこのガチャガチャの前にいなかったら気が付きにくいのではと思いました。ライトは光りますがやや小さいため見逃しそうです。子どもがこの機械のそばに来た時に気がつくような仕組みが取り入れられるとなお良いと思いました。
2014
フェイクチェッカー:フェイク情報を簡単に早く判別するWebアプリ「フェイクチェッカー」の制作
フェイク画像をChatGPTで見抜けるかということで、gpt-4o APIを使って判定を返すシステムを作られました。挙げておられる例ではうまくいっているようです。理想的には、文献3で使われているprecision/recallなど、あるいは文献6で使われているAUCなどを使って、定量的な評価をされたらよかったと思いました。
開発コストを意識しながら、その中で検証できる工夫をして取り組みをしているところに好感が持てます。テクノロジーの進化が早い分野ですので、今後の展望に期待しています。
生成AIを身近に使えるようなインターフェースを作ったことは評価できます。生成AIへ入力するプロンプトがキーだと思いますがどのようなプロンプトにしたかがはっきりわかるともっと良かったと思いました。また、似たようなサービスに関する関連研究がもう少しあるといいと思います。
2015
Homedoctor:マルチモーダルAIを活用した健康モニタリングシステム「HomeDoctor:Mente!Yonde!」の開発
システムを複合的に開発し、統合テストし、検証してさらに改善する取り組みは大変素晴らしいです。今後は複数のユーザや環境でも検証し、更なる制度が高まっていくことを期待しています。
ネーミングが良いですね。既存の技術をうまく組み合わせてシステムを作っていると思います。次回以降は、さらに精度を上げるような工夫が見られると良いです。あとは、関連研究について述べられているともっと良かったと思います。
ラズパイのカメラで顔表情を検知するMente!と転倒を検知するYonde!、これからの一人暮らしの老人にたいへん有用な研究です。Mente!はラズパイ内でdeepfaceライブラリを動かし、Yonde!はNode-RED経由でgpt-4oを呼び出しているのですね。将来的には統合できればいいのかもしれません。
社会の問題に対して、既存、ツールやサービスを効果的に組み合わせて活用している点は素晴らしいと感じました。表情や転倒検出がどの程度、実際の高齢者の支援に役立てられるかについて、検討すると有用性が高まるように思います。
2016
KAMIKILIMP:クビアカツヤカミキリのフラスの自動検出デバイス及びマッピングサイト -「カミキリキャプターさくら」の開発-
クビアカツヤカミキリという具体的な害虫の被害に着目し、IoT技術を用いた検知システムを開発したことは素晴らしいです。社会的な課題に目を向け、解決策を自ら考え、形にする力、そして実際に手を動かして検証まで行った行動力は大変高く評価できます。
身近な社会課題に対して、システムを作成し、多角的に検証を行ったことは大変素晴らしいです。検証結果をもとに、今後どう改良していくかの方策も打ち出せるとさらによりよいシステムの改善及び課題解決につながりますので、今後に期待しています。
地域での必要性をふまえた、すぐれた技術研究であるとともに、すでにある程度の実証も行なってその報告が含まれていることは高く評価します。地元県などと協議しつつ進めていることもたいへんよいです。今回のコンテストにとどまらず、より詳しい内容が発表できる適切な学会等での発表も考慮するとよいと思います。
社会問題に対して、安価で、自動的に処理できるシステムを開発することでアプローチしようという様子が目に浮かび、非常に頼もしく感じられました。システムの基本的な部分が完成し、安定して動いていると思われます。今後はデータが集まってくると精度を高めるための学習にも応用できるはずなので、一層の研究の発展を期待しています。
2017
渡邊正道:グラフ理論による構造異性体数え上げ
CnH2n+2異性体の数え上げは昔からよくある問題ですね(例:『[改訂新版]C言語による標準アルゴリズム事典』pp.10-12)。このご研究では、単に個数を求めるだけではなく、具体的に幅優先探索で数え上げておられます。難しい問題で、計算時間もけっこうかかっているようですが、うまく求められていると思います。
学んだグラフ理論をプログラミングを結び付けるプログラムを作成し、複数実験したことのは素晴らしい取り組みです。実験結果の考察を深めてたり、作成したプログラムについて評価・改善の段階があるとさらによい取り組みになると思いますので、期待しています。
構造異性体の数えたが「調べる方法」に記載されている方法で妥当であるのかの説明があると良いですね。また、他の方法があるのかや、あるのならどうしてこの方法を選んだのかの説明などもあるとより良くなると思われます。
2018
豊島 英人:医療従事者間の対患者情報共有
医療従事者間での情報共有は多くの病院で実現されようとしているところだと思います。そのうえで、現在は日本全体においてこのような情報を共有しようとしているところなので、病院同士をつなぐ際に発生する課題などについて踏み込んだ検討することができれば、より良いものになると思います。
医療情報の分野は社会的にも大きなテーマで、従来の紙や口頭から電子情報への変革が起きており、それに興味を持ったのはよいことです。一方で、技術側のやり方で情報システムを設計構築して失敗した過去の多数の教訓、医療データは非常に高度なセキュリティが求められること、などに関しても今後さらに学んでください。
現在の医療行為の現場において、患者に関する情報の共有は必要不可欠のものであり、それなしには医療は行えません。問題解決についての具体的の方策案に期待しています。
2019
髙橋彰仁:Chatbotの振る舞いを人間に近づけるアルゴリズムの実装
Chatbotの現状に課題を見出し、アルゴリズムを開発したところが素晴らしいです。回答生成の速度が向上することは、ユーザ体験においても重要な要素ですので、今後に期待しています。
既存LLMの会話能力を高めるためにWeb検索と長期記憶を実装し、プロンプトにも工夫をこらして人間らしい振る舞いをするチャットボットを作るという研究です。Google Colabでコードを公開され、詳細な情報も共有されていることは高評価に値すると思いました。「人間の振る舞いの96.3%」はややわかりにくいかも。
自動評価と人手評価を評価項目によって使い分けているところはいいと思います。関連研究調査があるともっと良くなると思います。
2020
UECスクールC班:micro:bitを用いた勉強用デバイスの製作
一般論として、狭い机面の使い方を工夫したいことは伝わりました。ただ、その解決手段としての訴求力に欠けると感じました。micro:bit やジョイスティックやモータを何とか活用したいといった、逆向きの発想に見えてしまうのはもったいないと思います。また、ポスターとしてやや説明不足があり、項目の並び順の工夫も必要と思います。
今回の提案システム全体の良し悪しを比較できる視点を持って、何がどのような観点で優れているのかを示すことができるとより良くなると考えられます。たとえば、「データホルダー」や「クリップスタンド」といった既製品がありますが、そのような既製品や類似のシステムとの比較はされたでしょうか。プリントならず、教科書等を置いたとしても耐えられる強度なのかどうか(あるいは軽いプリント1枚程度の想定のものなのか)といったことも説明されるとよいと思います。
身近な悩みを解決するために情報的手段を使って自作する方向性はよいと思います。このような用途の既存の電動の製品も、値段は高いかもしれませんがいろいろあるはずですので、それらも調べて、それらとは違う高校生ならではの発想でシステムを設計するとさらによいと思います。
2021
M-Key:学習アプリケーションの開発
このアプリの何を達成することを目的としているのでしょうか。「はじめに」で「私たちのような学生に向けてのアプリケーション」を目的としている、とありますが、達成したいことが欠落してしまっているように思います。また、スマートフォンに標準で利用可能なカレンダーアプリでもスケジュールの管理や記録を入力する機能、ToDo入力機能が備わっているものもあります。今回、おそらくは「学習の効率化」を目指すために「学習管理」を行うアプリケーション開発をされようとしていると推察されます。現段階ではいくつかのカテゴリに対して実施した時間を記録するためのアプリであり、「効率化」を行うための観点がないようにも思いますので、そのあたりについて言及できると、目的の達成に近づくのではないでしょうか。
高校生目線の良いアプリだと思いますが、目的を絞りきれていない印象を受けます。「学習ログの蓄積による自己分析支援」など、ユーザに主体的に学びに向かうためにアプリは何を支援するのかを明確にすると良いでしょう。高校生にとって何が負担かを突き詰めていけば、支援の目的やアプリに必要な機能は自ずと定まると思います。
残念ながら開発した「アプリ」についてポスターだけからはよくわかりませんでした。スマートフォンの画面2つとその左の説明に「円グラフ」「折れ線グラフ」とあるので学習時間の比率や変化をそれらのグラフで表わすということはわかりました。「アプリ」の全体構想をもう一度練ってはっきりさせてみてはどうでしょう。
2022
Friday:Talent vs Luck
運と才能の研究に関するイグノーベル賞論文とその関連論文に興味を持ち、自ら追試しようとした態度は高く評価できると思います。社会現象のモデル化は、何かを設定すればそれなりに何らかの結果が得られますが、設定したモデルが正しいのかどうか、そのモデルによって何を主張したいのか、というところが難しいところだと思います。ここまでは客観的に誰が見ても納得できるというラインと、主観的な主張や仮説の域を区別しながら研究を進めて行って欲しいと思います。
先行研究に基づき、それをさらに深める取り組みをしたことは素晴らしいです。得られたデータや先行研究をもとに考察がさらに多角的に考えられるとよりよい研究になりますので、今後に期待しています。
統計力学を富の分布に焼き直した問題は古くからありますが(例: https://okumuralab.org/~okumura/python/wealth.html )、Talent vs Luckとその反論の話は知りませんでした。この研究はさらにこれらを膨らませた話で、たいへん興味深く拝読しました。ぜひ発展させてください。
2023
松長侑南:LLMによる法律相談チャット
LLMとRAGの組み合わせの研究は今、流行りですが、さらに精度向上を目指したところは頑張っていると思います。似たようなサービスについての関連研究調査があるともっと良くなると思います。
法律・判例の知識・適用に興味を持ち、いろいろ学び調べたのはよいと思います。「UI画面」を通していろいろなシステムにアクセスするようですので、そこに独自の工夫をさらに入れるともっと良いと思います。参考文献を明記していただいたのも良かったです。今回の発表のどの部分で参考にされた文献なのかを明記すると、もっと良くなります。
法律相談AIはすでにネット上にいくつかあるようですが、この研究ではLlamaIndexを使ってRAGにいろいろな工夫がされています。TypeScriptによるUIもしっかり作られていて、使いやすくできているようです。よりテクニカルな説明(ChatGPTはgpt-4o? RAGに使用した判例データは何? どれくらいの量?)があればよかったと思います。個々の回答の質は法律の専門家でないと評価しにくいところがありそうですので、より身近な題材でやってみるのもいいかもしれません。
2024
大枝瑛達:エンパワーメントAIによる学習初動と学習モチベーション維持を支援する英語学習支援システムの構築
よいアイデアがいくつか書かれています。人形は、将来的にはもっとコンパクトにしたいですね。解答例で、「Thatは不適切」「正しい代名詞は…That」と、矛盾することが書かれており、ChatGPTによるものでしょうが改善が必要ですね。
ラズパイで実際に人形を動かすという、楽しそうな学習支援システムです。中身はChatGPTですが、Python・SQLite・Flaskを組み合わせてOpenAIのAPIを呼び出しているのですね。たいへんよくできていると思いました。
英語学習という多くの人のニーズに対して、AI技術と物理デバイスを組み合わせたアプローチを提案しており、興味深い内容です。特に、学習初期のモチベーション維持に焦点を当てている点は大きな意義があります。
問題を解くまで人形が動き続けるアイデアは、とても面白いと思いました。一方で、ChatGPTが、どの程度適切な出題・判定・アドバイスをできるのかが気になりました。3ヶ月間使用して有効性の検証を行うとのことですので、今後その結果が発表されることを期待しています。
2026
川原碧月:生成AIの作る画像はなぜ違和感があるのか 〜フロイトの視点とプロンプトの工夫からのアプローチ〜
画像生成AI、かなり改善されてきているとはいえ、まだまだおかしい絵を生成しますね(特に複数の人物の場合など)。この研究は、プロンプトの工夫で違和感を取り除こうというものです。確かに大きく改善されています。特に小説の一節をプロンプトとした場合にうまくいくことから、人間によるプロンプトの描写力が効いていることがよくわかりました。たいへん興味深い研究でした。
確かに生成AIの出力する画像は、本来あるべきものが途中で切れて表示されていたりすることがあり、それが不気味さにつながるのでしょうね。ぜひ、3Dモデルを使用した改善について次回以降トライしてみてください。
生成AIが出力する画像の違和感を、まず「不自然さ」と「不気味さ」に分類し、その仮定をもとにプロンプトを工夫した点が評価できます。一般的に言うところの研究の流れに沿っていると思います。惜しむらくは、生成された画像に違和感があるかどうかは、その画像を利用する状況にも依存すると思うのでその辺りを調査すると面白いと思います。
2027
広尾学園ICTRoom:ドローン配送におけるルーティングアルゴリズムの研究
ドローン配送という社会的なテーマに取り組んでおり、現実的な研究テーマ設定は素晴らしいです。アルゴリズムの設計も、計算効率を考慮した工夫があり、実用化を意識したアプローチが評価できます。さらに詳細なアルゴリズムの性能評価があると説得力が増すように思いました。
作成したアルゴリズムをオープンソース化したことは素晴らしいと思います。ドローン運航でもっとも配慮しなければならないのは安全性の確保です。実際の飛行経路策定には地形や障害の回避などの要素を配慮しなければならず、また強風など天候の影響も避けられません。フェールセーフの概念を取り込んだアルゴリズムの実現が求められると思います。
試みとしては良いと思います。通過メッシュやそれに時間軸を加えた立体図の表示も興味深いです。なお、通過メッシュを求めるのは、そんなに多くの場合に分けなくてももっと簡単な方法があるように思えますがどうでしょう。「時間によるメッシュの予約」にある式は、進む距離(平方根で計算)を速度で割ると所用時間が求まる、ということを表わしたものですね。これらの意味の確実に把握することも含め、今後も努力を続けてください。
