ご挨拶

全国地域作業療法研究大会 29回学術集会

大会長 宮口英樹

広島大学大学院医系科学研究科

地域におけるWell‐beingを実現する作業療法を目指して!


第29回学術集会のテーマは、「地域作業療法とWell‐being」としました。近年、さまざまな場面で「ウェルビーング」という言葉を耳にすることが増えました。2021年、政府の成長戦略実行計画において「国民がWell-beingを実感できる社会の実現」を目指す方針が示されました。新しいところでは、令和5年に新たな教育振興基本計画 (令和5年度~9年度)が閣議決定され、2つのコンセプトの一つに、「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」が挙げられています。教育現場でもウェルビーングは馴染みの言葉になることでしょう。

2018年に日本作業療法士協会の定義改訂が行われ、「作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す」が明記されました。しかし残念ながら、現状では作業療法において幸福(≒ウェルビーング)を明確なアウトカムとして国民に示しているとは言えません。

ウェルビーングの概念は多岐にわたります。一方で、海外の研究と比較すると日本人が感じる幸福感は、人とのつながりにキーワードがありそうだということが分かってきました。  

 そこで、本学術集会では、角田医師による特別講演「これからの地域リハビリテーションの視点」と秋田弁護士、棟近氏によるシンポジウム「地域共生社会の実現に向けて 司法領域の実践」を核に、地域医療から司法領域まで幅広く、国民がWell-beingを実感できる社会を実現できる作業療法を目指そうという想いで企画を行いました。

従来、九州地区を中心に開催されていた学術集会は、第29回を機に全国で開催する方針になりました。今年度、G7広島サミットが開催された広島の地で全国から多くの皆様の参加をお待ちしています。