特別講演
2024年11月30日 17:50-18:50
2024年11月30日 17:50-18:50
幸田正典 特任教授
大阪公立大学 理学研究科 生物学専攻 動物社会学研究室
講演タイトル: ホンソメワケベラ の鏡像自己認知が意味すること
鏡に映る姿が自分だとわかる「鏡像自己認知」は1970年にチンパンジー、今世紀に入りイルカ、ゾウ、カラスの仲間など脳の大きな動物で見つかり、これら動物は自己意識(自己の存在を認識し、意図と目的を持つ能力)を持つとされた。2019年に我々は脳の小さなホンソメワケベラ(魚)もこの能力を持つことを見つけた。この発見はほとんどの脊椎動物に自己意識があることを示唆するため、大きな反響を巻き起こした。さらに動物が鏡像をどのように自分とみなしているのかは現在全く不明であるが、調べてみるとヒト同様にこの魚も自己顔に基づいて鏡像を自分だと認識していた。どのような心的過程で鏡像を自己と認識するのか?実験するとはじめは他者と思っているようだが、「どうも変だぞ、自分かな?」と何度も確かめその後なんと、魚が「そうか俺/私か!」とひらめくようであり、これはヒトの思考過程と大きく違わない。動物に自己意識を認めてこなかった動物の行動/心理研究は大きく変わりそうである。
幸田先生に関する参考サイト
略歴 https://researchmap.jp/read0048580/education
論文 https://scholar.google.co.uk/scholar?hl=en&as_sdt=0,5&q=author:%22Masanori+Kohda%22
NHK解説記事 1 https://www.nhk.jp/p/zero/ts/XK5VKV7V98/blog/bl/pkOaDjjMay/bp/pWrdr0Xvdx/
NHK解説記事 2 https://www.nhk.jp/p/zero/ts/XK5VKV7V98/blog/bl/pkOaDjjMay/bp/pj9APgrvVj/