氏名:矢吹 未来 さん(国際地域学科 国際地域専攻)
留学形態:交換留学
留学先:聖クリメント・オフリツキ・ソフィア大学(ブルガリア)
留学期間:2021年9月~2022年2月
氏名:矢吹 未来 さん(国際地域学科 国際地域専攻)
留学形態:交換留学
留学先:聖クリメント・オフリツキ・ソフィア大学(ブルガリア)
留学期間:2021年9月~2022年2月
長い自己紹介
こんにちは、未来の留学生さん!
これを読んでいる貴方がどんな人かは知りませんが、高校生や大学1,2年生が多いのではないかなと思います。東洋大学に入ったらどんな留学が出来るのかな?とか、どこか留学したいなとか、そんな思いを持ちながらこれを開いたのではないでしょうか。
ブルガリアは良い国ですよ。歴史は豊かで、人は優しい。もちろんヨーグルトは美味しいし、ご飯は全部美味しい。アジアとヨーロッパの狭間にある国だから西欧の方からトルコやイスラエル方面にまで足を伸ばせます。私の代はコロナの影響で難しそうですが、皆さんの時は自由に行き来できるようになっていることを祈ります。
さて、留学と言えば英語力が心配な人もいると思います。私のTOEFLの最高スコアは500点、最新スコアは487点です(留学前に基準下回っちゃった)。本当にギリギリの英語力で留学した人間です。
ブルガリアは英語が公用語ではありません。このため、英語を話せるようになることがどれだけ難しいか、ブルガリア人も知っています。英語が苦手な貴方に、ブルガリア人はゆっくり、頑張って話しかけてくれ、頑張って理解しようとしてくれます。先生方もとても気にかけてくれます。ギリギリのスコアでの渡航は、授業はもちろん大変ですが、日常生活は困りません。
「どうせ英会話は出来ない」と諦める前に、交換留学にチャンレンジしてみませんか? もしかしたら1年後、東欧の国にいるかもしれませんよ?
この経験談でちょっと行きたくなって、ドキドキしてくれたら嬉しいです!
ソフィアについて
バルカン半島に位置し、東に黒海を構える国、ブルガリア。悠久の歴史を抱えるこの国は至る所にかつての東ローマ帝国、オスマン帝国、ソ連の面影を感じることが出来ます。「セルディカ」はブルガリアの首都ソフィアの古い名前ですが、その名を冠するセルディカ駅へと赴けばキリスト教、ユダヤ教、イスラム教の聖堂を一挙に目することができます。
ソフィア大学は1888年に設立されたブルガリア最古の大学で、まるで某魔法学校のような図書館もあります。ただの廊下さえクラシカルでカッコいい。そのような大学に通えることを幸運に思いました。ステンドグラスの校舎に、石造りの階段…!
無駄にお洒落な階段
無駄にお洒落な廊下
……まあ私の学科は別校舎だったのですが…………泣。でもカッコいい校舎です
オンライン授業について
さて、留学生の本分である授業についてですが、10月こそはいくつか対面授業がありましたが「コロナ感染状況世界ワースト1位」と嬉しくないナンバーワンに輝いたブルガリアは途中から全ての授業をオンラインへ移行し、対面授業はなくなりました。 でもこれは、英語が不得手な私にはラッキーな出来事でした!
1. 授業中にOK Googleが出来る!
授業は英語で行われるのですが、TOEFL500点の私には難しい単語がポンポン出てきます。おまけに板書がないから綴りも分からない。そんなときすぐにスマホを取り出して、例えば「OK google, こーひぃじょんって何」とすると、Google先生が「cohesion」とネイティブの発音で教えてくれます。そしてすぐに意味が出てくる! 何度助けられたことでしょうか。
2. 授業を録画して後で見返せる!
残念ながら、Google先生が助けてくれても授業は1回では理解できません。そこで先生に「録画して良いですか」と聞いて全授業録画して貰いました。見放題だし、スローにも出来るし早送りも出来きます。先生達に感謝です。
3. 授業資料が電子ファイル!
