<新型コロナ>全数把握見直し、東京都の変更点は? 8割が簡略化対象、自主的行動が大切に<Q&A>:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

<新型コロナ>全数把握見直し、東京都の変更点は? 8割が簡略化対象、自主的行動が大切に<Q&A>

2022年9月27日 06時00分

 新型コロナウイルス感染者の全数把握の簡略化に伴い、東京都内でも感染者全体の8割が簡略化の対象となる。今後は自ら健康状態を注意深く観察し、行動することが求められる。(加藤健太)

Q 感染が分かった場合の対応はどう変わるの?

A 65歳以上や基礎疾患がある人、妊婦らへの対応はこれまでと変わらない。一方、医師がこれらの条件に当てはまらないと判断した人たちは、発生届が出されなくなる。

Q 発生届が出ないとどんな影響があるの?

A 保健所は、医療機関から提出された発生届を基に入院が必要かを判断している。発生届が健康観察の起点になっているから、発生届が対象外の人は自ら申し出ないとサービスが受けられないんだ。

Q サービスを受けるにはどうしたらいいの?

A 医療機関で感染が判明した人や手持ちの検査キットで感染の疑いが分かった人は、スマートフォンなどを使って、まずは、都が運営する陽性者登録センターにオンラインで申請する。

 申請は午前9時から午後9時まで。それ以外の時間帯は入力自体ができない。申請の際に、自宅療養中の配食や、酸素飽和度などを測る機器「パルスオキシメーター」の貸与を希望すると、これらのサービスを受けられるようになる。また、宿泊療養は別途申し込みが可能になる。

Q 自宅療養中の体調急変にはどう備えればいいの?

A センターで申請が承認されると、政府の感染者情報共有システム「MYHER—SYS(マイハーシス)」のIDが付与されてシステムを利用できるようになる。スマホなどで日々の体温や酸素飽和度を入力していれば、看護師が数値を見てくれて、数値に異常があったら電話などで直接連絡を取る体制になっている。症状に応じて、医師の往診を受けたり、入院を調整してもらえたりするよ。

Q 感染が判明した場合はどう行動することが大切なの?

A まずは、自分が発生届の対象になるかどうかを認識することが大切になる。その上で、サービスを受けるには陽性者登録センターに自ら登録するなど自主的な行動がより必要になってくる。都の担当者は、不安を感じたら、自宅療養者を支援する窓口「うちさぽ東京」に相談してほしいと話しているよ。

【関連記事】<新型コロナ>26日から全数把握見直し 発生届は高リスク者のみ 軽症者の急変、全体像把握に課題




<新型コロナ>26日から全数把握見直し 発生届は高リスク者のみ 軽症者の急変、全体像把握に課題

2022年9月24日 06時00分

 新型コロナウイルス感染者の全数把握の簡略化が26日、全国一律で始まる。感染症法に基づく発生届の対象者を高齢者らリスクの高い人に限るため、医療機関による詳しい報告の対象外となる軽症者が自宅療養中に容体が悪化した際、どうやってスムーズな治療へとつなげるかが課題となる。(榊原智康)

【関連記事】どうなる? 自治体ごとに違う全数把握簡略化 2日開始した茨城の医療機関「負担減った」と歓迎

 簡略化により、発生届で氏名や住所など詳しい報告をするのは、65歳以上と入院が必要な人、重症化リスクがある人、妊婦に絞る。これに該当しない人は、医療機関の受診や検査キットによる自己検査で感染していることが分かったときに、都道府県が設ける陽性者登録センターなどの窓口にウェブを使って氏名や住所、電話番号などを自主的に届け出てもらう。

 都道府県によって登録後の感染者へのフォローアップ体制は異なるが、東京都や埼玉県などは感染者向けの健康管理システム「マイハーシス」を活用する。登録した電話番号あてに、接続に必要なIDが送られてくる。体温などの健康状態を感染者が自ら入力し、看護師らによるチェックを受ける。

◆急変時の入院調整のためにも自己登録を

 都医師会が7〜8月に新型コロナによって都内で死亡した913人を分析したところ、60代以下が約10%、基礎疾患のない人が約13%だった。都医師会の新井悟理事は「最初は症状が軽くても、その後悪化して重症化したり、亡くなったりする人が出ている。このような人たちをどう救うかが重要だ」と話す。

 新井理事はデータから「死者のうち1割弱が、発生届が提出されないまま亡くなる可能性がある」と概算する。軽症者の症状が悪化した際にスムーズに入院調整が図れるようにするためにも、陽性になったときの速やかな登録が重要だと呼びかける。

 ただ、どこまで感染者が登録するかは不透明だ。東京都北区保健所の前田秀雄所長は「症状が重い人であれば、食料の配布やホテル療養を希望して登録するかもしれない。しかし、ちょっとした熱であれば陽性になっても『別に登録しなくてもいいかな』と思う人が増えるのでは」とみる。

◆「流行状況の把握」は難しく

 登録していない人が自宅療養中に症状が悪化した場合、保健所に連絡したり救急車を呼んだりしても、本当にコロナに感染しているかの確認から始めなければならない。入院先を見つけるのに時間がかかる恐れがある。

第6波でコロナ感染者との電話対応に追われる保健所の職員ら=昨年8月、東京都港区で

 全数把握には「感染者の管理」に加え「流行状況の把握」の役割がある。これまでの流行では、若者から感染拡大が始まり、高齢者らそれ以外の世代に広まっていくケースが多かった。

 前田所長は「一定程度の人が登録すれば、流行が始まりだしたことはつかめるが、全体の規模や重症度など詳細な動向はつかみきれなくなる」と言う。下水に含まれるウイルス量から流行状況を調べたり、特定の医療機関から詳細な報告を求めたりするなど、さまざまな調査の組み合わせで全体像を把握する工夫を求めた。