2028
大月優佳:量子フーリエ変換における量子状態準備の方法の検討と実装
どのような量子コンピュータで実行したのかや、比較対照に用いたシミュレーションの実行方法などの記載があると、より分かりやすくなりそうです。
量子フーリエ変換とGrover-Rudolphアルゴリズムを実際の量子コンピュータ上で実装し、具体的な実験結果を示している点は評価できます。既存研究との比較や結果の定量的な分析の説明を追加することで、より提案手法の優位性を示すことができると思いました。
量子計算に関して大変よく勉強されています。シミュレーションでのQSPの結果は期待通りと思います。量子コンピュータで実行したQFTの結果に対しては、FTの理論値と比べて量子コンピュータの精度について検討するとよいと思います。
2029
チーム花月息災:予算をもとにした推し活提案システム
「推し活」の経験の無い評者には価値は判断できないものの需要があることは想像できます。しかしながら、本提案システムにおいて生成AIに与える項目が「推しの名前」「予算」しかないことに情報不足ではないかと感じました。また、生成AIに直接に尋ねればよいのではないかとも思いました
アイデアが素敵だと感じました。「推し活」に限らず、興味関心のある分野で、複数要素の条件下での最善な提案ができるシステムに育つと良い研究になるでしょう。今後の課題にも示されていますが、どのような観点で評価を行うのかを明確にし、何を明らかにしようとしているのか、方向性を示すことができると、より良い方向に議論が進むでしょう。ECサイトの在庫管理情報を引っ張ってきて、「どこのお店にこれだけの在庫がある→だからこの駅に行くと良い」みたいな推薦ができると、より現実的になるのでは、という感想を持ちました。
買い物の悩みを解決できる面白い試みであると感じました。実際にグッズを買う場合には、1つではなく予算内で複数購入することや、この種類のグッズが1つは絶対にほしい等の条件を付けたいこと等もあるように思います。それらの条件を満たしつつ、効率良く買えるよう提案できると、さらに有用なシステムになると感じました。
2030
tamakagi-116*104:太ももを利用したキーボードの代わりとなる入力機器の開発
まずは、価値のある研究と思います。しかし現状、評価がないのが気になります。「研究背景」で書いているようにアイトラッキングは遅いとありますが、本インタフェースの入力速度が示されていません。同時にエラー率や疲労度も気になります。さらに、音声入力ではダメなのかといったことにも触れてもらえると、よりよい研究になると思います。今後に期待しています。
身近にある問題に対して、オリジナルの装置を作ろうとする試みは好感が持てます。テーマに掲げられている太ももに対する今後の改良に期待しています。
太ももで文字入力というアプローチは実用可能となれば有用性が高く、面白いと思います。実際これでどこまで正確な入力が可能となるのか、改良にあたってどういう点がネックになりそうなのか、などをぜひ明らかにしていただきたいと思います。
2031
tkinfo(ティーケーインフォ):学校における各教科の課題情報を一元化する生徒用アプリケーション
学校内の情報伝達が教員や行事によって多様化していることに着目した研究で、多くの学校で需要のありそうなアプリだと感じました。研究背景で示されているアンケートの選択肢が明らかに等間隔でなく、具体的には「とても」と「どちらかといえば」の間に大きな差があり、回答が間の2項目に偏る設計になってしまっていると思います。「満足である」、「どちらかと言えば満足である」、「どちらかと言えば不満である」、「不満である」として収集し直すと違った結果になるのではないかと思います。また、何に満足or不満なのかわかりません。今回の研究目的からすると、「学校内で課された課題の情報伝達の手段に対しての満足度」を聞くと良いと思います。また、本研究で明らかにすべきことも明確になります。研究目的である「誰にとっても使いやすい」アプリにするにはユニバーサルデザインの視点からUIを設計する必要があります。その路線で行くか、もっとユーザを絞ってアプリの要件定義を明確にするか等が考えられます。例えば、学校の課題管理経験が少なく、困りがちな所属校の1年生に対象を絞る、などが考えられます。
課題情報の集約を、OCRや音声認識など自動抽出で行おうというアプローチは、一見遠回りですが実情に即した有用な手法かと思います。漏れや誤検出の度合いやパターンを検証したり、既存のOCRによる未定形データの抽出手法と比較したり取り入れたりすることで、実際に実用的なツールへ近づくことが期待できます。
高校生の多忙化を低減するような良い取り組みだと思います。課題の管理について、通知できるような機能を実装できると良いと思います。
2032
チーム多摩科技No.11:カタカナ語を日本語にリアルタイム翻訳するWebアプリケーションの開発
AIと辞書変換の関連性が気になりました。フローチャートだと辞書変換の後でAIを通していますが、これだと結局AIの処理待ちが発生してしまうように思います。どのように併用しているかの議論があると、よりアプローチの有用性をアピールできるかと思います。
このアプリケーションプログラムの本質は、単語を置き換えるだけなので、どこで工夫が必要だったか等についてもう少し詳しく記述が欲しいです。
身近な問題をとりあげており、また「カタカナ語」といってもいろいろな種類がありますがそれもほぼ適切に分類していると思います。ただ、特に「カタカナ語」の特性にあわせた工夫はみあたらないので、それなら「カタカナ語」に限らず一般化するのものよいですし、カタカナ語に特化するならばその特性を生かしたシステムの開発を目指してみるのもいいですね。
2033
チーム多摩科技 No.04:野焼きにおける諸課題の解決
「野焼き」といった着目点がおもしろいと思いました。野焼き実施前と実施中といったフェーズを考慮している点も評価できます。ただ、示されている野焼き実施中監視システムはあまりに監視範囲が狭く、想定している野焼きの規模に対応できるのかと感じました。そもそも野焼きは違法ですが、合法な各ケース毎に考察するとよいと思います
野焼きによる火災・煤煙被害を防止する試みは有用であり、意義のある研究であると感じました。延焼危険性・煤煙の広がりの具体的な予測方法、温度センサ等の閾値の決め方は、本研究の重要な点であると思いますので、具体的に記載されると、より信頼性が高まると思います
野焼き被害という身近な問題に着目し、解決策を提案したことは素晴らしいテーマ設定です。システム開発だけでなく、小規模な野焼き実験を行い、データに基づいて閾値を設定するなど、研究に取り組む姿勢も高く評価できます。
2034
TKG07:タイピングを使用したストレス計測予測システム
ストレスとタイピングデータとを結びつけているのは大変おもしろい着眼点と思います。ひとことでもその根拠が書かれているとなお良かったです。実験も数多く行っていますね。それは一人だけのデータなのか、どうして血圧や心拍数と比較したのか、ということもわかるとさらに良い発表になると思いました。
ストレスの計測や予測はますます重要になると考えられ、研究の趣旨は評価できます。ただ、これは古くからあるテーマでもあり、タイピングを情報源とする研究も種々あり、タイピングミスレートも考慮されていますが強く相関が言えるかは難しいです。また、ストレスの計測には血圧以外もあるので調査してみるとよいと思います。
タイプミスの頻度からストレスを求めるというのは、いい思いつきですね。ただ「事前実験の結果から計測の信頼性が足りないだろうということが分かった」とのこと、また、血圧や心拍数との相関もほぼないことから、さらなる工夫が必要そうです。今後のご研究を期待します。
2035
TKG10:電動キックボードの安全運転の学習をサポートするアプリケーション
課題の着眼点(電動キックボードの運転技術向上)は素晴らしいと思います。実際にこのような支援環境があれば一定のニーズが見込めるのではないでしょうか。ぜひ開発を継続し、実装までこぎつけてください。
既存のライブラリをうまく組み合わせて、近年問題になっていることを解決しようと取り組んでいる姿勢がすばらしいと思いました。今後、システムの完成と評価を実施されることと思いますので、その結果を拝見できることを楽しみにしています。
電動キックボードの事故は最近増えており、提案課題の社会的重要性は論を俟たない。時間切れだったのか、具体的なシステム開発や実証実験はまだ示されておらず、今後の進展に期待したい。
2036
tkg.1:学習漫画に用いる穴埋め問題の自動化
技術的には、漫画に限らずいろいろ応用展開が期待できます。この手の作問は「どの部分を空欄にするのが、学習効果上妥当なのか」を考えるのが一番面倒な部分ですから、手作業で作成する手間と比べてどうか、という点を比較検討する必要があるかなと思いました。
自分たちの勉強に役立つ、有効なツールを考えて実装したのは素晴らしいです。勉強漫画も著作物なので、そこをクリアしないと「自分だけで使う」になりますが。
単に文字の並びより、漫画などの図解を併記する方が頭に内容が入りやすいですね。それを利用した点は評価できます。しかしながら、画像から内容が類推できるケースが多いのではないかと思います。ポスターに示された例で相手の頬を叩いている人物の性格が「臆病」「消極的」「内向的」とは思えません。選択肢の選定に工夫が必要ですね。
2038
FairNet(フェアネット):バトミントンサーブのサービスフォルト自動判定システムの開発
サービスフォルト判定の自動化という、バドミントン競技における課題解決に焦点を当てたテーマ設定は、とても良いと思います。YOLOを用いたシャトル検出、ショットタイミングの高さの自動判定といった技術的なアプローチも適切です。図やグラフを用いて、システムの概要や結果を視覚的に分かりやすく説明している点も評価できます。精度や誤判定率などの定量的なデータを詳しく検討することで、システムの性能を客観的に評価できるように思いました。
ネットで調べてみたところ、バドミントン競技においては、自動判定がほとんど取り入れられていないようなので、考案されたような自動判定のシステムは画期的と思います。この研究で開発されるアプリをもとに、バドミントンの世界で自動判定の流れが広がるようになるといいですね。頑張ってください!
物体検出の良い事例だと思いました。たとえば、既製品に「サービスフォルター」といったものもありますが、それらの活用と比べると今回の提案はどのような点が優れているでしょうか。また、今回の実験はどの程度試行されたのでしょうか。誤検出も十分にありえると思いますので、試行回数等は示していただくのが良いでしょう。画像のみの判定になると思うので、図3で示していただいた、茶系の壁であれば、白色のシャトル検知は容易に思いますが、ラケットや体育館の壁がシャトルと同系色の場合はどのように検出するのかが気になりました。
バドミントンのサーブ判定は、特に学生審判にとっては非常に迷う要素だと思います。選手だけでなく、審判の悩みを解決するための問題解決手法として優れていると思います。実際に運用した結果として、精度や信頼性を計測できると尚良しです。また、Webアプリケーションなどに実装できると汎用性が向上すると思います。
2039
プール班:プールでの水難事故の発見
意義のある大変よい研究テーマだと思いました。ポスターの構成もよいです。あとは、定量的な評価さえされていればと思いました。
既存の類似サービスの課題に取り組んでいるところは評価できます。また、考察もしっかり行われていると思いますので引き続き頑張ってください
様々な水難事故の減少につながる研究だと思います。単眼ではなく、複数のカメラで画像を取得すると、精度が向上すると思います。
プールでの水難事故の件数は多く、ニュースで見るたびに心を痛めています。本研究の成果が、水難事故の減少に大変有用であると感じました。まだ現状では人の誤検出や泡によって判定が信用できないなどの課題があるようですが、カメラ・ドローンの台数や位置、人の行動パターンなどの情報から、より正確に溺れている人を検出できる仕組みを創り出してほしいと思います。今後の発展に大いに期待をしています。
2040
文化地理学コース:東京ディズニーランドにおけるバリアフリー地図アプリケーションの開発
インフォメーションブックの情報をマップ上で表現できると、ユーザにとって非常にありがたいと思います。ピンの色でバリアフリーの程度を分けているのも良いと思います。今後の展望にある「現在地から目的地までの経路・距離・時間の表示」は、エレベーター利用を想定した経路探索など難易度が上がりますがベビーカー利用の家族にも有効だと思います。
障害のある方等も安心してTDLを楽しめるようにできる、有意義なアプリケーションであると感じました。行きたい場所がどこにあるのかが分からない場合には、目的のピンを選択することが難しいように思いますので、目的のピンを容易に選択できるような工夫があるとさらに使いやすくなると感じました。
多くの人に役立ちそうなアプリですね。実際に多くの人に利用してもらう実証実験ができると良いですね。
2041
多摩科技2班:穴埋め形式で証明の記述を支援するシステム
穴埋め形式でどんなふうに記述を補助していくのか?どうやって多様な証明問題に対応させていくのか?という点が、ポスターの記述内容だけだとよくわからなかったので、このあたりがわかる情報があると、より提案手法の有用性を議論できるのではと思いました。
被験者15名をグループに分けとありますが、何名と何名に分けたのかや分け方の説明があると良いですね。また、システム使用・不使用の評価をする前に、数学の能力や問題を解く速さなどを評価しておく、評価の信頼性が上がりそうです。
問題1は被験者にとって初見の問題であると思いますが、それでも慣れで速く解けてしまうというのは、問題に特徴があるのでしょうか。東京都と高知県でどれくらい問題の傾向や質に差異があるのかにも触れてほしいです。証明問題を穴埋めで解くというのは、考え方の方向性を提示するのであり、ヒントを与えることになると思います。解答のヒントを文章で与える代わりに穴埋めで与えるというのは、独学するときの手段の一つになると思います。
2042
TKG_スモモ:群ロボットの身体化のための触覚的なフィードバックシステム
群ロボットの身体化という斬新なテーマに挑戦している点は素晴らしいです。ポスターでは、研究の目的や概要は分かりやすく説明されていましたが、具体的な実験結果や評価指標についても知りたいと思いました。
群ロボットをグローブはめた手で操るところに可能性があっていいですね。ジェスチャーのような記号的なものより、手の様々な位置、形、動きでロボット群が操れる方が面白いかも。
大変面白い内容と思いました。ポスターもスタイリッシュです。ただ、逆に何かの製品紹介に見えることが残念です。もう少し詳細を書いたほうがよいのではないでしょうか。たぶん、「群ロボット」自体も作成されたと思いますが、単に既存の製品を使っているだけにも読めてしまいます。
直感的さや没入感を目指すことは操作性の向上に大きく貢献します。実際に使えるものの実現を目指す際にはさまざまな課題が出てくるかもしれませんが、評価実験と改良の繰り返しでぜひ乗り切ってください。
