2025年度秋のShIP (Short Intensive Program) では、79名の学生が、サンカルロス大学(フィリピン)、トンプソンリバーズ大学(カナダ)、マラ工科大学(マレーシア)の3大学において5週間のプログラムに参加しました。以下、各コースの参加学生に現地で力を入れたこと、実習を経て自分の中で成長したと思うこと、思い出エピソードを聞きました。(順次公開予定)
1年 國松由依
1.プログラムのなかで力を入れたこと
私はこのプログラムで「積極的に学ぶこと」を意識して取り組みました。スピーキング力に自信がなかった私は、最初は英語だけの環境に慣れず戸惑いましたが、店員さんや警備員の方々と話すうちに、英語を話すことへの抵抗感が少しずつ薄れていきました
学校の授業では、少しでも「これかな?」と思ったらすぐに発言することを心がけました。間違えても先生が丁寧に理由を説明してくださり、それが大きな学びにつながりました。また、グループワークでは誰かが話すのを待つのではなく、自分から積極的に意見を出すようにしました。
自信がなくてもまずは挑戦してみること、行動してみることで自分は成長できるのだと実感しました。何事も始めてみなければ何も変わらないので、これからも積極的に物事に取り組んでいきたいと思います。
2.自分の中で成長した点
私はこのShIPを通して、内面的に大きく成長することができました。フィリピンの人々は、日本人とは異なり、道ですれ違ったときやレジでのちょっとした時間でも気さくに世間話をします。最初はその文化の違いに驚きつつも、新鮮な感覚にワクワクしました。
この経験を通して、私は初対面の人に対しても臆することなく、ありのままの自分で接することができるようになりました。さらに、良い意味で周りの目を気にしすぎなくなり、積極的に行動できるようにもなりました。人目を気にしなくなったことで自己肯定感も高まりました。間違えても構わないし、その失敗が自分の成長につながると気づけたからです。
また、異文化に触れたことで、物事をさまざまな視点から考えられるようになりました。自分の中の「当たり前」にとらわれず、新しい考え方を受け入れ、想像する柔軟性が身についたと感じます。
ShIPは英語力だけでなく、自分の内面も大きく成長させてくれるプログラムだと実感しました。
3.印象深いエピソード
私にとって、このShIPが初めての海外でした。日本とはまったく違う環境に、最初は不安でいっぱいでした。英語でうまく話せるだろうか、お腹を壊さないだろうか、ご飯は美味しいのだろうか――そんなことばかり考えていました。しかし実際に参加してみると毎日がとても楽しく、間違いなくこれまでの人生で一番濃い5週間だったと思います。
その中でも特に印象に残っているのは、私がお腹を壊して病院に行ったときの出来事です。待合室で診察を待っていると、入口から見知らぬ人が入ってきて突然笛を吹き始めました。警備員に連れ出されても外に出ようとせず、少し騒然とした雰囲気になりました。しかし、警備員の方がその人にお金を渡すと、すんなりと待合室から出ていきました。
その様子を見て、私はフィリピンの貧困状況を目の当たりにしたような感覚になり、胸が締めつけられました。生きていくために、こうして少しのお金でも得ようとする人がいるという現実に触れ、心が痛む気持ちと、自分が何不自由なく生活できていることへの感謝、そして何もできない申し訳なさが入り混じりました。
この経験をきっかけに、貧困についてもっと深く知りたいと思うようになりました。どんな政策が有効なのか、なぜ貧困はなくならないのか、貧困は本当に人を不幸にするものなのか——たくさんの疑問が浮かび、考えるようになりました。
ShIPは、たくさんのことを学び、気づき、そして考えた、とても貴重な時間でした。