2013.06.10、2014.04.14 寄付講座
■平成25・26(2013・2014)年度 寄付講座「実践職業論」 エンジニアのための品質管理 (2013.6.10、2014.4.14)
講師:馬場誠一 (1970年3月卒業)
品質管理には、広義・狭義の品質管理がある。広義の品質管理は、マネジメントとしての品質管理のことを指し、品質マネジメント(Quality Management)として知られ、JIS(日本工業規格)では「品質要求事項を満たすことに焦点を合わせた品質マネジメントの一部」と定義している。
狭義の品質管理は、コントロールとしての品質管理(Quality Control)のことを指し、JISでは「品質保証行為の一部をなすもので、部品やシステムが決められた要求を満たしていることを、前もって確認するための行為」と定義している。
生産現場で「品質管理」と言えば、一般に狭義の品質管理を指していることが多い。
品質管理は、JIS Z 8101においては「買手の要求に合った品質の品物又はサービスを経済的に作り出すための手段の体系」とされている。
品 質
・顧客の要求事項すべてに適合する
↓
条件のつかない絶対的なもの
100%=100、 99%= 0
↓
顧客に迷惑をかけてはいけない
製品品質のマイナス →会社のイメージのマイナス
どんな使い方をされても故障を起こしたのは会社の製品(会社のイメージダウン) →非常にヤッカイ
品質マネジメント (Quality Management)
・当たり前のことを当たり前にやる
最初から正しく行う
↓
意識の問題でなく 仕事に対する情熱
↓
・仕事は人の行動の結果
↓
・「モノの品質」から「人間行動を含む品質」へ
↓
人の行動の管理
品質向上のための絶対原則
・欠陥の未然防止システム
・達成基準は欠陥「ゼロ」
・測定尺度は欠陥コスト
最初から正しく行う
●製品をつくるとき
その工程の1つひとつの源流において
仕事をする人間1人ひとりが
仕事の誤りの原因を取り除き
自分の仕事を最初から正しく行う
↓
・「源流管理」と「事前検証」に徹し
↓
・「欠陥の予防」と「改善の継続」
欠陥はすべて人間がひき起こすもの、だからこそ予防することができる
↓
・ 欠陥品:「入れない」「つくらない」「出さない」
・3現主義:現物、現場、現実
問題の解決
・正しい方法が→きまっていない
→きまっている →分かっていない
→分かっている →できない
→できる →実行しない
→ 実行している
・方 針 :問題に関する基本方針が明確に示されていたか
・業 務 :システム・手順が事前に検証されていたか
教育・訓練は十分実施されていたか
・システム :未然防止として最初から一度で正しく仕事ができる仕組にしてあったか
・役割と責任 :問題発生部署、担当者の役割と責任は明確であったか
階層別、部門別に役割と責任がはっきりしていたか
・コミュニケーション :関係者相互の情報交換、意思疎通に問題なかったか
市場品質
・品質情報の宝庫
・顧客の満足と他社比較 アフターサービス
・ フィードバックと対応が最善の品質向上策
・ スピードが勝負 予 防 保 全
・ 良薬は口に苦し:厳しいデータ
むずかしい苦情ほど改善効果大
品質保証
・品質・信頼性ともに顧客に満足してもらえる製品とサービスの供給
・正しいことは顧客の心の中にある
・製品とサービスにつくる人間の心が反映される
↓
「品質とはつくる人の心の暖かさ・豊かさである」
源流管理
・各工程の1つひとつで、1人ひとりが着実に実行し、トラブルポテンシャルが
完全に排除されていることを確認しながら進める
・常にトラブルポテンシャルが潜在する可能性を見つけ出し、改善を継続していく
ポイント
・実践のための具体的考え方を次に示す
【具体例】
工 程
ポイント
詳細
開 発
設計
①設計部門、生産技術部門、製造部門、品質保証部門、部品メーカーなど関係者全員が参画する
②部品メーカーも参画させ開発段階から設計の意図を理解させ、生産技術部門などの支援により部品の品質を確保する具体策を決める
要素試作
生産技術・製造
①要素技術(加工、はんだ付け、接着、締付けなど)すべてについて量産時のやり方を早期に確立する
②量産時のバラツキや異物の発生などの不良要因を徹底的につぶす
性能試作
品質保証
①市場品質情報に基づくレビュー、特に取扱性、修理性、安全性を含め顧客の満足を最優先に考える
②信頼性評価法、評価基準を決める
③量産試作までの懸案事項は量産試作ですべて解決し、量産時には絶対に未解決の問題がないことを徹底する
④量産品の品質保証活動具体策を決める
量産試作
量産承認の条件
量産試作は量産するときと全く同一条件でつくる
①すべての問題点が解決されていること
②量産品の品質保証活動具体策が決まっていること
量 産
品質保証
ラインの問題点の常時摘出と即時解決
事前検証
・未経験のことをやるとき、モデルやサンプルにより、事前にやってみて検証してから
本番に取り組む
・代表例が各種の試作であるが、この考えは製造関係の要素技術をはじめ、すべてのことに共通である。
ポイント
・未経験の作業方法を採用するとき、今までの有資格者にやらせてみて、その中から
適切な技術をもつ新しい有資格者を決定しなければならない
・生産設備の新設や改造のときも、まずサンプルをつくって、バラツキの定量的な把握と歪や異物の発生など、きめ細かく事前検証されなければならない
・コンピュータを利用した設計の解析においても、実際の使用条件が、どの範囲でどの程度の厳しさで入力されたかをまず第一に考えて評価しなければ事前検証の価値がない
勝者 対 敗者
勝者はいつも問題を解く要因である
敗者はいつも問題を起こす要因である
勝者にはいつも計画がある
敗者にはいつも言い訳がある
勝者は言う「あなたの代わりにどうか私にやらせて下さい」
敗者は言う「それは私のやることではない」
勝者はあらゆる問題に解答を見出す
敗者はあらゆる回答に問題を見出す
勝者はあらゆるバンカーの近くにグリーンを見る
敗者はあらゆるグレーンの近くにバンカーを見る
勝者は言う「それは難しいかもしれないが可能だ」
敗者は言う「それは可能かもしれないが難しすぎて無理だ」
諸君、勝者たれ!!