上位入賞作品を紹介します
【総評】審査員:髙橋和海 氏
(写真家/東京綜合写真専門学校講師)
今回初めて審査に伺って、上位入選作はもちろんですが、選外になった作品もレベルが高いということに驚かされました。 皆さんが日々写真に真摯に取り組んでるんだなということが伝わって、大変心地のいい審査会でした。スマートフォンの普及でもう本当に小さい頃から映像に親しんで、写真を撮りSNSで写真を発表する時代になっていますが、写真の技術的ハードルだけでなく写真を見せる、表現する技術が向上しているのではないかと感じました。そんな中だからこそ、写真が本来持っている力という、自分が見たもの、感動を人に伝えていくということ、それからもう1つは写真の仕上げ・プリント、撮影時に構図をどうするかといった映像の原点、基本のようなことがより大切になったんではないかということを感じました。 いずれにしても、皆さんのレベルは非常に高いですから、より高いレベル、端的に申すなら表現のレベルを上げる努力をしていただけると、より良くなるのではないでしょうか。
最優秀賞(静岡県知事賞)
相棒
勝又颯也(御殿場南1年)
【寸評】
この作品は、主題となっているタイトルの通り、彼が「相棒」である自転車を非常に大切にし愛しているということがよく写真に表れていると思います。また、逆光気味に窓から差し込む光の使い方や背景にある自転車の切り取り方、 被写体の仕草、その辺りが全て高い次元でまとまっていて最優秀賞にふさわしい作品であると思います。
特別賞(静岡県教育長賞)
お出かけ
瀬戸ひより(小山2年)
【寸評】
まず第一に良いと思う点は、プリントの調子が少し浅くて柔らかい調子になって、ある種のノスタルジーというか白日夢のような、少年の真夏の夢を見ているような印象を与えているところが素晴らしいと思います。2人の少年の表情も素晴らしく、また日本の原風景のような背景も含めて、現代の写真でありながらある種のノスタルジーや昔の写真のような調子、 言い換えるなら写真本来が持っている懐かしさのようなものを感じさせる素晴らしい作品だと思います。
特別賞(静岡県高文連会長賞)
日暮れ
鈴木美乃里(浜名2年)
【寸評】
夕日にあたる傘のシルエット、それから人のシルエット、そして夕日の茜色など、非常に高い技巧性のある写真でした。現実とはちょっと違った幻想的な風景を生み出していて、傘の形が非常に整っていたり、背景のすすきの形も含めて非常に計算された、技術力の高い作品だと思います。
特別賞(県高文連写真専門部会長賞)
薄明の車窓
髙野陽人(静岡学園2年)
【寸評】
電車を逆光で捉えて、夕景の中にシルエットとして浮かび上がらせた非常に幻想的な作品なのですが、構図、電車の位置が素晴らしいです。また、窓から覗いてる人のシルエット、これもなかなか素晴らしい位置で止めてます。この場所でしかないというシャッターチャンスでこの被写体を捉えた素晴らしさ。 そして背景の紫があった色、もう1つはシルエットにして無駄な情報を省いた点も、この「薄明の車窓」というテーマにマッチしていて、非常に良い作品だと思いました。
優秀賞
炎の使い手
木下由翔(浜松西3年)
【寸評】
勢いよく上がる炎、火祭りと思われますが、その中を疾走する人の姿が非常に生々しく、かつ力強く表現されたいい作品だと思います。全体的なバランスもよくて、炎の勢い、そして走り抜ける人の姿から、この祭りの猛々しさというか、神々しさを感じさせる非常に良い作品だと思います。
優秀賞
めいっ娘
渡邊夏菜(下田1年)
【寸評】
これは何と言っても表情がいいです。写真の原点のような写真で、子供の可愛らしさがよく写っています。 洋服ダンスか押し入れかと思われるんですが、そこから洋服の端やクリーニングのビニール袋が出ていて、子供がよくこう変なところに入るというか、子供ならではの行動がよく表れています。姪っ子さんの可愛らしさとか撮影者の姪っ子さんに対する思いまで写っているような、本当に日常の一瞬を切り取ったいい作品だと思います。
優秀賞
「再会」
大石佳吾(静岡学園3年)
【寸評】
おそらく高校の中で久しぶりに再会したと思われる友達同士を撮った一作。表情が素晴らしいです。それから、後ろから手を回すとか、そういった行動がもう本当に再会を楽しんでいるようで、素晴らしい作品でした。モノクロに仕上げたことで、色の余計な情報が消し去られて、また再現のトーンも上質な銀塩(フィルム)のモノクロプリントのような、中間のグレーとか額に日が当たったところのハイライトですとか、そういった再現も素晴らしくて、これもモノクロ写真が持っている写真の原点のような素晴らしい作品でした。
優秀賞
「家族のために」
白栁依月(浜松湖南2年)
【寸評】
今回、応募作の中動物を撮ったいい写真がすごく多かったんですが、中でもこの作品は顔全体を画面に埋めるという大胆な構図、そして目の強さですね。もう1つは、モノクロに仕上げて情報量を落とし目・顔の表情だけで、このライオンの持っているタイトルにあるような家族への思いを少ない要素でストレートに深いことを表現している。これが素晴らしい作品につながっていると思います。
奨励賞
木下七海(磐田南3年)
仲神知優(清水東2年)
薩󠄀川凌(清水東2年)
萩原摩周(下田2年)
浅地柚奈(浜名2年)
永井美優(浜名3年)
木村倖太朗(沼津城北2年)
澤口芽依(清水東1年)