氏名:鈴木 悠咲 さん(国際地域学科 国際地域専攻)
留学形態:交換留学
留学先:ブカレスト経済大学(ルーマニア)
留学期間:2024年9月~2025年7月
氏名:鈴木 悠咲 さん(国際地域学科 国際地域専攻)
留学形態:交換留学
留学先:ブカレスト経済大学(ルーマニア)
留学期間:2024年9月~2025年7月
ルーマニア
ルーマニアは東ヨーロッパにある国で、黒海に面し、豊かな自然と歴史ある街並みが魅力です。首都はブカレストで、「東欧の小パリ」なんて呼ばれたりもしています。
ブカレストから電車で約3時間行くと、観光地として人気のブラショフ(Brașov)があります。ここはトランシルヴァニア地方にある中世の雰囲気たっぷりの町で、周りを山に囲まれた美しい景色が広がっています。旧市街には石畳の道や、ゴシック様式の「黒の教会」(Biserica Neagră)、ルーマニア最古の学校博物館などがあり、歴史を感じながら街歩きが楽しめます。
町のすぐ裏手にはタンパ山がそびえていて、ロープウェイで山頂に上がれば、ブラショフの街を一望できます。冬はスキー、夏はハイキングができて、季節ごとに違った魅力があります。私は実際に、秋にエラスムス(Erasmus)というヨーロッパの留学支援プログラムのイベントでブラショフを訪れて、冬にはクリスマスマーケットとスキーにも行きました。それぞれの季節で全く違う顔を見せてくれるこの町が本当に大好きです!
ちなみにルーマニアは、古代ローマの影響を受けた文化やラテン系の言語を持っていて、伝統と現代がいいバランスで混ざり合っているのも面白いところです。
ブカレスト経済大学
ブカレスト経済大学は、その名の通りルーマニアの首都ブカレストにあります。キャンパスは市の中心部に位置していて、徒歩20分ほどで市街地にアクセスできるのも魅力です。授業の後には友達とショッピングをしたり、カフェでゆっくり過ごしたりと、キャンパスライフを満喫しています。
交通の便もとても良く、地下鉄は1回5レイ(約162円)、バスは3レイ(約97円)と、日本と比べるとかなりお得です。学生は定期券を90%オフで購入できるので、私も毎月利用しています。ブカレスト市内なら、地下鉄とバスを使えばどこへでも簡単に行けます。
現在、ブカレスト経済大学に留学している日本人は、私を含めて2名のみ。ここ数年、日本人の長期留学生はいなかったそうです。日本人が少ない環境に魅力を感じてこの国を選びましたが、実際に来てみるとアジア人自体もあまり見かけず、最初は少し不安になりました。でも、日本人が珍しいからこそ、他の留学生やルーマニア人と話すきっかけが生まれ、日本の文化やマンガに興味を持ってもらえるのがすごく嬉しかったです。改めて日本人であることに誇りを感じるようになりました。
授業紹介
私は秋学期に4科目(9単位)、春学期にも4科目(8単位)を履修しています。以下が履修している科目の一覧です。英語に自信がなかったこともあり、「英語」を含む言語系の授業も選びました。わかりやすいように、そういった授業には☆マークを付けています。
ルーマニア人の大学生は、ほぼ全員と言っていいほど流ちょうな英語を話します。そのため、語学の授業でも学ぶことが多く、すごく刺激になっています。
授業のスタイルとしては、1科目につき「コース」と「セミナー」が週1回ずつあり、週2回のペースで進んでいきます。コースでは教授が中心となって、基礎知識や実例、背景となる歴史などを教えてくれます。一方セミナーでは、学生が主体になってディスカッションやケーススタディ、ディベート、プレゼンテーションなどを行います。
留学生、特にヨーロッパ圏外からの学生には「あなたの国ではどうなの?」「その文化ではどう考えるの?」といった質問が急に飛んでくることもあり、毎回気が抜けません。英語力だけでなく、日本人としての基本的な知識や視点も求められるので、最初は戸惑いましたが、お互いの違いを学び合える貴重な機会だと感じています。私はこのようなやりとりがとても好きで、留学に行く意義だと感じています。
秋学期
General Management
☆English Language
☆Romanian Language
☆English and Professional Communication
春学期
☆Communication in business
Direct Marketing
Ecotourism
Internship
日本研究センター
ASE日本研究センターは、社会・経済・歴史・政治・文学・芸術など、さまざまな角度から日本の文化や文明を学びたい人を対象とした機関です。センターには日本研究の専門家が所属しており、日本に関心のある人々に向けて、日本列島の姿を本格的な視点から伝えています。また、ブカレスト経済大学(ASE)の学生を対象に日本語講座も開講しており、学生や一般の方が日本学や日本文化に関わる専門家と交流できる機会を提供しています。こうした活動を通して、日本人の精神性や日本社会の仕組みへの理解を深める支援をしています。
