プログラム

プログラム一覧

基調講演

コロナ禍を生きる沖縄県作業療法士会のこれから

講師:比嘉 靖(沖縄県作業療法士会 会長)

コロナ禍において、人と人との距離感や関係性、新しい生活様式という作業の獲得など目まぐるしく変わっていく世界を私たちは生きてます。沖縄県作業療法士会はここで今一度、変わっていったものと変わらず大切にしているものを振り返りながら、今後をどの様に考えていくか会員と語り合う機会を持ちたいと思います。

教育講演

認知症の人の声を聴く

~作業療法士の強みを活かして~

講師;村島 久美子先生(桜新町アーバンクリニック)

司会:金城 めぐみ(社会医療法人葦の会 オリブ山病院)

現在、認知症の人は日本全国で約600万人を超えており、世界でも5700万人に達している。認知症は以前のような特別な疾患ではなく、誰にでも起こりうる身近な症状であり、私たち作業療法士も認知症の人に関わる機会が増えてきている。

しかし、「認知症」という言葉に対するスティグマは根深く、一般の人に対する意識調査では、最もなりたくない病気として認知症が挙げられており、認知症のイメージは「認知症を発症すると、現状の生活に比べて著しく不自由になるイメージが高い」という結果が出ている。認知症の人と家族の会の調査では、認知症当事者に対してアンケートを行ったところ、診断を受けた時の気持ちに対して45%の人が「認知症と言うことで特にショックだった」と答えており、認知症に対するネガティブなイメージを持っているのが現状である。また、家族は認知症の人の介護について、45.5%の人が将来に対する不安を抱いている。認知症当事者の支援に携わっている人はどうだろうか。認知症の人の行動を予測することは難しいと思う者が70%いたり、認知症の人を医療に関する意思決定支援に関与させることは難しいと思う支援者も70%以上いた。

なぜ、「認知症」という言葉にスティグマが生じるのだろうか。これには、メディアや書籍などの情報や、認知症の人を介護したことがある人から聞く情報が多かったり、支援者や家族が本人の能力を過小評価しているあまり、本人の声を聴く機会が少なかったことが影響しているのではないだろうか。

演者が認知症の人に作業療法を提供する際、意識していることが3つある。1つ目は、認知症に囚われずその人全体をアセスメントする。2つ目は、様々な評価法を知っておき、対象者に合わせて選択する。3つ目は、病ではなくその人の言葉に耳を傾ける。

当日は、5年間にわたり認知症の診断を受けた後も、地域で暮らし続けたいと希望したAさんとの関わり、作業療法士としての介入、Aさんを通して感じたスティグマを払拭する重要性について紹介したいと思う。


シンポジウム

コロナ禍と教育

~卒前、卒後のバトン~

座長:比嘉 靖(沖縄県作業療法士会 会長)

シンポジスト

照屋 盛之  沖縄リハビリテーション学院 学科長

 天久  藍  琉球リハビリテーション学院 副学科長

 吉岡 美和  沖縄県作業療法士会 教育部担当理事 

 古賀 雅都  宮里病院              


人との接触に制限がつきまとう昨今、教育の現場はどのように対応してきたのでしょうか。臨床実習に送り出す養成校の立場から、臨床指導者講習を行う担当理事の立場から、また、臨床の現場の方などそれぞれの立場から今ある教育の課題について提起していただき、よりよい未来への種まきの視点を学ぶ機会になることを期待しています。

琉球リハビリテーション学院

天久藍

この数年、未曾有の感染症で社会全体が困惑した状況にある。そんな中で、養成教育機関でも学びの提供方法を試行錯誤し授業をおこなってきた。また、臨床実習においては多くの施設様のご理解とご協力をいただき、現場でしか学べない貴重な機会をいただいた。しかし、まだ先の見えない感染症との毎日に、今後も継続して学びの提供方法を考えざるを得ない状況である。コロナ禍で発展した新たな学習方法やそれに伴う学生の学びの変化は?作業療法士を目指す学生らに、作業療法士の醍醐味を伝える方法は?養成校で学ぶべきこと、臨床でしか学べないこと、職能団体としてできることは?