2043
tkgVR-12:VRゲームを用いた水難事故体験環境の構築
水難事故に複数回遭遇することは滅多にないと考えると、水難事故に遭遇する前にVRで仮想体験することは非常に意味があると思いました。学校ではプールで着衣水泳などをしますが、川特有の流れや岩の有無による状態の変化を体験することはできません。VR技術の強みを活かした研究だと思います。なぜ水難事故の遭遇場所が1位である「海」ではなく「川」を選んだのか、その理由を追記する必要があると思います。例えば海に面していない長野県などの内陸県では、水難事故は河川の割合が高そうです。このゲームを利用するユーザや場面を明確にすると、研究の有用性が高まると考えます。VR技術は環境整備にコストがかかり、普及しにくいのが現状です。本研究で言えば「Oculus Quest2」は定価で6万円強かかります。自治体や地域の科学館で環境を構築することは可能だと思いますが、今後の展望として、学校現場などで広く本研究成果を活用するにはどうすればよいか検討してみてください。
アプローチは妥当だと思います。ただVR環境はその没入感の高さが利点である一方、そのリアルな体験による心理面への影響も大きくなるため、VR体験が逆にトラウマの想起や植え付けにつながらないような工夫が必要かと思います。また、このゲームは楽しんでもらうことが目的ではなく、事故に遭ってしまったときの対応を事前学習する目的のものであることをふまえると、ゲーム内で使用する表現もシリアスなものにすると、より目的に合うのではないかと思いました。
構築中のVRゲームのイメージはよく伝わってきます。あとは、このゲームに夢中にさせる工夫と事前知識が身につくかを評価する具体的な方法まで書かれていると、よりよいポスターになると思いました。
2044
TKG17:机のスペースを節約するパソコン入力装置の提案
「研究背景」で述べられているような状況はあり、提案の入力装置が有効なシーンもあると思います。ただ、arduino Pro Micro を用いたキーボード・マウス様(よう)デバイスの作成は多数報告されていて、今回の提案には新規性は感じられません。なのでソフトウェア的な工夫が鍵だと思います。今後に期待しています。
具体的にどんな入力装置を開発したのか、図や写真がないためちょっと想像がつかないのが残念でした。スティックを利用した文字入力は過去にも様々な事例があるため、それらとの比較検討もすると、今回開発した装置の独自性がうまく示せるのではないかと思います。
研究背景として、どのような状況下で困難であり、新たに装置を開発することで何をどのように解決しようとするのかが、ポスターや動画だけでは判断が難しい状況でした。具体的な写真をポスターに掲載すると、もっと説得力が増すのではないでしょうか。入力装置の配列や形状、入力方法に関する言及がなかったため、従来のよく利用されているキーボード・マウス等と比較した際の違いがわかりませんでした。比較する観点を明確にして、提案を持って何がどのように効果があるのかを示すようにすると良いでしょう。
2045
答島綾香:単一ニューロンの情報処理におけるドーパミンの影響 Leaky Integrate and Fireモデルによる分析と評価
STDPがドーパミンによってどのように変化するかを調べた実験をもとに、ドーパミン存在下のSTDPの数理モデルを定義して、それを各種の条件のもとでシミュレーションすることにより、ドーパミンの学習に与える影響について考察した研究と思います。シミュレーションや結果の分析は大学レベルです。一方、限られた専門家は理解できるかもしれませんが、数理モデルの中身や実験の枠組みが説明されていないので、研究の結論について十分に把握できないのが残念です。
これはもう高校生のレベルを超えた高度なご研究です。今後のご活躍を期待します。
定量的な実験ができているのは良いと思います。あとは、本研究の新規性(同様の先行研究がないこと)と、この実験をすることにどんな価値があるのかをわかりやすく示してもらえると良いと思います。
高校生のレベルを遥かに超越した素晴らしい研究だと思います。情報学というより、情報処理技術を活用した応用研究として、生命科学系での発表も目指されるといいのではないでしょうか。
2047
中里 咲智:「生きる力」を育む防災教育プログラム
学習活動に自ら調査するプロセスが入っているのは良いと思います。自主学習的な利用にとどまらず、授業などサポートが入る前提の学習環境でも活用可能なように発展できると今後が期待できるかと思います。
研究に着想したプロセスが具体的でわかりやすかったです。ルーブリックが具体的にどのようなものであるか(どのような能力をどうやって測定するものなのか)が示されているとより良くなると思います。また、自身がどのような学びを行ったのかの蓄積(ポートフォリオ)の機能や、分野選択時にアイコン等を用いてイメージを想起しやすくするといった工夫があると更に良くなるのではないでしょうか。
災害の多い日本において防災教育は重要であり、それを支援する試みはとても有用であると感じました。効果の検証方法がよく分かりませんでしたので(教育プログラムを使用しないグループは何をしたのか、ルーブリックの評価基準・項目の具体的な内容等)、もう少し詳細に書かれると説得力が増すと思います。
2048
齋藤華花: 楽曲分析に基づいた演奏記号および演奏表情の効果に関する心理学的研究-機械演奏プログラムを用いて-
(c)で付与した演奏記号のうちで「速度記号」が何を指しているかがわかりませんでした。表情をつけるためのアーティキュレーションの付与という意味であれば良いです。(a)(b)と同じ速度での演奏で比較することは必須だと思います。
楽曲をスコアどおり、あるいは演奏表情をつけて演奏することの効果について、少しずつでも分かること、出来ることからきちんと実験して行く姿勢がすばらしいです。
先行研究は AHM が優れていたとのことなので、今回検討したモデルに加えて、AHM などでも比較対照計算機実験をやるとどうなるのか興味があります。
楽譜通りの演奏と、演奏記号が削除された楽譜での演奏との間に差がみられなかったという結果だと思われますが、とても意外で興味深く思いました。演奏は機械演奏によるものと思いますが、その機械演奏が、人間にとっては演奏記号があっても淡泊に聞こえてしまう、ということなのかなと解釈しました。実験者によって表現が工夫された楽譜ではきちんと評価が分かれているので、機械演奏では、人の演奏とはまた異なる指示の仕方が必要なのかもしれないとも思いました。今後の一層の研究の発展に期待しています。
2049
CHEMISTRY: 英数キーボード配置の最適化
最適なキーボード配置の研究は、過去にも様々に取り組みがなされているものの現状を置き換える決定打が出ない状況なので、今後の研究の展開に期待します。
最適なキー配列について検討するとても興味深い研究だと思いました。英語では、QWERTY配列ではなくDvorak配列が考案されているように、日本語に特化した配列があってもよいような気がします。セキュリティ上の問題を挙げられていますが、実際のデータではなく、Web上のデータを収集・分析することでこれは解決しそうな気がします。今後の進展に期待しています。
日常的に利用するキーボードですので、可能な限り誤らず速く入力したいのは誰しも考えることです。なので、本研究は王道とも言えるでしょう。ただやはり、過去の数多くの研究を踏まえた上で、新しいアイディアを発想してもらいたいです。また、ポスター上の項目の並びが不自然に思います。
2050
玉川学園高等部サイエンスクラブ画像班: 画像認識の学習用画像生成
CGANを用いた文字認識学習用のデータセット生成の手法について、段階的な改良の過程を捕捉する大変意欲的な研究でした。実際にデータと照らしながら考察を行ったことで機械学習の面白さと難しさを体験されたのではないでしょうか。今後もぜひ新しい手法を学び、面白い課題にチャレンジしてください。
今回の研究の実験1では良い精度が出せず、実験2によって若干の改善が見られましたが、その際に「GANで使用した識別機」の能力に、実験2全体の精度の改善が依存しているようです。また実験3では、若干の改善は見られたものの、劇的な改善が見られたわけではないので、「生成画像によるデータ拡張が成功した」と言い切るのは、若干無理があるかと思われます。今後の、良い成果を期待します。
今回は GAN を用いてのデータ拡張の試みでしたが、GAN を選んだ理由や他の手法との比較があると、研究の位置づけがより分かりやすくなりそうです。
2051
Tamagawa Academy Science Club Evacuation Simulation Team: 「おかしもち」の避難シミュレーション検証
実際に起こり得る災害に備え、シミュレーションを行っていることが評価できます。とくに、検証によって、「おかしもち」の有効性を改めて検討する機会にもなっている点が良いです。
地震の多い日本において、このような防災教育に関する研究は有用性が高いと思います。本研究の良いところは「おかしもち」をクリティカルな視点からモデル化とシミュレーションを通して検証する点にあると思いました。検証結果について「③戻らない」は納得しました。一方で「①押さない」、「②-1,2,3駆けない」については、各シチュエーションを分けて検討していることに少し疑問を持ちました。実施の場面を想定すると、「駆ける」ことによって押したり転んだりするのであり、「駆けない」は守るべき、という考察になるのではないかと思いました。今後の研究に期待します。
避難という身近なテーマを、シミュレーションを用いて科学的に検証しようとする姿勢は素晴らしいです。Unityを用いたシミュレーションの実装やデータの統計処理は、技術的に高く評価できます。研究の説明は全体的に分かりやすかったです。シミュレーションの具体的な設定について説明と検討があるとわかりやすいと思いました。
避難というテーマに関心を持ち、それに対し数値的シミュレーションで解析をしたことは高く評価します。ただ、それぞれのシミュレーションでの具体的な条件設定、例えば「加速する」人とそうでない人はそれぞれ何km/hで走った(歩いた)のか、「前側の人」「真ん中よりの人」とは何列目の人なのか、などがよくわからないので、それらを明確にわかる形で発表するとよりよいですね。さらに、例えば加速する・しないという2種類だけでなく、いろいろな速度でシミュレーションしてみるのも興味深いです。そのように研究を深めると、ある速度を超えると突然時間がかかる(あるいは短縮される)ようになる、ということもありそうに思うので、そんな仮説も検証してみるといいと思います。
2052
Gradia Programming Language Community: Gradia: 式レベル型注釈による段階的型付きLisp系言語
型システムという難しいテーマを扱い、式レベルでの型注釈というアイデアは良いと思います。Lispの柔軟性を損なわずに型安全性を高める発想は、現代のプログラミング言語の目指すべき方向性のひとつと考えられます。パフォーマンス評価や型推論機能なども考えられると思います。今後の研究に期待しています。
型注釈や型宣言のプログラミング上の有効性に注目したのは結構だと思います。CommonLispの「the」オペレータとか調べてみてはいかがでしょう。
式全体に対して型注釈を付与できる「式レベル型注釈」は、とても興味深いと思いました。ポスターには具体的な利点や実装方法など、技術的な詳細についての説明があると、新規性や有効性をよりアピールできると思いました。
プログラミング言語処理系に関する研究へのご興味、とても素晴らしいと思います。式レベルで型注釈が付けられるという着目点がいいですね。ポスターに、研究の動機、目的、方法、考察という内容で記載していただけるともっとわかりやすいものになると思います。
2053
BelltreeTech: 感情を理解できる、入院中の中高生に特化したAIお悩み相談サービスの開発
ご自身の経験に基づいた課題解決に取り組まれ、実際に患者さんや医療従事者の方にも体験いただくなど素晴らしいと思います。「対話によって解消すること」ということの評価をヒアリング等で実施されているようですが、システムの性能等の評価も加えられると良いかと思います。今回、顔の表情を分析し、その結果もChatGPTのプロンプトに反映させたとのことですが、表情の認識結果やその結果がどのように対話に反映されているのかという点の評価も必要だったように思います。今後も改良を行い、より実用的なシステムとなることを期待しています。また、病院にて試験をされたと記載されていますので、倫理審査等どのようにされたのかも記載していただくとよいと思いました。
自分の経験がそのまま課題になることによって、ソリューションの精度がかなり上がっていると思います。入院した病院への共同研究申請など、活発な研究活動をされていますね。今後も頑張ってください。
大変有用なサービスを、現在の情報インフラ、特にAIとクラウドを上手に利用して構築しています。その点では高く評価されます。気になった点は2つあります。
(1) 臨床試験の写真では「使用許可受け済み」と書かれていましたが、この臨床試験をするに前に、どのように被験者の方の同意を取ったのか、そして、病院や貴君の所属学校などの倫理審査を受けたのかについて明記されていなかった。
(2) 参考文献に「AI相談.com」が記されていましたが、それが、このポスターのどこにも言及されていなかった。
これらに対応していただけると、倫理面についてどのような配慮があったのかが具体的にわかること、また先行研究とこの研究の関連性が明確になるので、研究の価値が一層向上します。
2054
π&cone: Kubernetesクラスタ上でのeBPFを用いたWebアプリ用サーバレス基盤の実装と評価
Kubernetesの活用においてeBPFを用いたコールドブート時間短縮の工夫について幾つかの方法が提案されているなかで、プロトコルレベルで時間短縮を目指し独自プロトコルを開発され結果を出されているところが素晴らしいです。また何よりも基盤技術でスケーラビリティが求められる中で信頼性が高いことが実証されたところも素晴らしい点かと思います。今後も情報基盤を支える研究を進めていかれることを期待します
サーバレスコンピューティングはクラウド開発の中核を担う技術であり、その課題解決に挑んだテーマ設定は意義深いです。システム構成や処理フローが分かりやすく説明されており、実験結果も定量的に示されている点は素晴らしいです。今後はより大規模な環境や複雑なアプリケーションでの性能を検証すると、用途の多様性を示せるように思いました。引き続き、研究の発展に期待しています。
課題に基づき、仕様を考えて大変なご苦労もあったかと思いますが粘り強く取り組んで実装をし、評価検証を行い、結果を踏まえて今後更なる改良につなげるところまで取り組まれていることは大変素晴らしいです。今後のさらなる研究の深まりに期待しています。
たいへん高度な技術力に感心しました。高速になるだけでなくばらつきも減るようで、結論を表す図3は、ばらつきも含めてうまく可視化されるともっとよかったと思います。
2055
