2024年度のSFS韓国(担当教員:田中美彩都・山﨑周)は、日韓関係の過去と現在、そして未来への志向をテーマにして実施されました。6月から始まった事前研修では、学年の異なる4人ごとがグループとなり、ソウルの成り立ちや文化史、日韓関係史を中心に、講義とプレゼン発表を通じて知識を深めました。そしてグループごとのリサーチクエスチョンを設定し、ソウルやその近郊にある博物館や美術館などの施設、あるいはソウルの街なかから北朝鮮との国境近くに至るまで、近現代史関連の場所を選定して計画を立てました。
8月後半、韓国に到着した学生達は、およそ1週間かけてソウルでの踏査に励みました。日本国内ではなかなか触れる機会の少ない韓国の歴史文化にまつわる展示物に驚くだけではなく、様々な疑問を感じたように、それぞれ韓国について学んだようです。
ソウルでの踏査の様子
ソウルの日程を終了した一行は、KTXで江原道・原州市にある延世大学校未来キャンパスへと移動しました。3日間にわたって同キャンパス歴史文化学科で学ぶ学生たちと合流し、韓国の文化や日韓の異同などをともに学び議論する場を持ちました。
初日には、延世大学校韓国学グローバル研究所のご協力により、韓国社会の学歴主義や、原州という地域の特性や歴史的な経緯について講義していただきました。さらに二日目には延世大学校芸術院主任教授で、本物のKpop歌手としてもご活躍の(!)キム・ヨンウ先生にKpopの特徴とその未来をテーマにご講演いただきました。3日目には、歴史文化学科の王賢鍾教授のご案内のもと、原州の歴史的遺物や旧市街、市場などを巡りました。
延世大の一部有志はすでに前半のソウルの日程にも同行し、東洋大の学生たちをサポートしてくれていました。そのおかげもあってか、学生たちは英語、日本語、韓国語をとりまぜながら、積極的に意見を交わし交流したようです。
原州・居頓寺址三層石塔の前で
延世大の学生とのディスカッションの様子
近年、韓国文化は日本でもなじみ深いものになっていますが、今回の研修を通じて参加者達が韓国の歴史と文化の新たな側面に触れられたのではないかと思います。最後に、参加した学生さんからの感想を一部ご紹介します。
今回の韓国研修を通じて、私は歴史が単なる過去の記録ではなく、現代に生きる私たちにとっても大きな意味を持つものであることを再認識した。特に日韓関係においては、歴史認識の違いが現在の対立や誤解の原因となっていることを実感した。このような状況を乗り越えるためには、私たちはお互いの歴史的事実を理解し、多様な視点から歴史を学ぶ姿勢を持つことが必要である。また、歴史教育においても、単なる一面的な事実の伝達ではなく、多様な視点からの理解を促進することが重要である。これにより、私たち自身が歴史をより深く理解し、将来の国際社会においてより建設的な対話ができるようになると感じた。今回の研修で学んだことを忘れず、今後も歴史に対する理解を深め、国際社会における協力と平和の実現に貢献できるよう努めていきたい。(国際学部国際地域学科3年・矢澤理沙)
私にとって韓国は、どんな国よりも馴染み深く、誰よりもよく知っている国だと思っていた。韓国で育ち、暮らしてきたからこそ、その言葉に慣れ、文化にも自然に馴染んでいた。しかし、授業を通じて学んだ韓国の歴史は、私の「よく知っている国」という認識を覆すきっかけとなった。誰よりもよく知っていると思い込んでいた韓国に対して、私は実はその中でただ暮らしていただけの一国民に過ぎなかったのだと気付かされた。実際には、その歴史について深く知らず、また関心も持っていなかった私は、ただの一人の韓国人に過ぎなかった。これまで生きてきた中で、一度も光化門の通りがなぜこう変わったのか考えたこともなく、友人とそのような話題を交わしたこともなかった。それが、日本の友人たちと一緒に歩きながら語り合う中で、むしろ彼らを通じて新たに学ぶことができた。(中略)育った環境が違っても、文化が違っても、言葉が通じなくても、お互いへの思いやりさえあれば十分に友達になれることを学んだ時間だった。韓国人である私にとって、同世代の韓国の大学生たちを新たに知ることができたのは貴重な経験だった。そして、日本から来た友人たちと韓国の学生たちが、言葉が通じなくても「仲良くなりたい」という気持ち一つで交流し、親しくなる様子を見て、結局一番大切なのは気持ちであることを改めて実感した。(国際学部国際地域学科4年 Lee Jisu)
国際学部国際地域学科 田中美彩都 講師