普段だったら紙で手渡される資料の数々は、現在全てオンラインファイル! 嵩張らないし、無くさないです。パソコンの「読み上げ機能」を使って音声で読んで貰えば文字を読むより気が散らず、発音も勉強できます。また、あんまりにも長くて複雑で難しい文は最終手段でペッとコピペして翻訳できるので、宿題がただの英文読解と辞書を引く反復作業にならずにちゃんと内容を理解した勉強になるので助かっています。(良いのか分からないけど……)
キャンパスライフを送れていないかもしれないけど、コロナのおかげで勉強は圧倒的に効率が良いです。英語が苦手な人に優しい環境でした。先生も優しいのでとても心強いです。
言葉について
ブルガリアの公用語はブルガリア語です。ほとんどの人がブルガリア語で生活しています。例えば住民票の登録や学生帳の登録、寮費の支払いは全てブルガリア語です。ですがご心配ありません。これら大切なことはソフィア大学の日本語学科の人が助けてくれるのでなんとかなります(ちなみに、日本語学科の人も日本語がペラペラというわけではないので英語と日本語を交えた会話になります)。ただ、日常生活全てを手伝わせるわけにはいきません。
大きなデパートのお店だと英語が通じますが、小さいお店や町中のお店だと通じず、ブルガリア語が必要になります。でもブルガリア語もペラペラである必要はありません。
Извинете いずびねて …… すみません
Аз бих искал това あす びひ いすか とば …… これください
Благодаря ви ぶらごだりゃ び …… ありがとうございます
Не, благодаря ви. ね ぶらごだりゃ び …… いいえ、結構です。
これら4語で大体なんとかなります。話すととても喜んでくれて、「You! Bulgaria, good!!」とお店のおばあちゃん方に褒められます。調子に乗って「Аз обичам 〇〇(私は〇〇を愛しています)」なんて言ってしまえばお客さんまで拍手して喜んでくれます。多分東京外国語大学がブルガリア語公開講座を開いているのでそれに参加してみてください。
これは体感ですが、現地の言語が話せると、だまされることが減る気がします。防犯としても有効な気がします(英語を話す外国人より、もしかしたら言葉を理解してしまうかもしれない外国人には悪い人は挑戦できません)。ぜひ勉強してみてください!
食べものについて
食べ物はとっっっっっっっっっても美味しいです!
食べ物は街のど真ん中にあるレストランでも500円くらいで食べることが出来ます。少し小さい個人の食堂などでは300円くらいで食べることが出来ます。
野菜もフルーツも美味しいので自炊するのも良いです。スイカは日本のスイカが霞むほど甘く、そして安いです。
特に美味しいモノが、野菜のトマトと「バーニッツァ」というデニッシュパンです。
トマト料理は食べて「トマトが旨い!」と感じるほど。トマト嫌いも一発で直るレベルです。
バーニッツァは中にシィレネという白チーズが入っているパイで、100円くらいで食べることが出来ます。駅などで売っていて、閉店間際だと半額になっていたりもするので、ついつい買ってしまいます。ネギやほうれん草、林檎が入っているものもあります。
日本人の口に合わない……と言うことは無いと思います。食べ物の心配はしなくて大丈夫です。ぜひたっくさん食べてくださいね。
メキッツァという揚げパンです。120円
左:トマトの煮込み+チーズ
右:ピクルス入りチキンシチューとフライドポテト2つで500円、お腹いっぱい!
パニーッツァ。大好きです。100円
食べ過ぎてブルガリア人に引かれました。
お休みの日について
私の一週間の予定は月曜日と水曜日の午後に2コマずつ授業が入っていて、火木金と土日は自由の日でした。 火・木・金曜日は朝からぎっちり予習と復習と宿題をして、土日は日本語学科の人たちと一緒に遊びに行っていました。
ブルガリアは学割が大変お得で、700円くらいでソフィアからコプリフシティッツァという東京と大阪くらい離れた場所まで電車で遊びに行くことが出来ました。千葉から白山へ行くより安いです。
ブルガリアは冒頭でも書いたとおり、歴史が豊かで、国民もそれを誇りに思っています。
たくさん見所がある国なので、休みのたびにどこかへ旅行してみてください!
