シンポジウムの趣旨
日本第四紀学会は2026 年春に創立70 周年を迎えました.この70 年間に社会は大きく変化し,人間の活動自体が自然環境を大きく変化させるに至ってます.その結果,一部では我々人類の生存を脅かす事態も発生しています.
第四紀学は人類が進化してきた過去260万年間の環境を詳細に明らかにして,その変化の原因やメカニズムを探ろうとする科学です.このような過去の情報は地球環境の現在の位置づけを明らかにすると共に,将来の変化を展望することができます.よりよい未来を築いていくために,第四紀学に課せられた使命は決して小さくありません.第四紀学会では,2017年度から5つの領域を中心とした活動を進めています.5つの領域とは「気候変動及び海洋の諸プロセス」「陸上の諸プロセス」「層序と年代基準」「人類と生物圏」「現代社会に関わる第四紀学」です.創立70 周年を迎える本大会では,各領域が主体となる5つのシンポジウムを企画し,延べ3 日間に亘る研究発表と討論を行うことにしています.このシンポジウムに多くの方の参加をお願いいたします.
8:55〜9:00 開会あいさつ,シンポジウム全体の趣旨説明
9:00〜12:00
領域1シンポジウム:「古気候・古海洋から第四紀とその未来を考える」
領域代表:加 三千宣
趣旨:気候のティッピングポイントが近づいていると指摘される今日,人類活動による圧力で,第四紀に特徴づけられてきた地球システムの状態が今後どのように変化しうるのか,またそれが第四紀に特徴的な変動幅からどの程度逸脱するのかを問うことは,現代の第四紀学にとって重要な課題である.そこで本シンポジウムでは,第四紀に関する近年の知見を整理し,第四紀の気候・海洋システムの特徴の概観,"人新世"における地球環境変化および将来予測を踏まえ,この問題について議論する.
S1-1 9:00〜9:05 趣旨説明 加 三千宣(愛媛大)
S1-2 9:05〜9:40 第四紀と"人新世"の気候システム変動とそのメカニズム 渡辺泰士(国立環境研究所)
S1-3 9:40〜10:15 極域アイスコアに記録されたメタン濃度からみる過去100万年の気候変動と現在 大藪幾美(極地研究所)
10:15〜10:25 休憩
S1-4 10:25〜11:00 サンゴと石筍が語る地球環境変動:高精度U/Th・放射性炭素分析からのアプローチ 平林頌子(東大)
S1-5 11:00〜11:35 北海道噴火湾における完新世のアルキルジオール古水温復元-北海道・北東北の縄文文化と気候変動の関連- 梶田展人ほか(弘前大)
11:35〜12:00 総合討論
(ランチタイム)
特別講演:沈 川洲(Shen Chuan-Chou)特別教授(国立台湾大学)
14:00〜17:00
領域2シンポジウム:「陸上の諸プロセスの研究の現状と未来を考える」
領域代表:奥野 充
趣旨:内陸から海岸にわたる陸上の諸プロセスは,陸だけでなく接している海洋や大気と関わりも少なくない.本シンポジウムでは,更新世から完新世における,地震・津波・火山噴火などに起因する諸プロセスについて,地形・地質学的手法と関連づけながら研究の現状や課題を整理し,今後の展望を考える.本シンポジウムのキーワードは,要因としての地震や火山噴火,豪雨,現象としての河川氾濫や斜面崩壊,津波,漂着軽石,並びに地形・地質アーカイブとしてのテフラ,活断層,津波堆積物,沖積層である.
S2-1 14:00〜14:05 趣旨説明 奥野 充(大阪公立大)・小松原純子(産総研)・石村大輔(千葉大)
S2-2 14:05〜14:30 近年の地震・豪雨に伴う斜面崩壊の地形・地質学的特徴 阿部朋弥(産総研)
S2-3 14:30〜14:55 沖積層に記録された河川氾濫履歴と微地形の発達過程 佐藤善輝(産総研)
S2-4 14:55〜15:20 第四紀における陸上の火山噴火史・テフラ層序復元の研究動向とその意義 高橋尚志(東北大)
S2-5 15:20〜15:45 漂着軽石から読み解く噴火記録と沿岸動態 平峰玲緒奈(歴博)
S2-6 15:45〜16:10 地質記録から紐解く巨大津波の将来像 篠崎鉄哉(中央大)
S2-7 16:10〜16:35 第四紀における陸上の地形・地質記録に基づく過去の現象解明の現状と展望 石村大輔(千葉大)
16:35〜17:00 総合討論
9:00〜12:00
領域3シンポジウム:「層序と年代基準」
領域代表:長橋良隆
趣旨:本領域における層序や年代測定に関する研究,及びそれらを統合した年代層序学的研究は,環境変遷や他地域との比較などの時間を目盛とした多様な研究の基盤となる.本シンポジウムでは,古地磁気層序・テフラ層序・生層序および放射性炭素年代・年輪酸素同位体比に関する研究発表から,層序と年代の高精度化とさらなる研究の展開を見通す機会としたい.