相田陸翔: オンライン学習教材に攻略法は存在するのか - 頻出選択肢からの考察 -
オンライン学習教材の正解の偏りを、実際の多くのデータを用いて分析しています。実際に検定をかけた結果、有意に1が多く、2が少ないという結果はとても面白かったです。今回は3択でしたが、共通テストのような4択の問題や、教科によっても傾向があるのかどうか調査されると面白いかもしれません。今後の研究に期待しています。
授業で習ったデータ分析の方法の利用例として、実際に多肢選択テストを2万問以上解き、正解肢の分布を調べ、Rで検定したという点で評価できます。ただ、(互いに独立ではない)2項検定を3回行うよりも、(多項検定の近似として)カイ2乗検定を1回行うほうが、この場合は良いと思います。
選択肢の偏りというテーマは、eラーニング教材の公平性や信頼性に直結しますので、学習者にとっても教材開発者にとっても重要な課題と思いました。大規模なデータを収集し、詳細な分析を行った点は高く評価できます。
2056
文京情報研究班: ストレスを減らすチャットボット作成
ストレスの検証方法に唾液アミラーゼや脳波強度を使用している点が非常に科学的であり、評価できる。チャットボットの実装に関する工夫がより詳細になると良い。
チャットボットの開発と脳波データを用いた評価という斬新なアプローチは興味深いです。ポスターのデザインが分かりやすく、結果を視覚的に伝える工夫が感じられました。Muse2を使用した脳波データの解析手法についての説明があるとわかりやすいように思いました。
チャットボットを自作しその有効性を実験で確認するという方向性は良く、今後が期待されます。ちょっと残念なのが、図4は、【A】と【B】で縦のスケールは同じでないと誤解を生むこと、また図5は縦軸最下部が0でないので2本の線の比率を実際よりも大きく見せてしまうことですね。
2057
立実システム開発担当: QRコードを使用した文化祭入場受付システムの開発
さまざまな催しで重宝するシステムと思います。ですが、それゆえ既に実現されているものでもあり、既存システムを凌駕する部分があるとよいと感じました。また、いくつかの問題(QRコードのなりすまし、DBに対する競合)などは対処すべき基本的な項目と思いますので、早急に対応するのがよいでしょう。
実用性に富んだシステムで、6300人ものデータを扱い、多くの知見を得たことはすばらしいです。来校者にランダムで聞き取りをできたらなおよかったですね。
適当なQRコードでも入場できてしまう等、いくつかの問題が残っているものの、実際の文化祭で活用し、受付が混雑する問題を改善できた点は、素晴らしいと感じました。システムの評価について、主観的な評価だけではなく、客観的な評価があるとさらに説得力が増すと思います。
2058
二度寝ダイナミクス: 機械学習を用いた感情表現の再現
テキストから感情を分析・再現するという挑戦的なテーマに取り組まれたことを評価したいと思います。人間のコミュニケーションにおいて感情理解は極めて重要であり、その自動化・定量化を目指す研究は大きな社会的意義があります。
感情をなぜこの8つに分類する方法を採用したのか、先行研究などを参照してそこから、分かりやすく記載する方が良かったと思われます。また、分析を有効に進めるためには、サンプルのデータのバラエティが大きくなるように、あらかじめ準備しておくべきだったと思います。今回は、研究の目的が完全に達成されたとは思えませんでしたが、より良いデータを採用することで、研究の目的が果たせることが可能であると見込まれます。
既存のデータセットでうまくいかなかったのを、自力でデータセットを作って挽回したのはよかったです。既存の研究を調べた結果も知りたいです。
2059
ぶしまつ: 卓球において威力のあるボールを打つ方法
シミュレータを使って、日頃の体験を物理法則の観点からシミュレーションすることは物理の問題解決でオーセンティックな方法であり、好感が持てました。シミュレーションの結果を実際に試してみられたのではないかと思いますので、またその結果もぜひ教えてください。
タイトルの「卓球」が満たす環境と、今回のシミュレーション環境がどのように対応するかを示す必要があると思います。
卓球のボールを直径1mとしたのはどういう理由からなのかわかりませんでしたが、巨大なピンポン玉を打ち込む巨人の姿を想像しながらポスターを拝見していました。このイメージは合っていますでしょうか?どのような手続きでBlenderを使用したのか、そこではなぜボールの直径を1mとしたのかなどを具体的に説明していただくと、もっとよいポスターになると思いました。
2060
テニス部のおっきい方とちっちゃい方: テニスをシミュレーションする〜3種のサーブの軌道のシミュレーション〜
何をどのように設定することで球種ごとのシミュレーションが行えるのか説明があると説得力が出ると思います。研究背景に「空気抵抗」という用語がありますが、空気抵抗を含めてどのような物理量がどのようにシミュレーションされているか気になりました。
身近な問題に着目したところに好感が持てます。同じ種類のサーブであっても、軌道が違うような実証検証のシミュレーションを複数行うことで、研究目的をさらに行動に達成できると思います。
部活動のテニスにスポーツサイエンスを役立てようとする試みは着眼点として良いですね。軌道やスピンをシミュレートしてよりよいサーブのイメージをつかめれば、後はいかにイメージ通りのサーブを打つか、というところですが、そのための練習方法なども今後考えていけるといいですね。
2061
mancala: マンカラにおける深層強化学習アルゴリズムの比較
マンカラに機械学習を用いて複数のアルゴリズムの比較を行っており、昨年度のコンテストの内容から発展させている点も評価できます。学習相手がDQNだと、ミスの学習が全くできなかったということですが、DQNの学習中のミスが多い原因は何なのでしょうか?負の報酬を与えたほうがいいということで、更なる研究の進展を期待しています。また、情報処理学会ゲーム情報学研究会でも発表されては如何でしょうか?
昨年の研究成果を活かして、更に昨年問題となった点を克服するために、新たに文献を調査し英語の研究論文にも参照範囲を広げて研究を進めている態度は素晴らしいです。また、独自の計算モデルについてのプログラムの作成、プログラムの実行にも多くの時間を費やし、おそらくこの研究に没頭して日々を過ごしていたのではないでしょうか。高校卒業後もその資質能力を活かして活躍していただきたいです。
先行研究は AHM が優れていたとのことなので、今回検討したモデルに加えて、AHM などでも比較対照計算機実験をやるとどうなるのか興味があります。
昨年に続きマンカラの強化学習ですね。今回は深層学習を使ったもので、ニューラルネットの構成等の詳細はポスターからはよくわかりませんでしたが、結果はよくまとまっています。先行研究もよく調べておられるようですので、次は何らかの先読みを取り入れた方法をぜひお試しください。
2062
二宮大輔: 満員電車の改善
身近な問題にとりくんでいてよいですね。研究がかなり違う2つのものなのでそれぞれ別々の機会に一つずつ発表してアピールしたほうがよいかもしれません。「始業時間変更」は、乗客のうち学生が10%だけでなく割合を変えてシミュレーションしてみるのもいいですね。2階建電車の設計は、ロングシートではないですが実例がある(JR東のE215系など)のでそれらと比較するのもいいですね。
都心部では、日々満員電車に苦しんでいる人も多いと思いますので、その改善を図る試みはとても有意義であると思います。学生の始業時間を変更した場合のグラフをどのように作成したのか、定員数をどのように算出したのか等、詳細がよく分かりませんでしたので、結果だけではなく方法についても説明があると、より良いポスターになると思います。
例えば「乗客の10%が時差通勤するとしたら、前後に何分ずらすとどの程度の効果が期待できるのかを調べる」のような明確な目標設定があると、研究の目的がよりよくわかると思います。後半の車両の改良についてはわからない部分がありましたので、もう少し説明を足していただくともっとよいと思います。
2063
文字認識: ひらがな用の文字認識の開発
手書きのひらがな、カタカナ、漢字を正しく100%認識できたらよいですね。今回、自力で0から目的を達成しようとする態度は評価できます。ただ、この辺りの研究は多くあり、まずは調査をするのが必要だったと感じます
日本語の文字認識という難しい問題に取り組まれたのですが、まだ道半ばのようです。今後のご研究に期待します。
文字認識技術は、行政のデジタル化や視覚障害者支援など、様々な場面で必要とされています。データセットの選定や前処理方法を見直すことで、認識精度が大きく向上する可能性があります。ぜひ研究を継続して、社会に貢献できる技術に育てていってください。
2064
天文気象部A: 天文気象観測システムの開発~視程及び流星の自動判別と観測データの一元化~
貴天文気象部の素晴らしい歴史と伝統を礎として、毎年様々な試みがなされていることはとても素晴らしいですね。こちらのポスターは、それらを紹介する目的としては大変わかりやすく、多くの情報を網羅的に表現されているのですが、研究発表としてみると、考察の要素が薄くなってしまっていることが残念な気がしました。
研究内容は、いずれもしっかりとしたものであると分かります。①では、晴れてる日の画像ではなく、すこし曇った日の画像の場合の改善について期待したいです。②では、流星検出プログラムの方は結果が大変面白いものですが、さらに詳細な記述が欲しかったと感じました。なぜ、記述が少ないのか。それは、1枚のポスター発表で取り扱うには、内容が多すぎるからです。今回の内容であれば、それぞれの目的ごとに別の発表に分けるべきでした。あるいは、自動視程判別システムの構築に絞り込む方が良かったと思います。
長年続けてきた観測を自動化するシステムの構築自体もすばらしいですし、これによって新しい発見も期待できそうです。視程や流星など、複数の開発が一つの発表に含まれていますが、それぞれ別発表に分割し、一つの発表に一つのテーマとするのがよいかと思います。システム全体の統合を主眼とする場合は、その点を強調した構成にすると興味を持ちやすくなります。
視程と流星を対象としたシステムを構築されており、自動判別の精度を高めるための地道な作業も丁寧にこなしている様子が伝わってきて素晴らしいと思いました。先輩から引き継がれてきた伝統のうえに、機械学習も活用した新しい歴史を重ねていく姿勢は、情報学のアプローチとしてよいお手本になると思います。
2065
天文気象部B: 流星の自動観測を目指す~流星の経路特定と反射領域の可視化~
先行研究の調査、制作されたシステム、そしてデータの分析など、いずれも素晴らしいものです。特に、「2024年の11月12日にほうおう座流星群由来の流星を観測した」との記述は、もしそれが天文学的に正しいと立証されれば、大変に貴重な観測結果であると認定されます。さらに、その観測に情報技術を採用しているということは、「天文観測に情報技術が有効である」ことを証明している、と思われます。
天文気象部の活動として継続的に多くの研究をやられていることはすごいです。3Dシミュレーションやドップラーシフトの観測などの独自でやったこともすばらしいです。
流星は目視による観測とともにアマチュア無線を利用した電波観測も従来より行われていましたが、所属されているクラブでもそれらに古くから取り組んでいらっしゃるとのこと。そのような歴史に敬意を払いつつ、流星観測を今の時代に即した形で、電子機器やAI技術などを駆使して3Dでの新たな分析方法を考案し、試しているところが素晴らしいです。
入手しやすいカメラ(防犯カメラ)による全天撮影装置と、電波観測装置を相互補完的に用いることによって、機械学習で処理できるデータを構成された努力と技術が素晴らしいです。眼視との比較による定量的な調査も行われていて、説得力があると思いました。
2066
韓佳希: 学習に用いるチャットボットのコンテンツ作成
ChatBotを利用したゲーミフィケーションのプラットフォームは、もし完成すれば、学習者個別のニーズを汲んだ学習環境としてとても大きな意義があると思います。他方、自分のニーズを満たす作品作りはより多くの人のニーズを満たす作品づくりの出発点です。実装に向けてぜひ今後も研究を続けてください。
教育とテクノロジーを組み合わせることで、より効果的な学習方法を追求しようとする姿勢が素晴らしいと感じました。教育とテクノロジーを組み合わせることで、より効果的な学習方法を探求できると思います。今後の研究に期待しています。
生物の学習に役立つチャットボットをMicrosoft Copilot Studioで作るというご研究ですね。まだまだ道半ばのようですが、有用性は高いので、今後に期待します。
2067
田村遼花: 日本の中高生をターゲットとしたAIを利用する認知行動療法(CBT)の活用とその効果
ポスターのデザインが洗練されていて、大変見やすかったです。背景や目的がしっかりと書かれていることも良いと思いました。ぜひアプリを完成させて実際に中高生たちが役立てられるようになることを期待しています。
メンタルが傷ついた人々に対してさまざまな対応がありますが、認知行動療法は有効な手段のひとつで、それをITで支援することは新しい試みだと思います。ただ、人が他者を慮ることはまだ生成AIでは荷が重いかもしれません。あと、テキスト入力ではなく発話入力とした方が自然でしょう。また、ポスターの項目の並び順が少し不自然と感じました。
メンタルに関することを他人に相談することを躊躇する人も多いように思いますので、AIを活用してコンピュータ相手に相談できる試みは、今まで相談できなかった人を救う可能性があり、とても有用な試みであると感じました。有効性の検証等はまだこれからのようですので、今後の研究の発展を楽しみにしています。
2068
木下・岩﨑: Wikipedia記事における内容の信憑性を数値化するツールの作成:最適化された高速なオンラインアルゴリズムに向けて
Wikipediaの単語単位の編集履歴を調べるオンラインアルゴリズムを考案し、最近編集された(=信ぴょう性の薄い)単語を色分けして示すChrome拡張機能を開発されたとのこと、たいへん有用な研究だと思いますので、どこかで公開されることを期待します。先行研究もしっかり引用されています。
オンラインアルゴリズムを用いてWikipediaの信憑性を評価するというアプローチは良かったと思います。編集履歴に注目し、単語ごとの信憑性を評価するアイデアも素晴らしい着想と思います。現在の視覚化方法は単語ごとの透明度や色の濃さを用いていてわかりやすいですが、他の視覚化手法(例えば、信頼度スコアをヒートマップやグラフで表示するなど)を試してみると、より表現力が高まるかもしれません。全体的に興味深い研究テーマであり、さらなる発展が期待されます。
処理速度と記事の情報としての信頼性はトレードオフの関係にあると言えるので、単に速度向上のみでなく、それが情報の信頼性を測る指標として適切かどうかを合わせて検証すると、提案手法の有効性を示しやすくなるかと思います。
