2011.06.27 寄付講座
理工学部 総合講座D 「ソフトウエアエンジニアリングと品質管理」 (講師:多田興一)
ソフトウエアがIBMで開発されてわずか60年であるが年々その規模が増大し、例えば携帯電話
では10年前の30万ステップから現在では600~700万ステップになっている。
我々の生活の周辺でもこのソフトウエアが内包される製品が増え関わりが大きくなっている。
講師の携わった業務用ソフトウエア開発の経験から、今後、このような仕事に関わる学生へ
知っておくべきソフトウエアの考え方、問題点、注意点などを説明。
① ソフトウエアエンジニアリングとは
…ソフトウエアを効率的、体系的に適用することが重要。
② 品質管理とは
…ソフトウエアのウエイトが大きくなるに従い、その信頼性の依存度も大きく、運用、保守、
移植性などについて顧客満足を得なければならない。
③ システム開発こぼれ話 …経験された失敗事例など
④ エンジニアを目指す諸君へ
◆講師が入社2年目から旧国鉄の列車予約発券システムのソフトウエア開発を担当し、100万
座席の膨大さと、複数人で乗車の場合、となり同士の席となるような、日本ならではの肌理細やかさ、
客車が1両増結された場合、路線の起伏により動力車も増結する必要があるなど多くの条件設定を
クリアしなければならず、さらに納期も決められ、その中で品質確保が第一の苦労の一端を知ることができた。
このような中で不具合事例として二重発券やシステムダウンなどの説明があった。
これはNHKの「プロジェクトX」でも取り上げられ一部会場でも放映されたが、いまの若い人は
先輩方がこのような苦労があったことはあまり意識されないと思う。
最後に講師の学んだこととして次の2点の説明があった
・「人を見て法を説く」
・「最後は品質第一が勝つ」
学生に品質の重要性がどこまで理解されたか分かりませんが実社会に出ると必ず出会う問題で
参考になったと思います。
ある業務をコンピュータ化する場合、その業務の入力項目、手順、判定項目、処理結果のフォーマットなどを
極力、単純化する必要がある。とくに業務の合併、移管などで複雑化した業務をそのままにして移築すると条件設定されて
ないイレギュラー処理やバグ、処理時間の延伸などトラブルになりやすいと思う。