S3-1 9:00〜9:05 趣旨説明 長橋良隆(福島大)
S3-2 9:05〜9:35 地磁気逆転の復元と古地磁気層序の高精度化 羽田裕貴(産総研)
S3-3 9:35〜10:05 火山周辺域における中期更新世テフラ層序の再検討 西澤文勝(神奈川県博)
S3-4 10:05〜10:35 微化石とAI:自動化技術が拓く新たな可能性を求めて 板木拓也(産総研)
10:35〜10:45 休憩
S3-5 10:45〜11:15 花粉化石が拓く高精度年代測定 山田圭太郎(山形大)
S3-6 11:15〜11:45 埋没木材の年輪酸素同位体比分析による堆積物の年代推定 木村勝彦(福島大)
11:45〜12:00 総合討論
(ランチタイム)
特別講演:Paul Albert博士(英国Swansea大学)
9:00〜12:00
領域4シンポジウム:「人類と生物圏の相互作用のあり方について考える」
領域代表:中塚 武
趣旨:第四紀は人類の時代であり,領域4では,人類の進化と拡散およびその活動が,他の動植物と共にどのように展開してきたのかを,環境と人類の相互作用という面から,数百万年~数十年の様々な時間スケールで明らかにする研究を行ってきている.本シンポジウムでは,その最新の研究の成果を時間スケール順に,新進気鋭の研究者の方々から紹介していただくことで,「人類と生物圏」の関わりを総合的に考える機会としたい.
S4-1 9:00〜9:05 趣旨説明 中塚 武(名大)
S4-2 9:05〜9:30 多角的アプローチにより見えてきた日本の更新世哺乳類の実態 西岡佑一郎(ふじのくに自然環境史ミュージアム)
S4-3 9:30〜9:55 花粉および考古学研究の統合に基づく植生変遷が現生人類の拡散に及ぼした影響 志知幸治(森林総研)
S4-4 9:55〜10:20 植物珪酸体が明らかにする更新世末期以降の草本植生 林 尚輝(鹿大)
10:20〜10:30 休憩
S4-5 10:30〜10:55 日本列島旧石器時代の環境・文化・人口動態 森先一貴(東大)
S4-6 10:55〜11:20 縄文人ゲノムから探る東部ユーラシア人の成立と環境適応 渡部祐介(東大)
S4-7 11:20〜11:45 樹木年輪の酸素同位体比による気候復元と年代測定 佐野雅規(立教大)
11:45〜12:00 総合討論
14:00〜17:00
領域5シンポジウム:「第四紀学の社会への発信」
領域代表:植木岳雪
趣旨:領域5では,現代社会に関わる第四紀学および社会普及に関わる諸テーマを扱う.今回のシンポジウムでは,そのうち活断層と火山の災害,都市地盤,防災情報,自然遺産について,最近の事例を紹介しつつ,現状を総括し,今後の指針を示す.
S5-1 14:00〜14:05 趣旨説明 植木岳雪(成蹊大)
S5-2 14:05〜14:30 多摩川低地の沖積層について 田辺 晋(産総研)
S5-3 14:30〜14:55 理学的手法による都市地盤の検討を加えたインフラ整備 北田奈緒子(GRI財団)
S5-4 14:55〜15:20 活断層・古地震情報と防災施策ー能登半島地震などを例にー 宍倉正展(産総研)
S5-5 15:20〜15:45 火山噴火史研究とハザードマップ(噴火予測) 奥野 充(大阪公立大)
S5-6 15:45〜16:10 地形・地質の特性とハザードマップの活用 黒木貴一(関西大)
S5-7 16:10〜16:35 第四紀学的遺産の保全と教育,活用 目代邦康(東北学院大)
16:35〜17:00 総合討論
17:00〜17:10 閉会挨拶