私はこのセンターの職員の方々に、本当にたくさん助けていただきました。留学当初のVISA関連の手続きから、大学生活、寮での暮らし、日常生活にいたるまで、何から何まで支えてくださり、もしこの方々がいなければ、今のような快適な留学生活は送れていなかったと思います。
また、選択科目として日本語の授業も開講されており、その授業を受けている学生たちとは自然と仲良くなり、今では大切な友人たちです。このセンターは、私の留学生活を語るうえで欠かせない存在になっています。
ルーマニアに到着して約1か月が経った頃からは、もう一人の日本人学生と一緒に「日本語会話クラブ」を週に一度開催しています。日本語の授業では学べないような、リアルな日本のトレンドや文化、実践的な会話表現などを、ロールプレイやゲーム形式で紹介しています。
自分では毎日使っている日本語ですが、「教える」となるとまったく別物で、その難しさを日々実感しています。特に文法に関しては曖昧な部分も多く、毎回しっかり予習をしたり、センターの職員の方にアドバイスをもらったりしながら準備を進めています。
でもその過程で、日本語や日本文化をあらためて見つめ直すことができたり、相手に「伝える」ことの大切さを学んだりと、自分自身にとってもとても貴重な経験になっています。誰かに教えることで、逆に自分が多くのことを学んでいる——そんな実感が強くあります。この活動を通じて得た学びや出会いは、きっとこの先もずっと私の中に残り続けると思います。
寮生活
私は大学の寮に住んでいます。ASEにはいくつか寮がありますが、私は「Belvedere」という名前の寮に暮らしています。大学からは徒歩と電車で30分ほどと少し離れていますが、その分、帰り道に寄り道ができるのがちょっとした楽しみでもあります。ただ、最寄駅から寮までは歩いて15分ほどかかるので、「駅近なら大学まで15分で行けるのに…」と感じることもあります。
この寮には3つの建物があり、そのうち2棟はルーマニア人専用、留学生がいるのは私が住んでいる棟だけです。しかも、留学生の部屋があるのは1階(日本でいう2階)のみ。私の部屋には冷蔵庫が備え付けられていますが、ルーマニア人用の部屋には無いようです。トイレとシャワーはそれぞれの部屋にありますが、キッチンは各階に2つあり、共用です。ただIHコンロしかないので、私はルームメイトと相談して、IHや電子レンジ、エアフライヤーを購入しました。寮生活が初めての私にとって、家具のない部屋には正直びっくりしましたし、初日の買い出しはとても大変でした。でも、2学期目からは寮内にコインランドリーが設置され、とても便利になりました。また、各ビルには警備員さんが常駐していて、困ったときには助けてくれます。ただし英語は通じないので、翻訳機は必須です。
私は2人部屋を希望し、現在はフランス人のルームメイトと10か月間暮らしています。最初は他人と暮らすことに不安もありましたが、今では一緒にごはんを作ったり、出かけたり、互いの時間を尊重し合ったりと、とても良い関係を築けています。この間のイースター休暇には、彼女のルーマニアにいる親戚の家に招待してもらい、大自然の中で伝統文化を体験したり、友達を紹介してもらったりと、貴重で楽しい時間を過ごしました。
また、時間のあるときは寮に住む留学生同士で、いろんな国の料理を作ったり、ピクニックやカードゲームを楽しんだりと、国境を越えた交流の機会もたくさんあります。
初めて親元を離れての生活は、最初は不安も戸惑いもありました。でも今では、日々の小さな工夫や出会いを通して、自分自身の成長を感じられるかけがえのない時間になっています。自分の知らない世界に飛び込むことは勇気がいるけれど、だからこそ得られるものが本当にたくさんあると実感しています。
おわりに
今回の留学は、私にとって初めての長期海外生活であり、初めて親元を離れて暮らす大きなチャレンジでした。不安や戸惑いもたくさんありましたが、それ以上に、日々の暮らしや出会い、学びの中に、かけがえのない経験が詰まっていて、自分の世界が大きく広がっていくのを感じました。
言葉も文化も違う場所で生活するということは、想像以上にエネルギーがいることでした。でも、その分人と心を通わせたときの喜びも大きくて、たとえつたない英語でも、自分の気持ちが伝わったときは本当に嬉しかったです。文化の違いに戸惑うこともありましたが、「違うからこそ面白い」と思えるようになったのは、ここで出会った人たちのおかげです。
そして、あと2か月。もう「終わりが見えてきた」と感じる反面、「まだまだここで過ごしたい」「もっと多くのことを吸収したい」という気持ちも強くなっています。ルーマニアという国の魅力や人々のあたたかさに触れ、日々を大切に積み重ねる中で、自分自身も少しずつ変わってきたのを感じます。残りの時間も、一つひとつの出会いや経験を大事にしながら、最後までしっかり味わい尽くしたいと思っています。
この留学で得たものは、きっと一生の宝物です。そして、自分の足で新しい世界に踏み出す勇気を持てたこと。それが、今の私にとって何よりの自信になっています。ルーマニアで過ごした日々、出会ってくれたすべての人たちに、心から感謝しています。