大会長挨拶
1980年台初期、米国で脳性麻痺児の異常歩行の治療にコンピューターを用いた三次元歩行分析が臨床応用され始めました。歩行を客観的、定量的に評価し、下肢の整形外科手術術式の選択や手術後の歩行の評価に使用されました。この技術は、脳性麻痺児の異常歩行に対する下肢の整形外科手術に、新しい治療概念(下肢の拘縮を一期的に手術する)や新しい手術術式の開発(大腿直筋移行術など)などをもたらしました。今日、臨床家は異常歩行をより正確に捉えることが可能になり、運動力学的視点から異常歩行のメカニズムについて探求することも可能になりました。当センターは2016年から三次元歩行分析を導入し、主に脳性麻痺児の歩行の治療に使用していますが、我が国では小児整形外科分野で歩行分析を行っている施設は非常に少ない状況です。
私は整形外科医ですが、他の分野;歩行の基礎研究、リハビリテーション、義肢・下肢装具、スポーツ、アニメーション制作などにおける三次元歩行分析の活用・研究の状況については詳しくありません。他の分野の歩行分析の活用方法を知ることは、自分たちの分野の歩行分析のさらなる活用につながるはずです。
本定例会のテーマは「歩行分析の未来への架け橋」としました。3年ぶりに現地開催し多職種の会員の方が歩行分析の基礎から臨床、さまざまな分野の歩行分析の情報を知ることができる会にしたいと思います。そして三次元歩行分析を臨床や研究で活用する未来社会への架け橋となるべき定例会にしたいと考えています。2024年3月2日(土)、3日(日)の2日間、名古屋のウインクあいちを会場にして一般演題、教育講演、特別講演、会長基調講演を計画しています。皆さまの積極的なご参加を心より歓迎申しあげます。
第44回臨床歩行分析研究会定例会
大会長 則竹 耕治
(愛知県三河青い鳥医療療育センター センター長)