クロスチェックをはじめ情報の信憑性について検証する作業は、情報で溢れかえる現代を生きていく上で非常に大切なことになっています。Wikipediaは日常的に使用することが多いWebページですが、その情報の信憑性を自動的に評価し可視化するという試みは高く評価できます。概ね100回の編集で誤差が無視できるレベルになるという結論も大変興味深かったです。実用化に向けての今後の発展を期待しています。
2069
竹内理恵: 新しい音楽推薦システムの構築と有効性
サブスクリプションによりアクセスできる音楽数が莫大に増えたことにより自分の好きな音楽に巡り合うという”感情や嗜好”部分をデータに基づいた推論を計算させるという着眼点は身近な解決題材としてとても良いと思います。モデル化し検証してみて「期待する結果にならなかった」ということも重要な検証です。今後の展望で示されているように学習データを増やすなどの点と、実際のユーザー感覚との整合性を継続的に研究していってください。
ユーザーの感情状態など、これまでほとんど活用されてこなかった指標を導入した点は独創的と思いました。Spotify API を活用して実際にデータを収集し、モデルを構築して評価まで行っている点は素晴らしいです。ユーザー評価の規模や方法をさらに検討して、提案手法の有効性をより確かなものにしていくと実用性が高まるように思いました。今後の発展が楽しみです。
感情ラベルを自分で付与したということですが、感情ラベルにどれくらい個人差があるのかについても調べ、自分が付与したラベルに特異性があるかどうかを検証すると良いと思います。また、より多くのサンプルを取得することは重要でしょう。
いくつかのアルゴリズムでの評価を行い、結果を考察していること、評価できます。感情ラベルを付与するというアイデアもいいですね。どのようにして有効なデータを数多く集めるかということも重要なポイントです。評価の方法なども工夫の余地があります。
2071
横須賀総合高等学校コンピュータ部: DAアルゴリズムを使った救急隊員と病院の優先順序付き1対多マッチングについて
ご自身の経験から開発を始め、消防局でのプレゼンテーションにまで持ち込んだ行動力に感服しました。Gale-ShapleyのDAアルゴリズムは研修医配属で用いられるなど医学方面でも知られており、患者と病院のマッチングに用いるのは自然だと思われます。救急隊と病院の電話による交渉しかない現状、ただちにアプリで解決できそうな問題ではなさそうですが、このような試みの積み重ねがシステム化の必要性の認識に貢献すると信じています。これからもがんばって研究をお続けください。なお、プログラムは画像よりGitHub/Google Colab/Google Drive等へのリンクのほうがありがたいです。
救急搬送と病院のマッチングという社会的に重要な課題に取り組んでいることは高く評価できる。ゲーム理論に基づいて現実に動くプログラムを開発し、消防局にも提案して検討してもらっていることも意欲的で素晴らしい。人命に関わることなので、開発した技法で非常にうまく行って人手による方法を大幅に改善できる事例と、うまく行かなくて最悪の事例の場合にどうなるのか、という2点について、さらに掘り下げた分析があると良いと思った。
自分の救急搬送の経験から、限られた資源(救急車)を有効に活用するために、数理計画法分野に着目して勉強しプログラムの形にした努力を評価します。数理的側面だけでなく、社会の現場に実際に役立てることも見据えていますね。通常の救急現場のように一件ずつ事故等が発生する場合についても次は考えてみるとよいですね。
2072
山本 ぴあの: 強化学習による作曲生成AIの作成
今回は1曲だけ学習させたとのことですが、学習に使用する曲数を増やしたらどうなるのか今後の展開が楽しみです。
自動作曲を実際に作ろうとして着実に進んでいるところはよいです。LSTMで作曲の研究は多くあるようですので、それらとの違いを知りたいです。また、「背景」に書かれた著作権侵害の対策はどうでしょう。
大変面白い結果になっていると感じました。一方で、なぜ作曲の音階データを生成するために、ウォールストリートジャーナルの原稿を採用したのかがよくわかりませんでした。音楽のデータの生成であれば音楽に関するデータを学習させる方が、より自然になるのではないかと想定されますが、あえて新聞記事などを採用することのメリットについて、記載があることが望ましいです。さらに、パープレキシティの値が小さいほど良いとされていますが、人間が作曲した曲に含まれる想定外の音階の変化や、想定外のリズムなども、メロディーの評価の高さにつながると思われます。この点については、音楽に関する先行研究などを参照し、音楽の評価について述べると、本研究の信頼性がより高くなると考えられます。
いくつかのアルゴリズムでの評価を行い、結果を考察していること、評価できます。感情ラベルを付与するというアイデアもいいですね。どのようにして有効なデータを数多く集めるかということも重要なポイントです。評価の方法なども工夫の余地があります。
2073
m.l.: スマート単語習得 – AIとクラウド技術でお手頃に効率UP
とても興味深い内容ですが、どのようなアプリを使用されたのかが具体的にわかりませんでしたので記載していただけると、イメージがしやすくなりそうです。また、クラウドの使い方や生成AIの利用についても触れられているようですが、その具体的な活用方法を教えていただけると、内容をより深く理解できると思います。
まだ試作の段階のようですが、AIを具体的にどのように活用して類義語・対義語・例文の提示、例文の採点を行っているのか、詳細が記載されていると、より信頼性が高まると思います。有意義な研究であると思いますので、今後の発展を期待しています。
雛形を開発したアプリの概要についてポスターにほぼ記載がないのが非常にもったいない。せっかく雛形試作と評価を行ったのですから、この評価が行われたアプリ自体の情報(補助資料のビデオで説明しているような情報)をポスターで見せる必要があると思います。
2074
相州健児: 生成AIと人間が書いた文章の構造とそれぞれから受ける印象の違い
仮説を立て客観的に実証するというのは基本的な科学の立場で、仮説が否定される場合も、また一種の「成功」です。この研究もその例といえます。なお実験2のテーマ1から3の文献はいずれも学術的なものですが、ChatGPTはそうとは限らないので、比較対象を再考して実験を行うのはどうでしょうか。また、出版物を校内の生徒さんに読んでもらったのは、改正著作権法第35条の範囲内での著作物使用だと理解しています。
人間の文章とChatGPTの文章を形態素解析して品詞分布を比較したところ、有意な違いはなく、アンケート調査ではChatGPTの文章のほうがわかりやすいという、たいへん興味深い結果です。例があるとわかりやすいのですが、ChatGPTのほうは「です」調で、比較した人間の文章は学術書だったためでしょうか。わかりやすさと内容の厳密さとのトレードオフもあったのかもしれません。さらに詳しく調べられると有意義な結果が得られそうです。
生成AIは今後ますます活用されると思いますので、生成AIと人間の文章を比較した結果は、様々な場面で活用できると感じました。実験2については、利用する人間の文章に影響されるように思います。例えば、分かりやすく書かれていると思われる小中学校の教科書の文章等を用いれば結果が変わるのではないでしょうか。
2075
ズシAIフラスコ:自作の画像データを用いたCNNによるペットボトルごみの識別
CNNによってペットボトルの状態を分析して、ゴミ問題の解決に役立てようとしていることはとても評価できます。実際の仕分けではペットボトルだけではなく、缶やビン、異物などもあるかと思いますが、それらも正確にはじくことはできるのでしょうか?今後、高い精度の追求と、実際の仕分け場面への導入を期待しています。
ペットボトルの分別促進(広くは資源リサイクルの促進)という公共的な課題に対して、機械学習の応用による解決を目指した大変意欲的な研究でした。データセットの作成、CNNの実装など、全てを自分たちの力で行われた点に心より敬服いたします。ポスターの内容も過不足ない情報が示されており実験の理解がしやすかったです。今後は、最終的な実装のデザインをより具体的に描きながら、さらに実用性の高いシステムの完成を目指してください。応援しております。
研究背景の中で「ペットモデルごみにラベル、キャップがついているかをカメラで判別する画像認識モデルを作成」と目的が記載されていますが、この研究の目的として独立させると、より分かりやすくなりそうです。
身近な問題解決を題材にして、単にプログラムが動けばよいという形ではなく、アルゴリズムの原理やデータ拡張等の前処理、モデルの作成の理解などを調べて理解し、それを丁寧に説明できているのは良い学習経験になっていると感じました。
2077
日川高校情報班:地温測定装置を用いた気候と地温の関係分析
ぶどうの生育と地温との関係が解明できると農家の方々には大変喜ばれると思いますので、今回通信がうまく行かなくて残念でしたが、今後実験環境を改善してデータが取れるように頑張ってください。
今回はデータが得られないという残念な結果となってしまいました。しかし、新しい装置の実験で失敗はつきものです(というか、まったく普通のことです)。これに気を落とさずに改良を重ねて結果を得るまで頑張ってください!
地温測定したデータを分析してぶどう栽培に生かすという着眼点は、山梨県という土地を活かした研究でとても面白いと思いました。今回の研究では、実際にデータが取得できなかったということですが、今後はLoLa以外の通信方法も検討されて、データの取得と分析ができるようになることを期待しています。
3001
富山県立高岡高等学校情報2班:集中測定中~加速度センサで見る姿勢と集中力の関係~
JINS MEMEは眼球の動きを計測して集中力を測るものなので、加速度センサーと連動してしまうのは、当たり前ではないのでしょうか。また、数字タッチゲームが集中力を分析する方法として適切かどうかをもっと吟味して欲しいと思いました。400マス計算などの他の手法があるかと思います。1~10分だと集中力を持続できる人が一定数いると思うので、もっと長時間の実験をされるとなお良かったと思います。
今回の研究は、集中力を測定し、それを可視化するという非常に興味深い取り組みです。JINS MEMEや加速度センサーを活用し、ゲームのパフォーマンスと結びつけた分析は、応用範囲の広がりを感じさせます。このような取り組みが、学習やスポーツなど、日常生活の様々な場面で役立つシステムへと発展することを期待しています。
自分の思いついた仮説について実験をおこなって調べたのはよかったです。体の動きといってもいろいろな計測があり得るので、先行研究なども調べたらよいのではないでしょうか。
3002
富山県立高岡高等学校 情報1班:画像認識AIでSNS投稿を安全に!
研究の展望として「お酒だけでなくタバコや暴力なども画像で認識したい。それによって安全な写真掲載をしたい。」ということが書かれていました。研究の目標は素晴らしいものです。一方でそれに至るためには、準備がもう少し必要だと感じました。研究タイトルは「画像認識AIで個人情報流出対策」となっていますが、実際に行われていることは「AIを使ってお酒の画像とそうでない画像と分ける」というものでした。従ってこれだけでは個人情報流出対策にはなりません。また、先行研究としてどのようなものを採用しているのかについても、記述されるとよいと思います。
個人情報の流出をAIで防止するというアプローチは、現実的で実用性が高いと感じました。一方で、事例が倫理的に議論を呼ぶ可能性があり、誤解を招く恐れがあるかもしれません。「個人情報流出対策」であれば、例えばストーカー対策として、住居を特定されやすい看板やランドマークを対象にするなど、技術のポジティブな面をより強調できる事例を用いた方が、説得力が増し、技術の価値を効果的にPRできるのではないかと思いました。
同様の研究開発はいろいろされているとは思いますが、自分のできる範囲で実現しようというところに好感が持てます。YOLO以外のツールを試したり、他のツールと組み合わせるなど、いろいろなことを試してもらいたいです。
3003
情報デザイン部:サイコロを用いた統計データと正規分布の理論的整合性の研究
Pythonと表計算ソフトウェアを使用して、実際に95%信頼区間を検証したことは大変いいことだと思います(体験的に学ことで本質が理解できます)。今回はサイコロの合計ということですが、身の回りの事象で同様のことができれば、とても面白いと思います。
高校生の目線で、サイコロ振るというアナログ実験によりデータ収集・分析するだけでなく、数学で学んだことを、Pythonプログラムにより分析することで、数学的知見を確認・検証した点を高く評価します。今回の研究により身につけた分析手法を、より複雑なアナログ実験に適応し、その分析をすることを期待しています。また今回の研究成果を数学教育に活用することも考えてくれることを期待しています。
身近な題材であるサイコロを使い、統計理論の実証に挑戦した点が魅力的です。特に正規分布の性質や信頼区間の理解が深まる素晴らしい研究ですね。データの可視化や結果の解釈をさらに工夫することで、より多くの人に伝わる発表ができると思います。
3004
大門高等学校DX防災研究グループ:3D空間による災害意識向上
Cesiumを活用した3Dマップによる仮想空間での避難体験の取り組みは、災害意識を高め、迅速な避難を支援する意義深い挑戦です。プロトタイプの導入を通じて、住民からのハザードマップ活用に関する声を取り入れるなど、実際に得られたフィードバックを基に改良を重ねることで、本研究のシステムがより実用的で効果的なものへと成長することを期待しています。
使えるデータが乏しい状態での研究は大変だったと思います。住人がハザードマップをより身近なものとして認識させるために、3Dマップでの危険要素の提示は有意義だと思います。ツールを実現し住民の方に使ってもらうことで、より良いものを目指してください。
標題のシステム内容に対して、3D地図情報の読み込みと表示に関わる部分を、Unity 等の環境で実装している。実3Dデータを利用したシステム構築を狙っている点は評価できる。今後、さらに災害に関わる情報の追加、それらの効果的な提示方法、システムの評価(主観評価、客観評価)につながることを望む。
3005
勝山:AIと数学の新定理
研究の目的をもう少し詳しく教えていただけると、内容をより深く理解できそうです。仮説について、もしAIによる出力であれば、どのようなプロンプトを使用したのかを示していただけると参考になります。また、「結果」や「問題点」が著者ご自身の主張である場合、その背景をもう少し掘り下げていただけると、さらに説得力が増すのではないかと思います。
着眼点は面白いと思いました。プロンプトエンジニアリングの考え方も取り入れられてはいかがでしょうか。
未知の問題をAIに発見させようとする取り組みはユニークで、新しい視点を提供していると感じました。また、自身でしっかり検証していることも、非常に堅実で良いと思います。AIは基本的に統計的に発生しやすいパターンを選びがちなので、AIへの指示や条件設定を工夫すると大きな発見につながる可能性があるのではないかと思いました。期待しています!
