プロフィール
氏名:カタリ ビシャル
卒業年度:2021年
卒業後進路:
(1)一般社団法人Bridge for Fukushima
地域コーディネーターとして高校の総合的な探究の授業のサポート(地域と高校をつなぐ役割)、経営マーケティング事業のコーディネーター業務。
(2)子ども向け防災教育事業(現場企画・運営)、全国の小学生を対象に防災キャンプを開催
▪自己紹介
教育、それは僕にとってつながりと経験であり、可能性を広げるための機会でもあります。
僕はネパールで生まれ、7歳までネパールの幼稚園に通いました。7歳の時にインドへ留学し、小学校に通いました。その後親の仕事の都合で来日し、中学校から福島県郡山市で勉強することになりました。
▪東洋大学国際学部国際地域学科を選んだ理由
2011年の東日本大震災を経験したことで、「何かしなくてはいけない」と思いながら、それが見つかりませんでした。そのまま高校に進学しましたが、サッカーに明け暮れる3年間を送りました。ただ、自分の関心や今までの経験を活かし、「途上国で何かしたい」というぼやっとした考えはありました。それを明確なものとするために、東洋大学国際学部国際地域学科に入学しました。
▪在学中の活動
大学に入ったら、交換留学でイギリスへ行き、途上国の開発や貧困削減について学びたい、そして、実際に東南アジアやアフリカへ行き、途上国の現状を自分の目で見てみたいと思っていました。そんな僕は入学早々、国際ボランティアサークルSalamatと出会いました。学生だけでフィリピンのコミュニティ開発や幼児教育に取り組むその姿は僕の理想であり、このサークルに入ることを即決しました。
1年生の夏休み、セブ島での10日間のワークで、僕は大きな刺激を受けました。そして、イギリスに行くことはやめて、これからの4年間をSalamatに捧げようと決断しました。Salamatはその時点ですでに幼稚園を建設していて、授業サポートや文房具等の支援を継続していました。他にもスラムの子どもたちへの食事の配給や孤児院支援など様々な活動を行っていました。
僕が最初に参加したワークでは、新しいプロジェクトに向けての現地調査も行いました。セブ島の複数の貧困地域を訪れ、ニーズや課題を調査したのですが、2つ目の幼稚園建設が次の目標となりました。同時に、僕の中でもSalamat在籍中にやりたいことが明確になったのです。それは次の5つです。
①Salamatの代表になる。
②フィリピンワークを2部隊制に増やす。
③クラウドファンディングを実施する。
④新しい幼稚園を完成させる。
⑤活動報告会を実施する。
結果的にこれら全てを実現させることができました。まず、代表として200人を超えるサークルを率いることになりました。そして、今まで1回に12人しかいけなかったワークを2部隊制にすることで、倍の人数が参加できるようにしました。新しい幼稚園が完成間近となった2019年冬にはクラウドファンディングに挑戦し、120万円を集めました。その資金を投入して、2020年春に2つ目の幼稚園を完成させることができました。そのお祝いも兼ねて、いつも応援してくれているメンバーの家族や関係者を招いて、報告会を実施しました。
もちろん、その道のりは平たんではありませんでした。途中で、目指すべきリーダーシップ像に悩んだり、学年ごとの価値観の違いなど様々な壁にぶつかり、何度も心が折れそうになりました。そんなとき僕の力になってくれたのが同期のメンバーでした。いつもアドバイスや相談に乗ってくれたことで、一緒にサークルを運営することができました。そして、当時の顧問のロバート・ヒューズ先生は常に僕を信じて、どんなチャレンジでも任せてくれました。これらの信頼関係があったからこそ目標を達成し、充実した大学生活を送ることができました。
最初に書いたように、僕は東日本大震災を福島県で経験し、地元で何かをやりたいという思いもずっと持ちつづけていました。震災直後からずっと福島に関わってきた子島進先生の「ボランティア実習」(福島県いわき市での農業ボランティア)に参加したことで、いわきの復興や地域活性化に取り組んでいる方々と出会いました。その後、Salamatのメンバーを中心に、多くの東洋大生をいわきに連れて行くようになりました。実際に畑で作業したり、体験型観光に参加してもらうことで、いわきの今を知ってもらう機会を作ることができました。
現在やっているコーディネーターの仕事は、福島県の高校生に自分のやりたいことを見つけてもらい、それを実現させることです。その際、僕の1番の強みとなっているのが、在学中に取り組んだ様々な活動やチャレンジを、そのまま彼らに話せるということです。高校生が想像しているよりも、大学という環境ははるかに可能性に満ち溢れている。そのことを、自分自身の経験をもとに伝えることで、彼らの価値観や行動に変容を起こすことができると思っています。
▪在校生・高校生へのメッセージ
高校と大学の大きな違いは自由度と機会の多さです。すでにレールが敷かれていて、比較的縛りが多い高校に対して、大学は何をするにしても自由です。その機会は、落ち葉のように数えきれないほど落ちています。拾うか拾わないか、何を拾うかもすべてあなた次第です。たくさんのことにチャレンジして経験を積み重ねていく人もいれば、的を絞ってじっくり4年間継続する人もいます。僕は両方正解だと思います。大事なのはチャレンジをすることです。失敗しても構いません。むしろ学生という最強の肩書きがあるうちに、どんどんチャレンジして失敗してください。
Today is difficult,
Tomorrow is much more difficult,
But day after tomorrow is beautiful.
Most people die tomorrow evening.
これは中国の起業家ジャック・マーの言葉で、僕がずっと大切にしてきた言葉でもあります。継続することがいかに難しく、大切であるかを表している言葉です。自らの行動を、周りの人としっかり信頼関係を築きながら、責任を持って継続していくことに本当の価値があると僕は思います。大学4年間という平等に与えられたこの時間を、自分のために行動し、存分に楽しんでください。