学院で取り組んできた授業について共有し、また多くの作業療法士の方々のご助言をいただき、今後の学生支援に活かしていきたい。

沖縄リハビリテーション福祉学院

照屋盛之

 今回、コロナ禍における教育について臨床の先生方と話し合う機会を与えていただきありがとうございます。企画していただいた方々に感謝いたします。

 2020年から拡大したといわれる新型コロナウイルスは学生にも多大な影響を及ぼしました。対面講義や臨床実習ができない日々が続き、行事も軒並み中止となりました。さらに、グループ演習の中止や、対面での友人との交流も自粛、放課後一緒に遊ぶことはもちろん、勉強することもままならない状況が幾度となくありました。学校では、それらを代替する様々な方法も導入しました。ただ、これまで学生が成長していく上で要となっていた、苦楽を共にしながら友人と切磋琢磨することや、臨床実習場面での患者さんとの交流、臨床実習指導者を通して作業療法の魅力を知る機会も十分に得ることができませんでした。学生生活でのそのような経験は私を含め、多くの作業療法士にとって、その後の臨床に活きる大きな経験であったと思います。

コロナ禍において私たち作業療法士が学生や卒業生のために何ができるか、当日は臨床の先生方と一緒に検討できればと思います。

医療法人タピック宮里病院

古賀雅都

私は臨床の立場から、コロナ禍と教育について以下の内容についてお話させていただきます。

1)宮里病院の教育について

  卒前・卒後教育の標準化を目的に、H31年から宮里病院OT教育プロジェクトを立ち上げています。これまでの取り組みを紹介します。

2)コロナ禍で工夫していること

  卒前教育に関しては、実習自体を受け入れできない状況が続きました。卒後教育では、実習を経験していない新人たちへの教育を再構築する必要がありました。

コロナ禍で生じたこれらの課題に対して工夫していることを紹介します。

3)卒前教育に期待すること

  コロナ禍だからこそ、これまで以上に卒前教育で実践していただきたいと考えていることについてお話します。

4)臨床の立場として

  最後に臨床の立場として、今後の作業療法士の教育にどう貢献していきたいか、提案も含めてお話させていただきます。

沖縄県作業療法士会 教育学術局教育部担当理事

吉岡美和

今回は、厚生労働省指定臨床実習指導者講習会の運営を担当する立場で、お話をさせて頂きます。

2019年から開始されました講習会の沖縄での状況は、「好調」とお伝えできると思います。毎回、募集を上回る応募があり、丸二日16時間に渡る講習会にもかかわらず、終始活発なディスカッションが行われます。参加者されたみなさまと運営するスタッフ全員が「後輩育成」に非常に熱心である事がわかりました。新たな取り組みや概念、思考の変換が求められる中で、臨床では実習指導を柔軟に組み立てていらっしゃる様子も伺えます。

シンポジウムでは、実習指導者講習会に関する簡単な報告をお伝えし、教育と臨床、学生と作業療法士をつなぐために、今後、作業療法士会でどのような取り組みができるのかを提案させていただきます。

会員のみなさまのご意見をうかがいながら、教育を視点に作業療法の明日を考えていきたいと思います。


一般演題公表期間 2022年2月13日~2022年3月12日

①演題発表について

1.口述発表

口述発表に関しましては、発表者が各自録音していただき学会当日にYouTubeで参加者の限定公開にて公表いたします。

質疑応答につきましてはYouTubeのコメント欄上でやり取りを行う予定です。

演題登録いただいた方宛には演題発表の録音マニュアルを送付いたしますので、手順に沿って提出をお願いいたします。

2.ポスター発表

ポスター発表は、資料をPDFにして発表していただきます。

質疑応答の時間を設ける予定はありませんが、発表者と個別にメールにてやり取りしていただく形を予定しております。

3.新人枠について

基本的に口述発表と同じ方法を取ります。応募資格として1~5年目の方を対象としていることをご了承ください。

(昨年度5年目で応募を検討していただいていた方については相談に応じますので、17th.okinawa@gmail.comまでご連絡ください。


尚、演題発表のうち2題、新人枠のうち1題を抄録査読の評価を持ちまして表彰いたします。

演題については一定期間の公開期間を持って、その期間はいつでも視聴が可能です。