3006
W:”推し”の存在意義についての分析と考察
高校生の目線で日頃の生活で不思議だなと思うことを、アンケート調査により明らかにしようとしている点を高く評価します。先ず先行調査により「推しとは自分の不足している部分を補ってくれる存在である」という仮説をたて、その仮説検証のため、SNSに加えて他者である福井新聞の協力を受けてアンケートを実施している点を高く評価しています。またアンケート結果の分析をしており、仮説が妥当である範囲を示しています。その上で今後の課題を示している点も評価します。今後も不思議がる心、Sense of Wonderを大切にしてください。
自分の関心あるテーマについて137件の調査を行い分析できたことはよかったです。推しへの感情があると、「愛情」「癒やし」「自己肯定感」について不足していない傾向にある」と仮説「推しとは自分の不足している部分を補ってくれる存在である」の対応があまりよく分かりませんでしたので、説明があるとなおよいと思います。
推しの意義という現代的な面白いテーマを掲げ、しっかりとアンケート調査をされている点が素晴らしいと思います。個人的には、推しがいる人といない人、潜在的に推しを持つ可能性のある人等の差が分析できると面白そうだなと感じました。
3007
https://itta.dev/:大規模言語モデル(LLM)を用いた柔軟なユーザーインターフェースの開発
デモを動かしてみると、大規模言語モデルを用いて画像を加工できるアプリであることが確認できました。ポスターのみでは、今回のシステムが予定通りに作ることができたのかどうかわからないところがあったので、システムの評価結果も掲載するともっとよくなると思います。
今回の取り組みは、次世代のインターフェースを目指した意義深い挑戦です。自然言語を活用した柔軟なUIや画像処理のデモなど、技術の可能性を大きく広げる内容でした。この成果がさらに発展し、多くの人々の生活に役立つことを心より期待しています。
実際に動作するプログラムを開発し、Web公開されているのは素晴らしいと思います。
作成したいアプリケーションを開発する際に、微調整のできる中間生成物を作成するのは、生成AIの効果的な使い方だと感じました。ポスターでは、パラメータUIがプロンプトに応じて自動生成されることが説明されているとわかりやすいように思いました。ぜひ、この手法の他の問題解決への応用についても研究を進めてください。
3008
寺西陽菜:プログラミングでゴリ押しデータ分析
データの相関を一括して提示するアプローチはそのままでも実用的な分析ツールの一部として使えそうで、非常に素晴らしいと思います。ただ、より分析を進める場合にその後の処理で相関が有効に活用できる場合と、そうでない場合があるかもしれません。そのため、どのような目的や状況でこの方法が役に立つのかをもう少し具体化してPRすると有効性が際立つかと思いました。
研究のテーマ決めに役立つ、有用な研究であると感じました。SSDSE-社会生活のデータセットを利用しているようですが、出典を明記するとともに、どのようなデータであるのか(データの概要)が簡潔に書かれていると、より適切かつ分かりやすいポスターになると思います。
見た目ではわからないから全部計算してみようという考え方は好感が持てます。相関係数の計算は様々なツールで可能ですので、RやPythonなどのいろいろ試してデータ分析への興味を伸ばしてください。
半自動化された相関分析を実装した点が非常に面白い研究だと思いました。多くの生徒がこのプログラムによって、分析を加速させることができると思います。相関係数を算出する仕組みについては、理解しておくとよいかと思います。今後は、さらなる分析手法を用いて、様々な検定などができるようになると実用性がかなり上昇すると思います。
3009
Meijo2A1:機械学習を用いた顔認証による出席管理システムの開発・評価
顔認証を活用したシステム開発は実用性が高く、非常に魅力的です。2フレーム連続判定で本人拒否率を改善した工夫は素晴らしいですね。今後は、さまざまな環境や照明条件を含めた精度検証を進めると、さらに実用性の高いシステムになる可能性があります。頑張ってください。
先生の出席確認に関連する負担を、標準的な画像認識テクノロジーを活用し、軽減するという目的意識でテーマを設定している点を高く評価しています。また標準的な開発環境(Flask、Python、Dlib)を活用している点も良い。フレーム数、フレーム画素に応じた認証精度を検証しているだけでなく、実際の教室での利用を考慮し処理速度についても検証している点も高く評価しています。次は教室の実環境で活用した結果の公表を期待します。
提案手法はとても手軽に出席管理ができるので、魅力的ですね。だからこそ、たとえば「他人の顔写真をカメラ映像として映した場合」との区別をどうするか?といったことも、チートを避けるために今後考えたほうがよいのかな、と思いました。各手法の長所を活用し、短所を補うような提案を目指して関連研究との比較をされている点も素晴らしいです。
dlibのface_recognition.pyモジュールを使われたのですね(dlibベースのface_recognitionパッケージは私も使ってみたことがありますが、日本人だとあまり精度が良くないように感じました)。ここでは特に閾値を設けず、24人の特徴量のうち最も近いものを選ぶようにしたのですね。160×120ピクセル2フレームでFRRが1.52%という意外な高性能で驚きました。FlaskでWebアプリケーションに仕上げられたこともすばらしいと思いました。
3010
とーん:音と色の融合 〜音を視覚的に捉えたい!〜
音と色を融合させる今回の取り組みは、音楽の新しい楽しみ方を提案する素晴らしい挑戦です。和音を色やアニメーションで表現する工夫により、子どもや聴覚に障がいを持つ方々も音楽を直感的に楽しめる可能性を感じます。発展系として、楽譜から今回提案される色が把握できる仕組みを取り入れることで、視覚的に音楽を楽しむ新しい手段としてさらに面白くなる可能性があると考えます。今後も探求を続け、このシステムがさらなる発展を遂げることを期待しています。
音を色に割り当て、和音を視覚化している。五音圏と色相環を対応づけている点は興味深い。和音から受ける印象とシステム上の表現の組み合わせ方については、もう少し説明があるとよかった。特に「和音の明るさ」、「響きの綺麗さ」は利用者の主観に基づくもので、どのような手順でシステム上の表現に変換しているかを知りたい。また、今後、提案手法の効果の検証が望まれる。
音楽の知識がない人に対して、和音を視覚で理解してもらおうという試みは大変興味深いものです。しかし、提示された方法では、転調すると色全体が変化してしまいます。その結果は、和音の理解に障害となります。長調・短調、7th, 9th などの和音の違いを理解するには、あらかじめ和音についての知識が必要ではないでしょうか?その知識がない場合は色を見ても、どのような状況になってるかを把握することは困難であると思われました。もし困難でないのであれば、それは素晴らしい発見です。研究発表としては、参考文献のどの部分を利用したのか、参考文献がどのような先行研究として活用されているのかについて記述があると、もっとよくなります。
3011
津田学園サイエンスクラブ:スクールバス位置確認システム「バスなう」の開発と運用
ポスターのデザインがとてもきれいで、大変見やすいという印象を持ちました。動画の説明も聞きやすかったです。「個人開発」はまわりまわって開発運用費用がかかることになるので、提案としてするお話と「本稼働/長期運用」するときのお話は別で考える方が良いでしょう。運用する際には目に見えないコストが様々に発生することを意識しておきましょう。また、懸念点にも書いていただいていますが、学校安全の観点からも、バスの位置情報をリアルタイムに確認できるのは誰なのか(場合によってはアクセス拒否するのか)、については今一度検討することを推奨します。
既存のサービスを見直し、不備や不満点を改善したシステムを提案する取り組みは、技術の発展において非常に重要です。さらに、単に作成に留まらず、試用とアンケート評価まで行われており大変素晴らしいと思います。可能であれば、既存システムとの違い、特に更新頻度の違いが評価にどのように影響したかをさらに掘り下げて示すと、説得力がより高まると思いました。また、プレゼン資料が非常に綺麗かつ詳細にまとめられている点や、見やすいPRビデオを作成されている点も非常に良いと思いました。
同じ名前のものが青森県で実際に運用されています。名称については検討する必要があるかと思います。ただ実際に試験運用されていることに非常に好感を持ちました。ぜひ頑張って実用化を目指してください。
たいへんよくできたシステム開発の事例です。試験運用とアンケートの結果、需要も大きいようで、ぜひ本運用に持ち込んでください。ポスターの情報デザインが優れていることにも感心しました。
4001
Future Formula:Spresenseを使った支援ツールの製作
個人の経験を社会的課題に結び付け、それを技術と発想で解決しようとする姿勢に感銘しました。
自身の経験から必要とされるアイデアを出し実装まで行っている点が好印象です。画像認識による植物の分類がどの程度の精度で行えるのかに興味があります。また認識できない場合はロボットが自律的にまわりこむなど、うまくロボットと人間が協調できると面白いのではないかと思います。
身近な課題から、社会で役に立つシステムを自作したことが素晴らしいです。システムを作ってから、評価検証してさらに改良するという段階まで進んでいく今後にさらに期待しています。
4003
ランソーチーム:日々の食事に笑顔を! ランダムソースジェネレーターの開発
「家族が一緒に楽しむ食事」を今の日本の課題として捉える温かな視点に共感しました。そのための手立てがランダムなレシピの生成が適切かどうかは別として、実態調査などを元にしたアイディアの実現を期待します。
micro:bitの制御によってソースを混ぜる利点、特に手動で混ぜる場合と比較してどのような利点があるのかを強調するとよいかと思います。
アイデアはかなり面白いと思います。是非開発を進めて、実際に試してもらえるとより良い研究になると思います。がんばってください。
4004
山本:音楽からボーカルの音程を測定するプログラムの作成
ボーカルの分離(spleeter)、ピッチ推定(CREPE)、MIDI書き出し(pretty_midi)という流れのプログラムを作られたとのこと、良いライブラリを選んで使われています。作られたプログラムそのものの紹介がありませんが、どういう言語で書かれて、どれくらいのサイズなのですか? できればGitHubなどで公開されれば、検証できそうです。
生成したMIDIデータでメロディーラインを認識できていたのは、良い成果だと思います。様々な楽曲に適用しながら、改善を試みてください。
通常、入力データはノイズが多く含まれているため、フィルタリングによるノイズ除去のプロセスは必要です。肉声の場合はしゃくりやビブラートなどの要素も含みますが、こういった装飾要素を排除した五線譜に落とし込むためのアルゴリズム強化は可能だと思います。
4005
飯山:色覚異常を再現する「カラーバリアレンズ」の制作
アイデア、手法ともにすばらしいと思いました。最後に書かれていたように、利用してもらって評価するとさらに面白くなると思いますのでぜひ頑張ってください。
リアルタイムで色覚障害の見え方が体験できるアプリを作れたのはよかったです。類似のものは何があるか、どこを工夫しているかなども調べたら良かったかも。
色覚異常の見え方を再現することは、ユニバーサルデザインの考えに則った重要な課題です。マルチプラットフォームを指向しており、より多くの方に利用してもらいたいという意欲がうかがえます。
4007
森本&高橋:AIとAIとの相互理解ができる会話
AIと人間が会話する様子を採点したということで、実験をできたことはよかったです。ただ、採点基準は何を測るためでどう点数化したか、人格はどのように設定したか、実験結果の名前は何でなぜ2つずつか、などがわかりませんでした。
AIを活用して人間のコミュニケーション能力を増強させるというのは意欲的な試みだと思います。実験のどの過程で人間が関わるかに注意して、引き続き研究を進めてください。
面白い試みだと思います。結果についてもう少し詳しく説明してくださるとわかりやすくなると思います。また、グラフのフォントサイズはもっと大きくしてください。考察の日本語をもう少し推敲されると良いと思います。次回以降は、類似した研究がないかどうかを調べて関連研究として載せてください。
4008
チーム揚げうどん:AIを用いた効率的な勉強法を考える
バラード調の女性ボーカルのAI生成曲を聞きながら勉強することでスコア向上というのは面白いです。インストゥルメンタルも、選択肢に加えてください。
音楽と学習の関連性についての先行研究は様々なものがありますが、生成AIを使ったのは興味深いと思いました。サンプル数(人数)が何名くらいだったかが気になります。また、各群への人の割付は、成績を参考にしておこなったのでしょうか。いろいろと興味を持ちました。
面白い実験をされましたね。t検定をされていましたね。文脈からすると事前テストと事後テストに有意差があったかということだと思いますが、せっかく検定を行なっていますので、もう少しはっきりした記述をポスターに記載した方が良いでしょう。音楽が記憶力や注意力に大きな影響を及ぼす研究はいくつかあります。似たような文献のリサーチはされたでしょうか?関連研究について言及があるともっと良かったと思います。
高校生が気になるトピックかつ条件(音楽)を使った仮説検定ができているため、非常に面白い研究だと思います。サンプル数が少ないため、可能であれば100件ほどできると信頼性も上がり、結果も変わると思いました。ただ、pハッキング(有意差を出そうとする実証)にならないように気をつけてください。
4009
高槻高等学校:テキストマイニングを用いた商品レビューの分析
すでにある技術をうまく利用してやりたいことができていると思います。ワードクラウドの結果、Theとかandが大きく表示されてしまっているので、ストップワードの除去をしてから表示させるともっと結果が良くなると思います。
結論に書かれているとおり、感情分析をうまく取り入れると、意見の示すところを素早く把握しやすくなると思います。ワードクラウドに出現する語句を、感情分析と結び付けてみてください。
様々な分野の商品を比較し、商品ごとの傾向の違いが分かると面白いと思います。また、好意的・否定的な感情と5段階評価ポイントの相関を調べてみるのも良いでしょう。分析結果を提示する際は、サンプル数についても明記する必要があります。
4010
高槻高等学校情報1班:YOLOv5を使用したバドミントンシャトルの品質評価システムの構築
学校の部活動という日常的な現場における課題を、最新技術を用いて解決しようとする点に共感しました。さらに精度や速度が向上すれば学校内外で広く活用される可能性を感じました。
実用的な研究になりうると感じます。類似の内容で言えば、野菜形状検査といったことは既に社会実装されているので、どこまで利便性やコストを追求できるかといったことが論点になるのではないかと考えられます。たとえば、「シャトルケースを改造して、ケースの上からいれると、ケースの中を通過した際に多方向カメラによって分類され、シャトルの状態によって、振り分け先のかごが異なる」といった具合です。iPad等を用いた簡便なシステムを目指すのか?といった、方向性もきちんと定めた上で、評価指標を設定して進めていくのが良いでしょう。今後の成果に期待します。
身近な課題に対する気付きと、情報技術で解決を図ろうとする姿勢に好感が持てます。学習結果の画像を見ると現時点でもある程度の分類はできているようですが、性能を数値(混同行列など)で表すとより定量的でよいでしょう。学習用データセットの画像のバリエーションを増やすと様々な背景にも対応できるのではないでしょうか。
4011
Dragon Arrow:視覚に着目した変数命名法の分析