コプリフシティッツァです。
この地でブルガリア独立革命が始まりました。古い家々がそのまま残る街です。
パンチャレーボ湖です。なんか何回も唱えたくなる名前だよね、パンチャレーボ!パンチャレーボ!ブルガリア語の教科書に出てくる例の湖です。
寮について
ここまで読んでいただきありがとうございます。
……さて、寮についてお話ししようと思います。
留学生が暮らすことになるBlock 8という寮は、ソ連統治時代に建てられた建物で、オンボロ寮様々な点で歴史を感じることが出来ます。
写真がまだなにもない状態の部屋です。ご覧の通り、狭いですコンパクトサイズです。でも景色は良く、朝陽が昇る瞬間を見ることが出来ます。
暖房は良く効き、外が-5度でも快適に過ごすことが出来ます。慣れれば快適です。私は好きです。
光熱費水道込みで100レバ、つまり6000円くらいです! 滞在費はトップクラスで安く抑えられます。節約して色々なところに旅行に行く余裕を作れます。
生活面としても近くにスーパー、コンビニがあるので便利ですし、同じ寮に留学生がたくさんいるので仲良く出来ます。
(……しかし、プライバシーが無い、黒い彼奴が出る、水回りのトラブルが多い等、耐えられない人もいると思います。この寮から引っ越すことも出来るので、無理だったら逃げてもいいんですよ。他のアパートだと4万円くらい)
この寮で暮らせるなら将来どこでも暮らす精神力は付くと思うので、修行の一環として暮らすのも良いのではないでしょうか!!!! (逃げてもいいんですよ)
最後に
ブルガリアを圧倒的にオススメするポイントとしては、なんと言ってもブルガリア人の人柄の良さと、アジア人が少なく『外国人』になれるところです。
ブルガリア人の人柄の良さは、行けばすぐに分かります。バス停でキョロキョロしていれば、「どこに行きたいの」と声をかけてくれます。一生懸命英語で「Are you from?」「Welcome Bulgaria! Enjoy!」と話してかけてくれます。私が雪ですっころんだ時はバッと「大丈夫!?」と手を差し伸べてきてくれます。
初めての留学で不安な人もいるかもしれません。けれどブルガリア人は困っている人がいたら必ず手助けします。田舎にいるおばあちゃんみたいです。愛あるお節介(?)で、困った顔した見知らぬ外国人である貴方を全力で助けてくれます。この点は私が保障します。
また、ブルガリアにわざわざ留学してくるアジア人は少ないのか、街で滅多に見かけません。東アジア人に限定するとさらに見当たりません。よくアメリカやオーストラリアに留学したら日本人ばかりで留学した気がしなかった、という話を聞きますがブルガリアではあり得ません。実際、私の履修する4つの授業のうち、アジア人は1人しかいません。それ以外1人はアフリカ人、その他は全員ヨーロッパ人です。
街中で貴方だけが、違う見た目をしています。貴方だけ、服装から振る舞いまで少しだけ周りとズレています。貴方だけ、ブルガリア語で書かれた街中の看板を見て、内容を理解することが出来ません。
授業では、周りと違う視野を持っていると見なされて、意見を求められることが多いです。例えば「このアメリカと中国の関係について、日本人のあなたはどう思っている?」とか、「鎖国と開国と文明開化という興味深い出来事の中で日本人のアイデンティティはどんな風に発達したの?」等、“日本人だから“意見を問われることも多いです。
そんな風に『外国人』『少数派』になれる経験が出来る、ブルガリアへの留学はいかがでしょうか。
もしこれを読んでブルガリアだけでなく、留学に興味を持ってくれたら嬉しいです!
では、よい大学生活を!!