着眼点がユニークです。変数の命名の際には意味も重要ですので、両立できる命名支援法を目指してほしいと思います。美しいと感じる変数を使用するとソースコードの質が上がったりする可能性はあるか、個人差がどれくらいあるかなど、更なる深掘りを期待します。
着目点が非常に興味深いと感じました。評価者を複数人に増やした場合、同様の結果が得られるかどうかにも関心があります。
変数命名法に着目したとてもユニークな研究だと思いました。ただ、合否を決めたのは中辻さん一人ということですよね?もう少し被験者(プログラミングの経験の有無の加えて)を増やすと、客観的な信頼性が増すと思いました。またプログラミングの使用場面(どのような変数か)の条件も加えると面白いかもしれません。
4012
大阪国際高等学校コンピューター部:職員室におけるキオスク端末の開発・運用と利用調査
キオスク端末アプリを開発し、実際に役立てているところがすばらしいです。さらに、運用データから有益な結果が得られる可能性を見出しています。生徒側の属性データも研究倫理に反しない範囲で取れるようにしてはどうでしょう。
システムを作成するだけでなく、職員室で実際に試したところが素晴らしいと思いました。是非継続して運用してシステムを改良していってもらえればと思います。
大きな声を出せない生徒のため、という多様な人々が共存する現代社会ならではの視点を感じた。せっかくそこまで考えているのなら、「先生を呼ぶ」のを音声ではなく教員端末への通知などの別の静かな方法を考えることで、より良い課題解決ができる可能性を感じました。
実際の要望をもとにしたユニークな研究だと思いました。ただ、研究目的にある「大きな声が出せない生徒のために」がどれほど達成できたのかは読み取れませんでした。本研究でサポートしたい対象の生徒の困りごとは解決できたのか、あるいは新たな課題が見つかったのか、追加調査に期待します。
4013
sagawa:プログラミングにおける生成AIの活用方法
この研究では、生成AIが出力したプログラムと自分が作成したプログラムの比較を行っています。生成AIの方が機能が高い場合があると述べられており、例えば、プログラミングの学習時に生成AIを使ってヒントを出すような使い方もできるかもしれないと思いました。いろいろな発展性があると思いますのでひき続きがんばって下さい。
プログラミングに生成AIを活用し、ToDoアプリを作成していますが、いま全国の高校生がプログラミングを学んでおり、生成AIは授業のプログラミングでも役立つを思いますか?プログラミングの授業における生成AIの活用方法について、今回の研究から派生させていただけると、大変有用性の高い研究になると感じました。
近年話題の生成AIをアプリケーション開発に適用するという試みは、多くの人が興味を持っている内容だと思いますので、注目されると思います。生成AIを活用することによるプログラミング教育の研究例も出てきていますので、ぜひ、今後の研究成果を学会の研究会等で発表できるように準備してみてください。研究会で楽しみにおまちしています。
4014
辻野 渉太:芽紫蘇 × YOLO ~なにわの伝統野菜を守れ~
社会的な課題に着目して実用的なシステムを構築できており、システム利用の有無による判断の違いの評価まで行えている点がすばらしいと思います。他の伝統野菜への適用や、家庭菜園への導入など、様々な展開がありそうです。
人手不足が深刻になる中で、農業を効率化する試みは重要であり、意義のある研究であると感じました。「有用性の実証」が良く分かりませんでした。学習に使用していないデータ(写真)を正しく判定できた確率で評価しては如何でしょうか。
地域性や伝統を重視しつつ、最新技術を用いて問題解決を図るという点で可能性を感じました。
4015
大江 修聖:ローカルLLMを用いたADASのコスト削減と多目的最適化への対応
ローカルLLMの活用は、今は研究開発の段階ですが、みなさんが大学・大学院で学ぶときには、当たり前の技術として多くの人が使っているかもしれません。エラーを解決し、実現を目指してください。
ローカルLLMは動作速度やリソースの面でまだまだ課題が多いですが、コストの面からは優れており、高校生の段階でそこにチャレンジしている点はすごいです。しかし残念ながらこのポスターだけでは、外部からはこの研究の優れている点がどこかがわかりづらくなっています。実行速度や実行結果などを少しでいいのでポスターに記載し、またエラーが出た点の考察などを盛り込むことによって、事情を知らない第三者が見たときに、なるほどこうやっているのか、こういう結果だからこうなのか、と判断できるようになるでしょう。
課題意識を持って研究に取り組んだことが見受けられます。研究の過程ではエラーなどの対応で試行錯誤することも多いと感じています。原因究明されてさらに研究が深まることに期待しています。
4016
Otemon PathFinder:自動車が協調して効率的な移動を実現する新しい交通システムの開発
興味深い提案です。これは自動運転を前提としているのかよく分かりませんが、そうだとしたら、どれだけの範囲に対して集中管理しようとしているのかが気になります。特定のエリアで集中管理をしたとしたら、その範囲外との間でどう整合させるのかなど興味深い問題です。集中管理だとトラブルが起きたとき、すべての車が停止してしまう恐れもありそうですね。
交通渋滞の解決を集中制御によって図ろうとするアプローチが野心的です。プロトタイプモデルをtoioを利用して作成することで、より実環境に近いシミュレーションを実施している点もよいと思います。このシステムが普及すると信号が全く不要になるかもしれないですね。
渋滞という身近な問題に対して、独自の解決策を提案している点は素晴らしいです。また、toioを用いて実際にシステムのプロトタイプを作成し、検証を行ったことは高く評価できます。PD制御の調整や合流時の課題についても具体的な課題を発見し、原因について分析できています。
実際にtoioを用いてシミュレーションを行なって分岐のある道を動かしていることはたいへんよいと思います。ステアリングの発振(ふらつき)があること、混んだ場合に停車(渋滞)してしまうことは今後の課題ですね。後者に関しては実際の道路交通でも起こることですが、集中制御の利点を生かして少しでも渋滞しないような方法を追求するとよいと思います。交通工学ですでに開発されたいろいろな手法も調べてみるのもいいですね。
4017
大統領候補:政治・選挙への関心を高めるためのアプリの提案と検証
架空の国を統治するゲームは多数ありますが、国民の立場で3つの政党から選び、それによって国が変わり得るという観点は新しいと思いました。製品化を目指してみてください。
若者の政治参加を促進するための新しい手法として、より多くの人々に政治を身近に感じさせるきっかけになることを期待しています。
政治や選挙に関心を持たせ投票を促進させるアプリという発想は興味深かったです。アプリ使用後に選挙に関する興味・関心が「少しある」「とてもある」が増えたことも有意義ですが、むしろ「全く興味が無い」「選挙に行く必要が無い」が大幅に減少したことが重要だと思います。イベント数を増やした更なる実験に期待します。
政治参加への関心を高めるのに有効な研究であると感じました。各イベントでの選択肢とその選択をした結果変化する数値の解説(例えばその選択肢ではなぜ支持率が30%に変化するのか)があるとなお良いと思いました。加えて、研究目的は高校生の政治関心と投票意欲を高めることであり、後者を高めるにはまた別の手立てが必要なのではないかと思います。ぜひご検討ください。
4018
豊中高校情報6班:デジタルハザードマップアプリの開発
社会課題に一つに挑戦されている研究だとお見受けします。オリジナリティについて、チャット機能という表記がありましたが、参考文献との違いをもう少し具体的に説明できるといいと思います。また、参考文献の論文のタイトルは表記してください。フォントを小さくしてでも入れたほうがいいと思います。
非常に役に立つ研究と思います。是非、考察にあるような独自機能の開発を進めて世の中に公開していってもらえればと思います。
有用なアプリを開発されたことを評価します。ハザードマップをデジタル化することで所有率が上がることが期待されるとのことでした。ICTが普及した現代ではたしかにそれが期待できると思います。紙の地図と比べた時の優位性を明確にアピールされるとなおよいと思います。
現在地から近くの避難所を検索できる点が良いと思いました。本アプリを活用する場面を具体的に想定すると、追加すべきサービスが明確になると思います。平時に自宅や学校、勤務地から最も近い避難所を知っておくのであれば、ルート上の危険な場所等を表示する機能が必要だと思います。非常時に活用するのであれば各避難所までの移動時間、手段等を表示できると良いでしょう。
4020
西宮市立西宮高等学校GS科:セルオートマトン法を用いた渋滞のシミュレーション
説明がすっきりしていて読みやすかったです。避難シミュレーションを題材にしたものは、セルオートマトンに基づく方法以外にもマルチエージェントシステム等もあります。複数の研究報告が多く出ていますので、先行研究の調査を更に調べるとともに、自身の研究内容の立ち位置を示すことで、自身の研究の強みがどこなのか、どこが優れているのかについて言及するとより良くなると考えられます。
避難時に出口で人が渋滞することを避けられれば、大きな被害を未然に防ぐことができるため、重要な研究課題だと思います。rule184を2次元化したときに、オンのセルの総数の不変性が保たれているかがわからなかったため、説明を加えてもらえると助かります。
複雑なシステムのユーザビリティ向上という重要な課題に取り組んでいます。ダイクストラ法を適用し、実際にプログラムを作成して検証を行った点は高く評価できます。ユーザビリティについては、定量的に評価する指標を調査してみてください。また、機械の操作が複雑なことは、操作をフローチャート的な手順で考えることもひとつの原因です。状態遷移図やシーケンス図などの考え方も参考にすると、より研究が深まるように思いました。
4021
西村美柚:外国人観光客増加の要因を見出すための主成分回帰を用いたモデル構築
観光業の復興と発展をデータと分析を通じて支える、実践的で意義深い研究と感じました。持続可能で魅力的な観光地づくりに寄与することを期待しています。
独自調査された県観光連盟の公式インスタ・Xの投稿数・フォロワー数を含む多数の変数を使って、外国人観光客の増加率の要因を調べる研究ですね。ただ、目的変数がかなり古い2010-2019年の増加率で、現在の観光客のにぎわいとはやや違うものを見ていることと、説明変数に総面積あたり人口密度・可住面積あたり人口密度のようなほぼ同傾向のデータの組をいくつも含めてしまったために多重共線性が強く、それに対処するために主成分分析を使ったために変数の複雑な混合物になってしまって解釈が難しくなったことなどが、課題として挙げられそうです。
綿密にプランを立て分析を行い、モデル式の提案に至っています。この成果が、観光業の支援になることを願います。
分析結果の検討は大変な作業だったと思います。分析を行う前に、扱うデータの意味や分布などの特性を個別に検討しておくと、相関の高い項目を事前に整理できたり、あらかじめデータから予想される仮説を作成できたりして、より効果的な分析が行えたように思いました。
4022
宝塚北高等学校オートマトン班:連続状態セルオートマトンによるモデルの提案〜地価と人口流動が相互作用する系について〜
ヒートマップと相関分析はできているとおもいました。これらのデータをモデル化するのにセルオートマトンが適していると考える理由や、地価と人口にどのようなセルオートマトンがあてはめられ、それでなぜ良いかなども説明して欲しいです。
地価や人口の移動について、連続状態セルオートマトンを活用したモデルを作ろうとする意欲的な研究だと感じました。地価と人口には関連性がみられたということですが、ほかの変数も考慮されはじめているようですので、ぜひ変数の追加を行いモデルを更新していただきたいと思いました。今後が楽しみです。
連続状態セルオートマトンで地価のシミュレーションをするというたいへん興味深いご提案です。左下の結果は「散布図の近似直線の傾き」とのことですが、散布図の横軸・縦軸はどちらが人口でどちらが地価でしょうか。右上の散布図も軸ラベルがないのでよくわかりませんでした。全体的にまだこれからのようですので、引き続きがんばってください。
4023
NAIST STELLA 山口紗音:個体群プロトコルにおける高速な一様k分割の検討
そのまま学会で発表できるような素晴らしい研究と思います。引き続き研究を進めて、さらに上のステップに進んでいってもらえればと思います。
たいへん難しい問題を解かれたことに敬意を表します。このアルゴリズムでうまくいくことの証明はできているのでしょうか(ポスターにスペースがなければ外部リンクでもかまいません)。Google Colaboratoryを使われたとのことですので、そのURLが書かれていれば検証ができたかもしれません。なお、実験結果のグラフの縦軸の目盛がおかしくないでしょうか。
個体群プロトコルの一様k分割アルゴリズムという領域で、時間計算量を押えたアルゴリズムを開発できたのはよかったです。lon n倍の空間計算量が解きたい問題において耐えられるのかという議論があるといいですね。
素晴らしい研究だと思います。ただ、先行研究の内容や、先行研究との差異を明確に記述する必要があると思います。
4024
NWUSS:ココロのテンキ~みんなの天気を快晴にしよう~
「心の天気」という名称について、既にメーカーが同種のサービスを提供しています(たとえば、スクールライフノートで調べてみてください)。また、「こころの天気描画法」という手法もあります。このような、既存の手法・サービスが複数ある中で、今回の研究の立ち位置(新規性や有用性)がどこにあるのかを見出していただきたいです(きっとあると思います)。また、具体的にどのようなアプリができたのか、開発中でも良いのでデモができると良いですね。
社会問題となっている、「高校生の心」について着目している点がよいです。また、心の状態を、「天気」で表すという発想や、同じ「天気」の状態のひと同士で共感できるという点が評価できます。スマートフォンのアプリとして作成するのは大変かも知れませんが、まずはWebアプリケーションとして開発してみて下さい。
心の状態を天気として表現するというところで、実際に使えるアプリまで完成できれば非常に有用と思います。ぜひアプリ完成を目指してがんばって下さい。
5001
尾原佳奈:blenderによる「書きやすい」筆記具の分析
実験の進め方と仮説の立て方は良いと思います。ペンを下ろして文字を書いている区間とペンを浮かせて空中を動いている区間の移動速度は同じでしたでしょうか。大変興味があります。出典の一覧は記載されていますが、ポスター中のどの部分で引用されたのかが分かりません。文献に番号を振り、引用箇所でその番号を記述されると分かり易くなると思います。
Blenderを活用して筆記具の重心の動きを解析し、筆記動作への影響を評価する点が独創的である。実験方法や考察も明瞭で、著者の科学的な研究姿勢に好感が持てる。筆記具製品へのフィードバックなど実用性にも長けており、高く評価できる。
自分にとっての書きやすさを数値化して分析可能となる方法を、実際にデータを取りながら作り上げて行ったのが素晴らしいです。今後、グラフを目で見るのから自動分析に進むのでしょうか。楽しみです。
自身のペンの好みという身近な題材を扱っている点と、Blenderのモーショントラッキング機能を効果的に活用している点は素晴らしいと感じました。提案されているアイデアは他の用途にも活用可能と考えられますので、研究の今後にも期待したいと思います。
5002
kaifu:幼稚園における情報教育環境整備
小学校のお下がりを幼稚園に提供するアイデアと社会実装までつなげた点が素晴らしい。特に、機器管理、教員研修、保護者対応など、実践に必要な要素を包括的に考慮している点が評価できる。今後は幼稚園児の学習効果の検証を進めることで、他の地域のモデルケースになることが期待される。
幼稚園で情報端末を使用するための環境整備において実施された項目をまとめられたもので大変興味深い内容です。「結論。考察」に記載されている内容をもう少し掘り下げて(保護者から寄せられた具体的なコメントや幼稚園の先生方を対象とした講座の内容と実施後の先生方からの感想等について)頂けると、この研究発表の有用性がさらに高まると思います。
幼稚園児でもドラッグなどのタブレット端末の操作はできるし、園児たちは遊び感覚ですることを楽しめると思います。ぜひ、園児たちが小学校でのタブレット端末活用やプログラミング学習に取り組みたくなるようなモチベーションづくりの役割を果たしてください。
必要な準備をしておけば、幼稚園の子どもたちでもICTをうまく活用できるはずだ、という思いが伝わってきました。また、その思いを実現するために、ご自分で課題分析を行い、必要なアクションをすべて行ったことに大変好感が持てました。このタイプの実践研究は、成果をアピールすることが非常に難しいにもかかわらず、表面的なデータに頼らずに説明が尽くされていることがよいと思いました。
5003
Ayu:鉱物トランプとコミュニケーション
絵柄の部分に鉱物とその関連情報を記載したトランプを使ってゲーム感覚で科学の学習効果を高めるという点は面白いと思いました。効果の検証の際には、数値データ(「10人中8人が『鉱物トランプで遊ぶことで鉱物に興味を持つようになった』と回答した」等)により示されていると説得力が増すと思います。
鉱物への興味を広げるツールとして、実際の製品化まで実現している点が評価できる。クラウドファンディングの成功や多言語展開など、実践的な取り組みができている。既に存在するトランプ型のゲームとの差別化点を挙げることができれば新規性・独自性が強まるのではないか。今後、学習効果の検証を行うことで、教育ツールとしての価値もさらに高まると考えられる。
今回は鉱物をトランプで使用したということなのですが、どのように分類したのかも説明があるとよかったです。単にランダムに割り当てるのではなく、4つのマーク、12の数字に何か意味があって鉱物(その他も同様に)を割り当てられるとよいかと思いました。
5004
成し遂げたいうどん県民:Let's脳活!~認知症予防で元気な老後を~
考察・課題にも書かれていますが、食事も運動もメニューの提示だけなので、メニュー通りに活動したかどうかを確認できないところが残念です(確認できるようにするのは難しいですが…)。認知機能訓練については、面白いゲームなら、継続して使ってもらえて、効果も期待できそうです。
今回提案されたアプリを単なるアイデアの提示にとどまらず実装されて機能面での評価を行われている点は高く評価できると思います。ユーザである高齢者にとって分かり易い画面レイアウトや配色パターン、文字の大きさなどについても配慮されるとより実用性が向上すると思われます。
認知症予防という重要な社会課題に取り組んだ点や、食事、運動、認知機能訓練という多角的なアプローチが評価できる。アプリに搭載された機能が、実際に高齢者の認知症予防に効果があるという裏付けがほしい。
5005
ラベル撲滅委員会:人工知能資源用不要物自動分別機能 ~作業員を救え~
クリーンセンターの事例をブレイクダウンして研究目的を設定できている点に好感が持てる。検出率の具体的な数値や課題点を明確に示せており、研究の発展性が感じられる。
研究グループで学習用のデータの用意から識別器を学習させる所まで行っておられる点は評価できると思います。ラベルやキャップとして検出できなかった例についてもう少し検討・考察を加えられると改善の方向性が明確にできるかもしれません。ポスター中の「認証率」は「検出率」もしくは「識別率」の方が良いと思います。
目的が明確で、実現手段も効果が期待できるアプローチだと思います。カメラ映像をもとに品質検査を行う研究は過去にもペットボトルに限らずいろいろあるので、各研究成果を調査してそれらのアイデアをうまく今回のシステムに盛り込むと、より効果的な改良が見込めるのではないかと思います。
ペットボトルの仕分け作業を人が行っていることを考えると、本研究のシステムを導入することで負担を大きく軽減できることが見込まれます。検出率はラベルが71%、キャップが46%ということなので、現状ではまだ導入までは至らないと思いますが、誤検出を可能な限り減少できることを目標に研究を進めていってほしいと思います。また、ペットボトル以外にも、一般ゴミにも適応できると思いますので、その点についても期待をしています。
5006
Sakamoto:ピンポン玉の品質を予測する音響識別AIの開発
ピンポン玉の試合球とそれ以外を区別するために、音のメルスペクトログラムをCNNで2値分類するという研究ですね。試合球と練習球は区別がつきにくかったようですが、それ以外はうまく分類できたようです。CNNモデルの構造など基本的な情報や、結果の詳細(例えばprecisionだけでなくrecall)もポスターに含められればよかったと思います。GPUがなかったとのことですが、Google Colabなどのクラウドサービスを利用してはいかがでしょうか(この場合GPUは必須ではないかもしれませんが)。
ピンポン玉の品質を音で識別するという発想は大変面白いと思います。ただ、考察されているとおり品質の差が小さいものを識別するには学習用データが十分でなかったように考えられますので、学習用データを増やした結果を期待したいと思います。
音響分析によるスポーツ用具の品質評価という着眼点が興味深い。しかし実験方法については4種類のピンポン球を反発音から分類しているだけで、品質を推定するには至っていない懸念がある。今後はメーカーの出荷品質基準を調べることで研究の価値がさらに高まるだろう。
興味深い研究です。サンプル数を増やしたら実験3でも分別可能になるのかどうか興味深いですね。そもそも製造元では練習球と試合球の製造工程が違うのか、それとも、同じ工程で作成して、検査の結果で分けているのかどちらでしょう。後者だと落下音の差だけで判断するのは相当難しいように思います(前者でも難しそう)。
5007
ChienPanda:教科学習へ貢献する大作3D・RPGゲームの開発
ゲーミフィケーションを勉学のモチベーションになぞらえる着想は、学生の興味を惹きつけ勉学の導入部分としては良いと思います。今回の提案では、具体的な勉強への適用例がなく少し残念でした。ゲームに勉学を重ねるのではなく、勉学を含めた実社会をゲームのように楽しめる発想力が、より重要なのではないでしょうか。
テレビゲームを遊ぶときの集中力の持続性を学習へ転用するという着想は、大変興味深く感じました。差別化からではなく、集中力の持続性の観点からゲームを選ばれたほうが、説得力が増すように感じました。ポスターでは、全体像から詳細へ説明されたほうが、より分かりやすくなるように感じました。今後の発展を期待します。
本研究のようにゲーム感覚で学習が進められることは、現に多くのアプリやゲームが世の中にあるように、一つの学習方法としての可能性は十分にあると思います。今のところは検証前段階だと思いますが、ゲームの内容(ストーリー、レベルアップ、ランキングなど)、学習方法(教科、問題、回答方式など)について改良されることを期待しています。
5008
chien carrion:学生証を用いた出席確認システムの開発
ICチップが搭載された学生証も使用されている中で、逆に、学生証に記載されている情報のみから出席確認を行おうという着想は大変興味深く感じた。現段階では、学籍番号の文字認識にとどまっており、課題が存在するようである。学生証には、特有の情報が記載されており、今後、それらの情報を活用した展開が楽しみである。
確かに現在では生徒手帳は身分の証明(学割?)にしか使われておらず、これを出欠に活用するのは面白いと思います。今回は6桁の数字を画像認識で読み取っているようですが、悪用が簡単にできてしまうので、QRコードや顔認証にするなどの方法が考えられます。難しいかもしれませんが、実際に高等学校で導入して検証することができれば良いと思いました。
学生証の有効活用という観点では、学生証を用いた出席確認システムは評価できる。文字認識や表計算など、一般的なフレームワークを利用して実用的な物を作り出してしまう能力は、最近の情報化社会を生きる学生の能力なのかと感心する。不正利用対策などもあわせて考慮してほしい。
5009
N:機械学習モデルとマイコンを利用した害鳥撃退システム
カラスがゴミを荒らすという身近な社会問題に対し、機械学習を用い、入手しやすい部品と容易に扱える開発環境により構築したシステムで実現しようとしている点が非常に興味深く感じた。検証実験も十分行われており、高く評価できる。ポスターもわかりやすく、簡潔にまとまっている。実際に使用した際の効果が楽しみである。
カラスによるゴミの被害に対し、カラスをオンラインの機械学習モデルにて判定し非常に高い成果を出している。使われている技術や機材は決して特別なものではなく、既存の技術を組み合わせたものであるにも関わらず、非常に高い判別率を出している点が評価できる。実際のカラスに対しての効果を期待したい。
ゴミが鳥に荒らされることは大きな問題にもなっており、本研究が解決の糸口になるような気がします。カラスと天敵の猛禽類の模型が回転するという発想も面白いです。まだ試作段階により、画像認識はPC、音もスピーカーからになっていますが、製品化・実用化するにあたって、プロダクトデザインも含めてシステムの最適化を検討されることを期待しています。
実際に役立ちそうな研究ですね。猛禽類の模型と鳴き声の一方だけでも効果がありそうですが、いかがでしょう?また、背景と目的でご自身でも書かれている「カラス側の慣れ」の問題への解決になっているのでしょうか。
5010
Sc!TechS-tomatoma:Microsoft365サービスを活用した自動課題通知システムの開発
課題の確認や管理の方法という点に焦点を当て、通知の自動化を行うことができるシステムの開発を行ったことは、Microsoft365システムに対する理解の高さや技術力の高さを感じます。より高い学習効果を目指し、時間割も考慮に入れ予習復習の観点などを取り入れてみてはいかがでしょうか。
課題管理ができるシステムの開発は、スケジュール管理の第一歩として有用性が高いと感じます。Googleカレンダーなどと連携できるといいかもしれません。まだシステムを開発した段階だと思いますが、実際にこのシステムを導入して、利用者の声からさらにアップデートされることを期待します。
学生自身による課題のタスク管理はとても大切です。ポスターでは、成果が数値化されますと説得力が増します。また、課題に要した時間を記録し、そのデータを活用すれば、新しい課題を取り組むときの参考になり、精確なスケジューリングができるようになると感じました。さらに機能を追加し、発展されますことを期待します。
5011
Sc!TechS-カルピス:学習意欲向上を促進するコンシェルジュWebアプリケーション開発
学習意欲を向上させるアプリの開発は、勉強が苦手な生徒にとって大変有用性が高いと感じます。アプリには自己分析機能、オープンチャット機能、ランキング表示機能があるようですが、主成分分析などから、どの機能が学習意欲の向上に影響しているのかを調査すると、改善の方向性が見えてきそうな気がします。
学習意欲を向上させることを目的とし、学習時間やテスト結果を可視化させ効果的に振り返るという発想を、「統合型コンシェルジュアプリケーション」としてまとめる技術力は素晴らしい。これだけ学習すればこれぐらい向上する可能性があるなど、未来予測機能などあれば、よりモチベーションが向上するかもしれませんね。
先行研究を調査し、課題を明確化して取り組まれている。チャット、日別学習時間のランキング表示等が備えられ、十分、活用できるものと考える。数値化した評価が行われ、その効果を確認できる。現在、実装されているすべての機能の一覧が示されていると、さらに良かった。さらに機能が追加され、今後の発展が楽しみである。
5012
Sc!TechS-楽しき稽古:中学校・高等学校教員のためのテスト作成支援ソフトウェアの開発
このようなテスト作成のアプリを活用すると、教員の業務量を軽減できるため、非常に有用性が高いと感じます。動画とポスターからはわかりませんでしたが、数学以外の教科に対応しているのか、単元や難易度などを設定できるのかが気になりました。また、テスト作成ではなく、生徒が自主学習するのにも使えるのではないかと思いました。
テスト作成支援ソフトウェアというテーマで、文章構造を一般化しクラス設計に落とし込む手順は、情報技術に対する理解度の高さが伺えます。教員ごとに作問スタイルに特色があると思うので、それらを定義できたり自動で学習してくれるとより使いやすくなるでしょう。
教員により作成されたテストについて十分な調査がなされています。調査結果から一般化したクラス図に基づいて実装しており、評価できます。十分、活用できるものと考えます。なお、ポスターにおいて、IIIは全体の結果ではありませんので、IIとIIIをまとめるとさらに良くなると思いました。今後の展開が楽しみです。
5013
Sc!TechS-行列解決隊:待ち行列理論を用いた「待ち時間」シミュレーションWebアプリケーションの開発
待ち時間アプリを使用して、あとどれぐらいかかるのかを知れることはとても面白い着眼点だと思います。また、実際の行列を用いてアプリの精度を検証したことも評価できます。M/M/1でやっていると思いますが、M/M/2やM/D/1など、モデルが選択できるようにすると、活用の幅が広がると思いました。
待ち時間の予測はサービスの内容も大きく関係すると思いますが、サービス率や到着率について具体的な説明があると、具体性について考慮されているのかどうかがわかるのでいいと思いました。
理論値と実測値の比較・検証をすることで有効性をはかっている点がいいですね。サンプルを増やすことや、有意確率にも注目することで今後より良くなると思います。
5014
Sc!TechS-NHKS:高校生の金銭管理を補助するWebアプリケーションの開発
金銭感覚という着眼点は大変面白いと思います。さらに開発を進めて、対象を高校生だけではなく、ギャンブル依存症の診断やリハビリなどに使用できるのではないかと思いました。動画やポスターにアプリの画面やグラフを入れての説明があるとよかったと思います。
貧困の問題と栄養バランスの相関は一般的には結び付かないと思うので、なぜ、結び付けて考えているのかわかる説明があるといいと思いました。
物価上昇について食品の価格変動に着目している点が面白いと思います。QRコードを用いて実際にアプリが見れなかったのが悔しいです。
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Sc!TechS-モ・ナカ:学習ストレス尺度の定義及び学習支援システムの開発
MBTIに着目した点が非常に興味深いです。科目や授業内容の難易度による違いについても注目すると、より面白い結果を得られそうだと感じました。
学習ストレスの原因についていくつかの要因を組み合わせるなそして新たな発見ができるといいと思いました。また、そのような発見ができる解析方法を今後期待します。
生徒の学習ストレスの有無・程度が把握できると、教員側も適切な対応ができるようになるのではないかと感じました。また、さまざまな手法を用いて多角的に分析し、学習ストレスの構成要素を抽出している点が素晴らしいと思います。今後は、このアプリを効果的に使用する場面や機会について検討して欲しいと思います。
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マグヌス:揚力検証のための気体流の可視化とその応用
シミュレータをWebブラウザ上で利用できるよう開発されたことは、端末環境に依存することなく気軽に使えるため良い点だと思います。揚力の可視化をどうするのか、発展に期待しています。
マグヌス効果について全員が知っているわけではないので、航空機への応用について具体的な説明があるといいと思いました。
理論に基づき、最終目的にたどりつくために、段階をおって複数の実験を行い取り組んでいることが素晴らしいです。今回の結果をもとに最終目的にたどりつくために何をどう取り組んでいくのか計画を立て、実行・評価検証していくことを期待しています。